【映画評】どーでも映画劇場 ジョエル・シューマカー『フォーン・ブース』 (2002)Phone Booth

電話ボックスの中だけで話が進行するというので話題になった、というか、話題にするような要素がそれしかないという、コリン・ファレル主演、ジョエル・シューマカー監督の作品。
ジョエル・シューマカーというのも息の長い監督だなあ。もう77才だからね。ハリウッドの監督はこういう感じの、特におもしろいわけでもないが、ほどほどに見られる映画を地道に作ってる人の方が長生きする感じ。

で、だいだい予想通り、これも特に悪くもなければ良くもない。スクリーンに電話の相手をはめ込み合成する手法や、そもそもこういう変わった状況の「実験的映画」自体が、70年代とか80年代に流行ったやつなんで、いかにもお年寄りが作った映画って感じ。
しかし何が古いって、今の時代に電話ボックスというところか(笑)。おっと、制作年は2002年だから、この頃はまだニューヨークでも電話ボックスってあったのか。とりあえず映画の中でもみんな携帯使ってるので、別に場所は電話ボックスじゃなくても、どこでも良かったという感じがする。
というところで、最大の売りが‥‥。それにあそこから逃げる方法や助けを呼ぶ方法はごまんとあると思うが。実際、ラスト主人公が助かるのって、持ってた携帯でこっそり妻に電話したからだし。それができるんなら最初からそうしろよ!
電話ボックスに籠城した主人公を野次馬や警官隊が取り囲むシチュエーションなので、『狼たちの午後』みたいな展開になるのを予想したが、ぜんぜん違って、ほぼ何も起こらない。

頭のおかしい犯人が、主人公のスチュ(Colin Farrell)みたいに、べつに大悪人というわけではなくて、単にセコくてズルくてイヤなやつというだけの小市民を狙い撃ちにして追い詰めるというのはまんま『Saw』だが、動機にしろ方法にしろ、『Saw』の百分の一もおもしろくない。
そもそも命と引き替えに犯人がやらせようとしていることって、妻に浮気(未遂)を告白することだけだし、なんかスケールが小さすぎて、こんなののとばっちりで殺された人たちが可哀想すぎるとしか。

犯人は最後まで姿を現さないし、外野はざわざわしているだけなので、ほとんど全編コリン・ファレルの顔芸を見る映画になってるが、あの濃い顔がつらい私にはつらい。
一方、一瞬しか顔を見せない犯人のキーファー・サザーランドは(お父さんほどじゃないが)やっぱりめっちゃセクシーでかっこいい。そうそう、これもお父さん譲りだが、キーファーは声も最高よね。その意味キーファーの声を聞く映画、かな? お父さんはカナダ人だが、この人はロンドン生まれのせいか、アクセントも英国人ですてき。コリンは意図的にニューヨーク・アクセントをしゃべっていて5割安。

カテゴリー: 映画評 タグ: , , , , , パーマリンク