【映画評】ジュラシック・ワールド (2015) Jurassic World

これは公開時に見てすぐ書いたリビューなんだけど、なんか気乗りがしなくて、きちんとブログ化する気にならず、お蔵入りになっていたもの。(そういうのがすごい多い) でも最近『炎の王国』を見て、また憤慨して書く気になったので(笑)、こちらもセットで復活させることにした。今読むとけっこうおもしろいし。

Jurassic World_02

♠ 先に断っておくけど、1993年の『ジュラシック・パーク』は大興奮したよ。
♣ とりあえず「恐竜が動いてる!」というだけでも感動しましたからね。『Walking with Dinosaurs』とどっちが先だっけ?
♠ BBCのは1999年。だから世界に先駆けてリアルな恐竜を動かしたという特撮班(フィル・ティペットとILM)の手腕だけは評価する。だから初めて生きた恐竜を見たときのサム・ニールとローラ・ダーンの反応は、まさに映画見ているときの私たちの反応と同じだったわけ。
♣ 話はアホでしたけどね。
♠ それ言ったら終わりだから。その『ジュラシック・パーク』シリーズも今作で4作目。
♣ オリジナルは腐ってもスピルバーグだったし、出演者も地味ながら有名どころだったのに、もう名前も知らない人しか出てないし、監督も無名の新人だし、見る影もないのは予想してたけど‥‥。
♠ 話がつまんない、芝居が臭くて見てられないのは最初からだからいいんだよ。問題は唯一の売りのCG恐竜がこれでいいのかってこと。

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主役を務める新恐竜インドミナス・レックス

♣ 明らかに劣化してますね。特に今回の主役のインドミナス・レックスって何これ? Tレックスもどきにトゲやツノ生やせばかっこいいだろうという、お子様並みの発想。
♠ だってお子様向けなんだからしょうがないだろ。なんでも恐竜が珍しくも何ともない、動物園の動物並みになってしまった世界の話だそうで‥‥
♣ それってこのシリーズそのものに対する当てこすり?
♠ まさかと思うが、まんま過ぎて笑えない。それで客寄せのために遺伝子いじって作った新種の恐竜という触れ込みなのだ。
♣ これまでの『ジュラシック』シリーズの恐竜も全部そうでしたけど? 巨大すぎるヴェロキラプトルとか、人食いコンピーとか、口から毒を吐くディロフォサウルスとか、ほぼ存在しないインチキ恐竜ばかりで。
♠ まあ、そういう突っ込みから逃れるための言い訳かも。
♣ だいたい科学的に正確な恐竜描こうとすると、今では羽毛に覆われたビッグバード(©セサミ・ストリート)みたいなティラノサウルスになっちゃうし。
♠ 確かにそれはやっぱりやだ。

♣ でも今回も突っ込み放題だったね。
♠ もうありすぎていちいち突っ込むのがバカらしくなるレベル。いきなりオープニングの恐竜の卵からして間違ってるし。爬虫類の卵の殻はゴムのように弾力性があって、あんなふうにパリンと砕けたりはしないのに、あれじゃ完全にニワトリ。
♣ 鳥=恐竜だからいいんじゃないの? そのすぐあとに出てくるラプターの足、と見せかけて実は小鳥さんでした、の画面とつながるし。
♠ あんなモロにCGの鳥見せられても誰が納得するか! 鳥ぐらい実写でいいのに。

♣ とりあえず、今回はコメディーのつもりなのかね? あそこまで嘘くささ全開ってのは?
♠ それもあるような気がする。なんか『ジュラシック・パーク』というより『グレムリン』見ているみたいだったから。
♣ 『グレムリン』もなんと新作ができるんでしょ?
♠ そっちはまだ詳報が入ってないからわからないけど、できるならぜひ見たい。ダンテの『グレムリン』は『ジュラシック・パーク』なんかメじゃなく高く評価してたから。
♣ 『グレムリン2』にはドナルド・トランプのそっくりさんも出てたし(っていうか、準主人公)、今作るとタイムリーかも! 今度は本人に出てもらうといい。
♠ というか、あれが大統領な時点で、アメリカという国自体がすでにギャグだっていう証明じゃないか! というのはともかく、悪ふざけ満載のコメディー仕立てなのかと思ったら、すぐに普通の『ジュラシック・パーク』に戻ってがっかりしたけど。
♣ 安っぽくてふざけてるのは事実。パーク自体も最初はサファリパークだったのが、ワールドはディズニーみたいな子供向けのテーマパークになってるし。すべてが安っぽくてガキガキしくて中国人観光客でいっぱいという。
♠ 夢が壊れるなあ。初代のジュラシック・パークなら行ってみたいと思ったのに。
♣ パチモン臭がハンパないね。

♠ 脚本についてはケチ付けるのもアホらしいから言わないつもりだったけど、それにしてもひどいな。
♣ なんかどこかで見たシーンばっかりで、リメイクなのかと思った。
♠ 基本的にこのシリーズはバカで無責任な男と、バカで無責任な女と、バカで無責任な子供しか出てこなくて、そいつらがバカで無責任なことやってドツボにハマるということの繰り返しなんだけど、これもまったく同じ。知性ってものがある人間は一人も出てこない。人も化石人類しかいないのかって感じ。
♣ いちおう「専門家」を自称する人たちはたくさん出てくるんですがね。そいつらがまたバカの骨頂で、言うことやることがすべて外れるんだよね。

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いつも通りのボンクラっぽいヒーロー(Chris Pratt)とヒロイン(Bryce Dallas Howard)とかわいくない子供ら

♣ まず主人公のオーウェン(Chris Pratt)からしてそうでしょう。ラプターを犬みたいに訓練しようなんて考えるところからしてアホなのに。
♠ たぶんアメリカ人の頭の中では、知能が高い動物=犬みたいに訓練できる、という構図なんだよ(笑)。
♣ モササウルスにも輪くぐりとかさせるべきでしたね(笑)。
♠ トレイラーで見た、あの「待て」のシーンだけでも爆笑した。
♣ あれ見ただけで爬虫類を知らない人が考えたシナリオだってわかったね。
♠ 爬虫類の鼻先で手をヒラヒラさせるなんて、ヘビやワニはもちろん、ちっちゃいトカゲ飼ってる人だってしないわ! あれじゃ「噛みついて下さい」とお願いしてるようなものじゃない。

♣ でも本編はもっとすごかった。ラプター軍団にインドミナスのにおい嗅がせて、「よし追いかけろ」って(笑)。犬じゃないっての!
♠ 仮に追いついたとしてもどうする気なんだろう?と思って見ていたら、追いついたとたんまんまとインドミナスに寝返って、いっせいに人間に襲いかかる(笑)。
♣ いちおうインドミナスにはラプターの遺伝子が入っていたから、という言い訳は用意されてたけど。
♠ 見ただけ匂いかいだだけで遺伝子が見分けられるのかよ? 知能が高いどころか、ほとんど神の領域だな。
♣ そうじゃなくて、遺伝子が共通してるとお話が通じるらしいです
♠ だったら猿はみんな人語を解するんだな。

♠ インドミナスのほうだって、自分の体に埋め込まれたGPS見つけて自分でえぐり出すほどのスーパー知能の持ち主なんで。
♣ まず恐竜がGPSの機能を理解しているだけでもすごいが、おそらく麻酔を打たれて意識のないまま埋め込まれたちっぽけな装置が自分のからだのどこにあるかを察知してえぐり出すって、こっちもほぼ超能力の持ち主です。
♠ そのくせラストシーンでは、ラプター達はまたも寝返って、人間を助けてみたり、インドミナスに襲いかかるってどうなってるんだよ? 何考えてるんだ、あいつら?
♣ まあラプターだからたぶん何も考えてない(笑)。
♠ 考えてないのは脚本家の方だろ!

♠ よって、その周囲の人間も、ラプターを軍事利用しようとか、客寄せには大きくて「歯がたくさんある」恐竜が必要だとか、真剣に考えてる知恵遅ればかり。幼稚園児かよ!
♣ 子供らの世話を上司に命令されてるのに、あの混乱の中で子供を見失っても、あせった様子もない女も痴呆っぽかった。
♠ 確かにこの映画の人間よりは恐竜の方が賢いかも

♣ だいたい全社力を挙げても恐竜一匹殺すこともできない連中ですよ。
♠ 確かに。インドミナスにとどめを刺したのはモササウルスだったし。
♣ 万一恐竜が逃げたらどうするって想定してなかったんですかね。ゴジラやキングコングじゃあるまいし、武器弾薬もなんの役にも立たないってなんなの? あれ、モササウルスがいなければ人間も恐竜も全滅だったってことだよね。
♠ 個人的にはモササウルスがいちばん強いと思ってたので、納得の結末でちょっとうれしかったけど。実を言うとこの映画を見たいと思ってしまったのも、予告で見たモササウルスの給餌シーンがかっこよかったんで。
♣ あれって『Walking with Dinosaurs』のエピソード「Cruel Sea」のオープニングのパクリじゃないの?
♠ あれは本当しびれるほどかっこよくて恐ろしかった。これがその場面。

「ジュラ紀最強のプレデターが、危険に気付いていない獲物を狙っています」って、どう見たって海岸で水中の何かを狙っているアロサウルスのことだと思うじゃない。ところが獲物はこいつのほうだったという‥‥
♣ リオプレウロドンがザバーッと海から飛び出すところは震えるほど恐ろしい。
♠ モササウルスは(あれでも)それよりずっと小さいけど、機動力とか考えたらあれよりもっと怖い。
♣ 上のビデオはYouTubeのちっぽけな画面だから小さく見えますが、アロサウルスだって大型恐竜ですからね。シャチよりでかいアロサウルスを丸呑みにするサイズだと思って下さい。
♠ 私は『ジュラシック・パーク』の時点から「次は海竜で撮ってくれ!」と騒いでいたぐらい海竜好きなので、これではまだ不満なぐらい。

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この映画で唯一かっこよかったモササウルス

♣ でもあくまでヒーローはTレックス。
♠ あれってあれだよね。怪獣もので偽者が出てきて暴れまくるけど、本物の正義の味方に倒されるというパターン。
♣ Tレックス悪役じゃなかったの?
♠ いちおう主役なんじゃない? オリジナルでもここでも最後はTレックスの咆哮で終わると決まってるみたいだし。ライオンキングかなんかの乗りで、恐竜の王みたいな感じ? いや、ゴジラかな?
♣ なるほど、この映画の人間がすべてばかなのは、しょせんTレックスの餌だからなんだな。

♣ そういえば翼竜も大活躍だったし、この映画は陸海空の怪獣大戦争でしたね。(言わずもがなだけど、恐竜と呼べるのは陸上を直立歩行するやつだけ。翼竜や海竜は恐竜とは言わない)
♠ これがまた笑止千万でさ、『ジュラシック・パーク』のスピルバーグはプテラノドンにヘリコプター襲わせようとして、古生物学者に訊いたら、「ありえない! ヘリに近付いただけで羽が破けて墜落する」と言われて断念したそうなんだけど、ここではそんな「科学的事実」は無視して、プテラノドンがヘリや人間を襲いまくる。
♣ ヘリを落とすのはともかくとして、あんなショッピングモールみたいな狭いところに襲来して、飛び立つことができるのかと心配になった。

♠ もうこの手の突っ込みはきりがないな。ハイヒールでよたよた走る女の真後ろにいて追いつけないTレックスとか。『ジュラシック・パーク』では車に追いついてたのに。
♣ たぶんあの女は時速80キロぐらいで走ってるんだよ。私はそれより子供が「マッチ持ってるか?」と言われて、当然のように出してきたのでのけぞった。
♠ 今どきの子供がなんでマッチなんか持ってる? たぶんもう付け方も知らないぞ!
♣ アメリカの子供は違うんだろうか? マリファナ吸うのに使うとか?
♠ というわけでもう話にもならないんで落ちもなしで終わりです。

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