【サッカー評】ブラジルワールドカップ2014始末記

(以下の文章のほとんどは、ワールドカップが終わったあとの7月に書き留めたものなのだが、私生活のゴタゴタでまとめる時間がなく、とうとうこんなに遅くなってしまった。あと、かなり心乱れた状態で書いてるので、文章も乱れてるし、感情むき出しでごめん。しかし悪口は言ってるがそれでも日本代表の話ばっかりなところを見ると、まだ惚れてるな)

ワールドカップ後、しばらくサッカーから遠ざかっていた。いや、実を言うとワールドカップもろくに見れなかった。いつもならこれだけで半年ぐらいは盛り上がれたのに、本当に残念。

第一の理由は自分の健康問題でそれどころじゃなかったせいだが、もうひとつは時差と今年の仕事のシフトのせいで、放映時間がモロに通勤時間とかぶってしまったせい。
私は典型的夜型なので、実は(翌日仕事さえなければ)深夜2時とか3時からのヨーロッパの試合を見るのはまったく苦にならない。逆に午前3時頃に起きて試合を見てから仕事へ行くのも、しょっちゅうは無理だがワールドカップ期間中ぐらいは平気でやる。ところが南米だとそこからちょっとずれて、試合開始が朝5時とかなのね。
実は最近もっぱら5時起き。ならば楽勝かと思いきや、仕事行かなきゃならないんだよ! サッカーは生でしか見ない主義の私としては、こういうのがいちばん困る。試合やってるのに仕事に行かなきゃならないなんて!(世の中の人はそれが普通なんですが)
ならば帰ってきて自宅で録画見るまで結果は一切目に入れるまいとしても、なかなかそれも難しいわけで、結局結果がわかった試合を見るのは白けるので、つい適当に早送りで流し見るだけで、それだとまるでおもしろくもないし、ますます見る気がなくなった。

まあ、実はそういうのは言い訳で、本当はあのあまりにも不甲斐ない歴史的惨敗を見て、もう何もかもいやになっちゃったんだけどね。
理屈ではわかってたが、目で見せられるとショック。とても正視できなくて、横目でちらちら見てただけだけど。それにしても、これまであんなにがんばってきたエースにあの罵詈雑言はかわいそうすぎる。
1958年以来、56年ぶりのグループステージ敗退なんて、なんというものを見せてくれたんだ! 悪夢としか思えない‥‥。ワールドカップでダメなのは毎度のことだからもう慣れたけど、ここまで戦前からダメだダメだと言われつつ、本当にダメだったのは初めてなので、もう何も言う気力が失せた。

は? 日本代表の話じゃないのかって? あー、日本はそれなりにがんばったんじゃないすか? あんまりよく見てなかったけど(投げやり)。 とにかく私はイングランドがわずか2戦で敗退が決まって以来、すべてがどうでもよくなってしまったよ。

プレミアの過密日程のせいとか、育成ができてないとか、理由はいつも言われてるけど、とにかく全部だめ。プレミアのあり方から何から、根本から変えなきゃだめだわ、これは。
あと、意地張ってないで、統一チームのことも本気で考えろよ。べつに統一すれば勝てるものでもないが、少なくともベイルやギグスをワールドカップで見たかったし、ウェールズやスコットランドのファンだって、自国の選手を見たいと思うんじゃないの?

あーあ。昔は良かった‥‥。いちばん最近、イングランドを見ていて楽しかったのは2002年の日韓大会で、近年でいちばん駒が揃ってたのも日韓大会だけど、あの時ですらベスト8止まりだったんだよなあ。それでもアルゼンチンに対する恨みを晴らしたのは爽快だったが。

ウルグアイのスアレス(リバプール所属)に2点取られて1ー2で負けたとき、ファンがスアレスをプレミアから追放しろと騒いで、人種差別だなんだと騒がれたけど、あんな狂犬置いとく必要どこにある? サッカーがうまいだけで人間じゃないじゃんと内心思っていたのだが、続くイタリア戦で本当にイタリア人選手に噛みついていて笑った(笑)。
(スアレスはなぜか対戦相手に噛みつく――歯形が付くほど思い切り噛む――ので悪評が高い。しかし勢い余って蹴るとか頭突きならまだわかるが、なんで噛む? やっぱりケダモノなのか?)
「サッカーが国際化すると、こういう土人国とも試合しなきゃならない」と書いたのは、確か日本とどっかの試合評だったが、もうプレミアに外人なんかいらない!と八つ当たりする私は、実は英国に関してだけは極右の国粋主義者なのであった。
そう言えば、いつも言うように私がプレミアに興味を失ったのは、外人だらけになったからだが、イングランドが弱くなってきたのもあの頃からだった。

しかしそもそも私がサッカーを見始めたのは、(イングランド含む)イギリスが好きだったからなのに、そのイングランドがこう弱くちゃ、なんかサッカーに対する情熱そのものが萎えるわ。
あー、もうイングランドのことは考えるだけでもむかつくから、日本の話をしよう。といっても、これも3戦とも早送りや寝ぼけまなこでしか見てないから、間違いがあったらごめん。

イングランド同様、こっちも敗退が決まってお通夜みたいな雰囲気だが、同じ2敗1分けでもイングランドなら絶望だが、日本ならまだよくやったほうじゃないの? 少なくとも3連敗はしなかったし(苦笑)。「これならまだ日本の方が強いんじゃないの?」というのは、イヤミで言ったことはあるが、まさかそれが本当になる日が来るとは‥‥というのは嘘で、さすがにそれでもまだ日本よりは強いけどね。

ていうか、今回はいつもイングランド戦と同じ日だったので、いやでも比較してしまう。それで、緒戦のコートジボワールの時は、先にイングランド=イタリアを見ていたので、日本選手を見たとたん、「なんだこの下手くそ」と(苦笑)。
そう、Jリーグしか見てなかったり、代表しか見てないと十分強いと思えるA代表も、やっぱり世界の強豪(苦笑)とくらべると、高校生か中学生チームにしか見えないのだ。
いや、Jリーグや高校サッカーをけなすつもりはないっす。それだけ見てるぶんにはじゅうぶんすごいしおもしろいし。ただ上には上がいるってこと。日本と比べるとパーフェクトに見えるイングランドやイタリアも、上位チームには歯が立たないんだし。

なのに、敗因の分析とかいっぱいやってるけど、ストレートに「下手だから」という人はいないのよね。それがすべて。なのに、親善試合にちょっと勝ったからとか、日韓と南アフリカでちょっとうまく行ったからっていい気になりすぎ。
私はどっちもじっくり見ていたから知ってるが、日韓大会は地の利と、日韓の異常な気候(ヨーロッパでは最もさわやかな季節である6月の高温多湿。特にこの年はクソ暑かった)のせいで、ヨーロッパ選手の多くは立ってるのもやっとなぐらいヨレヨレだった。南アフリカは奇跡(笑)。もはや失うものがなくなった窮鼠が猫を噛んだだけ。

でも一度奇跡を見ちゃうともう一度と思うのが人の常で、私もちょっと期待しちゃいました。
でもコートジボワール戦が始まったとたん、なんなの、これ?と思った。私がこれまで日本を応援してきたのは、「下手くそだけど、いっしょけんめ」ところがいじらしいと思ったからなのに。
とりわけ、南アフリカで、“run like there’s no tomorrow”と形容されたのが印象的だった。「まるで明日という日がないかのように走る」=「死にもの狂いで走る」ってことなんだけど、日本のことをうまく言い当ててるような気がしたし、なんか響きがかっこよくていいなあと思っていた。だから当然今回もあの走りが見られると思ったのに。歴代の代表監督が口を酸っぱくして言ってたのも、走れ走れってことじゃなかったの?
なのに、全員、まるで水の中を歩いてるかのように動きが重くて、スローモーションを見ているみたい。その意味、日韓大会の外国選手そっくりだった。ブラジルの高温多湿のせいとか、コンディション調整の失敗とか言われてるけど。

ついまた南アのことを思い出してしまうが、攻めのヒーローは点を取った本田・遠藤・岡崎だったし、守りのヒーローはセンターバックの中澤と闘莉王、キーパーの川島だったけど、南アフリカでいちばん私の印象に残ったのは、両サイドを狂ったように上下する大久保と松井の姿だった。2人とも前評判はさんざんで、はっきり言って私もどっちも点を取れない役立たずだと思ってたけど、本番でも点は取れないかわり捨て身で走る姿にどれだけ助けられ勇気づけられたか。
なのに松井はもういない。大久保はいるけど、この前の必死さがなくなって、Jリーグ得点王だかなんだか知らないけど、なんか余裕こいてない?(笑) シュートが入らないのは相変わらずで、体力が衰えただけかよ。なんでザックがこれまで呼ばなかったかわかったような気がする。

まあ、とにかく私としてはあまりにも想定内の結果。すべては本田次第。本田が復調してなければ無理だろうと思ったけど、やっぱりだった。ていうか、本田は動きこそ重いが、点を取る、取らせるという仕事はきっちりやってるので、他の仕事は他の人にやってほしい‥‥というのもずっと前から思ってるんだが、何もかも引き受けてた本田も、それを容認していた監督も、手をこまねいて見ていたチームメートも悪い。
しかし結果として、

本田 1G1A
岡崎 1G
長友 1A

と、私が考える日本代表のheart & soulのトリオ(しかも考え方が似てるせいか仲良し)がきっちり勤めを果たしてくれたので、個人的にはまあまあかな。本田のワールドカップ通算3得点という記録は、世界に出しても威張れるものだし、もちろん日本選手じゃトップに躍り出たし。なにしろルーニーだって3回出場でやっと1点取っただけなんだから。(イングランドの不調はこのエースの不調のせいも大きい。なぜかいつもワールドカップではだめなのだ)
特に本田と岡崎のゴールはあまりにも彼ららしい、なおかつ鮮やかなシュートだったので(その時だけだが)気持ちが良かった。本田アシスト、岡崎ゴールの組み合わせも南アフリカの再現だし、私的には最高。しかしこの3人が引退したらもう日本代表見る気失せるな。

この3人以外でちょっと良かったのは結果は出せなかったけど内田。彼は南アフリカに選ばれながら、体調不良で1試合も出られなかったという鬱憤があるので、今回に賭ける気持ちは大きかったはず。その闘志は十分感じられた。
というか、日本がダメな時って、いつもみんな萎縮して借りてきた猫になってしまうのだが、その中では内田だけがのびのびと自分のサッカーをしていた。これこそ経験値の違いだと思うんだよね。
なまじ楽してW杯に出られる大陸にいるものだから、「絶対に負けられない」試合の経験値が少ないことが日本のディスアドバンテージだと思う。逆に常日頃から強敵とばかり戦ってるヨーロッパや南米は、追い詰められたときの経験が違いすぎる。こういうときにビッグクラブで大舞台を多く経験している選手は差が出ると思う。
もっとも、内田の場合は単に性格の問題だけど(笑)。ビビってるとしか見えない選手たちの中で、彼だけが平常心というか、なんか珍しいものでも見るように、おもしろそうにキョロキョロしてるのが印象的だったが、内田はいつもそうだ。この余裕がみんなにもほしいね。
他は全部甘ちゃんのお嬢ちゃん。パワーもテクニックもスピードもメンタルも全部相手に負けてて勝てるはずがない。また一から鍛え直しだね。

対戦相手についても一言。南アフリカでカメルーンに勝ったせいか、アフリカは勝手に自滅するみたいななめたことを言うやつもいたが、コートジボワールはフィジカルとスピードとチームワークを兼ね備えた本当にいいチームだ。でも前半は日本もけっこういい勝負をしていたのだが、ドログバが1人で流れを変えてしまった。
いやー、老いたりとはいえ、ピッチに入ってきた瞬間ドキドキしてしまったよ。本当の脅威とカリスマのある選手。こういう選手は日本にはひとりもいたことがない。
私はオリンピックでも(単純にかっこいいので)アフリカ人をひいきにしているが、ときどきこういう本当に神話から抜け出てきた神の化身みたいな人がいるよね。血の薄まった欧米の黒人からはこういうものはあまり感じられない。
コートジボワールはぜひもっと上に行ってほしかったので敗退は残念。

ギリシアははっきり言って弱い。と誰もが試合を見ていて思ったはずだ。実際、あらゆる面で日本が圧倒していて勝ち点3は取ったも同然と思ったら、ずるずると引き分けに持ち込まれた。実はこのしたたかさというか、立ち回りのうまさというか、試合巧者ぶりがギリシアの底力、というのはユーロを優勝したときからわかっていたはずなのに、まんまと術中にはまった感じ。
岡田ジャパンのワールドカップを「負け犬の勝ち方」と呼んだが、それを芸術の域にまで高めたのがギリシア。要するに相手が2枚も3枚も上。日本は手の上で踊らされただけ。こういう負けはいちばん後味が悪い。
そのくせコートジボワールにはきっちり勝って2位で抜けるあたりギリシア恐るべし。弱いのにいつの間にか勝ってる、ってまさにギリシアのお家芸じゃない。こういうところは見習いたい。リードしたコートジボワールの「中東戦術」(いわゆる時間稼ぎ)も露骨だったが、ああいうマリシアっていうんですか? ずるさやしたたかさが日本にはまったくないね。弱いくせに正攻法で勝とうとするのはやっぱり無理があるみたい。

コロンビアには歯が立たないのはわかってたし、かわいそうで見てられなかった。岡崎の得点で追いついたときはもしやと思ったんだけどね。ボールは日本の方が支配して、シュート数は日本が23に対してコロンビアはわずか13と、日本としては計画通りのポゼッションサッカー、攻撃的サッカーができて、チームの出来も3試合でいちばん良かったんだが、相手が強すぎたっていうだけ。
ていうか、スタッツを見ると日本は全試合で相手よりもボールも支配してるし、シュート数も多いし、枠内に行ってるし、コーナーも多いし、ファウルは少ないし、ある意味目標は達成してるんだよね。ただ弱いだけ、つーか守備がザルなだけ。それももうさんざん言われたことだしねえ。
サッカーはボールを回した方が勝つゲームじゃない。ボールをゴールにたくさん入れた方が勝つゲームなのに、っていうのもこれまで日本代表を見ながら何度言ったかわからない。
だいたいコロンビアって、オウンゴールした選手が殺された国でしょう? 命かかってるんだよ、向こうは本気で(笑)。日本のお嬢ちゃんたちでかなうはずがない。

ザッケローニ監督の戦術にも批判が集まっているようだ。特にここまでずっとぶれずにやってきて、最後で迷走したみたいな。特に、苦しまぎれに取ったパワープレイが非難の的に。
私は素人で戦術なんて何もわからないが、日本人のこの、パスサッカーこそ至上! パワープレイは悪!みたいな思い込みってなんなの? パワープレイに親でも殺されたとか? 私は根がイギリスだから、むしろパワープレイ歓迎で、パスサッカーが疑わしく思えるのだが。と言うと日本人には無理とか日本人にはこっちのほうが合ってると言われるのだが、どっちも下手だし(笑)。
ワールドカップ前に書いた文章でもパスサッカーに疑念を表してたが、結局心配した通りになったな。ああいうのは決まればかっこいいが、外せば恥かくだけなのに。

それでも、やっぱりザッケローニを弁護したくなってしまう。苦しまぎれの戦略がだめって、それじゃ手をこまねいて見てろってこと? 南アの岡田のサッカーなんて全部苦しまぎれだったんだけど。結局勝てば「さすが柔軟な発想!」とか言われるのに、負ければ叩かれる。それが敗戦の将の定めで、叩かれるのはしょうがないけどね。
ただやっぱりクラブ監督で、監督本人のW杯の経験値のなさは裏目に出たかなという気はする。何が起こっているのかわからないというような当惑した表情を何度も見せていたし。たぶん選手がいつも通りやってくれることを信じて、いつも通りやれば大丈夫という自信があったんだろうけど、ワールドカップには魔物がいるんだよね。
あとやっぱりディフェンスの強化はやってほしかった。中盤あんなにいらないから、とりあえずでかくてごついCBを何人か入れておけば良かったのに。

ワールドカップが楽しみなのは、敗退が決まったチームが泣くのが見られるという理由もある。しかも「男は人前で涙を見せてはいけない」という掟のある欧米と違って、日本はそんなタブーないから派手に泣いてくれるから楽しみ。南アフリカでも美しい涙を堪能させてもらった。ひどい? いやー、根がSなんですまん。でも男の涙って美しいじゃない。
だから今日も試合後の選手の様子を見守っていたのだが、全力を尽くして負けて泣くのと、中途半端で不本意な負け方して泣くのとはやっぱりえらい違いで、あまり楽しめなかった。
私は特に本田の様子を心配して見ていた。間違ってもドイツの中田みたいなパフォーマンスしてほしくないと思って。(あのときの中田の気持ちはよくわかったし、無理もないとは思ったんだけどね。あれは中田だから許されるんで)

インタビューで最初に出てきたのはザッケローニで、つねに冷静で如才ない答弁をしていたザックが、不機嫌そうに途中でインタビューを打ち切ったのは、やっぱりショックを隠し切れていなかった。
長谷部キャプテンは険しい顔だがいつも通りの優等生的受け答え。続いて呼ばれたのは得点した岡崎で、これも岡崎らしい実直な話しぶりに好感が持てたが、「今は何も考えられない」と繰り返すのがかわいそうで、早く解放してやれよ!と思って見てた。やっぱり岡崎は満面の笑みが似合うんで、彼の悲しそうな顔は見ていると心が痛む。

問題はやっぱり本田で、泣いてこそいないがほとんど下を向いたまま、あれだけ饒舌な人が口ごもってばかりで、ほとんど言葉にならない。岡崎の方がよっぽど冷静で気丈に応対している。
これじゃパフォーマンスどころじゃないわ。そんな余裕ない。涙をこらえるだけで精一杯という感じで。こういうのを見てると、この人が世間にそう思わせたがっているような、ビッグマウスの自信家なんかじゃないのがよくわかる。
実はけっこう繊細だし気も弱いのに、自分じゃ絶対それを認めたくないから逆に自分を追い込むタイプだよね。本当に気が強い人間っていうのは内田みたいなのだと思う。うまく行かなかったら「あ、じゃあやめます」と言えるみたいな。(その意味、私は内田のタイプの人間だ)
敗戦後はインタビュアーを避けるのも、こういう姿を見られたくないからだったんだろう。私の考える強い男ってのは、そういう弱さをさらけ出してもまだ強くいられる人間なんで、その意味ではちょっと残念だが、こういうところを見ると、やっぱりこの子は根はごく普通の青年なんだと思う。でも本田のこういう面は見たくなかったよ。

そんなわけでイングランドも日本も早々に消えちゃったので、それならせめてと言って、(ネイマール好きなので)ブラジルを応援していたのだが、そのブラジルも3位にも入れないありさまだし、歴史的惨敗を喫するし、優勝したのは、いちばん優勝させたくなかったドイツだし、すっかり腐ってしまってサッカーから離れていたわけ。


と、ここまでがワールドカップ終了直後に書いた文。しかしせっかくだから、ここであらためて日本の敗因を振り返ってみよう。と言っても、上に書いたように「弱い」ってのが第一なんだが、それ以外について。

私が思うに、ザッケローニの戦術もチーム作りも間違ってなかった。彼の失敗は、はっきりいってワールドカップだけだったし。ただ就任時、クラブチームしか知らないことが不安視されていたが、ある程度はそれも当たっていたかも。クラブなら一度失敗しても立て直せばいいけど、代表チームは一発勝負だからねえ。
とにかく有終の美を飾れなかったのは、ザックもチームも不運だったとしか。

日本の敗因は、手前味噌だが、戦前に私が心配していたことが全部当たったという感じ。中でもコンディション調整の失敗というか、調子がいちばん下降したときにワールドカップを迎えた感じで、とことん運が悪かったとしか。
これは前にも書いたが、私は馬から入っているせいで(笑)スポーツは何でもコンディション至上主義者。どんな天才でも調子悪ければ駄馬にも負ける。しかもコンディションには必ず波があり、誰もピークをつねに維持していることはできないし、同じことがチームにも言えると思う。このチームは南アフリカ直後と前年のオランダ・ベルギー戦がピークだったみたいで、明らかに6月には下降線上だった。

コンディションについて言えばキャンプ地選びの失敗という説も見かけた。試合会場が高温多湿の地域なのに、キャンプを張ったイトゥは涼しくて乾燥しており、しかも試合会場とえらく離れていたとか。おそらく高温多湿への適応より、試合後の選手の疲労回復を目的としたんだろうが、国内で外国への移動を繰り返したようなものか。私事ですまんが、気候風土の違う場所への長時間の移動がどれだけ体力を消耗するか、私だって知ってるわ。ヨーロッパへ行くときはもちろんだが、私は現在、毎日東京ー埼玉ー千葉を行ったり来たりして通勤してるんだが、マジでそれぞれ気候が違うし、仕事よりも移動だけで死ぬほど疲れる。これだけ海外組が増えたんだから、そういうノウハウはできてるのかと思ったけどなあ。とにかく試合より移動で疲労しちゃうのは絶対まずい。

これはたまたま裏目に出ただけだとは思うが、こういうときによく聞く、「日本人は高温多湿に慣れてるから有利」という理論はおかしいといつも思う。それが日本人に有利に働くのは、「移動のない国内で」、「選手にほとんど海外組がいない」時だけ。つまり日韓ワールドカップの時だけだった。実際、2002年にベスト16行けたのは、他の国がみんな高温多湿でバテてたおかげ。別に強かったわけではない。(おそらく韓国も同じ)
しかし高温多湿とは正反対の低温低湿の国イングランドなんか、あのときも見るからに全員バテバテだったけどそれでも強かった。ヨーロッパ人は高温多湿に弱いと唱える連中は、白人や黒人の異常なタフさを忘れている。まして、今の日本代表のほとんどはヨーロッパ在住で、向こうの気候に慣れちゃってるし(人間の体の順応性の高さは驚くべきものがある)、逆に不利なだけじゃん!
あと、ワールドカップの前に「日本はもう何度も出場して、選手のためのコンディション作りのノウハウを心得てるから」みたいな自慢をテレビやなんかでよく見たが、それを言ったら100年の伝統のあるサッカー先進国はなんの準備もしてないと思ってるのか(笑)。

でもそれ以上に打撃だったのは、やっぱり本田の病気だよなあ。実は本田がバセドー病だと知ってから、ワールドカップの日本は最初からほとんどあきらめていた。私が最初から言ってたように、このチームはホンダジャパン。本田が欠場したり、調子が悪ければ勝ち目はなかった。試合ぶりも本田がいないときのいつもの日本だったし。
それでも緒戦のコートジボワール戦で本田が得点したときは、気力で跳ね返せるかと少し期待したが、結局これで力尽きた。結局、3連敗に終わったが、それでも本田と岡崎は得点したってあたり、やっぱり世界では本当の本物しか通用しないんだなあ、実力差ってのはこういうときに現れるんだなあと感心した。
ザッケローニもできるだけのことはしたが、及ばなかった。むしろザッケローニに非があったとすれば、守備固めを後回しにしたことだけだ。(改訂前は「本田と遠藤の後継者探しに後れを取った」というのも書いてたんだけど、たぶん他にそんな人材いないし、すくなくともまだこの時点では二人とも機能していたのでカット)

上にも書いたが、ワールドカップでは大久保がまるっきり役に立たなかったのもけっこうショックだった。南アフリカの立役者のひとりだし、Jリーグの得点王だから、何かやってくれるんじゃないかと期待したが、昔の「ダメなほうの大久保」だったな。
やっぱりそれまで呼ばずにいて直前の招集というのは無理があったか。ていうか、こうなるのがわかってたからザックは連れて行きたくなかったが、Jリーグから圧力かかったんじゃないかと勘ぐりたくなる。と同時に、(わかってはいたんだけど)Jリーグと世界との差を見せつけられてそれもけっこうショック。確かに海外で通用しなかった選手や、力が衰えて居場所のなくなったベテランが、Jに帰って大活躍している(大久保に限らず宇佐見とか中村俊輔とかも)のを見ても、Jリーグのレベルの低さは理屈ではわかってましたけどさ。

(これを書いたのは、まだ本田がミランで活躍し始める前だったので、夢も希望も落ちもないですが、これは次の記事に続きます)

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