★【ゲーム評】Skyrim事始め その7.ここがだめだよ、Skyrim(3) ビョークはブジョルク?

空がきれいだったから写真を撮ろうと思ったんだが、思いがけずかっこいい写真になった

その13.翻訳がひどい

ってのは今回は言うまいと思ってたんですよ。翻訳のむずかしさは自分が誰より知ってるし、翻訳ゲームの訳がひどいのは毎度のことだし、たかがゲームに完璧を求めるなよと。
でもここまでひどいとは思わなかった(笑)。なにしろいきなり「へ スカイリム」だからね。何かと思ったら、英語の「To Skyrim」の直訳というだけ。誤訳と言うよりシステム的なものだが、ユーザーの非難ごうごうなのに、これでいいと思って出しちゃうあたりの日本語版制作者の神経を疑う
しかも発売から5年もたった今でもまだ直されてないあたりもひどい。一度出したら改訂はむずかしい書籍の誤植と違って、ゲームなんて随時バグ取ってアップデートしていくものなのに。有志のパッチとかはあるみたいだから、技術的に不可能ってわけでもあるまいし。
『氷と炎の歌』のカナ表記なんか、早川書房は既刊書をすべて絶版にして改訂するという大技をやってのけたが、それよりはるかに売れているゲーム、しかも改訂には一文もかからないですぐできるのに、それぐらいしないなんて、やっぱり日本のゲームハウスはダメすぎる。

それで当然ながらここでもひどいのはやっぱり固有名詞のカナ表記。小説ではこれはあまり責められない。名前なんてどのようにも読めるし、いちいち作者に確認しないかぎり、本当の読みはわからないから。実際、氷と炎の歌だって、テレビ版の『ゲーム・オブ・スローンズ』が始まるまで誰も間違いに気付かなかった。
だけど、最初から音声が付いてるゲームでこれはないでしょう。私は英語音声、日本語字幕でプレイしているから、よけいその間違いが目立って気に触る。耳から入る情報と目から入る情報が食い違うのはものすごくイライラするってのは、映画でも同じなんだけど、ゲームは(バグで何度も戻るせいもあり)同じセリフを繰り返し聞かされるから、そのイライラも倍増する。

ただ、最初に断っておくと、『ゲーム・オブ・スローンズ』がまさにそうだったように、固有名詞の読みは役者によってけっこうバラバラで、これが正しいと言い切れるものではない、っていうか、ネイティブはそれっぽく聞こえさえすれば、そこまで発音なんて気にしない。むしろもともと適当な発音を、もっと適当なカタカナで読まされる日本人のほうが気にさわるというだけ。だから、私がここで書いた「正解」以外の発音をする人もいて当然なので念のため。

前述のように、固有名詞は基本的に英語名だが、少しだけ北欧語や、ラテン語や、ゲーリック(アイルランド・スコットランドのケルト語)っぽいのが混じっているんだが、場合によってそれを英語読みしているときがあるかと思えば、そうでないものもあって、もともと統一が取れていない。ただ、基本はやっぱり英語だから(そもそも音声は全部英語だし)、英語の常識から外れた読みはおかしいと疑っていい。
なのに、日本語訳は完全に自己流、というか、これって台本渡されただけで、ぜんぜんゲームは見ないで訳してるよね。
だからソフトハウスの姿勢は問題だけど、訳者を責めるつもりはない。たぶんあまり経験のない翻訳者が、安い原稿料で無理な期限を強いられ(翻訳なんてそれが普通です)、徹夜で朦朧とした頭で書いたんだなと思えば許せる。ただ、どうにもイライラさせられるので言うだけ言わせて。

致命的な誤訳はむしろ少ないほうだろう。人名のElisif the Fairは公正なエリシフと訳されているが、若く美しい女性であることを考えれば間違いなく麗しのエリシフ
ペラギウスの羽ってどんなアイテムかと思ったら、王宮の一角の名称。このウィングは南ウィングとかいうときの(よく)ですね。「ペラギウスの羽の鍵」と出てきたところで訳者は気付かなくちゃ。
ちなみに「ペラギウス」(Pelagius)は気持はわかるが、ゲームでは思い切り英語読みの「パレイジアス」と呼ばれてるんだが。実在する名前だから歴史的読みを使いたくなるのはわかるが、本物のペラギウスとはなんの関係もないし。だいたい本物のペラギウスもイギリスの人だし。
なんとか工場というのがたくさんあるから時代的におかしいと思って行ってみたら水車小屋だった。Millかよ。
トレジャーハウス(Treasury House)と聞くと、お宝がいっぱい保管してある宝物庫かなと思うが、これは現代なら財務局、この時代なら財務長官のオフィスか。

でも目立つ誤訳は少ない。気になるのはやっぱり発音! 耳と目からの情報のコンフリクトだけでも疲れるし、頭の中でいちいち読み替えるのに疲れた。
翻訳は非英語はすべてローマ字(ふう)読みにしてるが、統一は取れてないし、単なる綴りの見間違いとか初歩的ミスがそのままになっている。校正もしてないな。

いちばん気になるのはdraugr(ドローガー)がドラウグルになってることかな。なんだ、それ? この綴りでどうやってドラウグルなんて読むんだ? 画像サイトのImgur(イミジャー。日本風に書くならイメージャー)をイムグルと読むみたいね。

こういう母音の省略は英語では普通なんだが(そもそも母音を発音しないことも多いし、省略しても通じる)、逆に存在しない母音を付け加える傾向のある日本語とは徹底的に折り合いが悪いことがよくわかる。
Jorrvaskrもしょっちゅう目にする単語だから、ジョルバスクルと言われるたびに背中がむずむずする。正しくはヨーヴァスカー

北欧語っぽい固有名詞にはjがつくのが多いが、北欧じゃjはyと発音するので、Jarlも当然ジャールじゃなくてヤールね。これは絶対間違ってるだろうと思ってたら、「首長」で逃げたので助かったけど。
だから、Mjollはムジョルじゃなくてミョル、Skjorはスコールじゃなくて、スキュアとなる。スキョアじゃなくてスキュアなのは英米人が「キョ」を発音できないため。だからTokyoがトキオ、Kyotoがキヨトになるわけ。(だけど日本人の耳にはキュア=cureが「キョー」と聞こえる不思議)
しかしスカイリム流だとBjork(ビョーク)はブジョルクになるんだな(笑)。ひでー! ていうかもしかしてこの訳者、舞台は北欧(ぽい所)だってことすら知らされてない? まあそれでもこれだけ北欧語っぽいのが出てきたら気付かなきゃ変だけど。

語頭のhはサイレントになるのが普通だし。だから、whatやwhaleはホワットでもホエールでもなく、「ワット」「ウェイル」ね。(アメリカ人には語頭のhを発音する人もいる)
Hjerimは明らかにヒジェリムじゃなくて、英語で言うとイェリム。Hrothgarフロスガーじゃなくて、普通にロスガー。だいたいフロスガーってもし英語だったらどう発音するんだ? 思い切り息を吐き出しながらRと言ったら、ドラゴン語みたいになったぞ。
同様に、Odahviingはオダハヴィーングじゃなくてオダーヴィング。その「ハ」ってのはなんだ。だったら同じドラゴン語のドヴァキンDovahkiin ドラゴンボーンのドラゴン語訳)はドヴァハキーンにしなくちゃおかしいのに統一されてない。
Hjaalmarchはハイヤルマーチじゃなくてヤールマーチ

かと思うとゲーリックだから絶対読めないだろうと思うCuSith(クーシー)は正しく表記されてるからわからない。

RやLを「ル」と書くのは異国っぽい感じを出すためかもしれないが、私は中二病っぽくて嫌い。『指輪物語』でさえボロミア、ファラミアで、「ボロミール」「ファラミール」とは言わないのに、こっちはFalmerファルマー)はファルメル、Garmr(ガーマー)はガルマル、Mercer(マーサー)はメルセルMarkarthマーカース)はマルカルス、Falkreath(フォークリース)はフォルクリースにしないと気が済まないみたい。存在しない「ル」を付け加えてるのまであった。ルばっかりで舌噛みそう

あと気になったのはやっぱりしょっちゅう出てくる単語で、Alduinはアルドゥインじゃなくてオルドゥイン、Chaurusはシャウラスじゃなくてカウラス(またはコーラス)だし、Irkngthandはイルクンサンドじゃなくてアークンサンドだし、Dwemerはドゥーマーじゃなくて、綴り通りドウィマーだ。ドゥーマーといえば誰でもDoomerを思い浮かべるので、そっちだと思ってる日本人は多いんじゃないだろうか。

Archmage(アーチメイジ)を「アークメイジ」と書くのもやめてほしい。何度も何度も出てくる単語だし、RPGではおなじみの職業名なのに。もしかして和製RPGで「アークメイジ」と呼んでるのがあるのか?
もっともArchangel(大天使)は英語でも「アーチエンジェル」じゃなくて「アークエンジェル」だし、英語も統一が取れてないから混乱するのもわかるけど。

あとはいちいち覚えてないが、Karliahはカーリアじゃなくてカーライアサイジック会シジック会、Malyn Varen  はメイリンじゃなくてマーリン
Mehrunes Dagonはメエルーンズ(得意のハは入れないのか)じゃなくてメイルーンズ、Vaerminaはヴァーミルナ(このルはどこから?)じゃなくてヴァーミナ。まあ、デイドラ・ロードは意図的に非英語的な名前が付けられているから、発音は向こうでも議論されてるけどね。しかしエイドラ/デイドラで対になってるのに、エイドラは翻訳じゃエドラになってるし。

当然ながら、MODとかはボランティアの有志による翻訳ができていて、そういうのはマニアが集まって作るから、(私は見たことないけど)そっちのほうがよっぽどちゃんとしてるんじゃないか? こんないい加減な翻訳ならファンに任せたほうが‥‥とはさすがに思わないけど、校正ぐらいやってもらえばいいのに。と思ったが、「ほとんど機械翻訳ですが」なんて書いてるからやっぱりダメだ。
日本語固有名詞の誤訳を直すと称したMODまでできてるが、そっちはそっちで相変わらず「ドラウグル」流だからあてにならないし、要するに「僕の考えたスカイリム」の自己流翻訳でしかない。日本語MOD入れるとこれが付いてくるみたいだから、やっぱり私は全部英語でやるつもり。

なんか最近、本でも映画でもこの手の「有志」による誤訳探しが増えてるけど、あっさり信じないように。その中に専門家はひとりもいないことは断言してもいいし、そこに書かれた「正解」がまた間違ってるから。プロはそれほど暇じゃないからいちいち指摘しないけど。
後述する「長屋」みたいに、歴史好きなら真っ先に突っ込むであろうところは誰も触れてないし、歴史マニアが集まってるのかと思うとそうでもない。(ちなみに架空世界なのにここまでバイキングの風俗が念入りに再現されているのは、向こうはバイキング・マニアが多くてうるさいせいだろう)
おおかた、2ちゃんねるあたりで声のでかいやつが「これはこうだ!」と主張したのを、他の奴らが「よく知らないけど、そう言うならそうなんだろう」と納得して拡散してるんだろうが。
だいたい、聞けば一発でわかるような固有名詞が直ってないところを見ると、こういうの作った人たちは英語版を聞かずに書かれたものだけ見てあれこれ言ってるとしか思えない。

おもしろいのは、日本語版の発売がかなり遅れたせいもあり、先に英語版を買ってプレイしてた熱心なファンは昔は2ちゃんとかでも正しい発音で書いてたこと。だけど今はみんながこの嘘表記で書くしかない。というのも、正しく書いたら他の人に言ってることが伝わらないから。そのせいか、日本語Wikiは必ず英語を併記してるね。
まったく英語の固有名詞にはいつものことながら頭が痛い。本や映画じゃそうはいかないが、ゲームぐらい、固有名詞は原語のままでもいいのに

ところで、「英語版の日本語化」をしないとMODひとつ入れられないという不便を強いられている日本人だが、理由は英語は1バイト文字なのに日本語は2バイト文字だというたったそれだけのことなんだそうだ。う~ん。もう洋ゲーやる人はゲームぐらい英語でやればどうかね? フリゲでは日本語版なんてないからそれが普通だし、小学生でも辞書引きながらやってるし。
このゲームは私ですら最初ビビったセリフ量だから大変かもしれないけど、それは最初のリバーウッドでの会話が長かっただけで、あとはそれほど長ぜりふってないし、この程度なら字幕があれば高校出てればわかるはずだから。むしろこのゲーム全部英語でやれば、英語力も飛躍的に向上しますよ

しかし『ホビット』の「僕チン」を見ちゃうと、これぐらいかわいいもんに思えてくるね。商業出版であの破壊力だから、ゲームの誤訳ぐらいほんとどうでもいい。

その14.NPCの不満

あと、これは翻訳のせいじゃなく、たぶんシステム的な問題だが、NPCのセリフ、なんとかならなかったの? 男女のセリフがときどき入れ替わって、女がすごいぶっきらぼうな男言葉で話す。かわいらしい若い女の使用人としゃべっていて、それまですごくていねいな受け答えをしていたのに、会話を打ち切ろうとしたら「じゃあな」とか言われたのでずっこけた。
かと思うと、偉そうなジジイの首長が突然女言葉で話し始めて、あまりの気持ち悪さに引いたことも(笑)。同様にていねい語とそうでないのが、まざっている。
最初は英語には男女の言葉の違いやていねい語が少ない(ないわけではないし、そこはゲームでもちゃんと区別している)せいかと思ったが、英語は普通だから日本語版のミスだろう。

完全なAIなんて望まない(ほんとはこの規模のゲームならそれぐらいしてほしいけど)。せめて年齢、性別、種族、プレイヤーとの関係で口調が変わるようにしてよ! これまたテキスト主体のゲームをずっとやってきて、それぐらい当然だと思っていたのでむかつく。
Elonaなんて口調だけでも10何種類あったし、自分でも自由に作れたのに、これはみんながみんな同じ口調。もっともElonaはキャラによってセリフの語尾だけ入れ替えることでこれを可能にしていたけど、元が英語のSkyrimでは無理なんだろうけど。
無個性なセリフや、何度話しかけても同じことしか言わないのもロボットみたいでがっかりだし。

でもいちばんロボットみたいなのは主人公かもしれない。これの理由はわかる。男女別のセリフを用意してないので、どっちでもいいように汎用のセリフですませてるんだろうが、おかげで何を言われてもロボットみたいに「〇〇だ」とか「〇〇か?」みたいな必要最小限しかしゃべらない、没個性なしゃべり方になってしまって気持ち悪い。

あと不満はというと、そうだ! 名前付きのNPCが死んじゃうと生き返らせる方法がない。(デバッグコマンドを使えばできる) うちの塔には住み込みの商人がいるんだが、ある日ダミーに向かって魔法のトレーニングに励んでいたら、いつのまにか後ろに来ていた商人に範囲魔法が当たったようで死んでしまった。「俺の後ろに立つな!」(実はまともに戦うと、この人は勝ち目がないほど強い)
私はてっきりリスポーンするものと思って、時間経過させたり、いったん出てから入り直したが、死んだまま。しかも恐ろしいことに、死体を片付けることもできないことに気付いた。

ていうか、このゲームの主人公、すごい能力持ってるくせに、手に武器以外のものは持てないんだよね(笑)。うちの地下室には鉱石のインゴットをきれいに並べた棚があったんだが、不器用な私はその棚にぶつかってインゴットを落としてしまった。ところがこれを元に戻すのが大変。
いちおうE長押しで、アイテムをつかむ・放す機能はあるんだが、これがクレーンゲーム並みにコントロールがむずかしく、棚の上あたりに落とすのがせいぜい。ところが、アイテムはきちんと物理エンジンで動いてるので、落下の衝撃で他のインゴットまであっちこっちに散らばってしまう。ああー! ここは鍛冶でしょっちゅう使うのに、こんな乱雑な仕事場で仕事したくない! (現実の仕事場はどうでもいいらしい) 普通にマウスでつかんで持てるようにしてくれ!
まして死体なんて持てないし、焼いてもなくならない。ゾンビ化して倒して消せないかと思ったが、それも無理。こうなったとき、Elonaなら「死体を食べてしまう」という究極の処理法があるのにね(笑)。あの世界は素材を「なまもの」に変えてやれば、机でも溶鉱炉でも食べられるけど(笑)。悩んだあげく結局セーブデータから戻ったよ。しかし、死体の始末に悩む殺人犯の気持ちがよくわかりました。

しかもMODのNPCならまた入れれば済むことだが、ゲーム本体のNPCも死んだら復活しないらしい。ええー? 町や村をドラゴンや吸血鬼が襲うランダム・イベントもあるのに? それじゃクエスト達成もできないし、いずれはゴーストタウンになってしまうんでは?
クエスト関係のNPCは不死だが、それ以外は普通に死ぬので、だんだん人口が減るみたいですね。ただでさえ少ない村人は殺したくないからランダム・ドラゴンが湧くのを抑止するコマンド使ってるけど、なんのためのドラゴンだよ! 村の焼き討ちはRPGのいちばん楽しいところでしょ!(笑)

で、やっぱりこれもただのしゃべる看板なんだなと。スカイリムのNPCの画期的なところは、全員がちゃんと仕事や生活リズムを持っていて、プレイヤーがいないところでも、それに従って生活しているところだと言われる。これは確かにすごいと認めよう。
ただ問題はその動きが見るからにプログラムされたロボットみたいに見えることだけ。表情が変わらないのでよけいそういう気がする。ここがシムズとの違いか。もっともシムピープルも表情変わらなかったけど、あれはグラフィックが粗すぎて表情まで見えないからあれでよかった。なのにこれだけ実写に近付いたグラで無表情ってのはちょっと怖い。
(実はこれでも表情は変わってるらしい。ほほえむこともあるって読んだ。見たことないんで信じられないが。あるいは微妙すぎて見ても気付かないレベルか?)

だいたいNPCが生きてる感じがしないんだなあ。和製RPGのNPCを「人の形をしているだけのただの看板」とバカにしたことがあるが、こっちはグラフィックの出来がいいだけで同じ感じがする。雑魚キャラは同じことしか言わないし、主要キャラでも決まったセリフを繰り返すだけ。会話は選択式だが、これもしょせんはすべて選択して返答を聞くだけの本を読んでるみたいなもの

と感じるのは、私がテキスト量(だけは)超豊富なローグライクに慣れすぎてるせいだろう。もちろんあれだってテキストデータに入ってるセリフをしゃべってるだけなんだが、そもそもセリフ量が多いだけでなく、状況や、プレイヤーの選択に応じてどんどん言うことが変わるし、ほっといてもひとりで勝手にしゃべりまくるし。
ElonaのNPCなんかセリフは少ないし、アニメーションすらしないただの絵だが、勝手に食べたり飲んだり、酔っ払ってケンカを始めたり娼婦を買ったり、本当に生きてるみたいだったのに。この映画みたいなきれいなグラフィックで、ただのデク人形というのはかえってつらい。

でももっとむかつくのは英語版のセリフ、というかセリフのない人。定型のセリフしか言わないし、クエストにも関係のない一般人でも、各町にいるガードはいちおう状況によって言うことが変わったりするし、なんらかの意味のあるセリフを言うからまだまし。
問題はそれ以外の人物で、ほとんどが「は!」とか「あ?」しか言わない。しかもそれが思い切り人をバカにした調子なので、思わず無礼打ちにしたくなる。
なんで? せめて「やあ」とか「おはよう」ぐらい言わせても損はしないと思うんだけど? そうじゃなければ何も言わないとか。とにかく家で使用人とすれ違うたびに「あ?」とか言われるのはうんざりだ。
定型セリフを変えるMODってないのかしら?(もちろんあるし入れた)

その15.Political Correctnessがうざい

もう言うまでもないと思うけど、私はこの手の言葉狩りには大反対だ。そもそもこんなアホなことやってるのはアメリカ人だけだし、アメリカ人なんて単なる辺境の田舎者なのに、英語の伝統を破壊し、アホみたいな造語で英語を汚染する権利はまったくない。

ただ、今にして知ったが、この手の運動は言葉狩りだけじゃなく、ゲームにまで浸透してるのね。そういえば、日本のアニメがアメリカで放映されるとき、ほんとにつまらない部分まで改竄されているというのは聞いたことがある。
まあ、子供が見るものだから血やおっぱいが消されるのはわかるけど、くわえタバコがロリポップに変わってたり(あめ玉くわえたおっさんって! いやそれはそういうキャラとしてありかも)。
かと思うと、私が今熱狂している『アドベンチャー・タイム』(Skyrimの主人公もフィンの名前をもらってる)は、見かけこそ幼児向けアニメだがアメリカ版はえっこうエグいのに、日本版だとエログロ暴力シーン(と言っても、あの絵だからかわいらしいものなんだが)はカットされているという不思議。微妙に基準が違うのか、日米ともテレビ局が場当たり的なのか。

同じことがここでも行われていて、やたらめったら人が死ぬ、しかも後味の悪い話が多いSkyrimでも子供はすべて不死属性を与えられ、殺すことができないようになっている。ローグライクでは純真な少女やはなたれ小僧の死体の山を作ってきた私は、それだけでも理不尽さを感じる。
さらにDark Brotherhood(ギルドのひとつ)の一員のバベットという少女は、見かけは子供だが、実は300年以上生きてる吸血鬼で、その外見を利用して人を殺してる(時には色仕掛けで)ひどいやつなんだが、子供に見えると言うだけで殺せない仕様になっている。Dark Brotherhood殲滅のクエストでも、彼女だけはどこかに消えているという念入りさ。

ふーん? 教育的配慮ってやつ? でも首ちょん切ると血が吹き出るようなゲームを子供にやらせるのはかまわないわけ? もちろん当の子供はそういう残酷なゲームの方を好むし、ゲーム内で子供が殺されてたって屁とも思わないので、やっぱりこれは単なる政治的配慮だ。

アメリカでは子供を殺すのはいけないが、大人を殺してその肉を食べるのはなんら問題ないらしい(笑)。ところが日本ではこっちが問題らしく、ゲーム中のHuman Flesh(人肉)は奇妙な肉、Human Heart(人間の心臓)は奇妙な心臓に置き換えられている。その訳のほうがよっぽど奇妙な翻訳だよ! そもそもこのゲームの主人公は、吸血鬼になれば人間の血を吸う、狼男になれば人肉を食う必要があるんだが、そこはどうしてるんだろう?

女性差別・民族差別についても違和感大あり。前にもアメリカのファンタジーや時代劇がダメな理由として書いたのを思い出してほしい。

要するにアメリカの時代劇はいつの時代だろうとなに人だろうと、みんながみんな現代アメリカ人のように考えて現代アメリカ人のように行動するんだよ。それでそもそも私がジョージ・R・R・マーティンの『氷と炎の歌』とかダン・シモンズの『イリアム』をすごいと思ったのは、登場人物の行動や心理があまりにも人間的でありながら、同時に我々現代人にとってはきわめて異質で理解しがたい部分があるってことなんだ。別の時代の別の人種というだけなのに、同じ人間とは信じられない感じで。(★【映画評】センチュリオン(2010)Centurionから引用)

このゲームがまさにそれなんだよな。「異世界もの」だからなんでもいいようなものだけど、このゲームのスカイリムは明らかにスコットランド・北欧あたりを舞台にしているし、主な住民であるノルド(Nord)は明らかにバイキングをイメージした人種(長身・金髪碧眼・あと史実によると実際はかぶってなかったそうだが、あの角付き兜)で、北欧語の名前が付いてて、バイキングのロングハウス(これも「長屋」と訳してるのはひどすぎる)に住んでるし、バイキングの話と考えて当然。
それでもってバイキングと言えば、(当時のヨーロッパ人から見れば)蛮族そのものの残酷で野蛮な脳筋人種で、実際ゲーム中のノルドの言動もそれに倣っている。

だけどスカイリムは人種的平等と男女平等が行き渡った国なんだよね(笑)。

かろうじて現在のノルドの本拠地であるウィンドヘルムではエルフが差別されているようだが、エルフとスカイリムはそれとは別の政治的問題を抱えてるからちょっと話が違うし、他の地方の政府高官には異人種がまじっている。
カジート(猫族)は町には入れてもらえなかったり(ジプシーかな)、エルフは嫌われてたり、というのはあるが、それでもちゃんと市民になってる異人種はたくさんいて、そこも私のイメージには合わない。タムリエル南部のシロディールのイメージは古代ローマだそうで、ならば各地の異人種が混ざり合って暮らしているのはわかるが、スカイリムではあり得ない。

でもそれはどうでもいい。だけど(これもやっぱりマーティンの『氷と炎の歌』を読んで目覚めたのだが)、男女がまったく平等に戦士として扱われてるのはどう考えてもおかしい。特にCompanionsと呼ばれる戦士ギルドは、まさにノルドの伝統を受け継ぐ、脳筋ばかりの戦士集団のはずなんだが、団員の半数は女だ

ああもうありえませんね。日夜腕を磨くために殴り合いしてるような集団で、女がどうやってあのプロレスラー体型のゴリラ男どもと渡り合ってるわけ? たかがゲーム、および、こういうゲームのユーザーの大半を占める根暗なおたく男性は、ゴリラ男しか出てこないゲームは好まないということを考えても白ける。マンガの『アドベンチャー・タイム』ですらこれよりはリアルだ。
私が今回主人公を女にしなかったのも、そのへんのロールプレイを考えてだが、女戦士が肩で風切って歩いてる世界じゃ無意味だった。女は同様に政治にも進出してるし、あらゆる面で男と平等のようだ。
あーあ、こんなのねーよ! バイキングなんて男はすべて殺す相手、女はすべて強姦する相手としか考えてないのが普通じゃん。(そのへんは、心優しい「進歩的な」バイキングを主人公にした映画『エリック・ザ・バイキング』を見るとよくわかるし、すごい笑えるのでおすすめ)

さらに同性婚可というのも、Elonaならわかるが、この世界観で同性婚???と思ってしまう。どう見てもアメリカ知識人の好みだよね。ほんとのノルドだったらホモっていうだけで殴り殺されると思う。

とまあ、不満は尽きないが、それでも‥‥

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