★【映画評】私がオカルト映画を嫌いなわけ 死霊館(2013)The Conjuring

ポスターだけはかっこいいが‥‥

ポスターだけはかっこいいが‥‥

タイトル通り、オカルトを糾弾する内容だが、それでも映画がおもしろければいいんですがね。

こういうの見るといつも思うんだけどさ、悪魔ってなんてケチくさい小物なんだろう。怖がらせたいならもっと悪魔らしいことをして見せればいいのに、どこかでバタンと音がするとか、電気が消えるとか、ものが宙に浮くとか、どうしてそういうどうでもいい、ケチくさいものしか見せてくれないの? (中略) 『エクソシスト』ぐらいだとこれよりは多少ましだけどさ、それでも緑のゲロ吐くとか、おしっこ漏らすとか、怖いって言うよか単なる迷惑じゃん。首が360度まわったってだから何?って感じだし、知らないはずの外国語しゃべるとか、逆まわしでしゃべるとか、ただの隠し芸で悪魔関係ないじゃん。

Director:

James Wan

Writers:

Chad Hayes, Carey Hayes (as Carey W. Hayes)

参考
【映画評】私がオカルト映画を嫌いなわけ インシディアス(2010)Insidious

♠ ほんとむかつく、ヘドの出そうな映画だった。リビュー書くのもいやなぐらい。
♦ まあ待て。いちおう最初から。ここで書いた『ホーンティング』もそうなんだけど、私はお化け屋敷ものって嫌いなのよね。
♠ だって幽霊なんて信じてないから。
♦ それ言ったら私はゾンビだって信じてないけどゾンビ映画は大好きじゃない。
♠ だってゾンビに襲われたら怖いじゃない。幽霊なんて何が怖いわけ? あんな見るからにヘナヘナして弱そうなやつ。
♦ なんかこの子はホラーの定義を間違ってるような気がするが、まあ実際、『ホーンティング』の何が嫌いって、まるっきり怖くないことなんだよね。
♠ シーツやカーテンが人の形に盛り上がっていたからって、それが何? べしゃっと叩いて平らにして「はい、問題なし」で終わるじゃん。
♦ ‥‥‥‥(笑)

♠ それ言ったらみんなの好きな怪談のたぐいも、一度も怖いと思ったことないな。
♦ そう。昔テレビの特番でやってたようなのは、なぜか母が好きだったんでいっしょに見てたけど、どこがおもしろいのかわからなかったし、ネットにあふれてる「怖い話」のたぐいも本当にどこが怖いのかおもしろいのかさっぱりだし。
♠ 若いころ仲間が集まって夜中に怖い話したり、心霊スポット行ったりしたときも、みんなマジでビビってる中で、私は「みんな何やってるの? これなんかの演技? それともマジ?」とひとりで困惑してたし。
♦ なのにホラー好きってのがそもそも矛盾してない?
♠ 私は「良質なホラー」が好きなだけだ。別に怖いとは思わない。単におもしろいから好きなだけ。
♦ 怖いものがないから、かえって怖いという雰囲気を味わいたいと思うのかも。
♠ いや、怖さのベクトルが違うんだと思うな。

♦ まあ。ロメロのゾンビや『物体X』がホラーの最高傑作だと思ってるような人間だから。逆にこういうのが好きな人から見れば、あんなギャーギャー騒いでグロいだけの映画、と思われるだろうし。
♠ ロメロや『物体X』はただのモンスタームービーじゃないぞ! あれだけの知性と情感と社会性に満ちた映画を‥‥!!!
♦ まあまあ、それについては各リビューを見てくださいってことで、今は『死霊館』の話して。
♠ むしろ『ホーンティング』やこれのどこがいいのか教えてほしいわ。プンプン!
♦ 『ホーンティング』の原作のシャーリイ・ジャクスンも、『くじ』『ずっとお城で暮らしてる』はおもしろいよ。ああいうちょっとひねったブラックな話がうまい人だと思ってたので、『たたり』(『ホーンティング』の原作)はあまりに普通の怪談過ぎてがっかりした。

♦ まあ、そんなわけで、ホラーのジャンルの中でも幽霊屋敷ものっていちばん興味がなくて(だって幽霊が出るだけでしょ?)、これも邦題からしてそのひとつだろうと思ったんだけど‥‥
♠ 幽霊屋敷だって優れたホラーはあるよ。『ヘルハウス』は原作も映画も最高におもしろかったし、『シャイニング』は原作も映画も不満は多いが、まあそれなりに楽しめたし。
♦ とにかく監督が『SAW』のジェームズ・ワンだったのでちょっと気になって見てみた。

♠ 『SAW』シリーズは好きだよ。
♦ 血みどろ拷問が好きだから?
♠ 違う! シリアルキラーが瀕死の老人だなんて話は前代未聞だし、最初っから最後まで犯人が被害者たちの真ん中にいるのに誰も気付かないなんて映画も見たことないし、いろんな意味で斬新だったしおもしろかったから。
♦ とにかく見てみたら、幽霊屋敷じゃなかった。オカルトホラーで『エクソシスト』だったというお話。
♠ あ、もちろん『エクソシスト』は、私の考えるホラー映画五指に入る傑作だよ。私は神も悪魔も信じてないけど。

♦ で、こんなのに時間をかけるつもりはないから、手っ取り早く言っちゃうと、何が気に入らないと言って‥‥
♠ 実話と銘打ってるから。
♦ 最初と最後で念入りにこれは実話だと強調してるからね。それで♠が切れてたわけ。
♠ だって嘘に決まってるものを堂々と実話と称するなんて詐欺みたいなもんじゃない。これにくらべたら『アルゴ』の嘘なんてかわいいものだわ。もしこれがゾンビ映画で、「これは実話である」なんて言ったら、観客は笑うじゃない。なのにどうして幽霊や悪魔だと信じちゃうの? アホかよ、まったく。
♦ そのレベルの観客向けに作られてるってだけじゃない?
♠ そうそう。そういう奴らの反論まで容易に想像できちゃうよ。
♦ 「なんでゾンビだと笑うの?」って聞くと、「だって現実にゾンビを見た人なんてどこにもいないじゃない。幽霊見た人はいっぱいいるよ」っていうの。
♠ 確かにいっぱいいるよね。上に書いたような怪談や肝試しで、みんななんか見たとか聞いたとか言ってたけど、いっしょにいるのに何も見えないし聞こえないのは私ひとりだったよ。ただし、みんなラリってるか酔っ払っていて、シラフなのも私ひとりだったがね。
♦ (笑)

♠ でもアホだから騙してもいいとは言えないよ。実際、こういう詐欺師(監督のことじゃなく、主人公のウォーレン夫妻のこと)がいやなのは、なんらかの弱みを持った人々――おつむが弱い人とか、病気で苦しんでる人とか、家族を亡くして絶望している人みたいな――の弱みにつけ込んで金儲けに利用するからなんだ。これについては2006年5月4日の「言いたかないけど、つい言いたくなってしまうこと」に書いたけど。
♦ 別に実話と銘打たなければ、幽霊だろうがなんだろうが、作り話として見るぶんにはいっこうにかまわないんだけどねえ。
♠ いや、“This film is based on the true story.”じゃなくて、“This film is based on the story of real people who insist it’s true.”「これは実話だと称する、実在の人々の話を元に作りました」というんならいいんだよ。実際、「幽霊を見たと言う人」はたくさんいるし、ウォーレン夫妻もペロン一家も実在するんだから。だけど彼らが実在するってことは、彼らの話が真実だという証拠にはならないのに、全部本当の話だと信じちゃう観客がほとんどなんだよ。
♦ なんでかねえ。インターネットの時代になって、ちょっと調べればなんでもわかる世の中なのに、つまんない嘘にだまされる人がこうも絶えないというのは。
♠ いや、むしろインターネットやツイッターなどのSNSは嘘の拡散の方に役立ってるでしょ。
♦ まあ、こういうメディアはまだ新しいだけに、慣れなくて信じちゃう人が多いのはしょうがない。でもテレビとか映画なんて大昔から嘘っこと決まってるのに、コロッと信じちゃうのね。
♠ そりゃ嘘のほうがおもしろいから。それでSNSなんておもしろければあっという間に拡散するけど、それに水を差すようなまじめな研究なんか誰も見ないのでどんどん埋もれていく。

♠ 参考までにAmazonとかallcinemaのコメント読んだら、みんな「これは実話だそうだ」と感心してるけど、「嘘に決まってるだろ」と突っ込む人はほとんどいない。
♦ だまされてあげるっていうスタンスじゃないの?
♠ 中にはそういう人もいるだろうけどさ、悲しいことに世の中はあんまり賢くない人の方が多いってのは学んでしまったし、映画みたいなメジャーなメディアがこういうことは実際にあると言えば、「へえー、そうなんだ」と思っちゃう人が多数なんだよ。
♦ それでそういう人が現実生活で困難に直面すると、宗教とか占い師とか拝み屋のところへ行くと。まあ、信じるのは個人の自由だからね。
♠ それは自由だけど、人をだまして金を巻き上げるのは犯罪だろ?

映画のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガ)

♦ でも今となっては嘘だという証明もできない。
♠ 嘘に決まってるじゃん! このウォーレン夫妻ってやつ、最初出てきたときから詐欺師の臭いがプンプンしてるじゃん。それこそ『レッド・ライト』に出てきたインチキ霊能者みたいなの。
♦ 確かに。私はこういうのを論破する本ばっかり読み過ぎたからなあ。それでこの夫婦のキャラがその手口のテンプレートそのままだし。
♠ 映画だからこれでも最高に美化して、しかも(人をだますのが商売の)プロの俳優が演じてこれだからね。本物がどれだけ胡散臭かったかは見なくてもわかるレベル。
♦ 自宅に自分が手がけた事件の「呪われた品物」博物館とか作ってるし。なんでこういう不気味な品を手元に置いとくのかとインタビュアーに聞かれたら、「世間に出回るよりは、目の届くところにあったほうがいい」だって。
♠ 違うだろ。こうやって人に見せてこわがらせたり金を巻き上げるためだろ。見るからにこけおどしなんだよな。呪いの人形とかで怖がるやつが本当にいるというほうが信じられない。
♦ 確かに彼らのセリフはどれもテンプレで、詐欺師の手口って本当にテンプレートがあるんだなとわかる。
♠ おもしろいことに「被害者」もテンプレなんだよ。5人も娘のいる夫婦なんだけど、心霊現象が報告された家には必ずと言っていいほどティーンエイジャーの子供がいるものなんだ。
♦ いたずらで世間を騒がせたり、大人をだまして怖がらせることを、無上の喜びとするような子供がね(笑)。
♠ このうちの場合は親もグルとしか思えないんだけど。

♦ とにかく私は最初からそういう目で見てるから、何が起きても怖いなんて思えるはずがない。
♠ いや、嘘だっておもしろければいいんだが、当然のようにクソおもしろくもない。下手な手品だし。
♦ でも実話だなんてよけいな一言いわなければ、それなりにちゃんとした映画じゃない? つまらないけど。
♠ この監督は映画作りにおいてはそれなりに才能あることは認めるよ。少なくとも『ホーンティング』よりはちゃんとしていたし。
♦ 監督のジェームズ・ワンはこれの前にも『インシディアス』というお化け屋敷ものを撮ってて、それも評判いいのよね。
♠ でも私はまるっきり楽しめなかった。『SAW』は好きだったのに。
♦ ちなみに、『インシディアス』は見てないけど、これは『SAW』とはまるっきり雰囲気が違うホラーです。血も残酷描写も拷問も出てこないし。
♠ つまんね。
♦ やっぱりおまえはそれが目的かよ! むしろ古典的怪談で、だからよけい『ホーンティング』を思わせる。
♠ ConjuringとHauntingでタイトルまで似ている。
♦ しかもどっちも被害者がリリ・テイラーで(笑)。

呪われやすいリリ・テイラー

呪われやすいリリ・テイラー

♠ なんか頭がクラクラしたぜ。ほんとにデジャヴを見ている感じで。彼女は幽霊とか悪魔に取り憑かれる側だけど、あまりの存在感の強さで、どっちの映画でも完全に主役だし、おまけにキャラクターまでそっくりなんだもん。
♦ しかも『ホーンティング』はかなり昔の映画なのに、(うっかり前に見たのを忘れて)これの直前に見てしまったという。
♠ これはなんかの呪いだ! たぶんリリ・テイラーの(笑)。

♦ 彼女については一言いわなくちゃね。役者は彼女だけ語れば十分だし。
♠ 地味なブスのおばさん、なんだけど、なんでか目が離せない感じ、なんだけど、見てるとやっぱりなんかむかつく、という稀有な女優さん。
♦ お化けより悪魔よりリリ・テイラーのほうが怖い。
♠ 確かに。ブスってふつう愛嬌があってかわいく見えるか(『キャリー』のシシー・スペイセクなんて、あんな役なのにかわいかったし)、でなきゃ強そうで憎々しく見えるものなのに、この人は見るからに被害者タイプで弱々しいくせに、おかしくなる前からヤバそうな雰囲気で怖いんだよ。

♦ でまあ、後半はエクソシズムになるわけですが、『エクソシスト』と較べるだけむだだが、あの百万分の1もおもしろくないね。
♠ こういうの見るといつも思うんだけどさ、悪魔ってなんてケチくさい小物なんだろう。怖がらせたいならもっと悪魔らしいことをして見せればいいのに、どこかでバタンと音がするとか、電気が消えるとか、ものが宙に浮くとか、どうしてそういうどうでもいい、ケチくさいものしか見せてくれないの?
♦ それは要するにトリックやいたずらでできるのはその範囲だからでしょう。
♠ それでまた、なんでそんなのでみんなビビるの? ドアが勝手に開いただけで飛び上がってるけど、そんなの『大改造!!劇的ビフォーアフター』でもやってるよ。『劇的ビフォーアフター』の家はみんな悪魔憑きかよ。
♦ あはは‥‥。
♠ 『エクソシスト』ぐらいだとこれよりは多少ましだけどさ、それでも緑のゲロ吐くとか、おしっこ漏らすとか、怖いって言うよか単なる迷惑じゃん。首が360度まわったってだから何?って感じだし、知らないはずの外国語しゃべるとか、逆まわしでしゃべるとか、ただの隠し芸で悪魔関係ないじゃん。
♦ だからそういうのは全部実在した詐欺師のトリックが元になってるから、きわめて非悪魔的なものになってしまうのでは?
♠ あと、取り憑く相手も、平凡な主婦とか、小娘とか、明らかに弱いやつだよね。どうせならアメリカ大統領とかに憑いたほうが、はるかに効果的だと思わない?
♦ UFO関連で言われる、恒星間宇宙旅行ができるほど高度な知性を持った宇宙人が、国連本部とかに行かずに、なぜアメリカの片田舎の無教養な農夫とか主婦とかにだけ話しかけるのかというのと同じですな。
♠ とにかく、もし本当に悪魔ってものがいるとしたら、まるっきり取るに足らない小物って感じ。そもそも恐れるに足りない。
♦ もしかしたら神の策略かもよ。わざと悪魔の力を卑小化してみせるための。
♠ いや、それじゃ誰もビビらないし、地獄に落ちるといけないから神を信じよというPRにならないじゃん。でも悪魔のPRだとしても、逆効果だしおかしい。もし悪魔が本当にいるとしたら、地獄がどんなにすばらしいところで、悪魔を信じるとどれだけ御利益があるかを宣伝すべきでしょ。こんな子供だましのちゃちな手品見せるんじゃなくてさ。
♦ なんか映画の話何もしてないけど、これでお察しくださいってところで終わり。

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