【マンガ評】近頃(と言ってもここ20年ぐらい)のマンガ寸評

はい、実はもうかなりのマンガ評ができてるし、ぜひひとりでも多くの人に知ってもらいたいマンガはあるんだけど、まだもったいぶってそれは出しません(笑)。

というわけで、ここ数十年のブランクの間に出版されたマンガの中で、私が気に入ったマンガや、気に入らなかったマンガについて書こうと思うのだが、ただ、私の「あとで」ぐらい当てにならないものはないので(笑)、忘れないうちに寸評だけ書いておこうと思う。
ただし、これはすべて読んですぐ書いた走り書きのメモで、普通はこれを元にちゃんとしたリビューを書き起こすんだけど、私はこういう短いのを書くのが超苦手なんで、これだけでは誤解を招いたり、納得の行かない部分があるかもしれません。また、最初の数巻だけしか読んでいないものも多いので、勘違いや誤解があったらごめん。
あと、アニメ化されている作品も多いけど、書いてあるものを除き、アニメはまったく見てません。理由はいつも言うように日本の声優が嫌いで、イメージを壊されたくないから。

気に入ったマンガ

野田サトル 『ゴールデンカムイ』

これと次の『ゴールデンゴールド』は別格におもしろかった。もうほんと今さらの人気マンガですけど。

日露戦争後の北海道を舞台にした冒険活劇。この時代が舞台というのも、開拓時代の北海道が舞台というのもわくわくするし、宝探しの話にリアルで珍しいアイヌ文化を取り入れたというだけでもおもしろいのだが、作者の癖が強すぎて、シリアスなんだかギャグなんだか、しばしばあさっての方向に暴走しているところがよけいおもしろい。しかもシリアスは本気で腰の入った本格派、ギャグは本気でタガが外れてるところを評価する。
いかにも狩猟民族らしいワイルドなジビエ料理のグルメマンガでもある。まだ連載中なのでストーリーの方はどうなるのかさっぱりだが、とにかく変わってるし、登場人物がひとり残らず変態だし、絵や話に迫力がある。

あと、絵がうまい。と言っていいのかなんなのか、人物の顔はものすごく個性的(変とも言う)なんだが、それ以外の絵は本当にうまい。特に動物を描いてこれほど上手な人は見たことがない。(白土三平以来?) 特に馬と狼。私は動物の絵に関してだけはうるさいので、世間でうまいと言われているマンガ家の絵でもイライラするのに、この人の描く馬とか狼とか本当にリアルなんで驚いた。私がこれだけ動物好きなのに、動物マンガが嫌いなのは絵が下手すぎる(あるいは絵はうまくても動物が星目キラキラの美化が気持ち悪い、あるいは図鑑丸写ししただけ)せいなので、『ゴールデンカムイ』はこれだけのために買ってもいいレベル。

堀尾省太 『ゴールデンゴールド』

これ絶対諸星大二郎(私のオールタイム・ベスト漫画家)へのオマージュだよね? まず、いかにも『妖怪ハンター』にありそうな「寄り神」の話だし、福の神が『六福神』の福の神を思わせるし、いろんな人に憑依して、みんな同じ顔になるってのは『栞と紙魚子』にあったし、ホラー風味なんだけど飄々としてユーモラスな感じも諸星大二郎を思わせる。これなら当然私が好きなはずだ。

瀬戸内海に浮かぶ小さな離島で祖母と暮らす少女が、変な「人形」を海から拾い上げる。すると、彼女の家(なんでも屋兼民宿)には本土から客が押しかけ異常に繁盛し始め、島そのものもにぎやかになる。しかし、島の人間には見えないらしいが、よそで生まれた少女には不気味な「福の神」が見える。そいつに憑依された島民たちは別人のようになってしまい、彼女はたまたま島を訪れていた女流作家の手を借りて福の神を海へ戻そうとするのだが‥‥。

諸星大二郎ならちゃんと民俗学的な説明が付いて民話的な終わり方になるんだが、これはどうなるんでしょうね。いちおう、蘊蓄をしゃべる民俗学者も出てくるんだが、どっちかというとおバカキャラ扱いだし。信者が増えると強力になったり、神社の中では福の神の影響が弱まるあたり、やっぱり民俗学っぽいんだが、実は少女の同級生の少年に対する淡い恋心がすべての原動力のような気もする。とことん鈍い男の子とおませな女の子のいかにも子供らしい不器用な恋もリアルだし微笑ましい。

東元俊哉 『テセウスの船』

過去に起きた殺人事件の真相を、犯人とされた人物の親族または刑事(しばしばその両方)が解き明かして真犯人を見つける、というのはミステリではあまりにもよくあるパターンなんだが、これは大量殺人で死刑判決を受けた男の息子が事件当時にタイムスリップして、警官だった父といっしょに捜査に当たる、というSF仕立てなのがちょっとおもしろい。(本人は事件当時はまだ母親のおなかの中で生まれていない)
誰に何が起きたか何時何分まで詳しく書いたノートを持ったまま過去に飛んだんだし、事件を未然に防ぐのも真相究明も簡単でしょ?と思うのだが、実際はそう簡単にはいかなくて、最初のうちは父が犯人でないという確証が持てなかったり、逆に父に犯人と疑われたりするあたりも、スリリングでおもしろい。
ただ、このあと主人公は何もかも未解決のまま、また現代に戻ってしまうらしい。それで彼が見たものは変わってしまった現実‥‥って、これにタイムパラドックスまでからめてくるのかい! 単なる謎解きミステリだけでもおもしろそうだったのに、そっちへ行っちゃうとグチャグチャになってしまいそうな予感が。あと、殺人犯の家族というだけで世間から排斥される家族の悲惨な運命とか、そういう湿っぽいのもあんまり好きじゃないかな。
とにかくまだ連載中なんで、どうなるのかはわからないが、読んだ限りでは非常にできる作者。これがデビュー作とは思えない。ところでマンガの舞台も北海道だが、作者も北海道出身で、私は昔から北海道のマンガ家ばかり好きになる傾向がある。吾妻ひでおも野田サトルもそうだし。

麻生羽呂 『今際の国のアリス』

落ちこぼれの男子高校生がある日突然異世界(なぜか廃墟となった東京23区。ここから外へは出られない)に飛ばされ、負けた者から死んでいく理不尽な「げえむ」をプレイすることを強制される。という、絵に描いたようなありきたりのデスゲームマンガ、と思ったのだが‥‥

デスゲーム系のマンガは人気の『Gantz』も含めてすべてクソだと思ったが、唯一おもしろかったのがこれ。だいたいこの手は想像力や創造力のなさをエロとグロ(と、描ける場合は美麗な絵)でごまかすのがパターンだが、このマンガはそのどれも使わず、純粋にストーリーとキャラクターとトリックで勝負しているのがいい。賛否両論のラストも、わかっている人ならこれしかないというのがわかるはず。これは完結しているので、あとでちゃんとした評論書くつもり。

岸本斉史 『ナルト』

最初の数巻を読んだだけだが、王道少年マンガとしてよくできていると思った。絵も繊細できれいだし、主人公もかわいいしかっこいい。よく、日本では『ワンピース』が大人気なのに『ナルト』はそれほどでもなく、逆に海外ではその反対だと聞くが、さすがガイジンの面目躍如だな。
そりゃ日本人が描くのに忍者か海賊かって言われたら断然忍者でしょ。そもそも海賊なんてぜんぜんかっこよくないし、それにひきかえ、サムライやニンジャ大好きだし。あと『ワンピース』は絵がキモい。『ワンピース』と『ドラゴンボール』は、お話が私にはあまりにも子供っぽすぎて、どっちも2巻目の最初ぐらいで挫折した。

松本光司 『彼岸島』

これもネットでやたらいじられているので、読んでもいないのにだいたいのあらすじは知っていた吸血鬼ホラー。ネットだとストーリーの荒唐無稽さとか、ご都合主義とか、下品さとか、絵の下手くそさがバカにされているみたいだが、確かにそれは全部その通り。
だけどそういう欠点を補うだけのやけくそなパワーというか、とにかく強引に話を引っ張っていく力はたいしたものだと思うし、実際おもしろいのは事実。ちゃんと泣かせるところは泣かせるし。下手くそだけど、お話を作ったり語るのが好きな人なんだろうなあ、と思ったら、まさに主人公は登場時(たぶん作者も忘れてるだろうが)そういうキャラとして描かれていたからこれは自画像か。

higanjima

それ以上に私は怪物が好きなので、怪物をちゃんと怪物らしく描ける人は尊敬する。そしてこの人の描く化け物の異様さと気色悪さは、いまだかつて並ぶものがない。というだけでも十分えらいと思う。とりわけこのサンマ怪物には一目惚れした。正直言って、最近は単に気持ち悪さを優先した荒唐無稽な化け物ばっかりになってきたけど。

ただ、単行本買う気になれないのは、あまりにも長すぎる。少年誌に多い引き延ばしの典型でしょ。(青年誌だった。でもこれからエログロ取ったら、少年マンガの王道だよね) それでもワンアウト取るのに1か月かかるような野球マンガと違って、話の展開はスピーディーだし、意表を突くものだから飽きないんだが、いくらなんでもひっぱりすぎ。あと、たぶんもう終盤に近いからだろうけど、次から次へと前より強い強敵が立ちふさがって‥‥という単純なバトルマンガになりつつあるのが残念。

真鍋昌平 『闇金ウシジマくん』

これは私としては異色中の異色。普通私は、ヤクザとかヤンキーとかこの手の裏社会ものになんてまるで興味がないんだが、これは普通にマンガとしておもしろかったので。
話は何の救いもない、暗くドロドロな話ばかりで、もともとしょうもない底辺の住人たちがさらに泥沼に墜ちていくみたいな話ばかりなのだが、それを描く作者と主人公の丑嶋が、そういう悲劇を完全に突き放したニュートラルな目で見ているので、不思議といやな感じがしないし、むしろある種のカタルシスがある。言葉は悪いが、なんか珍しい動物の生態でも見るような感じで読める。絵もこの手のマンガにしてはおしゃれでクールな感じがよい。

ウシジマくんかっこいいしね。周囲の人物も複雑でみんなキャラが立っていてすばらしい。ちなみになぜかこの手の話にしては女っ気がまったくなく、登場人物が全員ホモっぽいので私は一風変わったホモマンガだと思って読んでいる。そう言えば『ゴールデンカムイ』もそうだった。これとか『ゴールデンカムイ』の作者ってゲイじゃないの?

最近完結したが、途中からウシジマとヤクザとの抗争の話になってきたようで、ちょっと残念。

原作:志名坂高次 作画:粂田晃宏 『モンキーピーク』

ここに書いたように、私は山登りなんか死んでもしないが一種のホラーとしての登山マンガが好きだ。これは登山ホラーというべきか、登山サスペンスというべきか。山には怪談が付きものなのでありそうでなかったマンガ。
製薬会社の社員一同が親睦旅行で山登りに行くのだが、なぜか神出鬼没の巨大な猿の化け物につきまとわれ、山から降りることもできずに追い詰められ、ひとりずつ殺されていく。最初は「サル~?」とバカにしたのだが、(最初の方を読んだだけでは)マジで正体不明だし目的不明なところがなんとも不気味。
もちろん恐ろしいのは猿だけではなく、極限状態であらわになる人間の本性。サディストがいたり、他人の足を引っ張ってでも自分は助かろうとする卑怯者や、疑心暗鬼からの仲間割れ、それにもちろん山自体の過酷さが三つどもえになって主人公たちを苛む。
アウトドアが舞台なのに出口なしの閉塞感と絶望感がよく描かれていて、さすがにお子様向けのデスゲームなんかと違う本物の怖さがある。
まあ、猿の正体がわかったら「なーんだ」となるかもしれないけど。この製薬会社が薬害訴訟を起こされたばかりというところでお察しですけどね。

外薗昌也 『鬼畜島』

これは無料マンガサイトで連載されていたグログロ鬼畜ホラー。(今は最新話と1話しか読めなくなっている) 同じ作者の『犬神』は期待したわりにまったく楽しめなかったのだが、こちらは大いに楽しんだ。もうそれだけで鬼畜の烙印を押されそうだが(笑)、ここまで振り切れててぶっ飛んだ残酷趣味は完全にギャグとして読めるので、私はシュールなバッドテイスト・ギャグとして読んでいる。話もぶっ飛んでておもしろいし、モンスター一家の面々も見かけからして醜く変形した化け物なのになぜかみんなかわいいし。

こなみかなた 『チーズスイートホーム』

私が唯一気に入った猫マンガがこれ。これこそ猫あるあるだし、本当に日常そのものっていうか、『サザエさん』並みに月並みなほのぼのした出来事しか起こらないんだが、なんでかおもしろいし、とにかく主人公のチーがかわいい。まあ、以前から知ってたというのもあるけどね。
なんでかというとElonaというゲームに出てくる「迷子の子猫」のモデルがこの主人公のチーだったから。「ママどっち? おうちどっち? おうちかえう!」とか「死ぬぅ~! 殺されう~!」という愛らしいセリフでログを埋め尽くしてくれる迷子の子猫は、単にダンジョンをうろついてるだけで別に何の害もないのだが、ウザいという理由でやたらと血祭りにあげられていた
それはそうとこの「チー語」がなんともかわいい。え、日頃ロリキャラをバカにしているのに、猫が舌足らずなのはいいのかって? もちろんに決まってるじゃないさ! 子猫様とメスガキとじゃ比べ物になるかっての! 英語でも猫は舌足らずな子供英語を話すことになってるし。
このマンガは3Dアニメ化された。日本の3Dアニメって向いてない気がして私はたいてい気に入らないのだが、これは大正解でよくできてた。

逆にけっこう期待したのにがっかりだったのは‥‥。

気に入らなかったマンガ

原作:貴家悠 作画:橘賢一 『テラフォーマーズ』

このタイトルからして私はてっきり宇宙SFマンガかと思っていたので拍子抜け。Wikiによると「当初は不良マンガを持ち込んだが、それを一読した編集者から『次は潜水艦か宇宙船か火星のマンガを描いてきて』と言われ、昔テレビ番組で見て覚えていた苔とゴキブリを用いた火星のテラフォーミング計画をSFマンガのアイデアとして選んだと言及している」そうだが、確かに乗りは不良マンガとかバトルものの乗りで、みじんもSFじゃないっていうか、そもそもSFなんて読まない人の作品だというのは一発でわかる。
そもそもテラフォーミングにゴキブリを使うというのが謎すぎるし、それが人間そっくりに進化するというのがまったく理解不能だし(私が読んだのは1巻だけなので、あとで謎解きがあるのかもしれないが)、いちばん謎なのは人間に昆虫の性質を持たせる謎の薬(笑)。単に虫のコスプレしたヤバい人たちにしか見えない。お尻じゃなく手から糸が出るスパイダーマンも冷静に考えるとかなりアホらしいが、それよりもっと荒唐無稽。SF的には突っ込みどころありすぎで萎える
あと、ここに書いた「外国人の出てくるマンガ」のだめさの典型的例。外国人がいっぱい出てきて、祖国での生い立ちとかが描かれるんだが、まるでリアリティがないし、そのお涙頂戴話も陳腐だ。

諫山創 『進撃の巨人』

読んだのはずいぶん前なのでほとんど忘れてしまったが、2巻目の途中ぐらいで挫折した。結局、あの世界観にまるでリアリティが感じられずなじめなかったのと、キャラクターにもまるで感情移入ができなかったのと、あの絵にどうしてもなじめなかったのが主な理由だったと思う。
あと、上の『テラフォーマーズ』と同じ日本人と外国人の連合軍(?)みたいだが、外国人がまったく外国人らしくないという上と同じような理由で一気に冷めた。
そもそも主人公の名前が「エレン」って‥‥。いやでもErenとかいう名字ならありうると思ったら、ファーストネームかよ! 女名前の主人公と言うだけで萎えてしまって読む気が失せる。神経質すぎる? 私はそれぐらい名前にはうるさいんで。

奥浩哉 『Gantz』

これはついうっかり最後まで読んでしまったが、読んだことを後悔するような内容だった。いわゆるデスゲーム系のマンガの悪いところをすべてぶち込んだように見える
とにかく登場人物が男も女も顔も性格も気持ち悪くて見てられないのと、意味ありげにさんざん引っ張った「ゲーム」に何の意味もないのと、バトルものなのに戦う相手があまりにでたらめでふざけてるのでまるで緊張感がないのと(これは『彼岸島』もそうだが、少なくともあっちはオリジナルだ。こっちはネタがある上、そのネタがものすごく寒い)、宇宙人にあまりにもリアリティがない。
特に宇宙人の巨大宇宙船の内部に入ってからは、あまりの想像力のなさにげんなり

gantz

これがその内部にある都市なんだが、これのどこが宇宙都市? エアカーが飛んでる(これもすごい古典的表現)のを除けば、うちの近所の風景にそっくりなんですけど。高架線(?)が川の上を通っているところまでそっくり。江戸川は宇宙都市か! それ以外の場所も日本のどこにでもありそうな景色ばっかり。そういうギャグマンガならそれなりにおもしろかっただろうが、これでシリアスだから笑う。

いちおうお絵描きはできる人みたいだから、女性キャラの意味不明なお色気シーンで読者を引っ張ってるんだろうが、話を作る才能はまるっきりないというか、オリジナリティもないし辻褄を合わせる気もない。

原作:大塚英志 作画:山崎峰水 『黒鷺死体宅配便』

仏教大学を出た無職の若者たち――ただし全員が死体と話せるイタコとか、宇宙人と話せるチャネラーとか、死体だけを見つけられるダウザーとかの、オカルト系特殊能力の持ち主――が集まって、死体を「本人」の望むところへ届けるビジネスを始める話。

そんな奴ばっかり集まってる仏教大学ってどこだよ!という突っ込みは置いといて、守護霊とか死者の口寄せとか半魂の術が存在する世界、というのはべつにかまわない。だけど、そういう世界を舞台にするなら、主人公たち以外の世界観もそれに合わせないとならない
それを現実の現代社会の中にそのまま放り込んでも、なんのリアリティもないし、ふ~んと思うだけ。特にこの漫画は社会派を気取っているのか、時事ネタを織り込んだり、警察とか役所とか病院とか大学などのリアルな「世間」を組み込んできて、対等に渡り合ってるように見せるのが間違い。やればやるほど「こんなことありえない」と嘘くささが増すばかり。
こんなガキどもが死体を盗んだり、引っ張り回したりしていれば、あっという間にお縄でしょ。というか、それ以前に近付くこともできないでしょ。仮にうまくいって罪に問われなくても、死体とお話するような連中だから、行き着く先はたぶん精神病院。まあ(現代日本の話なのに)どういうわけかそこらじゅうに死体が捨ててある世界だから許されてるのか?

結局のところ、部活ノリのプー太郎グループが死体をおもちゃにして遊んでるだけの話。死体の願いを叶えてやるという設定も、「こうしてやればきっと喜ぶだろ」という勝手な決めつけで、死体や被害者をただ冒涜しているだけに見える。ちなみに彼らの倫理観もズタボロすぎる。例としては、死刑囚の死体を蘇生させて、被害者にもう一度殺させる商売は容認してたりする。

ならば金目当ての冷血漢ぞろいかというと、金とは縁がない。こういうことを運送会社を装ってやってるところがおもしろいと作者は考えているようだが、その運営費はどこから出てるのか? 「死体からもらう」と言っているが、もらっている場面見たことないんだけど。唯一収益が出たのは死体の持ち物を盗んだときだけのような気がする。それって単なる墓荒らしじゃ?
だいたい、全員仏教大卒なんだから、最後にお経のひとつぐらいあげてやれや。それすらしないでひたすら死体を(感情もあってしゃべるのに)物として扱う神経がまず気持ち悪い

もちろん胸糞話ばかりなので、感動したり、スカッとする要素はゼロ。(私は『ウシジマくん』でも大いに感動したりスカッとするんだが) グループものなので、キャラに特色を付けているつもりだろうが、「これはまずいだろ?」と疑問を持つ常識人はひとりもいない。登場人物にも誰ひとり共感できないし、ただひたすら気色悪いだけ。
これすべてギャグとしてやってるなら笑えなくもないんですがね。ところが上述のように変に社会派気取りだし、笑うことすらできない。こんなのが20巻以上も出てるなんて。

板垣巴留 『BEASTARS』

動物好きならこういう動物ものは好きかと思われるかもしれないけど、これは1巻だけ読んで抵抗感ありすぎてそれ以上は読めなかった。というのも私は動物を擬人化するのが大嫌いなんで。これって姿とちょっとした性癖が動物なだけで、中味は完全に普通の学園ものでしょう?(くどいが1巻しか読んでないので違ってたらすまん) そう思うとかえって動物を冒涜されているようで嫌になる。単に動物のコスプレした人間の学芸会にしか見えん。
あとこれも言われてるが、『ズートピア』の丸パクリなのも気になる。主人公も狼とウサギだし(向こうはキツネとウサギ)。私は『ズートピア』も(一部のギャグを除いて)無理だったんでこれも当然無理。あと(大昔から基本的にプレデター推しなんで)「草食動物と肉食動物の共存」というテーマが、手塚治虫の時代から大嫌いだったんで。だいたい肉食動物っていうだけで血に飢えた残酷な生き物みたいな発想が気に食わない。残酷で獰猛なのは草食動物の方だってば!

あと美大出で絵は普通にうまいんだが、こういうか細い震えた線のマンガが嫌い、と思ったら、作者が女性と知って納得。あー、なんでだめだったかわかった。
ディズニーとは違うリアルなタッチの絵で、動物そのものの登場人物も多いのに、なぜか主人公の狼は顔にだけ毛のないサル顔。これはアニメ絵ならそれほどおかしくないが、リアル寄りの絵でやると滑稽。結局動物を無理やり人間に近づけようとするとみんなサルになっちゃうんだよな。それともハスキーの写真見ながら描いてて、あの白いところは白い毛のつもりか?

甲斐谷忍 『LIAR GAME』

頭の良くない『カイジ』って感じ。これはすでに罵倒リビューを書いたのでお楽しみはまたあとで。


以下はもしかしていいマンガなのかもしれないけど、20ページぐらい読んだら目が浮いて、どうしても読めなかったマンガ。

山下和美 『ランド』
おもしろそうだと思って読み始めたんだが、少女マンガの絵がどうしてもだめだった。今調べたら、『天才柳沢教授の生活』の人か。あのマンガなぜか読んだことあるし、私の同業者が主人公なんだけど、こいつがめっちゃむかつくやつで大嫌いだった。

弐瓶勉 『BLAME!』
雰囲気はあるし、このあとおもしろくなるのかもしれないが、何も訴えてこないので先を読み続けられなかった。あとなんで「ブレイム」と書いて「ブラム」と読ませるんだ? ブラムと読ませたいならBLAMにするとか、いくらでもやり方はあるだろうに。

三宅乱丈 『イムリ』
あっちこっちで絶賛されているのを見て読んでみようとしたんだが、絵に抵抗がありすぎて無理だった。

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