【マンガ評】ポーランドボール(ポーランド編)

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  • ポーランドボール特集第三弾は、主役のポーランド編です。
  • ポーランドボールについてはこちらをご覧ください。
  • これは私が個人的に好きな傑作集なので、かなり古いのも含まれます。
  • ポーランドボールは最近翻訳サイトがどっと増えたし、詳しい解説が載ってるところもあるので、ここではいつも通りの独断と偏見と個人的感想を書こうと思います。

【参考】

【マンガ評】ポーランドボール(UK編)

【マンガ評】ポーランドボール(お正月特別編)The End

私とポーランド

♥ というわけで一部で受けたので気を良くしてポーランド編いってみよう!
♣ その前に、私とポーランドとの個人的接点について。
♥ もちろん、まだ行ったことないし、あんまり縁がないんだけど、2つの点で絶対に無視できない国ではある。
♣ ひとつには『ソラリスの陽のもとに』や『宇宙飛行士ピルクス物語』で有名なSF作家のスタニスワフ・レム (Stanisław Lem)がポーランド人だったから。
♥ SFは私のレゾンデートルだからね。
♣ レムという人は作家として評論家としてあまりにも偉い人すぎて一口では言えないんだけど、あえて一口で言うならただの天才です。
♥ 冷戦の時代、西側では知恵遅れのガキ向けの娯楽として発達したSFだが、なぜか東欧やソ連では知的な芸術作品として扱われ、読む方も書く方も非常にレベルが高かったのだが、その頂点にいたのがレムだった。

♣ まあ、それはポーランドボールとはなんの関係もないのでパスして、関係あるのはSF同様、私のレゾンデートルである馬のほうね。
♥ 私は馬が好きすぎて、どんな形でも馬と関わりがあれば、その国まで好きになっちゃうんだけど。
♣ たとえば、カナダの警察(Royal Canadian Mounted Police)は騎馬警察が母体だというだけで、カナダが好きだったりする。
♥ 同じような理由で昔からポーランドも好きだった。

♣ 子供の頃、馬の切手を集めていたんだけど、その中にやたらPolskaという文字が入った切手が多くて、それがポーランドのことだと知って(ポーランドのポーランド名が「ポルスカ」)、ポーランド人は馬が好きなんだなーと思ってた。
♥ そしてポーランドと言えば華麗な有翼騎兵(英語ではWinged Hussar、ポーランド語ではHusaria「フサリア」)のふるさと。この絵の通り、鳥の羽根飾りを背中にしょった騎兵です。

ポーランドの有翼騎兵フサリア

ポーランドの有翼騎兵フサリア

♣ どう見ても羽が邪魔なんだけど(笑)。
♥ 羽の生えた騎士なんてファンタジーみたいでかっこいいじゃん!
♣ ちょっと日本の戦国時代の騎馬武者が背負ってる旗印みたいだね。
♥ なんでかポーランドの鎧兜もちょっと日本のに似てるのよ。その意味でも好感が持てる。
♣ とりあえず、これが格好だけじゃなく、戦争でもめっちゃ強くて、ヨーロッパでは18世紀まで200年間にわたって無敵だったんですって。
♥ 当然、ポーランドは乗馬技術や馬の育成でもトップクラスの技術を持っていた、というだけでも私が好きになるには十分ね。

♣ でもフサリアの全盛期は同時にポーランドの全盛期でもあったんで、言ってみれば栄光の過去の象徴。だから、ポーランドボールでもポーラン(ポーランドの愛称)が荒ぶったり、やる気を出したりすると、いきなり羽が生える
♥ まあ、せっかくのかっこいい有翼騎兵もポーランドボールだとこの扱いだけど(笑)。

Polandball-Poland01♣ でもポーランド王国の分割から、二度の大戦を経て、国と経済はぐだぐだ。私がいちばんよく知っていたワレサ議長の「連帯」の時代は、貧しさのあまり大勢のポーランド移民がヨーロッパ中に散っていった。
♥ U2がポーランドのことを歌ったりしたので私も興味持ったのよ。それで当時はテレビでポーランドの悲惨な現実のドキュメンタリー見たりしたので、とにかく貧しくてみじめでかわいそうな国という認識だった。
♣ だからポーランドボールを見て、まあ、ここでも貧しくてみじめなんだけど(笑)、それなりに強く生きてるのを見てほっとしたぐらい。こんな感じで。

Polandball-Poland03♥ ハエが飛んでる!(笑)
♣ でもいいお返事だこと(笑)。
♥ ポーランドってポーランドボール世界ではバカにはされるけど、いつもいい子の設定だよね。
♣ カナダ以上に「嫌われてない国」だよね。じゃあ続いても貧乏ネタ。

《キング・ポーランサーの伝説》The Legend of King Polanthur

Polandball-Poland12♣ これはもちろんアーサー王伝説のパロディ。
♥ コートのボタンで大笑いしたわ。
♣ ちなみに1ズウォティは今30円ぐらいです。

♥ でもポーランドがみじめなのは彼自身のせいばかりでもない、お隣が悪すぎるっていうので、いじめられっ子ポーラン。

《ヨーロッパのゲットー》Ghetto of Europe

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* 1939年はナチス・ドイツとソ連がポーランドに侵攻した年。
** 「カティンの森事件」は第二次大戦中にソ連近郊の森で約2万2千人のポーランド人捕虜が虐殺された事件。

♥ おいおい、ポーラン! そんなんで喜んでていいのか?
♣ うーん、でもいじめられっ子の心理って案外こんな感じなのかも。よくいじめ殺人とかで、なんでそんなにいじめられてたのに悪い仲間とつるんでたのかと思うんだけど‥‥。
♥ 囃し言葉がキツすぎて笑えないよ!
♣ 実際、ナチスドイツ占領下のポーランドにはたくさんのゲットー(ユダヤ人強制収容所)があったわけだし‥‥
♥ というわけで次はこれだな。

《ポーランドの観光名所》There’s Nothing Else to Do in Poland

Polandball-Poland13♥ 空気読めないポーラン‥‥。
♣ 真顔のイスラエルが笑っちゃいけないけどおかしい。
♥ でも、東欧って行けば絶対すてきな美しいところなのはわかってるんだけど、ポーランドに限らず悲惨な歴史のせいで、なーんか陰鬱なところみたいな感じしちゃうよね。
♣ そのくせ張本人のドイツにはそんなイメージないのはずるいな。
♥ まあそれでも私もポーランド行ったら必ずアウシュビッツには行くけどね。

♣ そしてポーランドボールの定番中の定番と言えるのが、「ポーランドは宇宙へ行けない」(Poland can’t into space.)ってやつ。“The End”もそうだったけど、こんなのはいかが?

《あの空のどこかに》Somewhere Out There

Polandball-Poland11♥ これも感動的な話かと思ったらひどい落ち(笑)。
♣ ちなみにオチはもちろん2006年に冥王星が「小さすぎる」という理由で惑星から準惑星に格下げされたことです。
♥ それまでは太陽系第9惑星というなんかかっこいい立場だったのにね。
♣ 冥王星サイズの星なら他にもいっぱいあるのが発見されて、おまけにその中には冥王星より大きいのもあったので。
♥ 月より小さいんだもんな。でもポーランドは昔ほどじゃないとはいえまだけっこう大きな国なのに。
♣ 続いては「宇宙行けない」ネタの定番の名作です。こういう文字なしコミックはおもしろいんだけど、つい余分な説明文付けちゃいました。

《夢を追いかけて》Chasing The Dream

Polandball-Poland04♥ いや、ロシアは正しいことをしたんだよ。ポーランドが宇宙へ行くと宇宙の秩序が壊れて、宇宙が消滅するから。
♣ お話変わってポーランドは敬虔なカトリック国です。それをネタにしたマンガ。

《ジャングルへの巡礼》Exotic Pilgrimage

Polandball-Poland05♥ これ元は古いジョークじゃない? 宣教師と人食い人種の。
♣ とりあえずポーランだとあり得ると思えちゃう。
♥ セントなんとかたちにはとんだ風評被害だが。
♣ あとは特にジャンルを問わずにおもしろいやつを貼っていきます。

《ポール・ダンス》Pole Dancing

Polandball-Poland10♣ ポールダンス(pole dance)=ポーランドのダンスというわけで、お上りさん二人がだまされて見せられたのは、かわいらしいポーランドの民族舞踊でしたというお話。
♥ 1941年ってなんだろう?
♣ 真珠湾攻撃の年だよね。でも真珠湾は12月だし、アメリカが参戦したのもそれよりあとなんだけど、ヨーロッパなんて行ったっけ?
♥ ノルマンディー上陸作戦(1944年)かなんかと間違えてるんじゃないかな。

《ポーランドのプール》Poland’s pool

Polandball-Poland09♥ こういう完全に無意味なナンセンス・コミックを見ると、ああ、ポーランドボールだなあと思う。ある意味いちばん好きかも。
♣ これは「ブクブクボート(blub-blub boat)」という言い回しがかわいすぎて訳した。
♥ ポーランドボールでは非英語国はEngrish(でたらめ英語)を使うのが義務なのと同時に、独自の方言があるんだけど、blubもそのひとつ。
♣ blubはもともと「鼻を鳴らして泣く」とか「ぐずる」という意味しかないんだけど、なぜかポーランドボールでは「沈む」という意味でよく使われる。これも沈む船=潜水艦ということ。
♥ もしかしてアメコミの擬音語なのかもしれない。なんでアメリカの潜水艦がポーランドのプールにいるのかは話が別だけど。
♣ 単なる嫌がらせでしょう。とりあえず、blub-blubが日本語のブクブクに近くてすごいかわいいし笑える。
♥ そもそも同じ単語を2つ並べて擬音語を作るというのは日本語の特徴だし、日本のマンガが次々英訳されている影響かもよ。
♣ 最後は二部作です。もちろん向こうのコミックは左上→右上→左下→右下の順に読むから気をつけてね。

《海賊ポーランド 1》Pirate Poland 1

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私掠免許状(Letter of Marque) 帆船の時代に、民間の船が他国の船を攻撃・拿捕することを国家が認めた他国船拿捕免許状

♥ 要するに国家公認の海賊の許可証なわけだが、大航海時代のイギリスが七つの海を制したのは、こういう乱暴なことを率先してやっていたせいもある。
♣ イギリスやスペインならわかるけど、なんでポーランドが海賊?(笑)
♥ という疑問はさておいて、このポーランの海賊ルックがかわいすぎる! ジョリー・ロジャーのついたトライコーン帽子にスカーフ、カットラスにフックの義手、正統派海賊スタイルがこんなに似合うなんて!
♣ しかもただのボールなのに(笑)。
♥ 結局ソマリアの海賊に拾われたようだけど、悪い予感しかしない。
♣ それじゃ、同じ作者による続編をどうぞ。

《海賊ポーランド 2》Pirate Poland 2

Polandball-Poland08♥ ああー! いつもの縦長じゃない形式で描かれると、画像加工するのがめんどくさすぎる! そこでこれだけはセリフと擬音だけ後に書きました。

1コマ目
ポーランド「進め! クルヴァ(ポーランド語のf**kに当たるセリフ)、進め! いやなフレンチ野郎の船をぶっ飛ばせ!」
(ヴルルルル)

2コマ目
(ドカッ!)
ポーランド「くそ!」
(バシャン!)

3コマ目
フランス「大変!! 海賊だ!!」
(カシャッカシャ)(銃を装填する音)
ポーランド「ゴボ、突撃! ゴボゴボ、降参しろ!」
(バシャバシャ)

4コマ目
フランス「神様仏様キリスト様、もうおしまいだ! 船を捨てろー!!」
(ガンガン)
ポーランド「死ね! 船、死ね!」

5コマ目
ポーランド「ヤー! ポーラン海賊つおい! 勇敢なフランスをやっつけ‥‥ゲホ‥‥ゴボゴボゴボ‥‥クルヴァ‥‥たしゅけて‥‥溺れる! ゴボゴボゴボ」
(バシャバシャバシャ)

♣ 手抜きだなあ。でもこの人のマンガ、ギャグは古くさいし別におもしろくないけど、絵がめちゃくちゃかわいいのと、セリフがかわいすぎるので、どうしても訳したかったの。
♥ 1枚目の“No? Oh…”(私が「もうないの」と訳したやつ)と、“Die ship die!”の破壊力! かわいさメガトン級じゃない?
♣ 船をガンガン叩きながら、「しね、ふね、しね!」って(笑)。
♥ しかも日本語だとちゃんと脚韻を踏んでいるという(笑)。
♣ しかしソマリアなんかとつるんで、ろくなことにはならないと思ったら、ソマリア意外とやさしいじゃん。勝手に海に落ちて溺れてるポーランドに浮き輪投げてやるし。
♥ しかしなんでこうも荒ぶってるんだよ、ポーランド。
♣ あといちおう解説しておくと、フランスは腰抜けですぐに降参するというのもポーランドボールの定番ジョークです。「勇敢なフランス」というのも、そんなフランスに対するただのイヤミ。

♥ というところで、実は訳したのはこれの倍以上あるんだけど、長くなりすぎるし疲れたので今日はここまで。他の国やパート2もいずれやるよ。
♣ このあとにEngrishの翻訳について書こうと思ってたんだけど、それも長くなるので別の記事にすることにしました。
♥ じゃあね!

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