★★★【アニメ評】ひぐらしのなく頃に/ひぐらしのなく頃に解 (2006-2007) 第二部

『ひぐらしのなく頃に解』の主要登場人物
後列左から魅音、詩音、圭一、レナ、沙都子、羽入、梨花

こちらはテレビアニメ版第二部に当たる、『ひぐらしのなく頃に解』の主題歌フル・バージョンです。あとで述べるようにこれも良曲なのでBGMにどうぞ。

第一部からの続き

グロシーンにしても、グロや残酷より、悲しみや哀れさのほうが先に立つ。たとえばこれ、嫉妬のせいで雛見沢症候群を発症した詩音が沙都子を殺すシーンだけど、幼い子供を殺す残酷さよりも、彼らが抱えている闇の深さのほうがよっぽど恐ろしく、しかもその原因がそれなりに理解可能なものなことがよけい恐ろしく、決してショッキングなグロアニメではなく、深い悲劇になっていることがわかる。
さすがにこれは抵抗覚える人が多いと思うので、再生注意です。(『ひぐらし』をご存じない方は先に下の解説を読んでください)

話を知らない人のために、この場面の背景事情を補足しておくと、詩音(緑髪)はもともと園崎家という闇深い一家に生まれ、しかも不吉な双子の妹ということで、姉の魅音とはいろいろ差別されて日陰者として育っている。(原作だと実は魅音と詩音は子供の頃に入れ替わっているという、さらにややこしい設定がある)
園崎家と北条家は「ダム戦争」を巡って敵対したリーダー同士で、当然家同士も反目しているのだが、詩音は北条家の少年悟史(さとし。沙都子の兄)に恋をしてしまう、という『ロミオとジュリエット』的状況。そのため、当主の祖母と次期当主の姉に「けじめを付けろ」と言われて、指詰めならぬ生爪剥がし拷問を受け、家と家族に対する憎悪をつのらせているところへ、かんじんの悟史が失踪して、てっきり祖母や姉が悟史を殺したと思って恨んでいる。

一方の魅音(檻に閉じ込められてるほう。この子もこのあと詩音に殺される)は、双子の姉妹でありながら不当な扱いを受ける詩音に同情し、爪剥ぎ拷問は掟だからしかたなくしたけど(ここが普通じゃないんだが)、詩音だけが責められることに耐えられず、罪滅ぼしに自分の爪も剥いでるぐらい妹を愛してるのにこんな目に遭っている。(原作通りならば、本来なら彼女ではなく詩音が跡継ぎなのだから、そのぶん彼女の自責の念と罪悪感も強いことになる)

悟史と沙都子(金髪)の兄妹は、両親の死後、叔父叔母夫婦に虐待され、二人とも限界まで追い詰められていたが、とうとう悟史(もちろん発症者)は「妹を頼む」という詩音への電話を最後に、叔母を殺して失踪してしまう。残された沙都子は唯一の保護者であった兄の失踪と、叔父による虐待に耐えかね、すべては自分が悪いのだ、この苦境に耐えることが唯一の救済なのだと思い込んでしまっている。

そんな状況で雛見沢症候群を発症した詩音が、自分から悟史を奪った犯人と思い込んだ(悟史が敵だから殺したと思っている)魅音と、(彼女が兄のお荷物だったために、悟史は限界に達したと思っている)沙都子を誘拐監禁し、殺すシーンがこれというわけ。
ここで悲しいのは加害者も被害者も、内心では全員自分の落ち度だと思っていて、自分を責めていること。それでそのストレスがさらに雛見沢症候群を加速させ、さらに周囲を巻き添えにして狂っていくあたり、ほんと永遠に救われない人たちの悪循環なんだよなー。
ただそういう複雑な事情は、全50話を全部見て、こんがらがったプロットを理解してからでないとわからないので、だから全話見ないとだめだというわけ。途中までだとぼんやりとしかわからない。

とりあえずストーリー上の設定では、運命に打ち勝つために必要なのは意志の力だけ。鷹野がここまで連戦連勝なのは、彼女の意思と執念が飛び抜けて強いから。「皆殺し編」であと一歩というところで失敗したのは、羽入だけが絶望に負けて希望を捨てていたからということになっている。
なにしろ梨花が100年なら羽入は1000年ループし続けているらしいから、これもそれなりに説得力がある。でもみんなが戦い半ばで倒れ死んでいくのを見ているうちに羽入が目覚め、人間に化身して仲間に加わるのが最終話の「祭囃し編」というわけ。

梨花と羽入

これも理屈が通っている。なにしろ神様が付いてるんだから、神通力でもなんでも使って悪い奴らをやっつけろよと思ってたから。でも羽入はタイムワープ能力以外は何の力もなく、あくまで見守るしかない傍観者というところが、なんとも歯がゆく、物語的にもおもしろい部分だと思っていた。
しかも、彼女は見守ってるつもりだが、見守られている方は、誰かに監視されているという気配だけを感じて、かえって狂気を加速させてしまうだけというのも、皮肉で悲惨で興味深い。

その羽入が傍観者であることをやめるというのは、確かに一大転機だ。その代わり、人間になったおかげで特殊能力はすべて失われ、もうループもできないし(つまり今度死んだらそれが最後)、梨花も羽入もなんの力もないただの幼女にすぎないという背水の陣も最終回らしい。さて、梨花たちは意思の力だけで巨悪に勝つことはできるのか? って、少年マンガの王道みたいになってきたな。

しかし、そういうところだけは変にリアルなこの作品は、子供たちが力を会わせて巨悪に勝つというご都合主義には逃げない。で、建前は「友情・努力・勝利」なんだが、見ていると実際にここで初めて勝てたのは大人の男(しかも全員チート級の能力を持つ)が加わったからなんだよね。結局、子供だけじゃ何もできない、力のある大人を味方に付けなきゃだめというあたり変に現実的で驚いた。(ていうか、もっと早く気づけよという気もするが)
私は子供が戦うようなアニメをいつも見下してたから、これがすごい新鮮で感心した。もちろん大人でもそんじょそこらの大人じゃだめだけどね。というわけで、梨花たちの味方に付いたのはこういう人たち。

大石蔵人(おおいし くらうど) すでに述べた定年間近の刑事。ずっと雛見沢の事件を追い続けてきた経験と食らいついたら離れない執念の持ち主。
赤坂衛(あかさか まもる) 公安のエリート。梨花の予言のおかげで妻が事故死の運命から救われたという恩がある。
富竹ジロウ(とみたけ じろう) カメラマンというのは仮の身分で、実際は「東京」に所属する自衛官。入江機関の監査役として送り込まれている。鷹野の(色仕掛けも含めた)買収に乗らず、おかげで毎回鷹野に殺される役だが、その不幸な生い立ちに同情し実は彼女に惚れている。
入江京介(いりえ きょうすけ) 診療所の医師というのは仮の姿で、実際は入江機関の所長。「雛見沢症候群」の研究者。鷹野の手段を選ばぬ残酷なやり口に不満を感じていた。ロリコンで沙都子に惚れている。(←これ余計)
園崎お魎(そのざき おりょう) 魅音&詩音の祖母で園崎家(暴力団)の当主。村では恐れられたり憎まれたりしてるが、それは組長としてのメンツがあるからで、実際は優しい心の持ち主であることがわかってくる。彼女を味方に付けることで園崎家の人脈とリソースが使える。
葛西辰由(かさい たつよし) 園崎家の幹部で詩音のお守り役。プロのスナイパー。

なんだ、これ?(笑) 今度はハリウッドのヒーローものみたい。まあ、子供たちも人殺しにかけては百戦錬磨なんですけどね(笑)(記憶がないだけ)。それはともかく、確かにこういう展開は展開で爽快だ。女の子たちがあまりかわいくないのに、この男たちは変に美形ばかりなのも良い。(アニメ版の話。原作ゲームの絵は確かに似てはいるが、女の子たち同様この世のものならぬ姿をしている) 中年太りの大石を除けば、全員ボディビルダーみたいな体つきだし。これはもしかして作画担当の趣味か?

なぜか美形ぞろいの大人の男たち。左から大石、葛西、入江、赤坂、富竹

個人的にはこういう少年マンガ乗りは苦手で、皆殺し編で終わってたほうが好きだけど。マンガやアニメじゃまずないけど、小説なら正義が敗北して終わるのは普通だし。
それに、この祭り囃子編では、主人公のはずの圭一の影がすっかり薄くなってしまう。こうなるきっかけを作ったのは彼なんだけどね。たぶん(ほとんどが男子の)プレイヤーは圭一に感情移入して見るから、これで不満はないのかしら? まあ、こうなったらもうバット振り回す中学生の出る幕ないけどね。

代わりに主役の座に躍り出るのは、梨花でも羽入でもなく鷹野三四。祭り囃子編は鷹野の生い立ちから、もうちょっとで完全勝利する直前での敗北までを描く。彼女にスポットが当たるのは、まあラスボスだから当然だけど、鷹野のキャラはあまりにも非現実的で、いかにも中坊が考えた悪女のステレオタイプ(あのしゃべり方も!)で恥ずかしい。顔は銀河鉄道999のメーテルそっくりだし、キライなのでパス。実際は彼女も駒のひとつにすぎなかったわけで、普通に政界の大物とかがラスボスじゃだめだったのかしら?
まあ、このエピソードは悪役も含め(雑魚は除く)全員生存エンドだから、鷹野を生かすために同情を集めようとしたという感じかな。そして実際、最後の最後で富竹に鷹野を助けさせるところで泣かせる仕組み。
というふうに私はけっこう辛辣な目で見ていたのだが、最後、梨花が部屋の日めくりカレンダーをめくると、そこにはこれまで決して訪れることのなかった7月の日付けがあるのを見たらやっぱりジーンとしてしまった。

さらにアニメ版には、不思議な後日談(?)も付いている。正確にはずっと過去、まだ幼い鷹野(この当時は名前が違うんだけど)が遊びに行こうとするところを大人になった梨花(梨花には時間航行能力などないから羽入という説もある。もともとこの二人はそっくりだし)が呼び止め、「あなた、生きたい? 死にたい?」と問いかける。

少女鷹野と梨花(?)の出会い

これがきっかけとなって、鷹野の両親は事故で死ぬこともなく、鷹野が孤児院へ送られることもなければ、悪魔のような考えに取り憑かれることもなく、幸福に一生を終えることが暗示される。悲劇のそもそもの原因を排除して、鷹野本人にも救いをもたらすエンディングで、ここまでの鬼畜な展開からすると気恥ずかしいけど、これはこれで美しい終わり方だと思う。

もっとも、これで雛見沢症候群がなくなるわけじゃないし、おそらく入江機関も設立されないから、村人たちの悲劇がなくなるわけじゃないし、あの子たちが殺したり殺されたりするのは防げないと思うけどね。まあ、ここで歴史が変わったせいで鷹野のおじいさんや入江あたりが特効薬を作る可能性もないわけじゃないし、ここまでのハッピーエンドぶりを見るとそうなる可能性が大ってことか。

というわけで、個人的にはこのエピソードがいちばん(あたりまえすぎて)つまらないと思うけど、それでもよくきれいにまとめたと思う。マジで同人ゲームの範疇を超えてる。これであのくだらない日常部分がなくて、キャラにもうちょっと感情移入ができたら本気で感動したかもしれない。
でも逆に言うと、主要登場人物すべて(大人の男たち以外)殴りたいほど嫌いなのにこれだけ感動する物語ってすごくない?

どこが嫌いかって、顔は見ているうちに慣れたけど、あのしゃべり方はねーよ! なんで女の子全員、あんなキチガイみたいなしゃべり方にしたんだ? それとも萌えアニメだとこれが普通なの?
あるブログで、女の子たちがミーミーとかニーニーとか鳴くのは、タイトルの『ひぐらし』に引っかけてあるのではという考察を読んで思わず吹き出してしまった。セミかよ! 確かにミンミンゼミとかニイニイゼミとかいるがね(笑)。
年長組が知恵遅れみたいな話し方なのに、幼女三人は「~ですぅ」という感じの「ですます調」(サザエさんのタラちゃんみたいな感じ)で話すのも違和感。まあ、梨花と羽入は見かけはともかく中味はババアだし、それはまだ許すが、梨花と羽入が「僕っ子」なのもまだ許すが、沙都子、貴様は許さない!
ある意味、身も蓋もないロリ・キャラ(ロリコンの入江のターゲットは沙都子で、彼女と結婚したいらしい)、それもお涙頂戴のかわいそうな女の子のはずなのに、それをなんでここまで憎たらしく作らないとならないわけ? (沙都子は被虐待児童のくせに、高飛車なお嬢様口調で話す。「おーっほっほ! しょせん平民にはわからないでございますわよ!」みたいな。ちなみに年齢は8歳ぐらいである) それともおたくってこういうのがかわいいと思うのかしら。知りたくもないけど。

でも本当にそうかもしれない‥‥と思うのは、今やってるSkyrimで日本人男性プレイヤーに一番人気の「結婚したいキャラ」は吸血鬼のお姫様セラーナなんだが、日本語版だとこの女がまさにそのしゃべり方で、セラーナは不死属性だから殺せないけど、私は殺せるものなら真っ先に殺したいキャラがセラーナなんですけど。(ちなみに当然ながらこれは日本語版だけの演出で、英語音声は普通。私はどうせ英語でプレイしているから関係ないけど、日本のブログとか掲示板で読むだけで殺したくなる)

不愉快なことを書いちゃったので、ここで口直しにサービスショット。足の持ち主はもちろん鷹野。これほんと好き(笑)。男性キャラは全員すてきなんだけど、やっぱ富竹がいちばんヤバい感じでいいなあ。鷹野も最後までこういう女王様キャラだとよかったのに。最後はよよと泣き崩れて富竹にすがるような女になっちゃってがっかりだよ。

まあいいけどね。私はうざい日常部分はすべて飛ばして見たから。
私がここまで『ひぐらし』に好意的なのはそのせいかも(笑)。ニコニコ動画には早送りがないんで、勘だけで飛ばすのは大変だったんだから! おかげでもしかしたらけっこう大事な伏線や、いい場面もうっかり飛ばしちゃったかもしれないが、それでもあれを見ていたらおそらく途中で切れて最後までなんて行かなかったと思うので、私の選択は正しかった。マジでカット版作ってほしいです。
というのも、最初に言ったように、このアニメはちゃんと最初から最後まで見ないと意味ないから。これら複雑な伏線がモジャモジャの糸のようにからみ合い、最後にバッサリ切って落とされるところが『ひぐらしのく頃に』の醍醐味なんで。私は以前に1話か2話見たけど、どこがおもしろいのかさっぱりわからなかったし、それどころか10話や20話見ても、あるいは第一部か第二部だけ見たのでは、まるで良さがわからないと思う。

とにかく楽しかった。日常部分さえなければ本気でBD買ってもいいと思うぐらい。竜騎士07ってもしかして天才?とまでは行かないが、お話が書ける人なのは間違いない。と、簡単に言っちゃったが、これは稀有な才能なんだよ。つまり、絵が上手な人やゲームのプログラミングができる人はたくさんいるが(あのゲームを見るかぎり、この人にはその才能はまったくない)、まともなシナリオが書ける人というのは、ゲーム業界ばかりでなく、映画でもマンガでも、どこの世界を見渡しても数少ないから。

ならば竜騎士07の作った他のゲームもさぞかしおもしろかろうと調べたのだが、このあと鳴かず飛ばずみたいなので驚いた。いちおう『ひぐらしのく頃に』のあとの『うみねこのく頃に』はそれなりの評価を受けているようだが、アニメも途中で打ち切りだし、それ以降の作品はほとんど話題にも上らない。
そういや昔、炎上事件とかもあったなーと調べたら、『うみねこ』の最終エピソードで、それまでの推理をひっくり返すような「これまでのエピソードは全部、現実の事件を元に作られたフィクションだった」という壮大な禁じ手(ミステリ的には)をやらかしたうえ、ファンをバカにするような発言をしたので炎上したらしい。

ふーむ。私は『うみねこ』はまったく見てないし想像するしかないけど、本当におもしろければネットの炎上なんてかえって人気を加速する燃料にしかならないよね。だいたい、『ひぐらし』だってまともな推理もの、ほのぼの日常もの、サイコホラーなどに見せかけては、あさっての方へ突っ走っていったし、それがこの人の作風じゃないの?
まあたぶん、『ひぐらし』まではついてこられたファンも『うみねこ』になるとついていけなくなっただけだろう。噂ではこれよりさらに複雑な話だというし。
それにしても処女作でこれだけのものを作ったんだし、やっぱり『うみねこ』もチャンスがあったら見てみたい。

それに『ひぐらし』もアニメだけじゃなく他のも見てみたいなーと思っていた。
どうも評判を見ると、アニメは時間の都合でカットが多すぎ、『ひぐらし』の真の姿を知るにはゲームをプレイするか、マンガ(コミカライズ)を読まないとだめだと言う。今さらあのゲームはなあ‥‥。あの独特の絵だけでも抵抗があるし。
マンガはマンガで、エピソードごとにマンガ家が違うし、うまさにもかなりの差があるし、そもそもこういうの描くような人はアレじゃないかと思うし、なかなか食指が動かなかった。
そしたら、オリジナルのゲーム版『ひぐらし』の最初のエピソードが体験版として無料ダウンロードできるのがわかったので、喜んで飛びついた。

ところが‥‥

ここまでとは思わなかった! というのはアニメを見ても感じたことだったが、意味が真逆だよ、こっちは!

とにかく開始後30秒のこの辺の文章で私は鳥肌が立った。

海苔と漬け物と生卵と鮭の朝食を見て、「我が母ながら恐ろしい」って何が? おまえは海苔や漬け物が怖いのか? そしてこのあとは、おかずをひとつひとつ味わっては批評する描写が続く。同様に学校へ行けばみんなのお弁当のおかずをひとつひとつ紹介して品評会が始まる。グルメマンガかよ!
恐ろしいのはこういう文章書くお前だよ! こういうのは学生にもよくいるんで一発でわかるが、典型的な文章書いたことのない人の文章だ。もうこの時点で逃げ腰になったが、とどめになったのはこれ。(レナと詩音の初登場シーン)

アニメの萌え描写も相当脳に来るものだったが、さすがにアニメでは露骨な表現は避けていた。なのに、ゲームだとこの手の身も蓋もない(し、もちろんエロくもない)いかにも中学生が考えたみたいな下ネタがガンガン出てくるのだ。
この時点でゲーム開始後5分もたっていない。しかし私はこの時点で雛見沢症候群レベル4を発病し、「死ぬ! 殺される!」と叫んでダウンロードフォルダごと消しました。これはあかん。

まあ、これは処女作だし、このあとうまくなった可能性もないではないが、とりあえずこんな黒歴史レベルのもの作っただけで死罪に値する。もう二度とこの人のゲームはやりたいとは思わない。だいたいアニメで感じたあのできる感じはなんだったんだ? もしかしてアニメがめちゃくちゃよくできていただけか?
『ひぐらし』の真価を知るにはゲームをプレイしないとだめだと聞いていたのでやってみたんだが、真価ってのが弁当のおかずやガキのチンコの描写ならそんなの知りたくもない

要するにアニメはそういう無駄なおしゃべりをバッサリ切ったおかげで(それでも50話もあるんだが)原作よりはるかにいい(質だけではなく品も)作品になったのか。各エピソードの最初についてる詩(これはアニメにはない)なんかはわりといいし、まったく文才ない人とは思えないんだけどねえ。この頃本当に中学生だったとか?

あと絵も違いすぎる。私はアニメの絵だって気持ち悪いと思っていたが、これを見た後では天使のようにかわいく見えてきた(笑)。よく「手がグローブ」と言われていてなんのことかと思っていたが本当にそうだった(笑)。こうやって見ると、アニメのキャラクターは全員、ものすごい美化されていたことがわかる。
ちなみに絵は最近の方が下手になってる。最新作の新キャラがこれだもん。

なんなんだろうなあ。確かに何らかの才能がある人には違いないし、それなりの成功をおさめたんだから、まともな絵師やまともなプログラマー付けて(あと、まともなプロデューサー)、まともなゲーム作らせようと思うソフトハウスはなかったんだろうか?
Skyrimのモダーで本編顔負けのMODを作ってた人なんて、ベセスダにスカウトされてそのまま社員になっちゃったというけど、日本じゃそういうの聞いたことないねえ。そういえば、日本の同人ゲームElonaなんて、とっくに開発を終えた(というか途中で投げ出した)今も、未だにあれだけ大勢の人がプレイしている傑作ゲームなのに、作者はアマチュアのままなんだよなあ。あれなんかそれこそプロが権利買い上げて、ちゃんとしたグラフィックや音楽付ければ、今でも十分売れると思うのに。(これは嘘。商業作品にするにはヤバい部分が多すぎるし、パロディーも多すぎるし、フリーダムすぎる。もちろんそのアナーキーさがElonaの魅力なんだが)

ゲームはニコニコと違って早送りもできたので、いちおう殺人場面とかがどうなってるかはチェックした。しかしほぼすべてテキストだけ。テキストゲームでもおもしろいというのをSkyrimのリビューで力説したが、それはそのテキストがおもしろい、というか少なくともまともな文章書ける人の場合だけ!
自分で電子紙芝居と書いたけど、本当にそうだったな。選択肢すら出ないで、ひたすらリターンキー連打して先を読むだけの「ゲーム」。絵もすべて止め絵で、キャラが怒ってるとか笑ってるとかの数パターンしかない。原則として今しゃべってるキャラの絵が、写真にぼかしをかけた背景の上に出てくるだけ。音楽が良くて人気が出たとも聞いたけど、この段階ではぱっとしないフリー素材のBGMが乗ってるだけ。

キャラの人格が豹変するところも、この絵の目が猫目になるだけで、アニメーションがないからアクションシーンは絵なし。殺人とかは背景が赤くなる程度。
うん、私、Elonaなら2000円ぐらいは払ってもいいけど、これなら100円(コミケ発売時の値段)でもいらないわ。っていうか、10000円もらってもいらない。ていうか、せっかくアニメで感激したのに、こんなの見たことを時間を遡って記憶から消したい。これまでも原作よりいい映画とかはたくさんあったけど、ここまで劇的なのは初めてだ。
マンガは原作に忠実だから、アニメよりマンガを読むといいという人もいたけど、これをえんえん見せられるならマンガも読めないな。
アニメだと緊迫感があってドラマチックに盛り上がる祭り囃子編も、ゲームだと無関係な脱力ギャグがしょっちゅう出てくるというし、やっぱり原作はダメだわ。

というわけで原作のゲームはあれだが、アニメは評価する。少なくともここ数十年に見たアニメの中じゃいちばんおもしろかった。
アニメのことはよく知らないけど、マンガだとたとえば『デスノート』なんかがプロットが巧妙でうまいと言われるが、あれは私には「ねーよ!」という穴だらけで、いかにも子供だましっていう感じで、ちっとも頭良さそうには見えなかった。その点、こちらはすごい頭脳プレイを感じる。(狂った頭脳なりに)
こないだ書いた『寄生獣』は感動すると言われるが、あそこに書いたように私の心の琴線にはピクリとも触れない。それならこっちのほうがよほどプロットが練られていて複雑だし隙がないし感動したわ。(それでもマンガとしてはどっちもおもしろいことはおもしろいけどね)
いろいろな意味でぶっとんだすごい作品だったが、私、これ好きです‥‥たぶん‥‥。(日常部分を除く)

おまけその1.音楽について

うっかり言い忘れたが、アニメは音楽もすばらしい。特にオープニングテーマ、第一期の『ひぐらしのなく頃に』も、第二期の『奈落の花』も同じぐらい好き。美しさとひりひりした緊張感が同居していて、そこはかとなく不気味で。
特に『ひぐらしのなく頃に』のイントロと、『奈落の花』のエンディングに出てくる、何を言ってるのか意味不明なコーラス部分とノイズが死ぬほど好き。あれ、ネットに歌詞の逆回しと書いてあったけど、検証動画を見てもそうは聞こえないんだけど、なんなんだろう?
アニメの主題歌って、中味とはほとんど関係ない愛だの恋だのい甘ったるい歌がほとんどだと思ってたけど、これは歌詞も主題に合っていてすばらしいと思った。ちなみに歌詞と歌は島みやえい子という人。作曲は中沢伴行
ついでに『ひぐらし』のゲームは『You』という曲がすばらしいという評判だが、私はこっちはどこがいいのかさっぱり。

おまけその2.声優と演技のこと

というわけで、日常部分は脚本も声優のしゃべりもゲロ吐きそうだったんだが、これがシリアス場面になると一変する。というのも、あの気持ち悪いアニメ声や変な擬音で話すのをやめるから。でもその落差があるからかえって、女の子たちの豹変ぶりが怖くておもしろいんだということがだんだんわかってきた。
さらに例の「嘘だーッ!!!」に代表される発狂場面を見て、声優もすごくうまいんだってことに気付いた。これを英語吹き替え版と比較したビデオを見たんだが、かなりそっくりに似せてはいるものの、やっぱり日本語版の方がいいんだよね
英語版はなんというかいかにも俳優が演技してますという感じだけど、日本版は素のキチガイとしか思えなくて(笑)。特にキチガイ笑いと悲鳴に関しては日本人のほうがはるかに上。つまり女の子の気持ち悪い部分に関しては日本人のほうが上っていうことなんだが、おたくってマジでそういうのが好きなの?

ちなみに、女の子たちの中でいちばんしゃべりが気持ち悪いのは、当然ながら幼女の沙都子と梨花と羽入だが、梨花と羽入は見かけは幼女だが実際は100年以上生きてるババア(笑)。したがって、誰も見てないときは地声でしゃべる(声優の地声で)んだが、こういうのって、おたく的にはOKなのかしら? 『マイリトルポニー』のリビューでも書いたように、おばさんが作り声でしゃべるのって気持ち悪くないの?(私は悪い)
ただ、最後の方ではこの二人はもう隠しもせずにみんなの前でも、ドスの利いた大人の声でしゃべるようになってるのに、誰もそのことに気付かないのに笑った。

おまけその3.再び『マイリトルポニー』のこと

実を言うと、『ひぐらしのく頃に』のタイトルだけは前から知ってたけど、アニメを見るよりこの主題歌を聴いた方が先だったんだよね。というのは、これのキャラクターをポニーに置き換えた『ポニーのく頃に』という題のビデオをYouTubeで見て、例によってアニメーションの出来もすばらしかったんだが、その時もいい曲だと思ったので。(上の動画は『ポニーのく頃に』とオリジナルのオープニングを並べた比較映像)

ちなみに梨花の役は前髪ぱっつんが同じトワイライト、泣いているレナはフラッターシャイと、雰囲気もばっちり合ってた。まじでポニーでアニメ化してほしかった。それなら少しは殺意も緩和されたと思うし。梨花が走ってる場面とかは絶対ポニーの方が躍動感があっていいな。
日本語入ってるから日本人作者かと思ったら違った。これよくあるマッシュアップじゃなくて絵も全部自分で描いてるし、ここまでの技術力とポニー愛は日本人にはないな。ちなみにMLPのこの手のパロディーはほとんどすべての日本アニメに対してあるけど、『ラブライブ』は見てもべつにいいとは思いません。

おまけその4.ピンキーは雛見沢症候群?

しかし、リビューでもMLPは日本アニメの影響が大だとは書いたけど、こうやって見比べてると、本当にそっくりだな。キャラが馬なだけで。特にこのアニメはキャラが発狂して豹変したときのキチガイ顔が有名だけど、これってそのまんまMLPのピンカミーナ顔じゃない! ピンカミーナはピンキーパイの本名。ピンキーは普段は明るい元気キャラだけど、ときどき地が出るor狂うとこういう顔になる。これ、どう見ても『ひぐらし』のパロディーだよね。(殺人殺馬はやりませんが)
あと、エピソードによってはトワイライトとか他のキャラが狂うエピソードもあって、どう考えても『ひぐらし』の影響としか考えられない。私がここにたどり着くのも時間の問題だったってことか。念のため断っておくと、MLPはそんな狂気なんてみじんも感じさせない、健全な話なんですけどね。クリエイターたちの遊びがハンパないのよね。

おまけその5.ニコニコ動画について

ただで見せてもらってこういうこと言うのもなんだが、ほんとニコニコって使えねえなあ。私はMLP関係でやむなくいくつか見たことがあるだけだが、長時間張り付いてるとほんとイライラしてくる。見るだけなのにログインを求められるのもウザいが、無料会員だと異常に遅いし、公式配信なのに画質めちゃくちゃ悪いし、早送りも何もできないし。特に最近、完全フリーのYouTubeの画質や各種機能がものすごい上がってるのでよけいそう感じる。
唯一、ニコニコの特徴と言えるのは画面を流れるコメントだけだが、うるさいだけだし、今さらガキどもの感想なんか読んでもしょうがないから切ってるし、コメント読むならYouTubeの英語版の外人のコメント読んでる方がおもしろい。

ところで、この無料配信って、どういうメリットがあるんでしょうねえ? 一部だけとかいうなら、続きを見たさに視聴者が増えるということも考えられるけど。一説ではパチンコの宣伝とも聞いたが、そっちのほうがよけいわけわからん。これのパチンコって何がおもしろいんだ? 何かが揃うとキャラが発狂したり、誰かが殺されたりするのか?
まあ少なくともこの無料配信でファンを一人獲得したし、もしかしてディスク買うかもしれないから宣伝効果はあったが、ゲームの方はもし無料ダウンロードがなければだまされて買ったかもしれない客を確実にひとり逃がしたね。

おまけその6.舞台となった白川郷について

ところで雛見沢のモデルは白川郷で、特徴的な景色だから一目でわかるんだけど、これって風評被害って言わないんでしょうかね?
ゲームのバックの写真は、ぼかしてはあるけどすべて白川郷で撮った写真で、登場人物の家とかもすべて実際にある家の写真だし。(検証したブログを見るとアニメでも忠実に再現されている) まあ、村としては「聖地巡礼」の観光客が増えるのは好都合かもしれないが、個人の家はどうなの? 私なら自分の家で猟奇殺人が起きる話とか放送されたらいやだなあ。白川郷みたいな人気観光地で、そんなニッチなファンが少しばかり増えたってうれしくないと思うし。
それに、どうせ白川郷をモデルにするなら、なんであの特徴的な合掌造りの家を使わないのかも不思議。なんかこのゲームのモデルになった家って、汚い廃屋か倉庫みたいなのばっかりで、とても人が住んでるところに見えないんだが。もしかして住人に訴えられるのを恐れて、そういう家ばかり舞台にしたのか?

これが梨花ちゃんハウスなんだが‥‥どう考えてもキャラと合わないし、土地の名士の娘が住む家とは思えない。

同様に古手神社のモデルになった白川八幡神社は、奉納された『ひぐらし』の絵馬でいっぱいらしいが、ここの賽銭箱の裏って、毎回全裸で腹を割かれた梨花の死体が置かれたところでしょう? 神社の人や神様は気を悪くしないのか?

おまけその7.タイトルと英語タイトルについて

というわけで、いつも英語タイトルの邦題について文句ばかり言ってるが、逆ならいいかっていうとそうでもないという話。ただ英語版翻訳者の名誉のために言っておくと、たいていのアニメの英語版は、よく日本語の微妙なニュアンスをここまで表現したと驚くほどよくできている。(だから私は勉強のためにアニメはわざわざ英語で見る) でもこれはダメだ。

英語タイトルは「When They Cry」(彼らが泣く時)。何これ? Theyって誰よ? もちろんセミのことでないのは確かなんで、主人公たちのこととしか思えないんだが、確かによく泣いてはいるが、世界が違いすぎないか?

ちなみに、私はいつも日本の小説や漫画や映画のタイトルをバカにしている。西洋の有名作品の下手くそなもじり(もちろん最も私の逆鱗に触れたのは『世界の中心で、愛をさけぶ』)とか、まんまのパクリが多すぎるからだが。その中では『ひぐらしのく頃に』はオリジナルで美しい、しゃれたタイトルだと思う。
まずひぐらしという語感がきれいだし、イメージとしてもきれい。古来、ひぐらしは美しいけれどもの悲しい声で鳴くということになってるから、作品のイメージにもふさわしい。
ひぐらしの鳴き始めは6月下旬でまさにこの物語の季節。
「鳴く」をあえてひらがなにして、「く」と一文字だけ赤くしたのもセンスがいいし、そこはかとなく不安な感じをかもし出すのに役立っている。

という、いかにも日本的で微妙なニュアンスが外人にはまったく伝わらない(笑)。だからあえて完全に別のタイトルを付けるというのはわかるが、せめてひぐらしぐらいは残せなかったのか。clear‐toned cicada(澄んだ声のセミ)というのがひぐらしの英名だが、ひぐらしは日本の固有種なので、たぶんそんな虫知ってる人は誰もいないだろう。でもせめてcicada(セミ)だけでも残せなかったのか。
ただ、意外な感じがするかもしれないけど、セミってかなり珍しい生きものというか、世界中でセミが生息する地域って少ないんだよね。特にイギリスを初めとする北ヨーロッパや北アメリカにはほとんどいない。だから外人が日本のアニメを見て、「どうやらアニメでは夏を表現するシンボルになっているらしい、この奇妙なノイズは何なのか?」と不思議がるわけ。イソップ童話の「アリとキリギリス」も元は「アリとセミ」だったのが、セミでは他の国の人に通じないからキリギリスに変えたというのも有名な話。

でもタイトルだけならかえって日本らしい異国情緒があるからcicadaぐらい使っても良かったのにな。でもその声が美しいというイメージはまったく伝わらない。
おまけに「虫が鳴く」というイメージはこれも日本(東アジア?)固有の感覚で、欧米人にはノイズとしか聞こえない。そもそもcryは人間にしか使わないので、あえて訳すならsingかchirpだが、これだとかわいらしくさえずっているような、ほのぼのした感じになってしまい、『ひぐらしのく頃に』の不吉な印象とはかけ離れている。

というわけで、どうしようもないので、なんとなく雰囲気が似てるだけのタイトルにした、という経緯は想像できるので、ある意味やっぱりうまい題名なのかも。
それにおもしろいことに、やっぱり海外の日本アニメファンも熱心な人ほど「原語厨」で、英題あるのにわざわざHigurashi no Naku Koroniと書いてる人も多い。

というところでリビューはおしまい。最後に感動のラストシーンをどうぞ。

広告
カテゴリー: アニメ評, ゲーム評, ★★★(神) タグ: , , , , , , , パーマリンク