【映画評】ロドリゲス&タランティーノ特集その2 ロバート・ロドリゲス 『プラネット・テラー in グラインドハウス』 (2007)Planet Terror

 

レトロ感あふれるポスター

♦ いちおう最初に解題をば。これはグラインドハウスに対するタランティーノのオマージュで、現代にグラインドハウスを甦らせようという企画
♠ グラインドハウスというのは70年代ごろのアメリカのB級映画二本立て上映館のことらしいが、もちろん私はそんなもん知らんし見たこともない。
♣ 『バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所』で書いたイタリアのジャッロ映画みたいなやつじゃないの?
♦ もちろんジャッロも上映したかもしれないけど、これはあくまで映画館のタイプで、そういう流派があるとかいうんじゃないよ。単に低予算の俗悪映画というだけ。
♥ タランティーノやロドリゲスの映画って他のも全部そうじゃないの?
♦ それに舎弟のロドリゲスが乗って、二人で一本ずつ撮ることに。だから本来は二本でセットだったんだけど、日本を含めた海外では単独の映画として別々に公開された。

ロドリゲス&タランティーノ特集もくじ

その1 ロバート・ロドリゲス/フランク・ミラー 『シン・シティ 復讐の女神』(2014)
その2 ロバート・ロドリゲス 『プラネット・テラー in グラインドハウス』 (2007)
その3 クエンティン・タランティーノ 『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)

♠ 実際のところ、若いロドリゲスはグラインドハウスなんて知らなかったそうで、そういう思い入れのあるのはタランティーノだけだったらしいが、とりあえず、フィルムの傷から、色褪せた感じの絵から、ポスターから、架空の映画の予告編から、当時を思わせる小細工があちこちにしてあって、昔を知ってる人にはなつかしいでしょう。
♦ まあ、アメリカのことは知らないけど、私もオールドファンなので、昔の日本の二番館とか思えば、けっこう見慣れた世界だけどね。もちろん二本立てもあったし、フィルムが傷だらけだったり、途中で切れたり(笑)。
♥ ニュース映画がない! ロードショーの上映前にはニュース映画を上演するものだったんだよ!
♣ それはアメリカではなかったか、もっと昔の話なんじゃない?

♣ でもってこれはゾンビ映画です。軍が秘かに開発した生物兵器が漏れ、周辺住民がゾンビ化。ゴーゴーダンサーのヒロイン、チェリー(Rose McGowan)が恋人のレイ(Freddy Rodriguez)や女医のダコタ(Marley Shelton)らとともに、どうやってゾンビから逃げのびるかという話です。
♠ 軍の秘密兵器ってあたり、『バタリアン』かな。
♥ いやいや、『バタリアン』が文科省推薦映画に見えてくるぐらいのウンコ映画ですよ。
♦ 当然ロメロとは天地の差ということ?
♠ 仮にも名前も出してほしくないね。
♣ いちおうロメロ・オマージュも入ってるんだけどね。トム・サヴィーニがゾンビに引き裂かれたりする(笑)。
♦ ていうか、古今のゾンビ映画引用しまくりでしょ。そういうところ、いかにもマニアに媚びてるんだけど。
♠ マニアだがちっともうれしくはなかったぞ。
♣ むしろルチオ・フルチ・オマージュという感じかな。話はB級ゾンビ映画の定番過ぎて何も言うことがないや。

♠ でまあ、それを補う、というかよけいゴミっぽくするのに役立っているのが、アホくさいガジェットの数々。これはさすがに現代ではやる人はいない。
♦ (あきらめ顔で)義足にマシンガンのこと?

犬のおしっこスタイルのマシンガンファイト

♣ あれって何の映画か忘れたが、義手に銃を仕込んだやつのパロディらしいんだけど、この犬のおしっこスタイルでマシンガンぶっ放すのが‥‥
♠ つーか、たとえ足は義足でも手で持って撃ったほうが絶対正確だろ。おかげで歩くこともままならなくなっちゃってるし。
♥ だからそういうまともな突っ込みは無意味だって。まあ、こういうのが好きな殿方もいるんでしょうよ。
♣ ただ、気になるのはチェリーが「私、体柔らかいから」とアピールするのにブリッジしてみせるんだけど、こんなん誰だってできるっていうか、明らかに体硬いのに。
♦ 誰にもできないのはこんな恥ずかしい役を断らなかったということだけ。

♦ ローズ・マッゴーワンって『スクリーム』のブロンドだよね。あの頃はかわいかったのに。
♠ 「マッゴーワン」? 何だ、そりゃ。百歩譲って「マッガワン」だろ?
♥ 日本語表記がそうなってるからしょうがないでしょ。検索のために合わせることにしたんで。別に思い入れもない役者の名前なんてどうでもいいんで。
♦ で何が言いたかったかというと、整形したのか年による衰えなのか、すごい変な顔になってるってこと。
♠ 整形だろうな。この目が引きつったような感じは。
♥ それだけならまだしも、スタイル悪いし、ずんどうで短足だし、おっぱいないし、なんでこの子が主役なんだろう?と思ってしまった。
♠ これがA級女優だったらグラインドハウスっぽくないじゃん。この微妙な感じがいいんじゃないの?
♦ しかしストリッパーとかゴーゴーダンサーとか好きだね。マジでどこがいいわけ、こういうスベタの?

ローズ・マッゴーワンと世界一魅力のないボーイフレンド

♣ でも恋人役のフレディー・ロドリゲスよりはまし。
♦ これが貧相な顔つき体つきのチビのヒスパニックでさ、ほんとになんで選ばれたのか悩むレベル。
♥ 名前が同じだから、てっきり監督のコネだと思ったが。
♠ 監督の親戚じゃないそうだ。

♦ というぐらい主役のカップルがしょぼいので、かえって目立ってしまったのが医師同士のブロック夫妻。(上のポスターの両端の人たちです)
♥ またジョシュ・ブローリンかよ、おえー!
♠ いや、彼はこの変質者っぽい医者役がなかなか合っていた。二枚目は無理だけどこういうのならあり。
♦ 妻といっしょに病院勤めのまともな医者のはずが、なんかヤバい人なんだよね。患者見て笑いものにしてるし、レズの恋人と浮気している妻に対しては異常にサディスティックだし。
♣ でもすぐにゾンビになっちゃって、チェリーとダブル・ヒロインにになるのは奥さんのダコタの方。
♠ こちらはガーターに毒入れた注射器って、やっぱり義足マシンガンよりほどのインパクトはないが、妻の方もやっぱり変だ。
♥ でもこっちのほうがかっこいい。マーリー・シェルトンはけっこうかわいくて、ローズ・マッゴーワンよりはましだと思った。
♣ 目がでかすぎて目玉落っこちそうでこわいよ。

♦ この夫婦には子供がいて、それを演じるのがロドリゲス監督の実子のレベルなんだけど、この子はすぐに死んじゃう
♥ 念のために銃を持たせて、「自分に向けて撃っちゃだめよ」と言ったら、目を離した瞬間にバーン!だからね(笑)。
♠ そりゃシナリオ上足手まといの子供はとっとと殺すに限る。
♥ だったら最初から出すなよー。しかも自分の子供なのに。
♣ いやむしろ普段家でさんざん手こずらされているからその仕返しとか(笑)。
♦ しかしRebel(反逆)ってすごい名前ね。やっぱり頭おかしいな、こいつ。

♦ あと、いちおうブルース・ウィリスも出てるんですが。
♠ 軍人の親玉の悪役でね。この連中は感染してるんだけど、毒を摂取し続けてないとゾンビになってしまうという。
♣ 出番少ないしすぐにあっさり死んじゃう。
♥ 人間のキンタマ集めが趣味の生化学者(Naveen Andrews)は?
♠ 意味わかんねーよ! あれ集めてどうするんだよ?
♣ タランティーノも軍人のひとりとして出演してるんだけど、役名がレイピスト1(笑)。
♥ しかもレイプしようとしたら、あれが腐って落っこちてしまう(笑)。
♠ もう勝手にやってろよ!
♣ この人こういうのがほんと好きだよね。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を思い出す。
♥ 同じゾンビものでもあっちのほうがはるかにおもしろかったよ。
♠ あれは吸血鬼だってば。
♥ たいして変わらん。

とにかくなつかしい顔なんでほっこりしてしまう、トム・サヴィーニとマイケル・ビーン

♦ とにかく周囲の奴らがひどすぎるのばっかりなんで、マイケル・ビーン(保安官)とジェフ・フェイヒー(ダイナーの親父。この名字は絶対にフェイヒーとは読まない)の兄弟がすごいまともに思えた。
♣ マイケル・ビーンなんて見たの何年ぶりだろ。
♠ ジェームズ・キャメロンのお気に入りで、『ターミネーター』と『エイリアン2』のスターだからねえ。もっと出世するかと思ったらすごい尻つぼみになっちゃったね。
♥ だって実際魅力がなくなったもの。若い頃はあんなにセクシーだったのに、なんかみすぼらしいオヤジになっちゃって
♠ それほど変わったか? 年相応でしょ。
♦ だってブルース・ウィリスなんて、若い頃はルックスはあれだったのに、年を取ってもまだあれだけセクシーじゃない。男も女もそうだけど、年取っても輝いてる人と、急速に輝きを失う人がいるね
♣ 声はエロくて好きなんだけどねえ。声は変わらないし。

♠ えーと、あとはなんだ?
♦ リールが一巻紛失ってあれはなんなのよ!
♥ ああ、あれね(笑)。私はてっきり『君の名は。』のリビューでも書いた、『デスペラード』についての自虐ギャグかと思って笑ったんだけど、タランティーノのほうでも同じのやってた。
♣ チェリーとレイのベッドシーンが始まるところでいきなりフィルムが燃え尽きるんだよね。だからセックスシーンをカットするための方策かと思ったら、ほんとに物語がいきなり先に飛んでる!
♠ 一回目は笑ったけど、さすがに二回同じことをやられると白ける。ああいうのって一発ギャグでしょ。
♦ 途中飛ばしてもどうでもいい映画だから、むしろ見ているほうは時間が節約できて助かる。
♥ 『デスペラード』なんかどう考えてもギャグじゃなくマジで、クライマックスであれやったからすごい監督だ(色んな意味で)と思ったけど、これぐらいじゃもう誰も驚かないわ。
♣ 単にグラインドハウスではそういうことがよくあったというだけでしょ。

その3 クエンティン・タランティーノ 『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)につづく

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