★★【映画評】ホビット三部作 Part2『ホビット 竜に奪われた王国』(The Hobbit: The Desolation of Smaug)

三部作リビューの第二部になります。

第一部

第三部

もくじ

ドワーフの中に人間がいる!
メイクの功罪
リチャード・アーミティッジ(トーリン王)について

マーティン・フリーマン(ビルボ)について
イライジャ・ウッド(フロド)とイアン・マッケラン(ガンダルフ)について
クリストファー・リー(サルマン)追悼
ケイト・ブランシェット(ガラドリエル)とヒューゴ・ウィーヴィング(エルロンド)
ドワーフたちについて
オーランド・ブルーム(レゴラス)について
『ホビット』役者の中のゲイ
リー・ペイス(スランドゥイル)について
ドワーフ王とエルフ王がデキてるって?!!!

♥ それじゃいよいよ映画の話に入りたいんだけど、

ドワーフの中に人間がいる!

♥ というのが最初の衝撃でしたな。
♠ いきなりそれかよ! 例によってシャイア(ホビット庄)の風景はすばらしくて、まるで家に帰ってきたような気持ちでほのぼのしながら見始めたんだけどねえ。
♦ 後述するけどマーティン・フリーマンのビルボは気に入ったし、ガンダルフ不老不死なのに年取ったなあなんて思いながら見てたんだけど。
♣ バッグエンド(ビルボの家)へ、13人のドワーフたちが次々に訪ねてくるシーンを見ながら、あれれれ?
♥ なんか人間まじってないか、これ!

♦ 正確に言うと、ドワーフたちの王、トーリン・オークンシールドと、彼の甥のフィリとキリなんですがね。とりあえず、普通ドワーフと言えば想像するのはこういう連中でしょう。

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(左から)ノーリ、オーリ、ドーリ、オイン、グローイン

♥ いや、それはトールキン以降、ピーター・ジャクソン以降だよ。それ以前はこう

hobbit-snowwhite-dwarfs♠ だから、ドワーフと言えばそういうディズニー的なかわいい小人さんじゃなくて、背は低いけどがっちり骨太筋肉質で、ひげもじゃの屈強な戦士、というイメージを定着させたのがトールキンで、それをさらに補強したのがジャクソンじゃない。
♣ でもそれは『指輪物語』からで、『ホビット』の時代はまだそのイメージがなかったんで、各国版の挿絵を見てると、従来のかわいらしい小人のイメージが多いよ。
♥ で、実際13人のドワーフのうちの10人まではああなんだけど、3人だけはこうなんだよね。

トーリン(中央)と彼の甥、フィリ(左)とキリ(右)

♦ どう見ても人間だよね。単に背が低くてひげ生やしただけの人間。
♥ なんで他10人はゴテゴテのメイクなのに、この連中は素顔なの?!
♣ あのドワーフメイクって、『ロード・オブ・ザ・リングス』でギムリ役のジョン・リス=デイヴィスJohn Rhys-Davies)が、あんまりにもつらかったからもう二度とやらねー!って言ってたやつだよね。
♠ 実際、この映画にも出演依頼があったんだけど、もうこりごりだっていうので出てないほど。

♥ ジョン・リス=デイヴィスって風貌も性格もいかにもドワーフ的で好きだったのに。もう一度見たかったのに残念だ。
♦ 『ロード・オブ・ザ・リングス』の他のキャストが同窓会さながら集まってるのに、ドワーフが主役の映画で、お父ちゃん(13人のひとりグローイン。上の写真の右端。そういえば顔もギムリと似ている)も出てるのにギムリが出ないってのもなんだなあ。
♥ レゴラスも親子で登場してるしね。
♣ んー? でも『ロード・オブ・ザ・リングス』の60年前の出来事だから、不老不死のエルフはともかく、ギムリはまだ生まれてないんじゃ?
♥ グローインが持ってる肖像画として登場してるから生まれてはいたみたいよ。
♣ まだ子供じゃん! それじゃジョン・リス=デイヴィスの出番ないじゃん!
♦ グローインは『ロード・オブ・ザ・リングス』では名前は出ないけど、ドワーフ代表団の中にいた白髪のドワーフがグローインだとされている。
♣ そういうつながりっていいね! 『ロード・オブ・ザ・リングス』のモリアの廃墟で、ギムリがバーリンの死体を発見して悲嘆に暮れる場面も、これを見たあとでは今まで以上にジーンとする。
♥ 名前だけしか知らない人と、姿形を見て知っている人とではえらい違いだもんなー。それだけ映画の影響力は大きいという意味でもあるけど。

♦ とにかく不審に思ってメイキングを見たら、最初はトーリンたち3人(伯父甥の関係です)もでかい鼻つけて、わりとしっかりメイクしてたのよ。ところがジャクソンがダメ出しして、だんだんメイクが薄くなり、これでも付け鼻はしてるんだけど、あるかないか程度の厚みで、他の10人とは大違い。キリに至ってはひげも自前で、付けひげもしてない。
♥ で、なんで主役級の三人は免除されたの?
♣ メイキングによると、メイクに隠れて演技や表情が殺されるからって言うんだけど、それは他のドワーフも同じよね。
♦ まあ、彼らはいちばん出番が多いし。
♠ 加えて意地悪な見方をすれば、醜いドワーフしか出てこないんじゃ観客に逃げられるとでも思ったんじゃないの? だから王様と若い二人はメイク軽めで。
♥ 特にキリはエルフとロマンスやらせるのに、付け鼻付けひげじゃね(笑)。
♠ だって、そこの落差がいいんでしょうが! ましてトーリンはドワーフの王なのに、こんな非ドワーフ的容貌でいいのか!
♥ やっぱ女受けを考えたのかなあ。『ロード・オブ・ザ・リングス』だと、若くてかわいいホビットたちに、凜々しくてかっこいいアラゴルンとボロミア、「美少年」レゴラスと役者が揃っていたけど、これは原作通りにやるならエルフはほんのちょい役で、ほぼ全編むさ苦しいドワーフと、ぱっとしない中年男のビルボと、醜悪なゴブリンしか出てこないし。
♦ 確かにそれじゃ客は呼べないか。

♣ ただ、顔だけならまだ許すけど、体もこの三人はスリムでしょ
♦ これでもいちおう、肉襦袢みたいなの着てるんだけどね。
♠ でも他のドワーフは縦より横幅のほうがあるみたいな体型なのに! トーリンと従兄弟のダインは親戚なのになんであんなに体型が違うんだよ
♥ この三人はまだ若いだけで、ドワーフは若いうちはこうなのに、年取ると顔も体もああなるとか。
♠ そんなの原作にない! だいたいトーリンはすごい老人だよ。トーリンとバーリンがエレボールを見てなつかしさにじーんとする場面がある(この二人だけは年寄りなので昔の栄華を知っているから)けど、年齢的に合わなさすぎる。
♣ トーリンは「ナンドゥヒリオンの合戦」(アゾグがトーリンの祖父のスロールを殺したことに端を発するドワーフとゴブリンの戦い)にもこれと同じ姿で参戦してたよ。
♠ っていうか、ドワーフたちの中でトーリンがいちばん年長なんだが。トーリンは『ホビット』の発端、ブリーでガンダルフに会ったとき96才のはずなんだが。
♥ アラゴルンが87才なのに若く見えるのはちゃんと説明があったけど、ドワーフってそんなに長生きだっけ? ちょっと保ちがよすぎない?
♦ 好意的に推測してあげると、この三人はドゥリン(ドワーフの七人の始祖のひとりで最も有力なドワーフ)の直系で、王族の血筋だから他のドワーフとは違ってると解釈できなくもない。
♥ 違いすぎだわ。それにこの13人は全員がトーリンの血族なのに。
♠ バーリンが白髪でヨボヨボの老人なのに、それより年のトーリンは若々しいってのはやっぱり変だな。
♣ とりあえず、あの顔だと体型もあまり誇張できない。ところが人間らしい体型のまま映画では「縮小」されてるから、よけい不自然に見えるというのはあるね。
♦ 以上、いかにもマニアっぽい些細な突っ込みでした。

メイクの功罪

♥ トーリンたち三人と他のドワーフとでは顔が違いすぎるというのも、トーリンたちはメイクが薄すぎ、他のドワーフは濃すぎるせいだと思う。両方をちょっとだけ近づければ、なんの違和感もないのに。
♠ だいたいピーター・ジャクソンはなんでもやりすぎるんだよ。ドワーフ役の人たちはだいたいドワーフ顔を選んでるんだから、ここまで分厚いマスクかぶらせる必要あるの?
♦ ほとんど着ぐるみ着て仮面かぶってるのと同じだからね。
♣ これじゃ自分でも認めてるように、せっかくの役者の演技や個性が死んじゃうじゃない。
♦ それは『ロード・オブ・ザ・リングス』を見たときから感じてた。モンスター以外の種族はわりと素顔が出てるのに、ギムリだけあんなに濃いメイキャップでかわいそうみたいな。
♠ ジョン・リス=デイヴィスなんて、身長以外は素顔でも十分ドワーフなのに、あんなマスクかぶって前もほとんど見えない状態でアクションシーンをこなすなんてひどいでしょ。この映画のドワーフたちも同じことやらされてたけど。
♦ う~ん、あえてジャクソンを弁護するなら、この映画はその性質上、スタント・ダブルやスケール・ダブル(ホビットやドワーフを背が低く見せるための小さい代役)を多用するから、マスクかぶってると違いに気付きにくいとか。
♥ それはエルフやホビットも同じじゃん。

♥ 今も言ったけど、なんかこの監督、なんでもやりすぎるんだよ。『ロード・オブ・ザ・リングス』でもバルログが(かっこいいけど)あまりにも巨大すぎたし、サウロンが振り回すメイス(棒の先に鉄球がついた武器)も美術部が作ったのを見て、もっともっとでかくしろと命じて、結果、なんか滑稽な感じになっちゃってたし。
♣ それはゴブリンのデザインを決めている場面を見ても感じた。Wetaが持ってきたデザイン画はどれもすごくかっこよくてリアルなのに、もっと醜くもっと醜くと言ってどんどん変えさせた結果、グロいだけでリアリティーのない生きものになってしまってる。そういう場面は『ロード・オブ・ザ・リングス』でもあった。
♠ 『バッドテイスト』の監督に趣味の良さを求めても無駄だけど、なんか趣味悪いんだよね。

リチャード・アーミティッジ(トーリン王)について

♦ というのは置いといて、実際この三人には救われたわ。彼らがいなかったら、役者的には見るものがなかった。
♠ まんまとその手に乗ってるじゃないか!
♦ 悪い? 美男がいるのはいいことでしょ。
♣ というのもこの映画はエルフが‥‥
♦ ああ、その話はあとで。それでまずはビルボに次ぐ主役であるトーリンを演じたリチャード・アーミティッジに(Richard Armitage)ついて。

♦ なんで「アーミテイジ」じゃないのかと思ったら、Wikiでは発音記号まで書いて、アーミティッジと読むんだと力説してる。
♥ 意味わかんねーよ! どうせ日本語になった時点で原語とはかけ離れた発音になるのに、そういう些細なことにこだわるのって。
♠ じゃあ、「バンデージ」や「ボンデージ」や「アドバンテージ」はどうするんだ?
♣ だったら、「マイケル」や「アンドリュー」をなんとかしろって感じよね。

素顔のリチャード

素顔のリチャード

♠ めっちゃ色男じゃん!
♦ この人なんかヴィゴ・モーテンセンに雰囲気が似てない?
♥ ヴィゴはもっと繊細で、こんなにごつくない。
♦ これはドワーフだからで、素顔はわりと繊細で知的なタイプよ。ほっそりした体つきも似てるし、ガラス玉みたいな冷たいブルーの目もよく似てるし。
♣ 国を奪われた流浪の王という役柄もそっくりじゃない?
♦ メイキングを見ていたら彼の周囲だけが静かな感じで、他の連中から距離を置いていつも集中を切らさない感じがヴィゴそっくりで。
♥ もちろん仲が悪いわけじゃなく、ふざけたりもするんだけど、たいていちょっと離れたところで、ひとりで本とか読んでるのよね。この孤高な感じが王様にふさわしい。
♠ ヴィゴは役作りのために意図的にそうしてたって言ってなかったっけ?

♦ とにかく、オーランド・ブルーム(レゴラス)のアホンダラが出ずっぱりなのに、いちばん好きだったヴィゴが出ないここでは、彼のおかげで救われた感じ。
♥ この映画のトーリンは役柄的にはちっとも好きになれないんだけど、ハンサムだし威厳があるのは認める。
♠ はっきり言って私がこの手の役者に求めるのは顔と身長と声だけ。その意味でこの人はすべて合格。
♣ 見かけが神経質な感じだったので、こんな深い声をしてるとは思わなかったわ。ほんといい声。美しい発音。これがあるからイギリス人役者はたまらない。

♦ 演じるリチャード・アーミティッジは1971年レスター生まれのイングランド人。
♥ おお、レスター! 岡崎がいるところだ!
♠ 関係なさすぎ(笑)。これを撮った頃40才ぐらい。身長189cm。
♣ ええっ、そんなに大きいの? 確かに背高いなと思って見てたけど、そんなに大きいとはわからなかった。なんでドワーフ役に大男ばっかり使うんかな。
♦ 小さく見えたのは特撮のせいでしょ。とにかく顔といい、体といい、声といい、私が考えるかっこいい英国人男優の条件をすべて満たしている。余談だけど007はこういう人が演じなくてはだめなのよ。ダニエル・クレイグみたいなウラナリじゃなくて。
♣ それは同意だけど、なんか写真によって印象が違いすぎて、印象が定まらない顔だね。美男なのは確かだけど。
♠ それこそ役者魂ってものじゃない。

♥ それでなんでこれほどいい男がこれまで私のアンテナに引っかからなかったのかと思ったら、ほとんど活躍の場が舞台とテレビなのよね。
♠ イギリス人役者の場合はそれが普通。映画の制作本数が少ないから。でもこれで注目されたから今後はもっと映画出演が増えるでしょ。
♣ 彼の映画もっと見たい。やっぱりマイケル・ファスベンダーよりこっちのほうがいい。
♥ それはどうかな。マイケルはかわいいところがあるけど、この人は近寄りがたい感じだし。

♣ ただ、もともと冷たい容貌のせいか、黒々としたぼうぼう髪のせいか、ときどき魔王みたいに見える
♠ 実際、『ホビット 決戦のゆくえ』ではそうなりかけるじゃない。
♦ あー、そこはあとで論じるので。

マーティン・フリーマン(ビルボ)について

押しかけたドワーフに囲まれて当惑するビルボ

押しかけたドワーフに囲まれて当惑するビルボ

♥ じゃあ、ここで役者について片付けちゃうか。
♦ 片付けるも何も、この映画は役者がすべてよ。というのも美術や脚本や特撮はいいのはわかってるから。舞台装置はすべて整ってるんだから、あとはそこに誰を置くかというだけと言ってもいい。
♣ 『ロード・オブ・ザ・リングス』もそれで成功したからね。ああ、もちろん男エルフは除くけど。
♠ じゃあ、どうせなら役者評のついでに演出やストーリーについてもやってしまおう。
♣ それやると混乱しない?
♥ 映画1本ずつ書く暇なんてないし、それでいいよ。
♦ 3本ともストーリーはつながってるしね。

♠ それでホビットの話だけど、フロドを演じたイライジャ・ウッドなんて、私が最も嫌悪するタイプで、見る前はいやだなあとずっと思ってたんだけど、見てみたらフロドそのままだったんでびっくりしたぐらい。
♦ イライジャは10代だったけど、原作のフロドは『ホビット』のビルボ同様50代なんですが。
♥ 見てるうちにイライジャの顔が目に焼き付いてしまって、もう50才のフロドが想像できなくなったぐらい。
♠ ホビットと人間が同じ年の取り方をするとはかぎらない。
♣ やっぱり「小人」のイメージだからか、挿画でもフロドやビルボはかわいらしい子供のような姿で描かれていたからね。

♥ でも実は老ビルボを演じたイアン・ホルムはあんまり好きじゃなかったんだ。
♦ なんで? 彼も英国が誇る名優じゃない。
♥ それは知ってるけど、チビで醜男なんだもん。私はイアン・ホルムは『エイリアン』のロボットの印象が強すぎるし。
♠ べつにビルボが長身のハンサムだなんて想像したことないわ。
♥ でもイアン・マッケランとクリストファー・リーという他のお爺さんたちがかっこよすぎたからさ。
♣ だってあっちは魔法使いだもん! ホビットならこのレベルじゃない?
♥ ホビットだからこそもっとかわいくなきゃ嫌だったんだよ。

♥ それでマーティン・フリーマン(Martin Freeman)なんだけど、もう最高! これ以上のキャスティングはないと思った。
♠ そんなに好きか?
♥ なんでか今から説明してやるから。中つ国の他の住人はみんな神話や伝説をネタにしているけど、『ホビット』も『指輪物語』も主人公のホビットだけはイギリス人そのものなんだよ。保守的で変化を嫌い、おいしい食べ物とおいしいビールとおいしい煙草が好きで、花や木やガーデニングをこよなく愛し、静かで平和な田舎暮らしを理想としているという点で。
♦ ふむふむ。ホビット村なんてイギリスの田舎の村そのものだもんね。あれって映画でも理想郷みたいに描かれてるけど、イングランドの田舎では普通の風景だよね。
♣ 穴には住んでないけどね。そういうホビットが命がけで波瀾万丈の大冒険に巻き込まれる‥‥というのが『ホビット』と『指輪物語』に共通した筋立てで、もちろんそこがいちばんおもしろいところなんだけど、これイギリス人が読むと我々以上に自分を投影できるからワクワク感がハンパなんと思う。
♠ そういう平凡な小市民でいながら、実は秘かに冒険にあこがれてる‥‥っていうあたりもいかにもイギリス人っぽいね。

♦ 特にビルボはトールキンが自分自身だと言ってたぐらいで等身大のイギリス人という感じ。
♥ だからビルボはまさにごく普通の平凡な中年英国男でなくちゃだめなのよ。これはイライジャ・ウッドじゃ絶対だめ。
♠ フロドはある意味、取り憑かれた男でちょっとヤバい感じもあったからね。だからイライジャ・ウッドでもよかったけど。
♣ イライジャってかわいらしい子役で売ってたんじゃないですか?
♥ なんか大人になったら異常者役ばっかりじゃん。
♠ 実際見た目も異常だし。

♦ それで(若い)ビルボ役として候補に挙がった面々は、ダニエル・ラドクリフ、シャイア・ラブーフ、ジェームズ・マカヴォイ、イーサン・アーキン、トビー・マグワイアなどがいたそうなんだが‥‥。
♠ ないない! ダニエル・ラドクリフなんて冗談じゃない。『ハリー・ポッター』みたいなガキ向けの映画といっしょにしてくれるな!
♦ これもファミリー・ムービーなんだけど(笑)。
♣ 背が低くて大きな目をしてるからってホビットになれるという短絡的な発想。
♦ その意味、あの人はイライジャ・ウッドによく似てるから、親戚としてはなじむと思うけど。
♥ いや、絶対ビルボのイメージと違う! なんかダニエルがビルボになったら汗臭い熱血漢っぽい感じ。ビルボはもっと冷めてて大人

♣ シャイアなんとかという人とイーサンなんとかは知らない。
♦ シャイア・ラブーフは名前でわかるようにフランス系のアメリカ人、イーサン・アーキンはオーストラリア人。どっちもまるっきり印象に残らないタイプで、なんでここに名前が挙がってるのかわからない。
♥ トビー・マグワイア(『スパイダーマン』)は顔はかわいいけど、アメリカ人なんで論外。
♠ イライジャ・ウッドはいいのに? この人だってカツラかぶれば似合うかもよ。
♦ イライジャ・ウッドを許容したのは例外中の例外だ! 二度めがあると思うなよ。
♣ こわい(笑)。
♥ トビーはなんかヘナヘナして軟弱な印象がある。ホビットはもっと芯が強くて頑丈だから。

♣ ジェームズ・マカヴォイはスコットランド人で、『ライオンと魔女』のタムナスさんを演じた人。
♠ あれはよかったけど。
♥ えっ、この人素顔はこんな顔だったの? けっこういい男じゃない。
♦ でもちょっと変。という意味では適役だったかもしれないけど。
♠ なんか違う! やっぱりビルボはもっと普通の人がいい。

♦ というわけで、マーティン・フリーマンは当初からジャクソンの本命だったらしいんだけど、あいにく彼はBBCのドラマ『シャーロック』の契約がずっと先まで入ってしまっていたので最初は断った。
♥ そういえば私、『シャーロック』見てない!(このあとすぐ見て当然のようにハマるのだがその話はまた後ほど)
♣ あー、ちなみに『シャーロック』はコナン・ドイルのホームズを現代に移し替えたテレビ・シリーズで、ベネディクト・カンバーバッチがホームズを、マーティン・フリーマンがワトソンを演じました。
♦ テレビシリーズってのは長すぎるし、よほどタイミングが合わないと見逃しやすくて。
♠ NHKだしなあ。民放だともういいってぐらいしつこく再放送やるんだが。
♣ にも関わらず、内容は知ってるという不思議(笑)。
♦ テレビでやってた頃はベネディクト・カンバーバッチがみすぼらしいネズミみたいな男なんで勝手に嫌ってたけど、あとからWikipediaを読んだら、ホームズのエキセントリックな部分というか、はっきり言ってサイコパスな部分をしっかり描いているようなので好感を持った。
♥ みすぼらしいネズミ男!
♠ 確かに映画やテレビのホームズものでは、そこ(ねずみ男じゃなくてサイコってとこ)はやんわりと隠されてたからね。すごい新しいと思った。
♥ で、マーティン・フリーマンのことはわりとかわいいと思ってた。
♦ それで、本当ならマーティンは出演できなかったはずなのだが、ゴタゴタで撮影開始が延びたおかげで体が空き、晴れて主役を射止めた次第。
♣ 彼を雇うとなぜかもれなくベネディクト・カンバーバッチも付いてくるし(笑)。

♣ マーティン・フリーマンなら彼が主演した映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』を見てるじゃない。
♠ シッ! あれはなかったことになってるから。
♦ ある意味、ダグラス・アダムズの『銀河系ヒッチハイク・ガイド』は「私を作った小説」の1本で、トールキンにも劣らず大事な作品だったのに、映画はまるきり別物なばかりか、どうしようもなくチープなゴミカスだったので記憶から抹消された。
♣ 『ヒッチハイク・ガイド』の主人公のだめ男アーサー・デントだって、「冒険とはおよそ縁のない平凡なイギリスの小市民」の典型だったんで、その意味、マーティンのキャスティングだけは正しかったとは言えるんだけどねえ。
♥ だってかわいくなかったんだもん。なんかこの人あの時(2005年)のほうが老けてたし太ってないか? アーサー・デントは確かにだめ男だけど、少なくとも若者の印象だったし、「のっぽで痩せてて見た目はけっこうかわいい」というのが私のイメージだったので、ずんぐりむっくりでジジむさいマーティンを見てがっかりした記憶が
♠ とにかくあんなクソ映画判断基準にならんわ。

♦ で、演技については?
♥ もう思った通りのはまり役。特に最初のドワーフの大宴会のシークエンスがなんでこんなにおかしいか、イギリスを知らない人にはいまいちわからないと思う。
♣ 家を清潔に保つことと、先祖伝来の食器やらなんやらを何より大切にするイギリス人=ホビットがドワーフの蛮行に目を白黒させて、でも正面きって怒ることもできずに「あのー‥‥ちょっと‥‥」とかオロオロしているあたり、まさにイギリス人=ホビットだったわ。

♠ ドワーフたちに同行することを決意する場面もいいよね。話聞いただけで気絶するぐらい嫌がっていたのに、朝目が覚めるとみんなが消えているのを見て、あせってあとを追うところ。
♦ これ原作だとガンダルフだけ残っていて、その説得で気が変わるんだけど、こっちのほうがいいと思ったわ。自発的だし、取り残された寂しさとか、一世一代のチャンスをふいにしてなるかという決意がよく表れていて。
♥ でも、立つ鳥跡を濁さずで、あれだけ荒れてた家がきちんと片付いて掃除されてたのに感動した。
♣ トーリンが率先してお皿洗いとか拭き掃除してたと思うと、かわいくてめちゃ笑える(笑)。

♣ でもさ、こういうのって普通は成長ものの話だよね。ひ弱でドジだったホビットが冒険を通じてたくましく成長するたぐいの。
♠ 実は最初からできるやつだったな。
♥ ダメだったのは乗馬だけ(笑)。
♦ もちろんガンダルフはそれを見越して誘ったんでしょ。
♥ でも『ロード・オブ・ザ・リングス』だと、アラゴルンたちがホビットに剣術の稽古つけてやるシーンとかあったけど、ビルボはそんなのなかったのに最初から殺し慣れてるように見える(笑)。
♣ 若い頃ヤンチャしてたとか(笑)。

♥ で、とにかくマーティン・フリーマンはぴったりのキャスティングだし、演技もすごくうまいんだけど、うますぎてなんか物足りない感じもした
♦ どういうこと?
♥ 彼はすごい抑えた演技でそこがいかにもイギリス人らしくていいんだけどさ、こういう話ってドドドー!とむやみに盛り上がる場面がほしいじゃん。もちろんそれはあるんだけど、主役のビルボがクールすぎるんだよ。
♣ たとえばドワーフたちとの別れの場面。祝宴を前にして、あえてひとりでこっそり去ろうとするビルボをドワーフたちが全員で見送るんだけど、あせったビルボは気取ったことが言えずに、「ああ‥‥そのー‥‥近くに来たらぜひ寄ってくれよな」みたいなことしか言えない。もちろん原作通りだし、ビルボはそこがいいんだけど‥‥。
♠ 『ロード・オブ・ザ・リングス』であったみたいな名台詞は少なかったかな。サムの“I can’t carry it for you, but I can carry you!”みたいな。
♥ サム役のショーン・アスティンなんてマーティンに較べればぜんぜんダイコンなんだけどさ、見るからに不器用っぽいああいう人が精一杯力を振り絞って言うから、あのセリフはあんなに感動的だったんだよね。その点マーティンはうますぎて控えめすぎて。むしろこういう時代劇では大仰な演技も必要なのに。
♦ サムとビルボではキャラクターがぜんぜん違うからしょうがない。
♣ 五軍の戦いのあと、ガンダルフと二人で何も言わずに座ってるところとか?
♦ あれはジャクソンの演出でしょ。「何もかも終わった」という安堵感と虚無感をうまく表してる。

戦い終わってたたずむビルボとガンダルフ

戦い終わってたたずむビルボとガンダルフ

♠ まあ、他の連中が十分騒々しいからいいんじゃないの? 原作でもビルボは主人公にもかかわらず傍観者っぽいところはあった。
♣ 実際、他人のクエストだし他人の戦いですけどね。これが『ロード・オブ・ザ・リングス』になると、ホビット庄も巻き込んだ大規模な話になるから人ごとじゃなくなるけど。
♦ 従来の物語ならビルボの役どころはいわゆる語り手だからね。『ホビット』ではそれ以上にコミットしてるけど。
♣ んー、でもやっぱりここでビルボが話の前面に躍り出たらおかしいから、これはこれでいいと思うよ。おそらく『ロード・オブ・ザ・リングス』を先に見た人はビルボの活躍が少ないと思うだろうけど。
♠ これ言うと結論になっちゃうけど、今回はいろいろアラもあったけど、ビルボのマーティン・フリーマンがどっしりした大人の演技を見せてくれたおかげで、おちゃらけにならないですんだ感じがするから、やっぱり彼の功績は偉大だったと思うよ。

イライジャ・ウッド(フロド)とイアン・マッケラン(ガンダルフ)について

♦ とりあえず、ビルボ、トーリンの主役二人はよしと。あとは?
♣ なんか同窓会みたいに見慣れた顔がぞろぞろ出てきたじゃない。あの人たちについても言ってあげよう。
♥ とにかく冒頭イライジャ・ウッド(Elijah Wood)が出てきたときは、CG?と思って、あまりにそっくりなので驚いた。
♠ CGってなんだよ! まだ生きてるって(笑)。
♥ いや、フロドは灰色港に去ったはずと思って、そういえばこれはそれより昔の話だったと。
♦ だいたい彼はもともと人工的な顔だしね。
♠ というより、あれから十何年たつのに、まったく顔が変わってないからCGみたいに見えたんでしょ。
♦ 確かにそうだ。やっぱりこの手は年とらないのか。
♠ ある日突然気持ち悪いジジイになると思うけど。
♥ でも最初に『ロード・オブ・ザ・リングス』に出たとき18才で、もう30過ぎなのにまったく変わらないってやっぱり化け物。
♣ そこは指輪の力で老けないんだって言ってあげなくちゃ。
♦ フロドはまだ指輪持ってないよ!

リングベアラーズ

新旧リングベアラーズ

♦ これはなかなかめずらしい、マーティンとイライジャのツーショット。
♣ 「こんな指輪、おまえにやるわ」ってか。
♠ マーティンより背低いのかよ、ほんとに小人なんだな。
♥ 異常に手足が短くて、それでいて顔はでかいし、30なのに3歳児の目をしている。やっぱり奇形児で、生きたホビットだわ。
♦ でもマーティンも40代にしては若いわ。やっぱり指輪持ってると老けないんだな。

♦ それでフロドが変わってないのに、イアン・マッケランIan McKellenがどっと老けたなと思って。
♠ もともと爺じゃん!
♣ 年取りすぎてもあんまり変わらないのでは?
♦ いや、姿はもちろんそんなに変わらないんだけど、声が年取るんだよ。あんなに朗々と張りのある声だったのに、なんか声がすごいジジくさくなって。
♥ 私はそんなに気にならなかったけどなあ。
♠ 見てるうちに慣れてきたんじゃない?
♦ まだがんばればあの声は出るんだけどね。ちょっと無理が見えてきている。イアンより17才も年上のクリストファー・リーがあれだけ元気だったのにと思って。

クリストファー・リー(サルマン)追悼

hobbit-saruman

賢人会議に参加したサルマン

♣ とりあえず、イアン・マッケランとクリストファー・リー(Christopher Lee)がまだ生きているうちに『ホビット』が撮れて良かったと思いました。
♦ そうなんだよ。これが遺作でしょ。私、『ホビット』がどんなに箸にも棒にもかからない駄作でも、クリストファー・リーのサルマンがもう一度見られればそれでいいと思ったもん。
♠ クリストファー・リーの追悼文書こうと思ったんだけど、結局書けなかったんだよなあ。あれだけ好きだったのに、いざとなると月並みなことしか書けなくて。
♥ 月並みでもいいからここで簡単に書いておこうよ。

♦ うむ。私とクリストファー・リーの出会いはもちろんハマー・プロ(イギリスのホラー映画専門制作会社)の一連のドラキュラ映画(だいたいは大昔のテレビで見た)なんだけど、映画自体はともかく、とにかく彼の人間離れした長身(196cm)と、SM的な色気と、貴族的な気品と、低音の美声にしびれて夢中になった。
♠ あの長いマントをひるがえしてゴシック城の大階段を駆け上がるところが、死ぬほどかっこよかったんだよなあ。
♣ 彼と対照的に知的でクールなピーター・カッシング(ヘルシンク教授役)とのコンビがまたなんとも良かったのよね。
♥ その後もずっとハマーのホラーで見ていたけど、やっぱりドラキュラ伯爵ほどのはまり役はなかったなー。
♣ ハマー映画って評価的にはどうなの? よくクリストファー・リーはドラキュラで売れちゃったので、後々ちゃんとした役者と認めてもらうのに苦労したって言うけど、私はあの一連のホラーフィルムってオーセンティックでよくできてたと思うけどな。
♦ クラシック・ホラーとしては最高でしょ。ただ、ホラー自体が下に見られていた時代だから。『ブレインデッド』みたいなの撮ってたゲテモノ監督(ジャクソンのこと)が映画賞取れる時代じゃないから(笑)。
♠ ナイトの称号もらったぐらいだからちゃんと認められてたでしょ。

♠ とにかく文字通りの生きた伝説だし、出演作や逸話には事欠かないんだけど、いちばんすごいのは、生きてた頃のトールキンと面識があったってことかな。
♥ もちろんトールキンの本にも詳しいんで、『ロード・オブ・ザ・リングス』の撮影現場では生き字引的な存在だったらしい。
♣ 語学の天才で7カ国語に堪能で、剣術・馬術の名手って、まさにトールキン映画に出るために生まれてきたようなものじゃない。
♠ 惜しいよねえ。あと40才若かったらアクションシーンだって見れたのに。
♦ さすがにこの年ではスタントは無理だけど、若い頃はスタントマンもやってたぐらい。
♥ うーん、それはちょっと残念ですわ。見事な剣さばきや馬術を披露するサルマンも見てみたかった。
♦ とりあえず、第三部ではナズグル相手に(もちろんスタントマンがだけど)見事な立ち回りを見せてくれて私は満足。すごいかっこよかった。
♠ 戦争経験者というだけでも貴重だよね。このシリーズってある意味、戦争映画でもあるから。
♣ 戦時中は語学力を買われて諜報活動に従事していたという噂もある。

♦ とにかく長いキャリアの最晩年に『ロード・オブ・ザ・リングス』に出られたのはすごい幸運だったと思うんだ。というのも、彼のおびただしい出演作(生涯に278本と言われる。もちろん史上最多)の中で、ドラキュラ伯爵と並ぶ最高の当たり役にして名演技は『ロード・オブ・ザ・リングス』のサルマンだったと思うので。
♥ それは言える。なんと言っても白ひげ白髪に真っ白なローブがあれだけ似合う人はいないし。
♣ 映画を見るまでは、私のイメージではサルマンはこんなにかっこよくなくて、しょせんサウロンに仕える小物って印象だったんですけどねえ。
♠ イスタリの長が小物ってことは絶対にないよ。少なくともサウロンとは互角。どっちかというと神々の領域に属する人たちだよ。

♣ トールキンをご存じない人のための解説。イスタリはサウロンの脅威に対抗する中つ国(この映画の舞台)の住民を助けるため、アマン(説明がむずかしいけど一種の極楽浄土のようなところ)から中つ国に派遣された使者。ガンダルフやラダガストもそのひとり。実体は精霊のようなものだがこの世界では人間の老人の肉体をまとっている。
♠ 人間の肉体を持ったからこそ、誘惑に屈したり堕落したりする隙ができちゃったんだけどね。
♥ 少なくともガンダルフより位も力も上なのははっきりしているしね。
♦ ただ『ロード・オブ・ザ・リングス』ではやっぱりいつも通り悪役だったんだが、この『ホビット』はサルマンがダークサイドに落ちる前の話というわけで、光の側にいるのもうれしい。

♥ 亡くなったのが2015年で93才のときだったんだけど、第三部の『ホビット 決戦のゆくえ』が公開されたのが2014年。90才超えてあれだけかくしゃくとしていたとは!
♣ あの眼光も衰えてなかったし、イアン・マッケランと違ってあの声もまったく衰えてなかったもんね。
♦ 本当に最後の最後の姿だったんだな。それが見られただけでもどんなにうれしいかわからない。
♠ まあ、肉体はそろそろ限界だったようで、ニュージーランドまでは来られないから、サルマンだけグリーンステージで撮って合成してるんだけどね。
♥ ほんとに技術の進歩はすごい。上の写真見ても、クリストファーだけここにはいないなんて信じられない。
♦ とにかくご冥福をお祈りします。
♥ サルマンは死んでないよ。あの肉体は仮のものだから、肉体は死んだけど魂はアマンの地に戻っただけだよ。

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クランクアップでおどける監督とクリストファー・リー。手に持ってるバナーには「クリストファー、あなたはすべてにおいて完璧だ。愛を込めて。ピーターとフランより」と書いてある。

ケイト・ブランシェット(ガラドリエル)とヒューゴ・ウィーヴィング(エルロンド)

♦ あと『ロード・オブ・ザ・リングス』からのカメオ出演は誰だっけ?
♥ ガラドリエルとエルロンド。
♣ エルロンドは『ホビット』にもちゃんと登場するからカメオと違う。
♦ あー、ヒューゴ・ウィーヴィング(Hugo Weaving)のことは口にしないで。あれもなかったことになってるんだから。
♠ 役者としては昔から大いに買ってるんだけどね、あの顔でエルロンドはないよね。
♥ あんなんでも若い頃はオーストラリア男らしい荒削りでワイルドな色気があったんだけどね。少なくともエルフっていう柄じゃない。
♦ ていうか、このシリーズの男エルフは全部なしだから。

♥ でもガラドリエル様(ケイト・ブランシェット Cate Blanchett)は大ありよ。
♦ なんか前にもまして美しくなかった? 40過ぎで3人の子持ちにはとても見えませんね。
♥ 世の中不公平すぎるわ。
♣ 貴族的でゴージャスなまさに私好みの美女よね。
♠ 身長があと10cmあれば完璧だったんだが。(ケイトは174cm)
♥ え? そんな小さかったの? もっと大きいかと思った。
♦ だからそれは映像トリックだってば。エルフだから長身に見せてるだけ。
♠ そう言えば彼女の映画、このシリーズと『エリザベス』以外ほとんど見てないや。
♥ この人もオーストラリア人だからねえ。あんまりこれという映画に出てないんで。

♣ で、お芝居のほうは?
♥ 彼女は立って衣装を見せてくれるだけでも十分なんだけど、今回も「本当は怖いガラドリエル」も見せてくれて、もうたまらないわ。
♣ LOTRより強くなってないか? サウロンを一人であっさり撃退しちゃうし。
♥ 隣のエルロンドがすごいビビってた(笑)。
♠ そんなに強いなら自分でサウロン倒せよと思わなくもない(笑)。
♦ いちおう言っておくと、この当時のサウロンはまだ十分力を蓄えてなかったし。
♣ サウロンはミドル・アースの住民が自力で倒さなくちゃいけなくて、直接手を下しちゃいけないんじゃなかったっけ?
♠ それはイスタリでしょ。だからガンダルフはかんじんなときにいつもいない(笑)。
♥ ガラドリエル様もアマンの生まれだから同じかもよ。
♣ とにかくミドル・アースにおけるエルフの中で彼女がいちばん強いよね。エルロンドよりも。
♠ 雑種の半エルフになんて負けてたまるか。

♦ そうか。いまになって気が付いたよ。そういえば昔から、『ホビット』でも『ロード・オブ・ザ・リングス』でも、かんじんなところでいつもガンダルフがいなくなっちゃって、またふらりと戻ってくるのが不思議だったんだ。それがイスタリの掟だったのか。
♥ 気付くの遅くない?
♦ そんなの『指輪物語』には書いてなかったもん!
♣ 助言や手助けはしてもいいけど、それ以外はだめなのよね。
♦ やっぱりエルロンドやガラドリエルも同じルールで動いているような気がする。サウロンを憎む気持は同じだけど、直接対決は避けてるし。

ガラドリエルとガンダルフの「ピエタ」。このあとおでこにキスをする。

ガラドリエルとガンダルフの「ピエタ」。このあとおでこにキスをすると生き返る。

♥ 今回のガラドリエルは出番は短いのに見せ場は多かったね。
♣ ていうか、彼女は後ろに立ってるだけでも存在感がすごいのに。
♦ サウロンに痛めつけられたガンダルフをかき抱いた「ピエタ」ポーズも美しゅうございました。
♠ 大男のガンダルフ(実はそっくり人形)を軽々と抱き上げるところも(笑)。
♣ あの撮影シーンがメイキングにあったけど、なんかすごいハイテンションでイアン・マッケランと抱き合ってころげまわってたよ(笑)。
♦ 相手がゲイなら何しても旦那さん怒らないだろうし。
♥ ハイテンションなのも当然。たぶんこの映画にいちばん出たがってたのケイトだから。
♦ そりゃあれだけきれいに撮ってもらえれば女優冥利に尽きるわ。

ドワーフたちについて

♦ それじゃトーリン以外のドワーフと演じた役者についても。
♥ 多すぎるんだよ! 13人もいると誰が誰やら
♣ 確かに原作ではトーリン以外のドワーフは十把一絡げの扱いだったけど、映画はメイクや衣装や髪型に差を付けることで差別化に腐心した様子がわかるじゃない。
♠ それでも覚えきれない。フィリとキリは前述の理由ですぐわかるし、バーリンは白髪の老人だからわかるし、ドワーリンはいちばんでかくてごつい狂戦士タイプなのでわかるし、ボンブール(英語ではボンバー)はデブだからすぐわかるし、オーリは変な顔だからわかるけど。
♣ ボフール(英語ではボファー)も変な顔だし芸達者で目立つからわかるでしょ。あと、ノーリは変な髪型で見分けられるし、ビフール(英語ではビファー)はおでこに斧刺さったままだからわかるし。
♥ あと5人はやっぱり無理!
♦ 参考までにドワーフ(+ホビット)の一覧表と素顔とメイクの顔写真をどうぞ。ちなみに名前の語尾が似てるのは兄弟や近い親戚ね。

hobbit-castドワーリン     グレアム・マクタヴィッシュ(スコットランド人)
バーリン     ケン・ストット(スコットランド人)
キリ     エイダン・ターナー(アイルランド人)
フィリ     ディーン・オゴーマン(ニュージーランド人)
ドーリ     マーク・ハドロウ(ニュージーランド人)
ノーリ     ジェド・ブロフィー(ニュージーランド人)
オーリ     アダム・ブラウン(イングランド人)
オイン     ジョン・カレン(イングランド生まれのニュージーランド人)
グローイン     ピーター・ハンブルトン(ニュージーランド人)
ビフール     ウィリアム・キルシャー(ニュージーランド人)
ボフール     ジェイムズ・ネズビット(北アイルランド人)
ボンブール     スティーヴン・ハンター(ニュージーランド人)

♥ なんなの、このニュージーランド人率の高さは? 『ロード・オブ・ザ・リングス』はべつにそんなことなかったよね。
♠ ひとつにはジャクソンの愛国心。もうひとつは、長く拘束されるわりにはちょい役のドワーフには、ギャラ節約のために安く上げられる地元俳優を使ったということじゃないかね。
♦ ああ、確かにそうだわ。ニュージーランド人はあまり重要じゃない役ばかりだし。
♣ でもニュージーランドも好きだから私はぜんぜん文句ないよ。
♠ ただ、外国人俳優とはやっぱり格が違うのが見ててもわかったじゃない。

hobbit-kili

エイダン・ターナー演じるキリ。この目つきでタウリエルを落としたものと思われる。

♦ しかし素顔の写真だけ見ても、例の三人(トーリン・フィリ・キリ)はぜんぜん違うってのがわかるわね。ぜんぜん別次元のハンサムガイで。
♥ エイダン・ターナー(Aidan Turner)がハンサム? 素顔はアイルランドの山賊顔じゃない。
♣ でもキリは確かにハンサムだったよ。コスチュームプレイが似合うタイプなのかな。
♦ たまーに長髪しか似合わないっていう人いるからね。でも基本的にエイダン・ターナーはすごくきれいな顔してると思う。他の役も見てみたい。
♠ 逆にフィリ役のディーン・オゴーマンDean O’Gorman)は映画だとハンサムだけど素顔を見たらわりとぱっとしないおっさんだった。背低いし。

♥ アダム・ブラウン(Adam Brown )がなんで選ばれたかは顔見ただけでわかったね。
♣ ミサワ顔(笑)。(地獄のミサワのマンガに出てくるような、目と目がくっついた顔ということ)
♦ おまけに目と目の高さが違う変な顔だし。
♠ オーディションのあと、ジャクソンたちが爆笑しながら「もうあいつは絶対にキマリね!」と騒いでるのが目に浮かぶ。
♦ あいにく映画では出番はそんなにないんだけど、メイキングではいちばん笑わせてもらった。「実は恐ろしいアダム・ブラウン」とか(笑)。

♣ それにメイキングでは主役級の誰よりもでかい面してしゃべりまくっていたのが、グレアム・マクタヴィッシュ(Graham McTavish)。
♦ この人には惚れたよ。
♥ マジで?
♦ うん。写真じゃわからないかもしれないけど、本物はすごいかっこいいのよ。
♠ 筋肉ハゲおやじじゃないか。
♦ ハゲで何が悪い! ステロイド強化版ショーン・コネリーという感じで、めっちゃセクシーだわ。ちなみに身長は188cm。
♥ スーパー・ドワーフだな。
♣ リチャード・アーミティッジも同じぐらい長身でハンサムだけど、ちょうど陰と陽という感じで正反対のタイプなのがおもしろいね。この人はとにかく脳筋そのもので。

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Ringcon(指輪物語のファン・コンベンション)にキルト姿で現れたグレアム・マクタヴィッシュ

♦ ジェイムズ・ネズビット(James Nesbitt)は芸達者で歌って踊って大活躍。
♠ のわりには、あまりおもしろくないんだな。アダム・ブラウンやスティーヴン・ハンター(Stephen Hunter デブ)は見ただけで笑えるのに、この人はちょっと滑りがちで。
♥ でも彼は二人の娘ペギーとメアリがバルドの娘役で使ってもらえて、一家揃っての出演というのは儲けたんじゃない?

♠ でもせっかく13人揃えたのにその他大勢みたいな扱いはもったいないな。くだらないラブストーリーなんか足すなら、ドワーフひとりひとりをきっちり描いてやればよかったのに。
♥ それやると4部作になる。
♣ 確かに。やっぱり13人は映画的には無理なのよ。『ロード・オブ・ザ・リングス』の「旅の仲間」だって多かったけど(魔法使い1人、人間2人、エルフ1人、ドワーフ1人、ホビット4人の合わせて9人)、あれぐらいが限度じゃない?
♦ ましてあっちは種族が違うから見分けるのも簡単だけど、こっちはドワーフ13人に魔法使い1人、ホビット1人の15人だからね。
♠ 黒澤明は『七人の侍』で7人+百姓たちまできっちり描いたぞ。

オーランド・ブルーム(レゴラス)について

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えらい嫌われようのレゴラス

♥ エルロンド同様、「こんなのエルフじゃない!」と言って嫌ったオーランド・ブルーム(Orlando Bloom)だけど、なにしろもう昔のことなんで、なんでそんなに嫌ったのかも忘れてたけど、見ていたらいやでも思い出した。
♣ なんでなの?
♠ 顔見ただけでムカつくんだよな。
♥ 顔に品がなくて下品だし、エルフなのに金髪じゃないし、背も低いし、痩せてもいないし‥‥
♦ 180cmあるんだから、背が低いとは言えないんじゃない?
♥ 人間ならそうだけどエルフは違うの!
♠ たしかに身長のわりにはずんぐりして見える。イアン・マッケランも同じ180cmなのに、オーランドのほうがずっと小さく見えるのはやっぱりスタイル悪いんじゃないの?
♣ だいたい自称180というのは実際は170台のチビがサバ読んでる場合が多い。特にここは190級の大男が揃っちゃったしよけい小さく見える。
♥ とにかく人間ならまだしもエルフはダメ! あとしゃくれあご! 四角いゴツゴツした顔もまったくエルフ的でない。エルフってのはやっぱり中性的で、ほっそりしてシュッとした感じでないと。
♦ エルフに必要なのはこの世のものじゃない感じなのに、『ロード・オブ・ザ・リングス』ではこいつがいちばん世俗っぽい感じだったしね。

♠ 実を言うと小説ではレゴラスが私のいちばんのお気に入りだったのよ。とにかく妖精のように(って妖精だけど)繊細で軽やかで美しい美青年を、少女時代からずーっと心に描いてきたので、映画で現物見たとたん「違ーう!!!!」となったんじゃないの?
♥ あと、ジャクソンの映画より先だったラルフ・バクシのアニメ版『指輪物語』のレゴラスが(アニメ的にかなりデフォルメされていたにもかかわらず)好きだったのに、そのイメージともかけ離れてたし。
♣ 実を言うと、アラゴルンも小説から受けた印象とはずいぶん違うし、そもそもヴィゴは王様にも見えないけど、ヴィゴのことはずっと前から好きだったから許してしまった。

♦ しかしイギリス人俳優なのにここまで嫌うのもめずらしいわね。
♣ オーランドなんていうロマンチックで古風な名前もイギリス人じゃなきゃありえないのに。
♥ イングランド人だって嫌いなものは嫌いなんじゃ。
♣ 今回、なんでそんなに嫌うんだろうと思ってじっと観察してたんだけど、あの目が気持ち悪いんだと気付いた。ほら、彼は茶色い瞳なのに、青く見せるためにカラーコンタクトしてるじゃない。日本人のカラコンが気味悪いのは当然だけど、白人でもやっぱりなんとなく気持ち悪いってことがわかった。
♥ あと、金髪(のカツラ)なのに眉毛が黒々としているのも嫌い。ナチュラル・ブロンドの人は眉毛もまつげも金色でほとんど見えないぐらいなのに。
♦ はいはい。

♠ もちろんレゴラスは『指輪物語』の登場人物で、『ホビット』には登場しないんだけど、闇の森に行く場面はあるので、そういえばレゴラスってここのエルフ王の王子だったんじゃない?(しかもエルフは不老不死だから時代は関係ない)ってことに気付いた脚本は賢いと思うよ。
♥ 私もレゴラスを出すことに異存はないよ。ちょっと顔出しして、『ロード・オブ・ザ・リングス』につなげるぐらいなら。文句言ってるのは、原作には存在もしない人物なのに、出ずっぱりでしかもよけいなエピソードまで創作してるから。
♣ あと、キャラクター設定も『ロード・オブ・ザ・リングス』同様、原作と違う気がしてならない。原作のレゴラスはもっと威厳があって、あんなに軽くない

♠ 『ロード・オブ・ザ・リングス』でもレゴラスはアクションが売りだったけど、今回はそれが特に顕著で、ワイヤーで猿みたいに飛び回ってるな。
♦ 私も『ロード・オブ・ザ・リングス』で階段を盾に乗って滑り降りるとか、ムマキル(象のような動物)に飛び乗るとか、あのぐらいならぜんぜんかまわなかったの。だけど、今回のレゴラスのアクションはふざけすぎてるコウモリの足に逆さまにぶら下がって飛びながら剣を振るうとか、樽に乗って流れるドワーフの頭の上を跳んで渡るとか(笑)。
♠ ジャクソンはこういうところでお里が知れるっていうか、おふざけがすぎるよな。もちろんそんなの原作にはないし、バカバカしすぎる。
♣ それは監督が悪いんで、オーランドのせいじゃないんじゃない?
♠ だって素顔を見てるとあいつも軽いやつじゃん。
♥ 確かにエルフは身軽だとは書いてあるけど、軽業師だという意味じゃねー!

♥ だいたいミランダ・カーみたいなのと結婚するようなチャラチャラしたスター気取りも嫌いだ。
♦ 別れたけどね。
♠ あと、仏教徒だって聞いたから「え-?」と思ったら創価学会だって!? ふざけんな! 死ねよ!
♦ もう坊主憎けりゃ袈裟まで憎いだな。
♥ 坊主は心底憎んでるから。

♦ しかしあれから12年だか13年だかの年月がたって、容姿的に一番苦しいだろうと思ったのがこの人だった。なにしろエルフは永遠の若さが売りだし(ていうか、このレゴラスは『ロード・オブ・ザ・リングス』より60才若いんだし)、この人はすっかりたるんで見苦しいルックスになったから。なのに見たらほとんど違いがわからなかったのは、映像のマジックなのかもしれないが、えらいと思ったよ。
♠ メイクと画像処理。見てるとこの人(とリー・ペイス)だけCGじゃないかと思うぐらい、肌の質感とかが人工っぽい。
♣ というか、このシリーズはエルロンドがヒューゴ・ウィーヴィングな時点で、容姿は問わない意向なんじゃ‥‥。まあ、あの種の異形も老けないんで、ヒューゴは違和感なかったけど。
♥ たしかエルロンドの描写だったと思うけど、「若くもないし年取ってもいない」ってのがあったよね。
♦ 「エルロンドの顔は、若くもなく、年老いてもおらず、年齢がありません」(『指輪物語 旅の仲間』)
♠ 確かにヒューゴ・ウィーヴィングもそういう感じだけど、その理由が「バケモノだから」だもんなー。

♦ ねえねえ、新発見よ。オーランド・ブルームのフィルモグラフィー見ていたら、デビュー作が『オスカー・ワイルド』だって書いてあったからまさかと思ったら本当だった。
♥ 『オスカー・ワイルド』といえば、ジュード・ロウがワイルドの愛人・アルフレッド・ダグラスを演じてるというんで、勇んで見に行ったら、かんじんのワイルドがこの映画にも出ているデブのスティーヴン・フライだったんで、怒り狂ったあれですか?
♣ ヴァネッサ・レッドグレイヴもワイルドのお母様役で出てたよ。
♠ でもオーランドなんて記憶にない。なんの役?
♦ レント・ボーイ(売春夫)としか書いてない。ということは‥‥
♥ ワイルドが買ってた「美少年」か!
♣ それはまたなんというか、すごい再会ですね。
♦ スティーヴン・フライは実生活でもゲイだしね。
♠ だいたいイギリス人男優でちょっとかわいめの男の子は最初はお稚児さん役をやるのが習慣みたいだもんなー。

『ホビット』役者の中のゲイ

♠ なんかこの映画やけにゲイ臭くないか? そもそもイアン・マッケランがゲイだし。
♦ その通り。それでそのイアン・マッケランがドイツのBrashというサイトのインタビューで、この映画の出演者はゲイだらけだと「うっかり」もらしちゃったんですね。ちょっと引用すると‥‥(ちなみに原語はドイツ語で、その英訳を私が和訳したんで、正確さは保証しません)

(最近はゲイだということを隠さなくてもすむようになったという話の中で)

マッケラン「この業界も過去10年でずいぶん変わったと思うよ。『ホビット』の出演者にどれだけゲイを公言している俳優が多いか見てみたまえ。ドワーフの二人に、ルーク・エヴァンズに、スティーヴン・フライに、リー・ペイス。『ロード・オブ・ザ・リングス』のときは、私のほかは私のメイキャップ・アーティストと衣装部にひとりいるだけだった。これは進歩と言っていいんじゃないかね」

♠ マジかよ! ルーク・エヴァンズとリー・ペイスまで!? オエエェェェ~!とか言っちゃいけないのか。
♥ ところがリー・ペイスはまだカムアウトしてなかったので、結果としてお爺ちゃんがばらしちゃったことになって、一時は大騒ぎだったみたいよ。
♣ これはきっと故意だな。
♠ でもそれって事実なわけ?
♦ 嘘つく意味もないでしょ。ここに名前が上がった人たちはガチ。
♣ でもドワーフの二人って誰と誰?  グレアム・マクタヴィッシュとジェームズ・ネスビットは撮影現場に幼い娘連れてきてイチャイチャしてたから違うっぽいけど。
♦ ひとりはアダム・ブラウンで確定らしい。
♠ げっ! でもなんとなくわかるけど。
♦ もう一人の名前は明かさなかったんで不明なんだけど、どうやらリチャード・アーミティッジらしいと言われている。
♥ うそうそうそー!!! あんないい男なのに! もったいない!
♦ 英語のゲイサイトで読んだだけだから、本当かどうかは知らないけどね。根拠は40過ぎてまだ独身なことと、リー・ペイスと仲が良くてよくつるんでるってことみたい。とりあえず、あちらのやおい業界では、この二人は恋人確定みたいよ。
♥ ひいー!
♣ リチャード自身は否定したとも聞いたけどね。

リー・ペイス(スランドゥイル)について

hobbit-thranduil-sword♦ じゃあついでだから、闇の森の領主にしてレゴラスのお父ちゃんスランドゥイル王を演じたリー・ペイスLee Pace)について。
♥ ちょっと待って! まだショックから立ち直れない。リチャードがあのゲジと??
♠ (無視して)男エルフ(少なくとも名前のあるやつ)は全滅、というのは『ロード・オブ・ザ・リングス』を見たときに感じたことなんだけど、それはこの映画でも同じだった!と印象づけたのが、そのリー・ペイスなんだけどね。
♣ だってアメリカ人だしぃ、素顔見たらニコラス・ケイジなみのぶっとい下がり眉毛だしぃ‥‥。
♦ 背が高い(196cm)のはいいし、顔もべつに悪くない。ただ、せっかくその銀髪のカツラをかぶるんなら、せめて眉毛だけは‥‥と思ったんだけど。
♠ 普通エルフを演じる男優は女性的に見せるために眉を細く整えてるんだけど、なぜかペイスに限っては、「眉毛には手を付けるな」というジャクソンの鶴の一声で、少し上向きにしただけでゲジゲジ眉毛は元のまま。
♦ ゲジゲジ眉毛はオーランド・ブルームもだ。おかげで親子っぽく見えるけど。
♥ こいつ(ジャクソン)はエルフ男に恨みでもあるのか!
♠ あってもおかしくないな。ジャクソン自身がチビデブのドワーフ体型なことを思うと。その証拠写真↓。

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この世界にも確かにエルフとドワーフはいるという証拠写真。同じ民族でこの違い!

♠ これだから、きれいでスタイルのいい男はみんな不細工に撮ってやれと思っても不思議はない。
♣ 不細工って‥‥レゴラスにもスランドゥイルにもかなりの数の女性ファン(ゲイファンも)が付いてるんですが。
♥ 私の基準では不細工なんだからしょうがない。
♣ そういえばピーター・ジャクソンは『ロード・オブ・ザ・リングス』の時は確かにはち切れそうにまん丸に太ってたんだけど、『ホビット』の制作発表の頃は別人のように痩せていてびっくりした。
♥ 痩せたらけっこうかわいかったりして。
♦ でも3作目ができるころにはまた元通りだったけどね。
♠ ストレスだな。

♦ で、ゲイと眉毛のことは忘れて、スランドゥイルについて
♣ 彼も『ホビット』の原作には名前は出ないけど、『指輪物語』や『終わらざりし物語』(トールキンの『指輪物語』関連の未完成の遺稿を息子のクリストファーが編集したもの)には、はっきりと闇の森を治めていてレゴラスの父と書いてあるから、映画の創作ってわけじゃない。
♥ だからレゴラスのバックグラウンドが見られると思って楽しみにしてたんだよね。闇の森も話だけで『指輪物語』には出てこなかったから、どんなところかと思って。

♣ 初めて出てきた「悪いエルフ」(笑)。
♦ 『ロード・オブ・ザ・リングス』しか知らない人にはけっこうショックだろうね。LOTRではエルフは(キリスト教風に言えば)天使のようなものとして描かれていたのに。
♠ まあ実際そんなようなものだけどな。でも天使がいいやつだなんて誰が言った? メルコール(別名モルゴス、ミドルアースを含めたこの世界の諸悪の根源)は神だし、その手下のサウロンは明らかに堕天使ルシファーを連想させるし(映画では影か目玉の形でしか登場しないが、元はすごい美形だったと原作にもある)、オークも元はエルフなんだし(サウロンに拷問されて身も心もねじ曲がってしまったエルフのなれの果てがオーク)。
♥ でも、スランドゥイルはそこまで悪じゃないよ! エスガロス(湖の町)がスマウグに焼き払われたときはすぐに救援に駆けつけるし。
♣ 原作ではそうだけど、映画じゃ「しょうがないから来てやったけど用件は他にある」みたいな感じじゃなかった?
♦ ツンデレだな(笑)。

♣ 宝物に目がなくて強欲なエルフなんて、やっぱりエルフ・ファンにはショックだよ。私も『指輪物語』を先に読んだからちょっとショックだった。
♥ あれは妻の形見だからどうしてもほしかったんじゃなかった?
♣ それでも代金踏み倒すとか、やっぱりケチくさい。
♠ だってほら、シルヴァン・エルフ(森エルフ)は西方のエルフより暴力的だし頭も悪いって原作でも言われちゃってるぐらいだし。
♦ 残念でした。闇の森でもスランドゥイルとレゴラスだけはシンダール・エルフでシルヴァンよりも格上なのだ。
♣ それはこの親子だけ銀髪で、配下のエルフは暗い色の髪にすることでも表現してたよ。
♥ タウリエルをあんなに見下した態度だったのはそのせいか。
♦ ていうか、原作でも映画でもスランドゥイルはそんなに悪い人じゃないよ。なのに映画のスランドゥイルが腹黒く見えるのはリー・ペイスが意地悪そうな顔だからじゃない?
♠ まさにそれ。だからミスキャストだって言うんだ。
♣ えー、でもこれぐらいならぜんぜんましだよ。なにしろそれ以前のスランドゥイルはこうだから。

hobbit-1977

左は1977年のアニメ版『ホビット』のスランドゥイル

♥ ハハハ! なんだ、こりゃー!!!
♠ 似てるじゃん!(笑)
♦ 1977年のアニメ版だな。これはおもしろすぎたんでまたあとで語る。
♣ まだエルフ=小鬼のイメージだった頃のデザインですね。

♥ でもこの人けっこう好き。役者じゃなくて役柄の方だけど。
♦ えらそうにしているわりにはツンデレなところがかわいいし、すぐにうろたえるところもかわいい。
♣ そのせいか私の調査ではキャラクター人気ではフィリ=キリ兄弟に次ぐ二番人気となっております。
♠ 本来アイドル枠だったはずのレゴラス形無し(笑)。
♦ 単純な悪人やヒーローじゃないところがいいのかもね。

♠ 私はアメリカ人を毛嫌いしてるけど、アメリカ人役者の何がいやって、発音とアクセントなんだ。顔なんてどうせ違いはそんなにないし。
♦ 芝居のうまさもダンチだよ。あと、だいたいイギリス人の方が背が高いしかっこいい。
♥ ところがその点、リー・ペイスは長身だし、アクセントも悪くないんだな。深い声でねっとりとしたしゃべり方はいかにも尊大なエルフ王らしくて良い。
♦ この人のアクセントいいよね! どこの訛りなんだろう?
♠ アメリカ人がイギリス訛りを真似た訛り。でもむしろ声やアクセントではオーランド・ブルームやルーク・エヴァンスのほうが品がなくて小物っぽい。
♣ でもゲイなんだぜ。

ドワーフ王とエルフ王がデキてるって?!!!

♥ あー、もうだめだ。ゲイだって知ってから、どう見てもエルフ王じゃなくてオカマの王様にしか見えん!
♦ ガンダルフのことはオカマの魔法使いだなんて言ってないのに。
♠ あんだけ枯れた爺様ならなんでもいいけどさ、ちょっと生々しすぎるじゃん。
♣ いや、イアン・マッケランはぜんぜん枯れてないよ。名優だから劇中ではガンダルフになりきってるけど、オフの態度はまるっきり年寄りオカマだよ。服装のセンスだけ見てもゲイの人って一目でわかる。
♠ ガンダルフ・ザ・グレイならぬ、ガンダルフ・ザ・レインボーか。それとも万色のガンダルフかな。
♥ それはそれでかっこよく聞こえるし違和感ない(笑)。

♥ しかもリー・ペイスの所作や表情がオカマそのものなんで、ゲイと知る前から怪しく思ってはいた。
♣ 容姿に自信のあるナルシシストのゲイってまさにこんな感じだよね。美輪明宏とか(笑)。
♦ 言うなー! もうマジで美輪明宏にしか見えなくなってきた! オールバックの長髪だし(笑)。
♥ 美輪さんは若い頃芝居で見たけどきれいだったよ。
♠ きれいとかきれいじゃないとかいう以前にトールキン世界にマッチしてるかってことなの!
♣ べつにゲイが悪いとも、リー・ペイスが悪いとも思わないけど、これはやっぱりミスキャストだよなあ。喜ぶのはゲイとスラッシュ(海外版やおい)ファンだけで。
♦ リー・ペイスとオーランド・ブルームのスラッシュなんて見たくないんですけど!
♥ リー・ペイスとリチャード・アーミティッジならちょっと見てみたいと思ってしまう。
♠ んなもん山ほどあるぜ。richleeかarmipaceでググるだけでいくらも出てくる。
♦ うわああああ! と言っても、向こうのはそんな過激なのはないけど。

♥ ふむふむ‥‥(言われた通りググってる)。よく同じ服を着てるってのはやっぱりヤバい感じ。
♣ えっ? じゃあほんとだったの? ただの妄想じゃなくて?
♠ 私服を共有ってのはかなり怪しいな。
♦ うそー!
♠ たまたま服の好みがいっしょだとか、あるいは仲良しだから借りたとか、それも一回二回ならまだわかるが、こう多いとは‥‥。
♥ スーツ、タイ、タイピン、シャツ、Tシャツ、コート、セーターにカーディガンまでいっしょなのかよ! ペアルックなんだか、それとも同じのを着回してるのか知らないが、ここまでお揃いだと何かをアピールしているとしか!
♦ しかも二人とも写真撮られるのが仕事の職業で、公の場で着て見せびらかしてるし、これはもう‥‥。
♣ ‥‥としか思えませんよね。
♠ くそっ! なんだよ、これ! ゲイ・ムービーか!

hobbit-richlee

ペアルックのほんの一部。ちなみにこの写真じゃわからないかもしれませんが、ファンサイトでは細部のディテールの比較検証済みで、完全に一致してることが証明されてます。なんか顔まで似てきてるけど、ニコラス・ケイジがリー・ペイスです。

♦ これは知らない方が良かったような。俳優と役柄を混同してはいけないのはわかってるけど、もうそういう目でしか見られなくなった
♥ しかし女優ほどではないとはいえ、服って俳優にとっては自己アピールの大事な武器のひとつでしょうが。なのに同じ服ってどういうことよ。体型も顔立ちも違うのに!
♠ だんだん似たもの同士に見えてきた。
♥ ドワーフ王とエルフ王がデキてるって!!!
♣ もう何が何だか(笑)。

♦ ゲイ話は忘れて話を整理しよう。
♠ 問題は眉毛だけでしょ。眉毛さえちゃんとしてれば、エルフに見えなくもないよ。少なくともオーランド・ブルームよりはずっとエルフらしいと思う。
♥ あれよりはましだけど、やっぱりないわあ。すなおにリチャードをスランドゥイルにして、トーリン役にはもっとドワーフらしい人を見つければよかった。
♣ リチャードのトーリンはべつになんの問題もないよ。単に他のドワーフと違いすぎただけ。つまりドワーフのメイクをもうちょい人間らしくすれば‥‥。
♥ それ言ったらエイダン・ターナーも黒髪だけどエルフ顔よね。
♠ 単に美形はエルフって決めてないか?
♣ やっぱり北方系はエルフって感じ。
♦ そうでもないんだな。トールキンのドワーフのイメージはやっぱり背の低いバイキングだし。それを思うとスコットランド人が多いのはうなづける。
♥ 現実の北欧人も金髪長身だけど、顔や体はごつい人が多いよね。やっぱりエルフはケルト系だと思うわ。
♦ いや、ケルト系というのはスコットランドもだから、むしろアングロサクソンがエルフと考えるべきなのでは? アングロサクソンも金髪長身だし。
♣ 私のイメージではドワーフが北方系、エルフは西方人だからやっぱりケルト人だわ。

第三部に続く

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