【映画評】夏休みジブリ映画3本立て ― となりのトトロ

どうもこの映画はあんま好きじゃないというか、むしろみんななんでこれがそんなに好きなのかよくわからない。

参考

夏休みジブリ映画3本立て ― 私が宮崎駿を嫌いなわけ

夏休みジブリ映画3本立て ― 『もののけ姫』

夏休みジブリ映画3本立て ― 『借りぐらしのアリエッティ』

最大の汚点は糸井重里の棒読みだが、糸井演じるお父さんと同じぐらいガキどもが嫌い。〈また身も蓋もないことを〉 いやー、子供すべてが嫌いってわけじゃないけどね。お行儀が良くておとなしい子供なら我慢するし、かわいいと思うこともあるけれど、こういう奇声を発して駆けずり回る小さい子は無理! ていうか現実ならあえて無視するけど、金払ってまで見たいとは思わないね。特にメイの不細工さは見ていてつらいし。

それにかんじんのトトロがちっともかわいいと思えない。私は現実の動物ならほぼなんでも気が狂うほど好きだし、架空のモンスターのたぐいならこれもなんでも好きなんだけど、トトロはぬいぐるみにしか見えなくて何も感じない。
なんか動物とか精霊とかの雰囲気よりは、キャラ臭が強すぎてたまらん。いかにも売るために作られたキャラクターという感じで。それで私はキャラもんすべてが苦手だし。だいたいあれ信楽焼のタヌキに毛皮かぶせただけに見えるんだが。

さらに田舎が嫌い
どうやらこの話の舞台は所沢らしいんだが、私は今、所沢にある日大芸術学部で週2日働いていて、所沢にはうんざりしてるんで(笑)。なにしろ遠いし(23区内からなのに、通勤時間が往復で5時間!)田舎なんだもん。(所沢の人すみません)
人里離れたほんとの田舎ならいいんだけど、私は日本のこういう半端な田舎がすごい嫌い。トトロの時代の所沢は知らないが、現代はただ埃っぽくて殺風景でビンボ臭い土地としか思えない。貧相な畑の中にパチンコ屋とファミレスとコンビニだけが点在するみたいな、こういう土地って日本中にあるけど、どうしても好きになれない。夏は暑いし冬は寒いし、いいとこない。

これもほとんど言いがかりに近いが、唯一住んだことのある田舎の栃木に感じが似ているのも良くない。あそこでは悪印象しかなかったので。(食い物だけはうまかったけどね)
この一家に親切にしてくれるお婆さんも、これが本物の田舎だったら、よそ者にあれこれ口うるさく指図して一日中監視しているようなタイプだよね(笑)。もちろん都会人が全員冷たいわけじゃないように、田舎の人がすべてそうだとは限らないが、この手のばあさんは絶対そうだ(笑)。特にその都会人一家に小さい子供がいて、母親がいなかったりしたら、もう絶好の餌食と言うべきで、絶対張り付いて干渉されまくる。
なんて風に思うのはこちらが都会人だからで、田舎の人にとってはそれが十分美徳だから好意でやってるというのもわかるんだけど、ちょっと気が狂いそうになりました。

よって、せっかくの夢いっぱいのファンタジーなのに、見ていてちっともロマンチックな気持ちにもノスタルジックな気持ちにもなれないんですわ。

ノスタルジアはこの映画のキーワードだろう。それでネットでノスタルジックな風景というと必ずこういう感じの田舎風景が出てくるところを見ると、これが日本人一般の抱く原風景で、こういう景色を見ると胸がじーんとするらしいんだけど、私にはぜんぜんピンとこねーよ! 千代田区生まれの私は、昭和30年代でも中野区に引っ越すまで土の地面なんて見たことなかったし(これも説明が必要か。中野あたりでも幹線道路以外はほとんど舗装されてなかったのだ)、私の原風景はビルの谷間を走るチンチン電車とトロリーバスなんで。

それでも田舎に引っ越したサツキとメイの喜びと興奮はよくわかりますけどね。なにしろ中野は(幼い私の目には)自然がいっぱいで、夢中になったもん。自然と言っても、道ばたの雑草とか虫とかにいちいち感動してたんだけど、それでも私の時代には、中野でもザリガニのいる小川とか、ツクシの生えた土手とかあって、要するにド田舎だったんですよ。

おまけ 『火垂るの墓』

なんか身も蓋もない話でこれで終わるのもなんなので、おまけ。

ジブリでも宮崎駿作品じゃないから含めなかったけど、実は『火垂るの墓』はすごい好き。ちなみに監督の高畑勲の映画はこれしか見てないが、今経歴を調べてたら、この人1960年代には『狼少年ケン』をやったりしてるんだね。ほら、『マイリトルポニー』のリビューで『狼少年ケン』がいちばん好きだったと書いたでしょ。関係あるのかどうか知らないけど。

『火垂るの墓』はネットじゃ「鬱映画」として有名だが、なんで鬱になるんだかわからないというぐらい、私は何度見ても泣けて心洗われるので好き。だいたい戦争映画好きだしね。
野坂昭如の原作も読んだ(この原作もすごい好き)が、よくここまで忠実に映画化したと思う。もちろんアニメにはあの独特の文体はないから、そのぶんはマイナスだが、逆に野坂の持ってる毒気というか、ある種の残酷なドライさが欠けて、幻想的な美しさが加わったぶん、誰もが素直に泣ける作品になっていると思う。

しかし公開時はこれと『トトロ』が同時上映だったというのは、いくらなんでも酷です。『トトロ』が子供向けなのに、これは中学生以上でないと理解できなくて、子供には恐ろしいだけでしょう。(私は『トトロ』もけっこう怖いと思うが) おかげでこの映画がトラウマになってしまった子供が多数生まれたのは、ジブリの罪だと思う。

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