★★【映画評】ホビット三部作 Part1『ホビット 思いがけない冒険』(2012)The Hobbit: An Unexpected Journey

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まえがき

♠ あー、やっとかよ。
♦ いつものことですが、今さらの映画ですみません。ただ、これもいつも言うように、あまりに好きすぎる作品だと、かえって気後れしてなかなか書けない、あるいは書くことが多すぎて書ききれないままでいるうちに、最初見たときの感動が薄れる、というので、これまでもボツになった記事多数なのよ。
♥ でもトールキン映画だけはそんな目に遭わせてはならない!というので、ほんとは対談にはしたくなかったんだけど、もうこれでやっちゃうことにしました。
♣ ただ、最初に見てからずいぶん時間がたってしまったので、それなりに冷めてしまった部分があるかも。
♠ だいたい3時間超の映画3本って、それだけ一気に見て書くほど暇じゃないわ!
♥ おまけにブルーレイはそれに映画と同じぐらいの長さのメイキングが6本ついてるし。これ一気見するのはほぼ不可能。
♦ というわけで、あんまり筋道立ってないし、かんじんなことを書き忘れてるかもしれないけど、勘弁してください。
♠ 代わりに中味はめっちゃ濃いよ! 私の専門だからな。
♥ でも映画の話はほとんどしてない(笑)。ほぼ原作の話と役者の話だけで。
♣ あと整理の都合上、三部作ごとに分けたけど、実際はつながったひとつの話だし、こっちの会話も行ったり来たりしてて、必ずしも当該映画にだけ触れてるわけではありません。三部作でひとつのリビューと思ってください。

第一部もくじ

三部作にした功罪
監督交代劇について
『ホビット エクステンデッド・エディション・トリロジーBOX』ブルーレイ版について
山本史郎訳 注釈版『ホビット』について
固有名詞のカナ表記について
ローグライクのこと
原作『ホビットの冒険』のあらすじと謎
『ロード・オブ・ザ・リングス』と『指輪物語』について

第二部

第三部


三部作にした功罪

♦ というところで、最初に聞いてびっくりしたのは『ホビット』も三部作ってこと。(ちなみに以下はいつものように、何ひとつ――誰が出てるのかさえ――知らない状態で見て書いてます。映画情報的なものはすべて見たあとで知ったことです)
♣ あの長大な大河小説の『指輪物語』が三部作になるのは当然だけど、これは(確かに普通よりはかなり長いけど)『指輪』の一巻分よりずっと短い童話なのに、それを三本の映画にって水増し過ぎない?
♥ 『指輪』なら1冊を映画三部作にして、全部で九本立てぐらいでちょうどいいけど。
♠ 確かにその意味で『ロード・オブ・ザ・リング』(※)は三本立てでもまだ時間が足りなくて、ダイジェストみたいになっちゃったところがあるから、余裕のできた今度はじっくり描きたかったんじゃないかな、と思った。
♥ 実際、小説というのは映画より情報量が多いので、省略なしに映画化しようとしたら長くなるのはわかるけど、それにしても前後編で十分じゃないの?
♣ そこでたぶん、原作にはないオリジナル要素を入れたかったんだな、と思った。

『ロード・オブ・ザ・リング』というのがオフィシャルな邦題だが、どうしても「ス」を付けたくてイライラする! だいたいsが付くか付かないかで「一つの指輪」かどうか意味が変わってしまうし、これはどうしても譲れないので以下は『ロード・オブ・ザ・リングス』と記述する。

♦ はい、それが正解。ジャクソンとしては、『ホビット』を『ロード・オブ・ザ・リングス』のプリクエルみたいにしたかったらしい。
♠ 実際は『ホビット』のほうが先なので、『ロード・オブ・ザ・リングス』のほうがこれの後日談みたいなものなんだが。この作品世界を膨らませて『指輪物語』が生まれたんだが。
♦ ジャクソンのもくろみは『ホビット』をLOTRに関連づけることだったらしい。実際、『ホビット』は元が子供向きなので、重厚長大なLOTRのあとではいかにも軽いし、中味も薄い。だから他の映画だったら、それは大歓迎と言いたいところなんだが‥‥。
♣ でもいま言ったようにそれは逆で、LOTRが『ホビット』を下敷きに書かれているのに! それをひっくり返して『ホビット』にLOTRを取り込むって、物理的に不可能なことしてない? それって子供用のお弁当箱にフルコースを突っ込むみたいなものなんだけど。
♥ おかげで変になってしまった部分が多いね。

♠ しかし問題はそこじゃない。ニュージーランドのドワーフ風情が、畏れ多くもトールキン原作に手を入れるとは、神をも畏れぬ不敬のきわみ! 神の怒りを受けるがよい!!
♦ (笑)となるのは、こういう信者の多い原作の場合いつものことで、そこまでちゃんと計算したのかねえ。実際、フォーラムとか見ると、普通に「おもしろかった」と言う人と、怒り狂ってるファンが混在してるけど。
♥ その信者が(私のことだけど、私の他にもだいたい世界中どこでも)『ロード・オブ・ザ・リングス』は賞賛したんだよね。というのも、多少のアラはあったけど、原作や原作のイメージに忠実な映画化だったから。なのにここで原作に泥を塗るようなことをするとは‥‥。やっぱニュージーランドの山猿じゃしょうがなかったか。
♦ まあまあ‥‥。私はそれは覚悟してたよ。とにかく『ロード・オブ・ザ・リングス』はまだ自主制作乗りで好きなように作ってたのに、あれが大ヒットしてしまったために、『ホビット』は否応なしにビッグバジェットになってしまった。そしてそれだけの金が動くってことは、もう監督の好きなように撮れる映画じゃなくなってる

監督交代劇について

ジャクソンに負けず劣らずホビットっぽいギレルモ・デル・トロ(左)

ジャクソンに負けず劣らずホビットっぽいギレルモ・デル・トロ(左) ちなみにジャクソンはメガネをかけてないし、激痩せしてたころなんで似てないが、元通り太るとこの二人は瓜二つだ。

♣ というか、そもそも最初はピーター・ジャクソンじゃなくてギレルモ・デル・トロが撮るはずだったんだよね。なんかそのあたりからいろいろ「大人の事情」が見え隠れしてたんだけど。
♠ それ以前からだよ。『ロード・オブ・ザ・リングス』が当たった時点で、すぐに『ホビット』の映画化が取りざたされてたんだけど、『王の帰還』から9年もかかったのは、Wikiの文章を引用すると、「シリーズの利益を巡るジャクソンと製作会社ニュー・ライン・シネマ間の訴訟問題や、『ホビットの冒険』の配給権を握っていたメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの度重なる財政危機問題、ニュージーランド映画産業全体を巻き込んだ俳優組合によるストライキ運動など複数の事情が重なり、遅々として進展しなかった」んだそうだ。
♥ まさに大人の事情だなあ。それでなんでデル・トロは降ろされたわけ?
♦ 降ろされたっていうか断腸の思いで降板したのが現実みたい。もともとこの企画は当然ながらジャクソンに持ち込まれたんだけど、ジャクソンは手が空かないという理由で、デル・トロ監督、ジャクソン制作でプリプロダクションが進んでたんだけど、何年たっても撮影開始のめどがつかないし、デル・トロの拘束期間も切れて、次の契約もあるし、一方ジャクソンのほうは、待ってるうちに手が空いたから引き受けたって感じ。
♣ でもジャクソンはなんで嫌がってたんだろう。デル・トロ降板後も自分はやらないみたいなこと言ってたよね。
♠ そりゃ『ロード・オブ・ザ・リングス』をやって大変さがわかってたからでしょう。何年も缶詰になって、その間、毎日睡眠時間3時間みたいな感じだったみたいだから。こんなのは一生に一度やれば十分だみたいなことも言ってたし。
♦ メイキングを見ても、当然ながらそういうビジネス的なことやネガティブな話は出てこないんだけど、裏ではいろいろあったんだろうね。監督ってのは芸術面だけじゃなく、そういうのも対応しなきゃならないから大変なのはわかる。

♥ ところでデル・トロ版『ホビット』ってどんな感じだったんだろう?
♠ さっぱりわからん。というのもデル・トロの映画って見たことないんで。
♦ 話だけはいっぱい聞かされてるし、『パンズ・ラビリンス』も『パシフィック・リム』もハードディスクに入ってるんですがね。まだ見る暇がない。
♠ 押井守ファンで日本おたくってところで、私はあんまり好感が持てないんだが(笑)。
♥ アニメみたいになったらやだなあ。
♦ でも、メキシコ人の映画監督というと、私はすぐにルイス・ブニュエルとアレハンドロ・ホドロフスキー(チリ生まれだが主にメキシコで映画を作った)が頭に浮かぶので、そういう意味では幻想性には期待したいんだが。
♠ それでもトールキンとは違いすぎる。まだニュージーランドのほうが近い。っていうか、イギリス文化圏だし、アメリカやカナダよりは英国っぽい気がする。

『ホビット エクステンデッド・エディション・トリロジーBOX』ブルーレイ版について

♦ というわけで、もちろんすでにエクステンデッドのボックスセットを購入済み。
♥ 『ロード・オブ・ザ・リングス』の時は待ちきれないから1巻ずつ買って損したけど、『ホビット』ならまあそんなに急ぐ必要ないと思って。
♣ まあ、『ロード・オブ・ザ・リングス』は個別のボックスのほうがパッケージも豪華だったしそれはそれでいいんだけど。
♠ そのせいか? このボックスなんかちゃっちいよね。おまけもちゃちなカードだけだし。
♦ とにかく最近はいろんなバージョンが出過ぎて、どれ買っていいのかも困るんだよね。これもブルーレイボックスだけで6枚組のと9枚組のと12枚組のとあって、とりあえず9枚のほう買ったんだけど。
♣ 12枚組は2Dと3Dバージョン(ブルーレイ1枚に収まらなくて各2枚組)を同梱しているので多いだけ。6枚のほうはエクステンデッドじゃない劇場公開版。それでどっちのボックスもボーナスディスクがそれぞれ1枚ずつなんだよね。特典ディスクは2枚ずつのこれがいちばん多い。
♥ その別バージョンの特典ディスクの内容がわからないんだけど、短いだけでこれと同じものだよね?
♠ それは『ロード・オブ・ザ・リングス』の時も迷った。通常版とは特典映像の内容が違うような気がして。

♦ 中つ国Wiki(ここ、日本語サイトだけど内容はかなり充実してます)を見ると、やっぱり『ロード・オブ・ザ・リングス』の『コレクターズ・エディション』(劇場版)と『スペシャル・エクステンデッド・エディション』(私が持ってるのはこっち)は特典内容が違うんだ!
♠ DVDならもう二束三文で売ってるから買ってもいいんだけどね。
♥ ていうか、それ以前に『ロード・オブ・ザ・リングス』のSEEのブルーレイ・ボックス買わないと。
♣ そういえばそうだった。こうやって新しいフォーマットになるたび買い換えるのは悔しいけど、この作品だけはきれいな画面で見なくちゃ意味がない。
♦ 特典映像が3枚追加されて15枚組になってるそうだよ。なぜか特典だけDVDなんだけど。
♣ それでも昔は日本のDVDボックスって8枚組10万円とかだったのに、今じゃ15枚組BDが1万5000円で買えるから、ずいぶん安くなったよね
♠ 輸入盤と価格差がありすぎたからな。おかげでアメリカから買う必要がなくなって私も助かる。

♦ とりあえず、このシリーズは特典映像のほうが本編と言ってもいいぐらいなんで(笑)、たくさん入ってるほうを買ったんだけど、その特典ディスクの番号が、いきなりNo.7から始まってるのを見てあせった。
♥ しまった! やっぱり通常版か3D版は特典映像の内容が違って、ぜんぶ買わせようという魂胆か!と思って。
♣ まさかそこまであこぎな‥‥(笑)。
♠ でも中味を見たら、最初にジャクソンが出てきて「これは『ロード・オブ・ザ・リングス』から始まった旅の続きだから、パート7から始まるよ」というので胸をなで下ろした。
♥ 良かったじゃん。
♣ でもどっちにしろ両方買わせる魂胆なのな。

♠ で、このシリーズはとにかくエクステンデッドを買わなきゃならないのだ。それぐらい劇場公開版と違う。
♥ というか、絶対にこっちをメインに撮ってるとしか。なにしろボックス買ってメイキングを先に見ていたら(本編は3本ともすでに見ている)、見たことのないシーンばかりで「えええ~?」となった
♦ 劇場版はどうしても長さの制約があるんで、この態度はどこかに書いた(どこだか忘れた)私の考えに合ってるよね。
♣ 特典映像自体が、本編より長い映画制作ドキュメンタリーに仕上がってるし、これだけ凝った長いメイキングを作ったのも『ロード・オブ・ザ・リングス』が最初だった。
♥ 下手するとそれが本編以上に楽しめちゃうのも。
♦ というわけで、このSEEはお買い得ですよ。映画館で見ただけで終わるのはもったいないですよ。
♠ って、なんで私がここで宣伝しなきゃならないのか。

山本史郎訳 注釈版『ホビット』について

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山本史郎訳の新訳『ホビット』

♦ じゃあ、ついでにやはり映画とは直接関係ない話題を。例によって原作読んだのなんて大昔なので、今回、原作の記憶を呼び起こすために、新訳の『注釈版ホビット』を読んでみたんだけど‥‥。
♣ これは注釈が欲しくて買ったもので、前から持ってたけど本文は読んでなかった。(読むならやっぱり原書読むし) でも今回初めて読んで「なんだこりゃ?!」と思ったのでネットで調べたら、この新訳、すごい評判悪いのね
♦ 『ホビット』に関しては『指輪物語』同様、日本では岩波書店版の瀬田貞二訳が定本だったんだけど、最近(と言っても1997年初版)原書房からダグラス・アンダーソンの注釈付きの版が、山本史郎訳で出たのよね。ちなみに、同業者として文学の翻訳はむずかしいのは十分わかってるんで、以下はいちおうそれを踏まえた上でのいちゃもんです。
♣ むしろ同業者だから辛くなる面も。
♠ だって子供の本だぜ。これで盛大に誤訳するって相当なもんだよ。

♥ 誤訳ぐらいならよくある話なんだが、とにかくいきなり「ナンタルチア!」「サーラバイバイ!」は不意打ちだったわ(笑)。
♠ それもひどいけど、「いとしいしと」(My Precious ゴラムが指輪に呼びかける言葉)が「僕チン」になってるのにドギモを抜かれた意味わかんねーよー!!!
♥ 「いとしいしと」は名訳だと思ったけどね。My Precious=「我が愛しき者」がゴラム語で歯擦音が入って「いとしいしと」になるのは。
♦ あとがきに自分で弁明書いてるけど、それ読んでもさっぱり意味がわからない。ゴラムが指輪に話しかけているのは結局自分との会話だから、My Precious=「僕チン」なわけ?
♥ じゃあ、私らも全員「僕チン」だわ(笑)。そう思わない、僕チン?
♣ やめてよ~! まあさすがにこれは非難ごうごうだったみたいで、改訂で「愛シ子チャン」になったそうだよ。
♠ たいして変わらん! っていうかこれもひどい! っていうか日本語じゃない。ふつう思いついても書かない。
♦ なんか独特の言語センスをお持ちの方のようで。
♥ 私、これあまりにひどいから売っぱらうつもりだったけどやめたわ。これだけひどい訳はもう読めないんなら保存する価値がある。
♣ なんだ、そりゃ。しかし私が持ってるのは第25刷なのに、まだ直ってなかったってことは、「僕チン」や「サーラバイバイ!」読まされた人がそれだけたくさんいると思うと悪寒がする。

♥ 日本語が崩壊している以外にも、まじで誤訳もひどいわ。ごていねいに瀬田訳と比較対照表を作ってくれてる人がいるんだけど。
♦ とにかくそれ以前に最初の50ページで読む気力を失った。固有名詞を全部太字にするのって、まともな日本語書いたことがない人?
♠ この通り私もやってますけどね。でもこれはブログのバカ文だからできることで、ちゃんとした本ではやらねーよ! ていうか、学生がそういうレポート書いたら絶対落とす

♥ 太字とそれからルビもダサい翻訳の生きた証だな。エルフはぜんぶ「妖精」と書いて「エルフ」とルビ、ドワーフはぜんぶ「矮人」と書いて「ドワーフ」とルビ、ゴブリンはぜんぶ「悪鬼」と書いて「ゴブリン」とルビ、ええい! くどいんじゃ! 読みにくい!
♦ 私は馬と書いてポニーとルビを振るのが許せなかった。ポニーは馬だが馬はポニーじゃないぞ!
♣ それを許すなら「人間」と書いて「日本人」とルビを振るのもありになってしまう。
♠ 「鎖」に「チェーン」とルビ振るとかね。意味なさ過ぎる!

♥ ついでに、英語を知らなくても誰でもわかる悪訳の見分け方会話文がおかしければ、その翻訳は読んではいけない。
♣ ガンダルフのせりふがひどいんだよ。いかにもジジイっぽく、「いま企てている冒険にくわわってくれる者をさがしておるのだが、なかなか見つからないのじゃ」(原書房版『ホビット』p.21 以下、引用部の太字筆者)と言ってたかと思うと‥‥
♠ 個人的には老人に「‥‥なのじゃ」としゃべらせるのも嫌いなんだけど。どこかの方言ならあるかもしれないけど、少なくとも東京ではそんなしゃべり方する老人、明治生まれだって見たことない。
♦ ‥‥かと思うと、「ほんとに、まあ! やっぱり生きてたんだな。ほんとうにうれしい。いかに強運の君でも、今度ばかりはおしまいかと案じはじめたところだったの。ほんとうにひどかった」(原書房版『ホビット』p.354)といきなり若返る(笑)。
♣ むちゃくちゃだな。結局、ひどい翻訳ってすべて共通してるけど、英語以前に日本語書けない人なのよね。

♥ こいつどこの何者?
♦ 東大の先生だそうだ。専門は英国19世紀文学。
♠ ハ! それでわかった。大学教師でろくに日本語も英語も書けない(にも関わらず本出してる)やつならいっぱいいるから。特に東大はひどい。
♥ だいたいナウい口語(笑)のつもりで「ナンタルチア」とか使う人だから、私より年寄りだろう(私もネタがわかるのが恥ずかしいが)と思ったらやっぱりそうだった。
♦ 年寄りだからって言い訳にはならないわ。
♣ 「ナンタルチア」はわかるけど、「サーラバイバイ」なんて知らない。

♥ それにくらべて瀬田訳は本当に格調高いし、日本語として美しいし耳に快いわ。昔の人は本当にちゃんと仕事してたもんなー。
♦ もうこういう人はいなくなるかもね。特に文系はその傾向が顕著なんだけど、大学生がどんどんバカになる → 元大学生の大学院生がどんどんバカになる → 元大学院生の大学教員がどんどんバカになる、の負のスパイラルができちゃってるもの。
♠ でも山本史郎は年寄りだぜ。若手がバカなのは反論しないが。
♣ それでそういう奴らが翻訳した「ナンタルチア」な翻訳が増えれば、ますます読者の外国文学離れが進むと。私、本当に英語できてよかった。こういう脳が腐りそうな翻訳読まないですむもの。

♦ 実はこれにはきついオチがついている。Wikipediaによると、「この訳の底本になった『注釈版ホビット』はアメリカで2002年(イギリスでは2003年)に増補改訂版が出版されたが、そのなかの各国語版の解説のところで『Makoto Takahashiという日本人の意見』として原書房版の日本語訳は”a poor translation“であると書かれている」んですって!
♥ ダグラス・アンダーソンも鬼畜だわ。それを山本本人が訳すってことは念頭にないの?
♠ むしろそれを阻止するためとしか。
♣ ほんとに改訂版出すとしたらどうするんだろ、原書房。

固有名詞のカナ表記について

♦ これが毎度あたまが痛いんだけど、トールキン原作はその頭痛がマックスに!
♣ なんでかと言いますと、まず、トールキンの固有名詞は英語じゃないんですね。ほとんどが古代ゲルマン語を元にした造語で。だけど地の文は英語だし、ふつう読む人は英語として読む。
♠ それをさらに日本人訳者が独自の解釈で(発音はもともと日本語では表記できないんだから、勝手に解釈するほかない)和名またはカタカナに変えて、日本ではそれが定着してるけど、映画は当然、ネイティブ・スピーカーの役者は英語読みにしているし、そうでない人はそれぞれ勝手に発音するし、それに対して字幕訳者はまた勝手なカナ表記を使うというカオス状態に。
♦ それで私はいちばん最初に出会ったのはもちろん瀬田貞二訳だから、それがいちばん強く頭に刷り込まれてるけど、その後英語で読んでるときはやっぱり無意識に頭の中で英語読みにしている。だから書くときは「アラゴルン」と書いて違和感ないけど、しゃべるときは「アラゴーン」と言ってる。
♠ それがいやだからカナ表記をやめたんだけどな。アルファベットまじり日本語は読みづらいというのでそれも結局やめたけど。
♥ おまけにその後band系ローグライク(『指輪物語』を下敷きにしたゲーム)をやりすぎたせいで、そっちの読みも刷り込まれてるし。
♣ 映画見てれば耳から入ってくる音と字幕の文字が食い違っていて、もう頭がワヤクチャに!

♠ 瀬田貞二訳は、一部の固有名詞に納得できない部分はあったけど(rangerを「野伏せ」、Striderを「馳夫」とか)、それは子供でもわかりやすくとか、時代的なものでしょうがないでしょう。
♣ 傑作も多いよ。Misty Mountainsを「霧ふり山脈」なんて語感もきれいだしうまいと思った。
♥ いっそそうやってぜんぶ日本語化してしまえばいいんだろうけど、名前ばかりはそうはいかないからね。
♦ しかし初めて知ったんだけど、瀬田訳も何度も改訂版が出てるみたいね。ワーグ(Warg 英語読みならウォーグ)が「きちがい犬」から「アクマイヌ」に変わってるんだって(笑)。
♥ 「きちがい犬」じゃ狂犬みたいだし、そもそも犬じゃないし(笑)。
♠ つーか、禁止用語だからだろ。
♠ でも瀬田訳はカナ表記も好きだけどな。

♥ 今回は主人公があれだからなあ。
♦ トーリンかソーリンか。オーケンシールドかオークンシールドか。日本じゃトーリン・オーケンシールドで定着したようだけど。
♣ Oakenshieldのeは読まないし、異名は「オーク(樫)の盾」なんだからやっぱりオークンシールドでしょ。ただ名前は、ただでさえ面倒な【θ】音だから‥‥。
♠ もちろんネイティブ・スピーカーはソーリンと発音してるんだけど、字幕は「トーリン」だしさ。
♦ いや、人によってははっきり「トーリン」と言ってる。だいたい【θ】が日本語だとトとソの間みたいなものだし、どっちだって同じと言えば同じ
♣ Thomasはトマスだしね。

♦ 個人的には【θ】をTで発音するの、異国風でかっこよくて好きなんだけどね。クトゥルー(Cthulhu)神話は断じてクスルーでもクトゥルフでもク・リトル・リトルでもクルウルウでもないし。
♠ ラヴクラフトか。だからこういう奇妙な綴りの造語系は頭痛の種なんだよね。
♣ そもそも人の言葉でもない(笑)。特にラヴクラフトはthを多用するからさ。気味の悪い耳障りな音だからちょうどいいんだけど、私は最初に読んだ翻訳がそうだったせいもあって、絶対ヨグ・ソトースとは言えなくてヨグ・ソトート派だよ。
♥ クトゥルー神話なんて、もうなんでもいいよ。そもそもHziulquoigmnzhahなんてどう発音するんだよ?
♦ 日本語訳はWikiだと「フジウルクォイグムンズハー」になってるが。
♠ ローマ字読みしただけじゃないか。
♣ ウェールズ語みたい。そんなのどうでもいいから『ホビット』に話戻して。

♥ というわけなので、以下、文中の固有名詞の発音は翻訳とも字幕ともネイティブの発音とも関係なく、私が正しいと感じるカナ表記でやらせてもらうのであしからずってこと。だいたい瀬田訳といっしょだけどね。
♦ これだけマニアの多いジャンルだから、きっと発音辞典みたいなのがあるに違いないと思って調べたんだけど、向こうでも一部の名前を除いて定説というのはないみたいなのよ。やっぱり向こうでもSmaugは「スモウグ」か「スマウグ」かで論争になってるけどね。
♣ ジャクソンは「シュモウグ」みたいに発音してた。これってニュージーランド訛りかしら?

♠ 「スライン」も映画じゃ「スレイン」と読んでた。
♣ でも本当はThráinとアクセント記号がついているのでわかるように、「スライン」が正しいんだよね。
♦ そうなると今度はやっぱり「トーリン」が気になる。Thrór – Thráin – Thorin とくるから親子関係とわかるのに、スロール – スライン – トーリンじゃつながりが切れてしまう。ここはやっぱりTで統一するんでなければ、ソーリンと訳すべきだった。
♥ ただ、それだとスロール王がトロールになってしまう(笑)。ドワーフじゃなくてトロルの王様かよ!

♠ 長音記号の使い方も気になる。個人的にはドワーフの名前で言うと、ドーリ(Dori)ノーリ(Nori)オーリ(Ori)は【r】が入ってるから長音記号入れるのはわかる(word=ワードみたいに。「ワド」ではやっぱりおかしい)けど、フィリ(Fili)キリ(Kili)は【l】なのに「フィーリ」、「キーリ」とのばすのは違和感あるので、こっちは長音記号は使わない。
♣ 【l】でも習慣的にのばすのもあるじゃん。ホームズ(Holmes)とかウォーク(walk)とか。
♠ それは次に来るのが子音だろ。フィリとキリは母音じゃない。
♥ ややこしいわ!
♦ 同じ綴りで言えば、Billyは「ビリー」であって、「ビーリ」とは絶対に書かないでしょ。なのにそれを「フィーリ」と訳す神経がわからん。
♥ ドーリ、ノーリ、オーリに合わせたんかな? 綴りが違うのに。まあ、実際の発音にどっちが近いかと言ったら「フィーリ」のほうだけどね。マジでわけわからん。

♦ さらにビヨルン(Beorn)みたいな外国名になるとよけい混乱する。
♥ メイキング見ててもちゃんと「ビヨルン」と呼ぶ人と、英語読みにして「ベオン」と読む人と両方いるし。
♣ Bardは英語だと当然「バード」なんだけど、私はやっぱりローグライクの「バルド王」の印象が強いので、バルドと書きたくなってしまう。
♠ でも実際のところ、『ゲーム・オブ・スローンズ』について書いたように、ネイティブは我々が気にするほど細かい発音の違いなんて気にしてないのが現実だから。

♣ 誤訳に関しても日本人はナーバスすぎるよね。さすがにマニアが多いせいか、トールキン関係では翻訳の誤訳一覧みたいなの作ってる個人サイトもあるけれど、見るとどうでもいいような重箱の隅つついてるだけのが多い。
♠ 英語と日本語はルーツがまったく違う言語だから、一対一では絶対に対応しないんだよね。厳密に言えば「犬」と「dog」だって同じものではない。だからいやでもある種のアバウトさや意訳は必要なのに、素人さんはその辺がわかってない。
♦ まあまあ、そういう「専門的」な話は長くなるし、本題と関係ないんでまたの機会にして。
♥ というわけで、以下の固有名詞表記は映画の字幕や翻訳とは違うところがあるかもしれませんが、あんまり気にしないようにと言いたかっただけ。

ローグライクのこと

♦ 映画に関係ない話ばっかりですみませんが、これで本当に終わりなので。
♥ なんというか、ちょうど春休み中で、ところがうちのパソコンのグラフィックボードの調子がおかしくて、セーフモード(みたいなの)しか起動できない状態が続いてるんだけど、それだとできるゲームがすごい限られてて、だけどどんな貧弱なグラフィックでも必ずプレイできるのがローグライクだから、ついまたローグライクをやってたのよ。
♣ 主に変愚蛮怒だけど。(ローグライクゲームについてはこちら(2009年3月11日 水曜日)に) それで映画見たら、出てくる固有名詞が変愚でふだん出てくるやつばかりなんで笑ってしまった。
♠ 逆だ、逆! ここ(2009年4月25日 土曜日)に書いたように、今あるband系のゲームはすべて『Moria』が原型だから!
♥ そんなの知ってるけどさ、『オルクリスト』も『グラムドリング』も『つらぬき丸』も、いつもゲームで使ってる剣だし。(三本とも、『ホビット』でトーリン一行がトロルの巣で見つけた剣。オルクリストはトーリンの、グラムドリングはガンダルフの、つらぬき丸はビルボの剣となる)
♦ そのわりにゲーム内ではたいして強くないんで、もっといいのが見つかるとすぐに博物館送り(使う予定のない武器は博物館に収められる)になってしまうという(笑)。
♣ つらぬき丸は使えるよ! それを言ったら『アンドゥリル』(アラゴルンの剣)も大して強くない。
♠ でも『トーリン王の金属製スモール・シールド』はよくお世話になる。
♦ そりゃ名前も盾に由来してるぐらいだから。ただ、この盾は木製でないとおかしいのにゲームでは金属製なのがいまいちね。
♣ もちろんスマウグやアゾグも敵として登場するよ。そして『射手バルド王のロング・ボウ』に、世界中に1本しか存在しない『射手バルド王の黒い矢』 をつがえてスマウグを撃つと、通常の15倍のダメージを与えられるという仕掛けもある。
♠ 問題はゲームじゃスマウグがわりと雑魚なことだけ(笑)。
♥ それ言ったらアゾグも息子のボルグも中盤の雑魚。
♦ 変愚蛮怒は敵がインフレ的に強くなるからなあ。

♦ とにかく変愚蛮怒はかなり本流から外れてるんだけど、それでもこれだけトールキン由来の名前が出てくるんだなあと感心した。
♥ 私がToMEにはまった理由わかるでしょ。
♠ ところが現在のToMEはトールキン要素をすべて廃して、ゲームシステムも一新したオリジナルゲームになってるんだよ。
♥ えー、なんでー!
♦ 私もそれでやる気になれないでいる。いつのまにかグラフィックも付いてるし、DarkGodのゲームならおもしろいのはわかってるんだけど。
♣ うーん、これはやってみたい。ただ、ローグライクは本当に敷居が高くて、新しいのに挑戦するのは時間と気力がいるからなあ。
♠ おまけにテキスト主体のゲームで英語が怒濤の勢いで流れるしね。
♥ まったく、昔はどうしてこれを平気で読めていたのか。私も年取ったなーと思います。
♣ ちなみに変愚蛮怒でいま私のお供は「青き衣の『フンディン』」です。(フンディンはバーリンとドワーリンの父)
♠ なかなか頼もしくてガンダルフより役に立つかも(笑)。

原作『ホビットの冒険』のあらすじと謎

瀬田貞二訳『ホビット』

瀬田貞二訳『ホビットの冒険』

♠ まだ映画の話に行かないのかよ!
♦ だって、その前に原作『ホビットの冒険』(The Hobbit, or There and Back Again)にも触れておかないと。後述するように、映画は若干の創作や脚色が入っているほかは、『ロード・オブ・ザ・リングス』同様、ほぼ原作(および『ロード・オブ・ザ・リングス』の補遺や『終わらざりし物語』などの背景資料)に準拠している。セリフなんかも原作のままのが多い。
♥ それじゃせっかくだから原作の簡単なあらすじも書いておくか。かっこの中は本来の名前ね。

静かな暮らしをしていた裕福な独身中年ホビットのビルボは、突然訪ねてきた魔法使いのガンダルフと、トーリン率いる13人のドワーフたちによって冒険の旅に連れ出される。彼らは火竜スマウグに奪われたドワーフたちの故郷「はなれ山」(エレボール)とその財宝を取り戻す計画なのだが、それには「忍びの者」(英語だとバーグラー=泥棒)としてのホビットが必要だというのだ。最初は気乗り薄だったビルボだが、冒険心をかき立てられて一行と行動を共にすることになる。
途中、3匹のトロルに襲われるが、からくも逃れた一行はエルフの住む「裂け谷」(リヴェンデル)でエルロンドに会い、はなれ山に忍び込むための秘密の地図を解読してもらう。

その後、「霧ふり山脈」でゴブリンに捕まった際、仲間とはぐれたビルボは地下のトンネルで「ひとつの指輪」を見つけ、指輪の持ち主だったゴクリ(ゴラム)となぞなぞ合戦をやって勝利する。身に付けると姿が見えなくなるこの指輪のおかげでビルボはゴブリンから逃れて仲間に合流する。
その後、今度はゴブリンとワーグに追われるが、大ワシたちに助けられ、熊憑きのビヨルンの家でしばし憩いの時を過ごす。
ガンダルフはここで一行と別れ、彼らはエルロンドほど親切でなく敵対的な森のエルフの住む「闇の森」(マークウッド)に踏み込む。ここで大蜘蛛に襲われ、さらに森エルフの捕虜になるが、いずれもビルボの勇気と機転で脱出する。
樽に乗ってエルフの元を逃れた一行は、エレボールの麓にある湖の町(エスガロス)にたどり着き、「山の下の王」(かつてエレボールに王国を築いたドワーフの王のこと)が、エレボールに戻れば昔の栄光が戻ってくると信じている町民たちに歓迎される。

はなれ山に着いた一行は秘密の入り口を発見し、偵察にでかけたビルボは金杯を盗み出すが、スマウグを目覚めさせてしまう。湖の町の住人の差し金だと思ったスマウグは町へ飛んで行って焼き払う。しかし、スマウグによって滅ぼされた都市「谷間の国」(デイル。湖の町はデイルを追われた難民たちが作ったもの)の王の息子バルドが、父譲りの「黒い矢」でスマウグを殺す。
その間にビルボはスマウグの財宝の中に王家の家宝であるアーケン石(アーケンストーン)を発見し、秘かにポケットにしまう。

スマウグの死後、闇の森のエルフと湖の町の住人たちがやってきて宝の分け前を要求するが、トーリンはこれを拒む。ビルボはアーケン石を取引材料にして衝突を回避しようとするが、これはかえってトーリンを怒らせ、態度を硬化させてしまう。
そこへやはり宝をねらったゴブリンとワーグの大軍が現れるが、エルフ、人間、ドワーフは力を合わせてこれに立ち向かい「五軍の戦い」になる。形勢は不利だったが、帰ってきたガンダルフ、ワシたち、ビョルンの助太刀もあって、善玉は勝利を収める。この戦いでトーリンと彼の甥たち、フィリとキリは戦死するが、いまわの際にトーリンはビルボに謝り和解する。ビルボは分け前をもらってホビット村に帰る。

♣ こうやって見ると確かに子供向けではあるけど、『指輪物語』の面影はあるね。次から次へと絶体絶命の危機に巻き込まれて、「ここからどうやって脱出するか?」というクリフハンガーの連続なところとか。
♥ だからこれも十分おもしろいとは言えるんだけど、ただやっぱり『指輪物語』の完成度と較べちゃうとねえ。
♦ あの完成度が異常なだけよ。というか、トールキンの『指輪物語』以外の著作はぜんぶ微妙と言えば微妙(笑)。
♠ 『シルマリリオン』(『シルマリルの物語』)は指輪ファンにはおもしろいでしょ。
♦ あれは小説じゃなくて神話または歴史書だもん。未完のまま作者が死んでるし。

♥ とりあえず、出だしの雰囲気から行けば、これは小人さんたちが力を合わせて悪い竜を退治する話だと思うじゃん。ところが、スマウグはいきなり登場した変なやつ(読者にとっては)バルドにあっさり殺されちゃうし。
♦ 要するにこの国の歴史を知らないと楽しめないのよね。
♣ それでもとりあえず宝を手にしてめでたしめでたしかと思うと、ここからいきなり雰囲気が変わって戦記物になるしね。
♠ それまではいちおう童話の範疇で話が進んでたのに、いきなりシリアスな戦争物になって、しかも王様含めたドワーフが三人も死んじゃう鬱展開だし。
♦ しかもその戦いのクライマックスはビルボは気絶していて何も見ていない(笑)。
♣ 気が付いたら戦いは終わっていて、じゃあ僕は宝物もらって帰りますわと(笑)。
♠ 最初読んだときも「これはないわ」と思ったけど、今回読み返してもやっぱりそう思った。

♣ あと、昔は疑問に思わなかったけど今読み返して「ええー?」となったのは、ビルボの手癖の悪さ(笑)。
♥ スマウグから金杯盗むぐらいはまあ大目に見るけど、指輪はゴラムからだまし取るし、アーケンストーンなんか正式にトーリンの、っていうかドワーフ王家の所有物なのにポケットにナイナイしてしまうって‥‥
♠ しかもそれをトーリンに対する取引材料として使おうとするんだから、これはトーリンは当然怒るよな。どう見てもビルボが悪い。なんでトーリンが謝罪しなきゃならないのかわからない。♦ そもそもホビットの種族属性が泥棒っていうの、『指輪物語』に出てきたっけ?
♠ 記憶にないな。私は上記のようにローグライクをさんざんやってるから違和感ないけど。
♣ 先に『ロード・オブ・ザ・リングス』を見た観客は違和感あるんじゃない?
♥ この当時はそういう設定だったんだろうね。そういうこそ泥種族が、思わぬ偉業を成し遂げてしまうというのがおもしろいんだろうけど、教育上あまりよろしくないような‥‥(笑)。

♥ これって西洋人は、子供の頃に読んだとか、親に読み聞かせてもらったという人が多いんだけど、子供がこれ読んで楽しめるかねえ
♦ スマウグが死ぬまでの旅の冒険物語は十分おもしろいでしょ。
♣ やっぱりバルドやダインが登場してからは別の話だよね。
♠ というか、それだけの重要人物ならふつう最初から出すでしょ。「旅の仲間」の物語かと思ったら、ぜんぜん関係ない連中が締めを持っていくって‥‥。
♦ たぶんこの頃からもう頭が『指輪物語』モードになってたんだろうな。

♥ で、結局なにが言いたいかというと、『指輪物語』が現実も空想も含めたあらゆるサーガをしのぐ大河ドラマだったのに対して、こっちははるかにスケールも小さい小品だし、あんまり出来も良くないってこと。
♣ そもそも『指輪物語』自体が、この世界の歴史の中では、ほんのローカルな場所の歴史のほんの一コマにすぎないというすごさだから。
♦ やっぱりこれじゃせいぜい映画1本がいいところだよねえ。
♠ それをどこまでふくらませ、なおかつオリジナルや『ロード・オブ・ザ・リングス』との整合性を保つかがピーター・ジャクソンの腕の見せ所だったのだが、さてどうなりますか。

『ロード・オブ・ザ・リングス』と『指輪物語』について

♦ その前に『ロード・オブ・ザ・リングス』と『指輪物語』についても一言だけ。(もちろん原題は同じだが、『ロード・オブ・ザ・リングス』と書いたのは映画で、『指輪物語』が小説ね)
♠ まだ続くのかよ!
♦ これで本当に終わりだから。これが済んだら映画の話にいくから。
♣ しょうがないなあ。
♦ くどいようだけど、ジャクソンの『ロード・オブ・ザ・リングス』は、これほどのトールキン・ファンの私でさえも、本を読むとき、もうあの映画のキャスト以外思い浮かばない(エルロンドとレゴラスとエオウィンを除く)、中つ国の風景を思い浮かべるときニュージーランド以外思い浮かばないというぐらい、よくできた映画だった。
♣ それはもうそれぞれの映画リビューに書いたからいいよ。
♦ そういやこのリビューも散逸してしまってる! 探しておかないと!

♥ ところで「好きな作品世界(小説でも映画でもマンガでも)の中に入り込めるならどこがいいか?」(ただし一方通行で、行ったら二度と元の世界には戻れないとする)っていう妄想は楽しいじゃない。
♣ なんの話?
♥ (無視して)楽しいけど、これはけっこう罠でもある。というのも、おもしろい作品ほど、主人公は過酷な目に遭っているわけで、決して楽じゃないから。
♠ 主人公ならまだいいよ。(行った先でどんな種族のどんな階級に生まれるかはランダムとする) 出てきたとたんに殺される雑魚キャラにでもなったら目も当てられない。
♥ でも私はトールキンの『指輪物語』世界なら行ってみたいし、住んでみたい
♣ あの世界に住めるならゴブリンでもいいや。ゴブリンにはゴブリンなりの楽しみがあるに違いないし。
♥ それぐらい好き‥‥と言ったら私がどれだけトールキンの世界を愛しているかわかってもらえるはず。

♣ でもキャラクターを選べるなら何がいいかな。神々‥‥はさすがに荷が重いし、人間とはかけ離れすぎてて楽しめそうにないし、やっぱりイスタリ(ガンダルフやサルマンのお仲間)がいいな。任務はあるけど、普段はけっこう自由に好きなことやってそうだし。次点でエルフのお姫様かな。
♦ それでもって、どうせ住むなら私は絵的にはピーター・ジャクソンのミドルアースに住みたい。ミドルアースもそれを想像した人たちによって様々な様相を呈するが、トールキン本人が描いたミドルアースの絵にいちばん近いのもピーター・ジャクソンの映像だと思うし。
♥ ‥‥というぐらい好きな、ピーター・ジャクソンが『ホビット』三部作を引っさげて再登場したんだから、(多少の不安はあっても)これはもう期待するなというほうが無理でしょう。
♠ 『ロード・オブ・ザ・リング』三部作はリビューではあれこれ文句も付けたが、それも原作を愛するがゆえ。ここまでやってくれれば満足というぐらい満足した。
♣ それに免じてこれもかなりひどくても受け入れる覚悟で見たんだけど‥‥。
♦ じゃあ、良かったこと悪かったことを、思い出すままにひとつずつ。

第二部に続く‥‥

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