【映画評】ジョージ・ルーカス『スター・ウォーズ』シリーズ 『エピソード1/ファントム・メナス』(1999) 『エピソード2/クローンの攻撃』(2002) 『エピソード3/シスの復讐』(2005)

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ジョージ・ルーカスという監督はこの『スター・ウォーズ』三部作と『インディ・ジョーンズ』で終わった監督で、つまり1980年代に完全に終わってる人なのに、21世紀になってもそれを引っ張り出してくるあたりの感覚が信じられない。
ストーリー自体も80年代の時点で古すぎた。SF映画としては石器時代並み、なにしろ「宇宙映画」なら『2001年宇宙の旅』が1968年に作られてたから。

『エピソード8』の封切りに合わせて一挙放映された1~7を見たのであらためて『スター・ウォーズ』を語る。でもたぶんファンが聞いたら泣くようなひどいことばかり書いてます。でもほんとこのレベルの映画だって。(自分は幼児向けアニメや童話が大好きなくせに)お子様映画には厳しい。

私はもちろん『スター・ウォーズ』の最初の三部作(エピソード4~6)はすべて公開時に劇場で見ている。それで(根っからのSFファンとしては)あくまでたわいのないファミリー・ムービーだし、世評ほどすごいとは思わないけど、それでも当時としてはがんばった「スペースオペラ」だったし、それなりに楽しめた。

ただ、ジョージ・ルーカスという監督はこの『スター・ウォーズ』三部作と『インディ・ジョーンズ』で終わった監督で、つまり1980年代に完全に終わってる人なのに、21世紀になってもそれを引っ張り出してくるあたりの感覚が信じられない。
ストーリー自体も80年代の時点で古すぎた。SF映画としては石器時代並み、なにしろ「宇宙映画」なら『2001年宇宙の旅』が1968年に作られてたから。映画としても無声映画時代並みのセンスだったのに。
どうやら最後の三部作は別の人が監督するみたいだが、『スター・ウォーズ』という映画自体の賞味期限が80年代で切れてるんだよなあ。もしかしたら当時熱狂したオールドファン向けに作られてるのかもしれないが、私はオールドだがファンじゃないんでなあ。

というわけで、この三部作はエピソードⅠだけ見て、まったく期待もしてなかったけどその期待すら大きく下回るひどい出来にうんざりしてⅡとⅢは見ていなかった。でもこの正月休みにエピソード7までをテレビで一挙放映していて、『ハリー・ポッター』全エピソードなんかも見てしまったし、なんとなく付き合って見てしまった。
最近、レイア姫役のキャリー・フィッシャーが亡くなったってこともあるし、そういや私が見てない2と3にはクリストファー・リーも出てたし。やっぱり見ておかないとまずいかって感じ。以下は見ての感想。

まあ、2と3はどんどん闇が濃くなっていくストーリー展開だから、1よりは多少ましだったけど、どっちもどっちという感じもしたね。
1は憎たらしいクソガキ(アナキン・スカイウォーカー=ジェイク・ロイド)が、大人に混じってレースには勝っちゃう、戦闘機に乗り込んで敵の戦艦やっつけちゃうという、お子様の願望丸出しのストーリーであっけにとられたけど、2は中学生の願望丸出しの幼稚なラブストーリー、それもその「愛」の表現がお花畑で抱き合ってゴロゴロ転がって「アハハ! ウフフ!」という前近代的なんてものじゃない化石レベルの古さとダサさでドギモを抜く

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お花畑でいちゃつくアナキン(闇落ち前)とパドメ

売り物の宇宙戦や宇宙人は、さすがに昔とは技術に差がありすぎるので小ぎれいにはなってる。そういえば、古いのもデジタル技術で「お色直し」したんだっけ。だけど、戦闘シーンはゲーム画面そのもので、むしろ高画質のゲームに慣れた今どきのお子様には、「映画でこのレベル?」とバカにされるだけだろう。
ならばライトセイバーを使ったチャンバラはと言うと、こっちはオリジナルの三部作の時点でいい笑いものだった。チャンバラにすらなってないただのダンスだし。だいたいジェダイがなんで飛び道具じゃなくて剣を使うかって説明あったっけ? もちろん元ネタを言えば侍+騎士だから剣なんだが。

エイリアンもあの酒場のシーンとかはすごいと思ったけど、CGがあたりまえの今では、なんかどこかで見たようなデザインのエイリアンばっかりだし、なんか子供向けのアニメのエイリアンみたいで興ざめ。いちばんたくさん出てくるジャ・ジャ・ビンクスがいちばんウザいというのは言わずもがな。だいたいこいつ、単なるモブかと思っていたら、三部作全部に出てくる主要キャラなのかよ。

そう言えばあのキャラがここまで不評とはルーカスも予想しなかっただろう。「2000年の第20回ラジー賞では最低助演男優賞を受賞し、さらに映画史上もっとも不愉快なキャラクター1位に選ばれた」(日本語Wikipediaより)って笑ってしまった。そこまで嫌わなくても(笑)。
もちろんコミック・リリーフのつもりなんだろうが、それはC-3POとR2-D2の役回りでしょ。個人的には、露骨に原住民=土人=黒人=知恵遅れ的なキャラとかしゃべり方が不快だった。暗い話の中で脳天気な明るさが浮いてるし。

そういえば、1はストーム・トゥルーパー以前の話なんで敵はドロイドやドローンなんだが、こいつらが変にかわいい声なのも気になった。これ、おそらく吹き替えじゃなくて元から入ってるやつだよね。アニメ声でキャー!とか言って死ぬし、おもちゃにしか見えないんだが、これもお子様に配慮してか?
それをいうならC-3POは私の記憶では普通のロボットだったんだが、この三部作では妙に人間くさくなっている。「ピポピポパ」だけじゃなく「ヤッホー!」とか「キャー!」とか言うしね。こういう擬人化は好きじゃない。

あとはもう言うだけむなしい科学的でたらめさだが、どうしても気になったのは星間通信なのに周波数がどうとか言ってたことと、宇宙船が傾くと床が傾いて滑り落ちる描写。う~ん、まあどこか別の宇宙の話ですからね、宇宙に重力があるのかもね。
まあ、そういう矛盾にくらべたら、胴体を真っ二つに切られても、首が飛んでも血一滴流れないというお約束は、お子様向けだからと納得いくけど。

お話はアホでも英国名優陣を揃えてるからそれだけでも見る価値がある」というのが『ハリー・ポッター』だったけど、それはこっちも同じ。しかもオリジナルの三部作ではアレック・ギネス(オビ=ワン・ケノービ)、ピーター・カッシング(モフ・ターキン)、ピーター・メイヒュー(チューバッカの中の人)、デヴィッド・プラウズ(ダース・ベイダーの中の人)、フランク・オズ(ヨーダの中の人)など脇役だけだったのに、今回は1の主役級がリアム・ニーソン(クワイ=ガン・ジン)とユアン・マクレガー(オビ・ワン=ケノービ)の英国人コンビだし、イアン・マクダーミド(パルパティーン)、クリストファー・リー(ドゥークー伯爵)、キーラ・ナイトレイ(パドメの侍女)となかなか豪華。
他にアナキン役のヘイデン・クリステンセンはカナダ人だし、パドメ役のナタリー・ポートマンはイスラエル人だし、ジャンゴ・フェット役のテムエラ・モリソンは見るからにマオリ入ってるニュージーランド人だし、アメリカ人をあまり見ないですむだけでもありがたい。ただ役者の印象は個性的すぎる『ハリー・ポッター』よりかなり弱い。

starwars03簡単に役者評を述べると、まず感心したのはリアム・ニーソン。いつも醜男だ醜男だと書いてるけど、こんなにかっこいいニーソンを見たのは初めてかも。それにこの人こんなに背高かったっけ? ユアンだって178cmあるのに、彼と並ぶと大人と子供かと思うほど背丈が違う。まあ、あの長身のナターシャ(亡くなった奥さんで私の恋人。詳しくはこちらに)より頭一つかそれ以上でかかったんだから当然か。
そういや、この一家、ダンナ衆は醜男かもしれないが、確実に長身の男性しか選ばないんだよな。女性陣が大きいから当然だけど。この身長にナターシャの美貌が加わってるんだから息子たちはさぞかし‥‥息子さんたち役者にならなかったのかな。今頃ちょうど食べ頃なのにもったいない。

ユアン・マクレガーも見直した。若い頃は二枚目だけどなんか足りない感じだったが、むしろ年取ってからのほうがすごくいいというのがいかにもイギリス人だが。というのもこの人、年に似合わず、まん丸なあどけない大きな目がかわいい顔してるんだわ。不思議とダニエル・ラドクリフみたいに子供の頃そうだった人は大人になってもちっともかわいくないのに。おひげも柔らかなブロンドの髪型も似合ってる。ただこの人はチビなのが惜しい。
それに較べるとヘイデン・クリステンセンは見るからに目つきが悪いが、これは悪役だからこれでいい。背高いし。

ナタリー・ポートマンはとにかく美人なので『レオン』のころから愛してる女優さん。そして私が期待した通りの美女に成長したが、あまりにも完璧な美女過ぎて、女優としては物足りないと思うのはないものねだりだろうか?
同じく『ハリー・ポッター』のハーマイオニ、エマ・ワトスンも子役の時から期待して見ていたのは同じだが、彼女もやっぱり大人になっても美女だったけど、エマはそこまで完璧でない、隙があるぶん愛嬌や色気があるような気がする。うちのお嬢さんたちもそのタイプよね。
美女という点ではキーラ・ナイトレイも好きだったけど、これを見てナタリー・ポートマンの影武者やるぐらいでそっくりなのに驚いた。確かに彼女も何か足りないって気がしてたんだけどこれか。というか、この人たちみんな背が低いのが私的にはダメなんだけど。

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素顔も瓜二つのナタリーとキーラ。二人ともほんとに美人だ。

期待していたクリストファー・リーはまだ若くてかっこよかったし、出番も多くアクションもかっこよかったのはいいんだが、あいにく吹き替え版であの声が聞けないんでは私的には5割安。したがってほとんど印象に残らなかったのは残念。

あとはなんだ? やっぱりダース・ベイダーについては何か言ってあげなきゃだめか。ジェダイの騎士が暗黒面に落ちるからには、なんかもっとすごいことが起きるのかと思ったが、元々の思い上がりと自己中に加えて、単にお母ちゃんを殺されてむかついたからタスケン・レイダーを皆殺しにした、パドメが死ぬのが怖かったからジェダイを皆殺しにした、というだけか。
ダークさは期待するだけむだなのは知ってたが、いまいちどころかまるでその苦悩が描き切れてなかったね。ただの切れやすい奴って感じで。あまりに簡単に一線を乗り越えちゃって。
だいたいジェダイはタスケンの時点でこいつを仲間にしちゃまずいって気付かなくちゃ。いくら相手が悪人でもリンチで女子供皆殺しにしても務まるジェダイの騎士って、やっぱりヤバい気がする。それ言ったら、明らかに怪しいパルパティーンを野放しにしてるのもだめだが。
パドメの死も、ルークとレイアの誕生も、「ふ~ん」という感じで何も感じなかった。むしろ出産シーンをオビ=ワンやヨーダに見られてるのってやだなーという感じで。けっこう人が死ぬのにまるで泣けない映画っていう点でも『ハリー・ポッター』と同じだな。私はほんとつまらないお涙頂戴映画でも泣けるのに。

あえていいところを言えば‥‥「ジェダイ」という名前自体がここのビデオでわかるように黒澤明由来(時代劇の「時代」のこと。他にも黒澤からの引用多数)なんで、ジェダイ、ジェダイと言われるたびに黒澤を思い出してちょっと気分がよくなることだけか。そうそう、ヨーダの原型が志村喬、じゃなかった、『七人の侍』の勘兵衛であることがわかるジェスチャー(考え込むときハゲ頭をくるりとなでる癖)も、ちゃんと新シリーズでもやってましたよ。こういうところでオールドファンをうれしがらせようという魂胆か。
そうそう、黒澤明シリーズもやめちゃったわけじゃなくて、ほぼ全編書き上がってるんだけど、仕上げをする時間がないだけ。近いうちにアップします。後半は悪口になるからおもしろいはず。

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