【映画評】『寄生獣』(2014)(実写映画)

(私が見たのはテレビ放映された前編のみです)

というわけで、アニメは不満もあるが、それなりに楽しんだのだが、こっちはまったく見る気がなかった実写版。ていうか、30年も放っておいたのに、なんで今アニメと実写を同時に作らなきゃならないのかさっぱりわからない。たとえば映画がコケたらアニメが売れないとか、その逆とか、大いに考えられるんですけど。昔、マンガを読んだオールドファンを当て込むにしても、その人たちは両方なんて見たくないと思うけどな。
あと、この映画はさすがに1本じゃ収まらなくて、前後編で公開されたんだけど、後編の封切り前に前編をテレビ放映しちゃうのってすごい賭けじゃない? テレビで見てつまらないと思ったら、誰も劇場なんか行かないし。そして、これを見る限りつまらないと思わないほうがどうかしてると思うし。
まあ、それでもYahoo!映画のコメント(ここは本当に程度が低くて、6歳児としか思えない人が多数書いてるんだが)あたりには、おもしろかったという人もたくさんいるから、これでいいんでしょう。しかし、私は「にわか」をバカにする気はないが、それにしても誰ひとり新一の名前すら正しく書けないのを見ると、「せめて書き込む前に主人公の名前ぐらい調べろよ!」と思ってしまう。

それでなんで私が予告編だけでダメだと決めつけたかというと、それはもう主演の染谷将太の功績としか言いようがありません。なんと言っても、パラサイトをはるかに凌ぐグロ面というところですね。ていうか、グログロ・モンスターは好きだが、主演男優がグロであってほしいなんて言ってない!
染谷将太はこの映画では韓国アイドルみたいに前髪を全部目の上まで下ろした、お釜をかぶったようなヘアスタイルだが、だいたいこのヘアスタイルをしてる奴は、男も女もブスと相場が決まってるのだ。だから予想はしてたけど、前髪上げたら本当にこんなに醜いなんて!

左から東出昌大、橋本愛、染谷将太、深津絵里

左から東出昌大、橋本愛、染谷将太、深津絵里

とにかく見てる間中、この顔がちらつくだけで恐怖に駆られてしまい、かんじんのパラサイトがまったく怖く見えない、どころかかわいく見えてきたぐらい。なんか顔のパーツが全部変で、マリオネットの人形か、失敗した福笑いみたいだし、頭(というか顔面)だけがふくれあがって、いまにも爆発しそうなところがまんまパラサイトだし、体はパラサイトというより奇形児って感じ。
原作の新一はむしろクールな感じだったのに、これをキャスティングするセンスを疑うわ。これは原作者もファンも怒っていい。と思うのだが、またもミギーの声に文句を付ける奴は多いのに、染谷将太についての苦情はほとんど聞かないのが不思議でならない。みんなこういうのが好きなのか?! まあ、だからこそ映画で主役張ってるんでしょうけどね。だったら私、(普段からだが)日本人とは永遠にうまくやって行けそうな気がしない。
それでどうしても気になってちょっとググったら、この人子役出身なんだね。それでちょっとわかったというか、これはイライジャ・ウッドとか、ダニエル・ラドクリフのあの系統か。だから、小さい子供の頃はこれでもかわいかったのかもしれない。だけど、大人になるとなんとも気持ちの悪い奇形児にしか見えなくなってしまうというタイプ。

さらに、役者の悪口を続けてしまうと、染谷将太の次に怖かったのが、田宮良子役の深津絵里。私の印象ではこの役は、不気味ではあるけどそれなりにセックスアピールもある美女で妖婦という感じだったのだが、深津絵里はマジで怖すぎ。
何がどうなってるのか直視できないのでよくわからないんだけど、肌がものすごく汚くて、ドス黒くただれたように見えるし、顔も歪んでる。おかげで最初出てきた時は、てっきりパラサイトに寄生されたせいで、顔が崩れてしまっているという設定かと思った。
映画なんてべったりメイキャップしてるのにこれか? だったら素顔はどれほどひどいんだ? なのにこの人、美人という評判なんでしょう? こういう役作りじゃないとしたら、私の目がどうかしてるのかしら? とにかく気持ち悪かった。

あー‥‥最近の日本の若い役者って、だいたいが元アイドルとかモデル上がりとかそういうんじゃないの? なのになんでここまで醜い奴ら出すの? と思ったら、里美役の橋本愛と、島田役の東出昌大はほんとにモデル出身だった。そのせいか、この2人はルックスはましだが、代わりにすごいデク‥‥。意味ねー。まあ、島田はパラサイトだから、どこかピントがずれててギクシャクしてるのはまだ許せるけどね。
ところで里美は前述のように、見るからに大和撫子という感じの母性的女の子なんだが、橋本愛はまるっきり対照的に気が強そうなルックスで、映画でも明らかに新一を尻に敷いてる様子。その意味ではアニメや原作よりはリアルな現実にいそうなカップルなんだが‥‥。なんかもう原作から離れすぎてるが、それを言ったら、クールなはずの新一が、甘やかされただだっ子みたいな、ふくれっ面の染谷将太だから、釣り合い的にはこれでいいのか。

まあ染谷将太の演技力だって怪しいものですがね。リビューを見ると、演技力はさすがなんて書いてあるのをちらちら見かけるが、彼の演技力って、パラサイトや死体を見ると、腰を抜かしてのたうち回ってジタバタし、顔をぐしゃぐしゃにゆがめて泣きわめくってやつのこと? 言いたくないが、ハリウッドでこんな「芝居」やったらNGだし、いい笑いものだよ。
マンガなら許せるよ。これはあきれた時はずっこけるみたいな一種の「記号」だし、マンガはそういう記号で成り立ってるから。でも実写でまともにずっこけをやったらお笑いでしかない。これもそれとまったく同じ。なのに、日本じゃこういう演技指導してるのか?
人間は本当に怯えたときやパニクったときには、ひっくり返って泣きわめいたりはしない。何もできずに棒立ちになるか、あるいは一目散に逃げるだけだ。ましてや、ヒーローはビビったりパニックを起こしたりしてはいけないというのがアメリカ映画の鉄則なんで、こういうのを見ると唖然とする。ましてこの人は最初から最後までほとんどこれの連続なので、ひっぱたいて「いい加減に落ち着け!」と言いたくなる。

新一のお母さんを演じた余貴美子も原作とはずいぶん雰囲気が違う。原作では楚々とした美人という設定だったはずだが、ここではなんか肝っ玉母さん風の太めの中年女性で、これも平均的日本のお母さんと思えば、リアルっちゃーリアルだがなんか違う。ちなみにお父さんは映画では抹殺されている。

というところで、ネットではいちばん評判が悪いミギーの声の阿部サダヲだが、私は平野綾よりましだと思った。確かにペラペラしゃべりすぎだし、妙にフレンドリーだし、パラサイトらしくないが、それを言ったら登場人物の誰ひとりとしてそれらしくないんだから、ミギーもこれでいいっていう気になってくる。
ちなみに声を無視しても、ミギーは映画版のほうがかわいい。なにしろアニメは動かないのに、映画はCGでぬるぬる動くから。「かわいいミギーなんて」とは思うが、あれってやっぱりデザイン的にはゆるキャラだし。

CGといえば、ミギー以外のパラサイトはがっかりだ。この辺が日本映画の限界なんだろうか? ぜんぜんリアルでもないしグロくもない。『遊星からの物体X ファーストコンタクト』でバカにした、「いかにも3Dモデルに顔のテクスチャー貼りましたっていう出来」で、ぜんぜん生物らしくないから、出来の悪いコスプレにしか見えない。
おかげで、本当ならショッキングなはずの捕食シーンもお笑いになってしまう。R指定を逃れるためか、売り物のスプラッタ・シーンもすべてカット。これならずっと規制が厳しいはずのアニメのほうがまだがんばっていた。
戦闘シーンもまるっきり緊迫感がない。あのブレードがぜんぜん固そうにも鋭そうに見えないため、さっぱりスリルがなく、人間2人が向き合って棒立ちのまま、のんきにピンクの触手をプルプル振り回しているだけに見える。

そしてとどめが演出のヘボさだ。とにかくいきなりクライマックスの後藤との戦い~ミギーとの別れから始まるので驚いた。いちばんの見せ場を最初に見せちゃってどうする? っていうか、いちばんの見せ場がこんなにヘボいのを最初に見せちゃってどうする?って感じ。
そこからはすべて回想のかたちで、やっと物語の最初に戻る。全編回想シーンって‥‥あー、なんかもう書きたくなくなってきた。
そして、アニメは24話でやって、それでもけっこう大忙しだったストーリーを1時間半x2に押し込めるために、あっちこっちぶった切った上でのダイジェスト版になっている。もうここまで切り刻むなら、いっそ基本設定だけ借りた別の話にすればいいのに、律儀に原作をなぞってるから、話がすごい飛んでバタバタと進み、感動もへったくれもない。おまけに地上波だからカットされてて、よけいわけがわからないことになっている。

中でも最悪だと思ったのは、新一が母親(の体を乗っ取ったパラサイト)を殺すシーン。上にも書いたようにマザコンの新一は、母親ではないということは知りながらも、それを殺すことをかたくなに拒否し、アニメでもそこがけっこう泣かせる見せ場になっていた。ところがこの新一はなんのためらいもなくあっさり殺してしまう。なんなんだ、こいつ?

マンガ原作の実写の失敗作は数あれど、これって五指に入る愚作だろう。これ見て後編も見たいと思う人がいるなんて信じられないわ。今の今になって泥を塗られた『寄生獣』がかわいそうになるぐらい。
唯一の収穫は、これを見たおかげで、なぜかこちらも今頃になってテレビドラマ化された『デスノート』のドラマ版を見ないですんだというだけかな(笑)。なにしろこれにも優るっていうか劣る大改悪がされているらしいから。

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