★【映画評】ドニー・ダーコ(2001)Donnie Darko

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【注意】この映画が好きな人(で他の情報とか見てない人)にとっては、ネタバレというレベルじゃなく、おそらく知らなかったほうが良かった、ろくでもない事実が含まれています。

♥ あー、なんだ、こりゃー???
♣ となるのは、いちおう予期してたんですが。
♥ もう時間使いたくないから単刀直入に言っちゃうと、実は監督のリチャード・ケリーの2009年の映画『運命のボタン』を先に見ちゃって、それがあまりに無茶苦茶な映画だったんでかえって興味をそそられて、このデビュー作も変だったという噂に惹かれて見た映画。
♣ でもあらすじ読んだ限りではまっとうなタイムトラベルものに見えたんだけどねえ。

♥ というわけで、これはリチャード・ケリーの初監督作で、当時アメリカでは「リバース(反転)ムービー」と呼ばれ、かなりの反響を呼んだ。ドリュー・バリモアが脚本に惚れ込み、出演のみならずプロデュースも担当。ちなみに、脚本もリチャード・ケリー自身。ジェイク・ギレンホールの出世作でもある。と、データ的にはこんなところで。
♣ ギレンホールなの? ジレンホールなの? Wikipediaはジレンホールで、allcinemaはギレンホールになってるけど。
♥ アメリカでの発音はジレンホールが正しいらしいけど、日本の映画業界じゃギレンホールで通ってるみたい。私もそっちで覚えちゃったからギレンホールでいいよ。
♣ いつもだと名前のカナ表記にはすごいうるさいのに!
♥ 外国語名、それもべつに好きじゃない役者はどうでもいい。
♣ いい加減なの。それじゃあらすじ。

『ドニー・ダーコ』(かなりくわしい)あらすじ

ドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)は両親のローズエディー(メアリー・マクドネルとホームズ・オズボーン)、大学受験生の妹エリザベス(マギー・ギレンホール)、幼い妹サマンサ(デイヴィー・チェイス)といっしょに暮らす高校生。
10月2日の晩、ドニーは外へさまよい出てウサギの着ぐるみを来た謎の男フランクに出会う。フランクは「28日6時間42分12秒後に世界は終わる」と彼に告げる。
その夜、空から降って来た飛行機のジェットエンジンがドニーの家に墜落し、ドニーの部屋を破壊するが、ドニーは外にいたので無事だった。

ドニーは以前からなんらかの精神病を患っており、父の車で精神科医のサーマン博士(キャサリン・ロス)のところへ向かう途中、近所に住む「グランマ・デス」ことロバータ・スパロー(ペイシェンス・クリーヴランド)を轢きそうになる。空っぽの郵便受けをしつこく見に来るロバータはどうも頭のおかしい変人っぽい。ロバータはドニーの耳に「生きているものは最後にはみな孤独に死ぬ」とささやく。

ドニーは学校で転校生のグレッチェン(ジェナ・マローン)と知り合う。グレッチェンは影のある女の子で、母親が義父に殺されそうになったのだと言う。同じく心に傷を負っているドニーとグレッチェンはまもなく打ち解けて付き合うようになる。

学校では英語の教師のポメロイ先生(ドリュー・バリモア)がドニーの知性を評価しているほかは、ドニーは問題児と見なされていた。特に保健の教師のキティー・ファーマー(ベス・グラント)は彼の反抗的な態度におかんむりだ。彼女はウザい伝道師みたいなやつ(宗教性はないが、自己啓発セミナーみたいなのをやってて、生徒は強制的にそれを受けさせられる)ジム・カニンガム(パトリック・スウェイジ)に心酔していて、彼のメソッドを使った自己啓発をやらせるのだが、ドニーがまっこうから反発するからだ。
しかしドニーの唯一の味方のポメロイ先生はグレアム・グリーンの『破壊者』を生徒たちに読ませたことを糾弾されて学校をクビになる。この短編には他人の家を水浸しにするティーンエイジャーが出てくるからだ。

飛行機事故以来、ドニーはたびたびフランクの幻覚を見るようになる。そしてフランクにそそのかされるまま、学校の水道管を破裂させて学校閉鎖にさせたり、カニンガムの家に火を付けて、彼が児童ポルノの愛好家なのを暴いたりする。

フランクはまたドニーにタイムトラベルについて語って聞かせる。科学のモニトフ先生(ノア・ワイル)にタイムトラベルについて質問すると、先生は「フィロソフィー・オブ・タイムトラベル」という本を貸してくれる。その本の著者はあの「グランマ・デス」ロバータ・スパローだった。彼女はかつてこの高校の教師だったのだという。

ある晩、ドニーとグレッチェンは映画『死霊のはらわた』を見に行く。グレッチェンは寝てしまうが、その横にフランクが現れる。ドニーが「なんでそんなアホなウサギの着ぐるみを?」と訊ねると、フランクは「お前はなんでそんなアホな人間の着ぐるみを?」と言い返す。ドニーに着ぐるみを脱ぐように言われてフランクが仮面を外すと、現れたのは若い男で右目が無残につぶれていた。ドニーがその傷について訊ねると、フランクは「本当にすまない」と言う。

カニンガムが児童ポルノ所持で逮捕されると、彼の信奉者だったキティー・ファーマーはその弁護に追われ、ドニーの妹のサマンサが属するダンスチームの遠征の引率をドニーの母に頼む。彼女はしぶしぶ引き受けたものの、父親も出張中で、ドニーと妹のエリザベスは二人だけで家に残ることになる。

その晩、ドニーはエリザベスのハーバード大学入学を祝ってハロウィン・パーティーを主催することにする。母親が失踪したというグレッチェンもパーティーにやってくる。
その日の真夜中、ドニーはすでに28日が過ぎ去り、世界の終わりまで6時間しか残されていないことに気付く。ロバータ・スパローが何かを知っていると直感したドニーは、グレッチェンを連れてロバータの家に向かう。そこで彼らは学校の不良コンビ(アレックス・グリーンウォルドとセス・ローゲン)に襲われる。ところがもみ合いの最中にグレッチェンが通りがかりの車に轢かれて死んでしまう。
轢いたのはエリザベスのボーイフレンドのフランク(ジェイムズ・デュヴァル)だった。彼はドニーのパーティーに行く途中で、ウサギの扮装をしていたのだ。ドニーは父親の銃でフランクの右目を撃ち抜いて殺す。

ドニーはグレッチェンの死体を抱いて、丘の上に向かって車を走らせる。そこでドニーは町の上に竜巻=タイムトンネルが形成されるのを見る。折しも飛んできたドニーの母と妹を乗せた飛行機がそれに巻き込まれ、ジェットエンジンが外れて落ちる。ドニーはトンネルに飛び込む。

時間が巻き戻り、ドニーは10月2日に戻っている。戻ってきたことを知ったドニーはベッドの中で幸せそうに笑っているが、そこへエンジンが墜落して彼は死ぬ。翌朝、ドニーの遺体が運び出されるところにグレッチェンが通りかかる。彼女はドニーのことは知らなかったが、話を聞いて同情し、悲嘆に暮れるローズに手を振る。ローズも手を振り返す。

♣ あれもこれも盛り込みすぎで、かなりとっちらかった脚本だけど、言いたいことはわりとはっきりしてるんじゃない? よくあるタイムトラベルもので。
♥ そう思うじゃない?
♣ 要するにドニーは10月2日に事故で死ぬんだけど、死ぬ直前に幻覚だかタイムトラベルだか知らないけど、28日間の猶予を与えられる。そこで彼は10月2日に死ななかった場合のパラレルワールドを生きることになるんだけど、彼が生きていたことによって因果は巡り巡って、なんの罪もない母と幼いサマンサと愛するグレッチェンと妹の恋人は悲惨な死をとげることになるのを知る。そこで彼は彼らを救うために自ら10月2日に戻って死を選ぶという愛と感動の物語じゃないの?

♥ そう思うじゃない?
♣ そうじゃないわけ?
♥ それで終わっていたら、それなりに感動的ないい話になってたと思うんだけどね。それでも矛盾はいろいろあるし、例によってそれを一個一個検証してみようと思ってたんだよ。ところが、調べていたらろくでもないもの見つけちゃった。
♣ 何それ?
♥ 実はこの映画のオフィシャルサイトには劇中に出てくる「フィロソフィー・オブ・タイムトラベル」の一部が載ってたんだそうだ。もちろん監督のリチャード・ケリーが書いたもの。それと私は見てないけど、DVDのオーディオ・コメンタリーでも監督がいろいろ解説してるらしい。
♣ それで?
♥ たとえば、フランク(ウサギ)の正体なんかは映画を見てもよくわからない部分じゃない。
♣ 確かに現実のフランクは普通の青年で、事故だって単に運が悪かっただけなのに、ウサギのフランクは不気味すぎてなんか悪魔の使いみたいだったわね。
♥ そこを私流に解釈すれば、あのウサギはドニーの病んだ心が生み出した幻覚で、言わば彼の中の闇の部分、それがドニーを操って本来のドニーにはできないけど、内心ではやりたかった破壊行為や暴力行為をやらせてた、と思うのが普通じゃない。
♣ そうじゃないんですか?

♥ なんかあまりにもバカバカしくてトンデモで、私もちゃんと読む気が失せたんで、もしかしたら間違いがあるかもしれない(あったところでどうってことない)んだけど、とにかくリチャード・ケリーによると、この宇宙(Primary Universe)と平行宇宙(Tangent Universe)があって、でもTangent Universeは不安定なので数週間しか保たなくて(だから28日なわけ)、それが崩壊する時はブラックホールになってPrimary Universeを滅ぼしてしまうという‥‥
♣ ええー! 「世界が終わる」って私は「ドニーにとっての」という意味だと思ってたんだけど、本当に世界の終末なの? えええ? そういう話だったの? じゃあ、ドニーは世界を救ったわけ? いじましい高校生の悩みの話しか出てこないのに?
♥ そう思うところだけど(笑)作者の頭の中ではそうじゃなかったみたい。
♣ えええー!
♥ ドニーは宇宙を救うために選ばれた「Living Receiver」と呼ばれる存在で、彼が「Artifact」と呼ばれる物体(この場合はジェットエンジン)を元の世界に送り返すことで宇宙は救われるんだって。
♣ ‥‥‥‥。
♥ 彼の周囲の人々は家族も友人も先生たちも、「The Manipulated」と呼ばれる存在で、その名の通り操られて、Living Receiverが宇宙を救う手助けをすることになっている。
♣ 聞かないほうがいいような気がするけど、その操ってるのは誰?
♥ 未来人らしい。
♣ ぶっ(吹き出す)。なにその中二病全開の設定! うそだあ。そんなのこの映画見たどこかの中学生が勝手に考えた設定でしょ?
♥ 恐ろしいことに監督本人の考えなのだ。くわしくはここを読め。

♣ 監督、中学生かよ! それじゃせっかくの感動物語も木っ端微塵じゃない!
♥ まあ、私は大して驚かなかったけどね。だって、まともな監督なら『運命のボタン』みたいなハチャメチャで支離滅裂な映画は撮れないはずだから、これもどうせ変なんだろうと思ってた。
♣ えー! 聞かなきゃ良かった! そんなの知らなければけっこう楽しく見れたのに!
♥ それは私も思う。インターネットもオーディオ・コメンタリーもない時代に戻りたいと時々思うよ。作品だけ見てあれこれ考えてた時代のほうが楽しかったかも。
♣ なのに、これ見てまじめにいろいろ考えたり、講釈たれてる人とか大勢いるんですが。
♥ 私もそれやる予定だったんだけど、これ見てすべての気力が萎えました。
♣ ひでー。てっきりSF映画だと思って見たのに、タイムトラベルのパラドックスどころか‥‥
♥ 監督が統合失調症だった。いや、私マジでそう思ってるよ。そうじゃなきゃこんなデタラメな理屈考えつかない。

♣ だったらそんなよけいな情報入れなければいいのに。
♥ だって古い映画だしさ、衆知の常識なのに知らないで勝手なこと書いて間違ってたら恥ずかしいじゃない。まして公式見解だぜ。それを無視して自己流の解釈したらアホみたいでしょ。
♣ 文学研究者のやってることってそれですけど(笑)。野坂昭如が言ってたんだっけ? 娘の学校の「作者の気持ちを書け」という問題の模範解答を読んで、「そんなこと思ってもみなかった」(笑)というのは。
♥ 私が文学屋に見切りを付けたのは、そういうのがいやになったからでもある。
♣ でも作品だけに語らせたほうがいい作家というのもいるんだよねえ。

♣ ただ、それで終わらすにはもったいない、いいところもあるのにねえ。
♥ うん、だからこの際、ストーリーの解釈とかは完全無視して話を進めようと思う。
♣ それじゃいいところと言うと?
♥ ウサギ(笑)。
♣ 確かにあのウサギは本気で不気味だった。マスクのデザインも現れ方も中身も。
♥ 意味わかんないからかえって怖いよね。このウサギ=フランクを主人公にして純然たるホラーにしちゃったほうがずっと良かったんじゃない?
♣ それは思った。というのも、最近また怖くないホラーを見ちゃったせいで、ホラーが撮れる人って少ないんだなと実感してたので。
♥ 『死霊のはらわた』なんか出てくるし、監督本人もホラー好きなんだと思う。ああ、もったいない! これがホラーで、フランクとドニーがアホ高校生やアホ教師どもをバッサバッサと殺していく話だったら、確実に続編、どころか、パート15ぐらいまで作れるのに!(笑)
♣ なんかそういうのありすぎるような気がするが。
♥ だって、ジェイソンよりフレディーより、フランクのほうが怖いじゃん! 考えてもみなよ。ジェイソンやフレディーがあのマスク取って、「ごめん」とか言ってきたらその方が怖いぜ。
♣ ホラー映画にとって理不尽さって大事なんだなー。だいたいのホラーは悪魔の正体がわかって、つまんない因縁話とか出てきたところで白けるよね。
♥ ここまでつまんない裏話はまれだけど、少なくとも映画の中で言わせなかっただけよしとしよう。

♣ それより音楽の話が出ないの?
♥ 実はそれが私がこの映画が嫌いな最大の理由なのだ。
♣ えー! なんでー! この映画、どうやら舞台が80年代らしく、とにかくのっけから“Killing Moon”で、腰を抜かしそうになった。
♥ だからこそよ。特にEcho & The BunnymenとかTears For Fearsは、80年代の私にとって一番大事なバンドのひとつで、今聞いても足が震えるほど感動する、だけに、こんなクソ映画で使ってほしくねーんだよ!
♣ いきなりクソ呼ばわり(笑)。
♥ クソでないにしても、あんまりにも気候風土が違いすぎる。なんでここでBunniesなの?
♣ ウサギ男だから?
♥ それもあるか。でも許せない! とにかく私はこの辺、ガチでリアルタイムに体験して、それこそ魂が震えるほどの体験をしてるから、それと画面と話の内容が合わなすぎてめまいがする!
♣ いちおう歌詞の内容とは合ってるんですがね。種明かしをすると、監督のケリーが80年代青春組で、単に自分が青春時代に好きだった曲を選んだだけみたい。
♥ アメリカでそんなに流行ったんか?
♣ 忘れたの? 80年代とかアメリカ音楽は本当に不毛の時代で、ChicagoやJourneyを聴きたくなければ、まともな人はブリティッシュ・ロックを聴くしかなかったんだよ。
♥ アメリカ音楽が不毛じゃなかった時代なんて70年代以降は思い出せないけど、今はイギリス音楽も不毛の世界になっちゃったからなあ。
♣ ただ、TFFなんかはもともとポップ寄りでアメリカ受けも意識してたけど、BunnymenとかCureって英国のいちばん暗くて陰気でドロドロした部分の結晶みたいなもので、ああいうのがカラッと明るいアメリカで受けたのが納得できない。
♥ 暗くてドロドロってひどい! 最も知的・芸術的に純度が高いと言ってよね。
♣ はあ~、でもやっぱりこの時代の音楽って好きだな。“Head Over Heels”とか“Mad World”とか、TFFとしちゃいちばん通俗的でつまらないと思っていた曲でさえ、今聴くとドキドキするもんね。
♥ その“Mad World”がTFFじゃなくてカバーなのもむかつくし。とにかく、アメリカ映画で好きな曲を使われると反感しか覚えない。
♣ こういう懐メロっていうのは、みんな人それぞれに貴重な思い出が付随しているもので、それとコンフリクトするから映画音楽で使うのは問題あるんだよねえ。できたらやめてほしいわ。
♥ ChicagoやJourneyやEW&Fみたいなアタマからっぽのどうでもいい音楽ならいいんだけど。

左からドニー、j、フランク

左からドニー、グレッチェン、フランク

♣ ジェイク・ギレンホールは? よく知らないけど、これが出世作になったんでしょ?
♥ この役には合っていた。いかにもボンクラのアメリカ人高校生っぽくて。だけど、こういう人がスター扱いされるのはさっぱりわからない。不細工だし。
♣ この頃は確かにあれだけど、年取ったらそれなりにきりっとしたんじゃない?
♥ でも不細工に変わりはないし。相手役のジェナ・マローンも不細工なんで、よくいそうな高校生カップルという意味ではリアルだけど。
♣ まるで乗ってきませんね。
♥ だから、アメリカ人のガキは大嫌いなんだって!
♣ ドリュー・バリモアはさすがにスターの貫禄を見せてるけど、まったく教師には見えませんね。
♥ あんなエロい教師があるか。でもこの人、ジョディ・フォスターに似ていることに今さらながら気付いた。
♣ 私はパトリック・スウェイジがこんな役やってる(し、似合ってる)のに驚いた。
♥ あの人最近(2009年)死んだよね。私は『ゴースト/ニューヨークの幻』より、キアヌと共演した『ハートブルー』の印象が強いんだが。
♣ キャサリン・ロスがまだ出てるのにも驚いた。
♥ あの精神科医か。ぜんぜんわからなかった。というか、もともとあまり特徴のない顔立ちだし。普通のアメリカンガールが普通のアメリカのおばさんになった感じ。

♣ でも見るからに狂女然としたロバータとか、中国系のデブの女の子(ジョリーン・パーディー)とか、すごいキャラが立ってたじゃない。
♥ だからなんか重要な意味があるかと思って真剣に見ちゃうんだけど、なんの意味も脈絡もないんで頭が痛くなるの。
♣ あのデブの女の子はいつもいじめられてるのをドニーがやめろと言ってくれるんだよね。それで彼女は本当はドニーのことが好きみたいで‥‥
♥ ほらね、くだらないでしょ?
♣ まあ、確かに‥‥。

♣ ほんと乗ってこないわね。部分だけ見ればおもしろいところもあったと思うけどな。
♥ スマーフの性生活とか?(笑)
♣ ドニーが死んだ時、みんな何かを察知したみたいにすべての登場人物が何しているかが映るところとか。
♥ 古くさくない? そもそもタイムトラベルと青春ものをからませるっていうのが、実によくある陳腐なネタだし。
♣ 「リプレイ」ものもそうだね。最近書いた中じゃ『オール・ユー・ニード・イズ・キル』がそうだけど。
♥ むしろこれ全部がイカレた高校生の妄想と思った方が革新的かも知れない。ほら、つまりこの子はもともと精神病を患っていて、現実と妄想の区別ができなくてもおかしくないじゃない。それで、病気で苦しんで、もう死にたいと思うんだけど、ひとりで死ぬのは寂しすぎる。
♣ 確かにドニーが死に取り憑かれてるのは随所に見えた。
♥ だから、どうせ死ぬなら地球を救うヒーローとして華々しく死にたい、っていかにも中二病患者が考えそうなことじゃない。
♣ えー、もしかして本当にそうかもよ! というのも、エンジンが落っこちてくる前のドニーの家族ってなんか殺伐として、愛情のかけらも感じられない感じなのよ。それがあの事故のあとは、一変して愛情あふれる幸せ家族みたいになっちゃってるし。本当にドニーの願望充足の妄想かも。転校生の女の子に一目惚れとかいうのも、いかにも中学生が考えそうなことだし。
♥ 高校生だってば。頭の中身が中学生なだけで。
♣ だとしたらすごい悲しい話だね。
♥ だからそれは監督が否定してるんだってば。ほんとバカだよね。黙ってればみんなが勝手にいい解釈してくれたのに、自分でぶちこわすってなんなんだ、こいつ?

♣ とにかくここまで罵倒したからには、『運命のボタン』も書かなくちゃね。
♥ やだ。
♣ なんで?
♥ あまりに支離滅裂すぎてストーリーが思い出せないし、また見るのは苦痛でしかないし。
♣ それは言える。リチャード・マシスンの原作は最初の出だしだけで、あとはまるきり無関係のエピソードの連続で。
♥ まるで無関係ならまだ前衛でいいんだけど、陳腐なイメージの連続がどんどんあさっての方向へずれていくという、なんとも形容しがたい映画なのだ。ほんとにキチガイの頭の中を覗き込んでいるようで、気持ち悪くなるだけ。
♣ いわゆる狂ってる監督とかジャンキーの書く話はさんざん見てきたし、そういうのはかえって想像力を刺激されて私はわりと好きなんだけど、このリチャード・ケリーというのはまるで違うね。
♥ とにかく私には合わないし、知りたくもなかったわ。とりあえず★は、こんな変な映画があるということを知ってもらいたいから付けただけ。

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