★★【映画評】ジュラシック・ワールド/炎の王国 (2018) Jurassic World: Fallen Kingdom

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(2019年5月5日追記あり)

♠ というわけで、『ジュラシック・ワールド』の続編となる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』も♠♣対談でやらせてもらいます。
♣ これおもしろいじゃん。なんでボツになったのかな? 名言いっぱいあるし。
♠ 自画自賛になるけど、「基本的にこのシリーズはバカで無責任な男と、バカで無責任な女と、バカで無責任な子供しか出てこなくて、そいつらがバカで無責任なことやってドツボにハマるということの繰り返し」というのは至言だったよな。というのもこの映画もまるっきり同じなんで。「人も化石人類しかいないのか」っていうのも正しいなあ。
♣ まあ、『ジュラシック・ワールド』の話なのに、『グレムリン』や『Walking with Dinosaurs』のほうを熱く語ってるあたり、やる気がないのはみえみえでしたけどね。

♣ ところで「炎の王国」って何それ? どこに炎が? 溶岩ならあったけど。
♠ 『墜ちた王国』もしくは『王国の終焉』だよなあ。でもきっとそれだとかっこよすぎてこの映画にはふさわしくないから、わざとダサい名前に変えたんだと思うな。
♣ 何それ?

♣ でいちおう前作の3年後という設定で、正統派の続編になってるんだけど。
♠ だから、このシリーズはすべて『ジュラシック・パーク』の丸パクリだから、全部が続編といえば続編なんだよ。
♣ 過去作(特にオリジナル)へのオマージュと言う評をたくさん見たけど、これオマージュじゃなくて単なる二番煎じ(五番煎じ?)だよね。
♠ CinemaSins(映画への突っ込み専門のYouTubeチャンネル)じゃなくても、「少しは新しいことやれよ、アホンダラ!」と叫びたくなるぐらい、どこかで見たシーンの連続。目をつぶってても次に何が起きるか予想できるぐらい。
♣ パクりでもいいけど、せめてアホなところは受け継がなくてもいいのに。
♠ 「どうせ恐竜映画なんてガキか白痴しか見ないんだからそのレベルでいいよ」と作り手が観客をなめてる感じが見え見えなんだよな。アメコミ映画とかもすべてそうだが、アメコミ映画なんかこちらも真剣に見ないからどうでもいいが、恐竜ものはつい真剣に見てしまうから怒りもでかい
♣ 最初から怒ってないで、少しはリビューっぽいことも言ってよ。

♠ じゃああらすじから。
♣ あれから3年後、ジュラシック・ワールドのあるヌブラル島で火山が噴火することがわかり‥‥
♠ 日本ではIsla Nublarを「イスラ・ヌブラル島」と訳しているみたいだけど、綴りでわかるようにイスラは島なので、これだと「ヌブラル島島」になってしまう。
♣ いきなりそこを突っ込みますか(苦笑)。
♠ だって、スペイン語なんか『長ぐつをはいたネコ』で覚えたぶんしか知らない私でも、Isla=Islandぐらいは想像付くよ。やっぱりアホ映画は翻訳もアホなんだなあ。
♣ まあ、日本にはマウント・フジサン(富士山山)とかニホンバシ・ブリッジ(日本橋橋)とかいう謎表記が多いから平気なのかもよ。

♣ そう言えばあの島、初代からずっとあの島が舞台だったって知ってた?
♠ 知らん。どこかの時点で移動したんじゃなかったっけ?
♣ あれがコスタリカにあるってことも、そう言えば聞いたことがあるような気がするけど知らなかった。
♠ 一度も真剣に見たことないもん。
♣ 「恐竜ものはつい真剣に見てしまう」って今言ったじゃないか!
♠ だから恐竜だけは真剣に見るけど、恐竜の出ないところはいつも早送りしてたから。だいたいコスタリカのことなのに、なんでアメリカ議会で聴聞会が開かれてるのよ?
♣ アメリカ資本のパークだからじゃないの? そうやっていちいち茶々入れられると話が進まないからちょっと黙ってて。

あらすじ

あれから3年後、ジュラシック・ワールドのあるヌブラル島で火山が噴火することがわかり、恐竜たちも絶滅の危機にさらされている。この頃、前作の主人公だったクレア(Bryce Dallas Howard)はDPG(Dinosaur Protection Group)という組織を作って恐竜の保護のために奔走していた。
しかし米上院でこの島から恐竜を救い出すべきかどうかという聴聞会が開かれ、証人として呼ばれたマルコム博士(Jeff Goldblum)は恐竜を甦らせたのは間違いであり、人類にとっての脅威であると主張し、結論として恐竜は島で死ぬにまかせることが決まる。
意気消沈したクレアは、かつて恐竜のクローン化に成功したジョン・ハモンドのパートナーだった大富豪の老人、ロックウッド(James Cromwell)の呼び出しを受ける。ロックウッドとその片腕のミルズ(Rafe Spall)は恐竜たちを安全な別の島に移すことを計画していて、クレアの助力を求める。

クレアは前作の主人公オーウェン(Chris Pratt)、DPGのメンバーのジア(Daniella Pineda)とフランクリン(Justice Smith)を伴って島に渡る。そこで彼らは救出計画を指揮するウィートリー(Ted Levine)と会うが、すぐにウィートリーは冷酷非情な男であり、この計画そのものが連れ出した恐竜たちを売りさばくためのものであったことがわかる。
オーウェンはかつて彼が調教したラプターの生き残りブルーと再会するが、捕獲に抵抗したブルーは撃たれて倒れ、オーウェンも麻酔弾を撃ち込まれて放置される。ウィートリーはジア以外の3人を島に残して殺す気だったが、噴火と襲ってくる肉食恐竜から命からがら逃れた3人は秘かに船に乗り込む。

船内でジアはブルーを助けるために弾丸の摘出手術を行う。そのためには輸血が必要だったが、オーウェンとクレアがティラノサウルスから血を抜いて、ブルーは助かる。
しかし本土へ着くとオーウェンとクレアは見つかって監禁されてしまう。秘密の計画を立ち聞きしたロックウッドの孫娘メイジー(Isabella Sermon)もまた監禁され、計画を知ったロックウッドはミルズによって殺される。

ロックウッド邸の地下室では、世界中の富豪を集めて、ミルズと武器商人のエヴァーソル(Toby Jones)が主催する恐竜の競り市が開かれる。競りではインドミナス・レックスとヴェロキラプトルの遺伝子を合成した新恐竜、インドラプターも紹介される。この恐竜は狙ったターゲットを殺すように条件付けされていた。

その間にオーウェンは隣の監房に閉じ込められていた堅頭竜スティギモロクを利用して檻を破り、スティギモロクは競り会場に乱入してめちゃくちゃにする。彼らはやはり自力で脱出したメイジーと出会って行動をともにする。

ウィートリーは記念品としてインドラプターの歯を抜こうとして殺され、インドラプターは自由の身になって暴れ始める。エヴァーソルを殺した後、オーウェンたちも襲われるが、割って入ったブルーのおかげで助かる。インドラプターはガラス屋根から落ちて下のトリケラトプスの角に串刺しになって死ぬ。

ほっとしたのも束の間、地下室で猛毒のシアン化水素が漏れ出し、このままでは恐竜たちがみんな死んでしまう。地下室のドアを開ければ恐竜は助かるが、カリフォルニアに恐竜が放たれることになる。苦渋の選択を迫られたクレアはドアを開けないことを選択するが、代わりにメイジーがボタンを押してしまう。
実は彼女はロックウッドの死んだ娘のクローンだった。メイジーは自分と同じクローン恐竜たちを見殺しにすることに耐えられなかったのだ。

アメリカに散らばっていった恐竜たちの映像(サーファーを襲うモササウルス、動物園でライオンと吠え比べをするティラノサウルス、ラスベガスに飛来するプテラノドンなど)に、聴聞会のマルコムの言葉がかぶる。彼は遺伝子工学の濫用が人類の滅亡につながると考え、人類が恐竜によって滅ぼされる未来を描き出して言う。「新しい時代が始まる。ジュラシック・ワールドへようこそ」

突っ込みどころがありすぎる

♠ さあ、突っ込み大会が始まるよ!と言いたいところだけど、この映画すべてが突っ込めるのでもうどこから始めたらいいのかわからないよ。
♣ いちばんひどいのは危機の回避の仕方かな。このシリーズって要するにモンスター・パニックだから、主人公たちはしょっちゅう危機に陥るんだけど、そこからの回避の仕方が小学生だってだまされないとおもうようなひどいもので。
♠ 機械仕掛けのラプターとか?(「機械仕掛けの神」のもじりです、念のため)
♣ あわやというところでヴェロキラプトルが割って入って助かるやつ?
♠ 機械仕掛けのモササウルスもお忘れなく。今回は機械仕掛けのTレックスもあったよ。カルノタウルスに食われそうになると、横からティラノが飛び出て。
♣ これぜんぶ『Walking with Dinosaurs』のパクリに思えるなあ。もちろん初回は違うんだけど。

♣ だからすべてひどいんだけど、中でもいちばんひどかったのは、火山が噴火して溶岩や火山弾がビュンビュン降ってくる中を、パニックを起こした巨大な恐竜の群といっしょに逃げて、普通だと(たとえ途中で崖に衝突しないでも)飛び込んだだけで死ぬ高さの断崖絶壁から海に飛び込んでもかすり傷ひとつ追わない主人公たち(笑)。不死身すぎる。
♠ 1作目のガキとかも不死身で笑っちゃったけど、今までの集大成と言っていいほどすごいな。
♣ ちなみにオーウェンが火砕流に巻き込まそうになって走って逃げるシーンがあるけど、火砕流の速度は最大時速700キロ、ガスの温度は1000℃になるそうで。
♠ 逃げる間もなくこんがり焼けてないとおかしい。

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火砕流から逃げるオーウェンと恐竜たち。ちなみに彼はこのあと後ろに見える黒煙のようなものに呑み込まれるが、識者によるとあの煙を吸っただけで死ぬそうです。

♠ そういえば、オーウェンが麻酔から目覚めると、まわり中を溶岩流で囲まれていたなんていう場面もあった。
♣ 起き上がることのできないオーウェンの体と溶岩との距離はせいぜい10センチか20センチだったよね。それで溶岩って1000℃ぐらいでしょ。
♠ これだけ近ければ、直接触らなくても服や髪は確実に燃え上がるし、肉は燃えなくても芯までこんがり黒焼き状態で確実に死にます
♣ 触らなければ溶岩も大丈夫と思ってるんだろうか? アメリカ人だってバーベキューぐらいやるだろうに。そう言えばあの人、恐竜用の麻酔弾(当然人間なら即死する量)をぶち込まれても、死にもしないどころがすぐに目を覚ましてたね。さすが超人!
♠ これほどの超人をたかがラプターの教育係にしておくなんて、やっぱりバカだよね。X-Menとかにスカウトされていいレベル

♠ あのパニックの中でも主人公たちを一目見ると、いきなり腹が減ってることを思い出して食おうとしてくる肉食恐竜とかもひどい。肉食動物は食うことしか頭にないキリングマシーンというのも、いかにもアホが考えたらしい嘘。
♣ これでも初代はジャック・ホーナー(有名な恐竜学者)とかが監修してたって、信じられないよね。

♠ だいたい火山噴火で恐竜が滅びるっていうから、島が沈むレベルの噴火かと思ったら、そもそもすごく大きい島だし、島の反対側はなんともないようなので、恐竜を苦労して捕まえて運び出すよりそっちに逃がせよ。
♣ それを言うなら、もうすぐ火山が大噴火して島ごと滅びると言われてるところに行って、火山の噴火に遭って死にそうになる主人公たちもなんかなあ。わかってるんだから、準備とか対策ぐらいして行けよって感じ。
♠ まあ、それでもとにかく、トップのポスターにあるみたいな、火山噴火と恐竜という大自然の脅威、それと比較してゴミみたいにちっちゃい人間という構図はワクワクするし、狙いは間違ってないと思うわ。
♣ 問題はそのちっぽけな人間が生き延びるなら、それなりに説得力のある方法を考えてくれってことなんですけどね。

恐竜について

♠ 「どこから突っ込めばいいのかわからない」と言いながら、結局突っ込み大会になっちゃうな。
♣ でも最大の突っ込みどころはやっぱりかんじんの恐竜だと思うよ。
♠ うん。普通、この手の私の「専門」の映画では、科学的な突っ込みを入れるのが楽しいのだが、その気も失せるほど荒唐無稽すぎて。
♣ とりあえず今回も、「ハイブリッド」と称するインチキ創作恐竜が出てきた。
♠ 前作の最強殺人マシーン、インドミナス・レックスと、恐竜の中でいちばん頭が良いと言われる(私はトロオドンがいちばん賢いと聞いたけど)ヴェロキラプトルとの混血で、インドラプターというのだそうだ。はい、こちらがそのインドラプター。

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♣ うわー! なんか姿に関しては、前作よりさらに痛いっていうか、中二っぽいというか。
♠ いかにも悪役というわかりやすい面構えに真っ黒な体色でね。
♣ 強そうって言うより、恐竜版ゴラム(『指輪物語』)みたいに見えるんですけど。
♠ それはいいけど、これがまた間違いだらけなわけよ。

♣ 四足歩行‥‥
♠ そう、獣脚類(すべて二足歩行)から作られたインドラプターがこんな感じで四足歩行するんだよ。ときどき二足歩行もするけどね。
♣ イグアノドンみたいに両方できたとされる恐竜もいるけど、獣脚類は無理でしょ。
♠ そう、骨や関節や筋肉の付き方が違うから不可能なのよ。それを無理やり四つ足にしてしまうから、こういう奇形みたいな恐竜になってしまう。
♣ そう言えば確かに奇形の恐竜にも見える。ノートルダムのせむし男恐竜版かも。
♠ とにかく無理やり四足にしたから、後足が異常に短く、前足が異常に長くなってしまった。
♣ 原型になったとされるティラノなんて前足は退化してなくなる寸前だし、ラプターもそこまでは行ってないけど、前肢はほとんど使ってないのは明らかなのに。
♠ おかげでこういうへんてこりんな絵になってしまう。

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ベッドのメイジーに迫るインドラプターの魔手!

♣ ありえねー! エイリアンかよ!
♠ こんなに手が長いのもありえないけど、それ以前に、恐竜がこんな姿勢で前足を伸ばすなんて不可能でしょう。関節どうなってんだ?!
♣ あと、獲物にまず手を伸ばすってのは猿や猫ぐらいで、普通の肉食獣はまず鼻を近づける。
♠ 特撮班はアホ映画でもそれなりにがんばってるのに、このアホなデザインのせいで、まったく生物には見えなくて、安っぽいパペットみたいに見えちゃうんだよね。

♠ このあともすごいよー! ここにオーウェンやブルーが乱入してきてインドラプターとバトルになるんだけど、ラストバトルが女の子の寝室で行われるという展開はモンスター・ムービーでは前代未聞と言っていいんじゃないか。
♣ 特に子供部屋でインドラプターとブルーが一騎討ちを始めたときは目を疑った。巨大恐竜の対決の舞台が子供部屋って。
♠ いくら富豪の子供だから部屋も広いと言ってもねえ。
♣ おかげでカメラの入る場所がなくて、インドラプターなんてほとんど手足の先っぽしか映らないし、何をやってるのかも見えない。

♠ それ言ったら、巨大恐竜が屋根のてっぺんに登るという発想もどこから生まれたんだか。キングコングじゃあるまいし!

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♠ 豚もおだてりゃ木に登るっていうが、獣脚類が屋根に登らないのは間違いない。
♣ やっぱり猿か猫と間違えてるんじゃ?
♠ 大型恐竜にとって最大の脅威は転んだり落ちたりすることなんだよ。あの体重だから間違いなく足を折るしね。それで野生動物が足を折ったりしたら死亡確定だから。
♣ 『Walking with Dinosaurs』でもそういう場面何度もありましたよね。
♠ だから、大型の動物は高いところをものすごく恐れる。まして自分から屋根になんか登るわけないんだよ!
♣ 頭おかしいとしか思えない。

♠ おまけに土砂降りの雨の中、月を背に吠えてるし。
♣ あっ! それは気付かなかった! 投光器かなんかかと思ってた。
♠ 気になるからもう一度見てみたけど投光器なんかないよ! ここは古風なお屋敷なんだから。やっぱり嵐の中に月が出てるんだよ。
♣ 突っ込むところだらけとは言ったけどマジだ、これ

♠ 突っ込みどころはまだまだあるぞー! このインドラプター、どうやら軍事用に売り込むつもりで、レーザー照準で狙った相手を死ぬまで追いかけるっていうんだけど‥‥
♣ レーザー照準で狙えるところにいるんなら、そのまま撃ちなさいよと(笑)。
♠ どう考えても恐竜に追いかけさせるより引き金引く方が安上がりだし確実だよね。
♣ だいたい話がスナイパーっぽいけど、あんなでっかい恐竜が来たら誰でも逃げる(笑)。
♠ そもそもあんなでっかい生き物を、標的のところまでどうやって運ぶんだと。そこまで目立つことするなら、もうロケット弾でも撃ち込んじゃったほうが早い(笑)。

♣ あとは重箱の隅みたいになっちゃうけど、あんな爪で四足歩行したら、一発で指折りそうとか?
♠ あの乱杭歯は凶悪そうに見せるためだろうけど、ああいう歯はワニとかバリオニクスとか首長竜のように魚を主食にしている動物特有のもので(魚はすばしこくてツルツル滑るから)、インドラプターは魚なんか食べないだろうとか。
♣ インドラプターから隠れるために全館の電気を消すというのもすごい非科学的。常識的に考えて、恐竜の方が人間よりはるかに夜目も鼻が利くよねえ。
♠ 『ジュラシック・パーク』でもティラノサウルスは止まった獲物は見えないぐらいだったから、今さら驚かないけどね。

♠ インドラプター1頭でもこれだけ突っ込みどころがあるんだけど、ブルー(ヴェロキラプトルの生き残りの名前)もあれだよね。
♣ もともと頭のいいラプターの中でも、ブルーはオーウェンの特訓のおかげでひときわ高い知能を獲得したということになっていて、ミルズも特にブルーを欲しがってるんだよね。
♠ インドラプターと掛け合わせて天才ラプターを作る気らしい。
♣ ほほー。「獲得形質は遺伝しない」という遺伝学の根本は無視ですか。
♠ いちおう、それに反する例とされる報告はいくつか出ているけどね。私は信じてないけど。
♣ 人間に次ぐほどの知能の持ち主って言ってたけど。
♠ それはいくらなんでもありえない。

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オーウェンと赤ちゃんブルー

♠ ところで前作でも指摘したように、アメリカ人にとって知能が高い動物というのは、犬みたいに人になつくとか、芸ができるということなのだ。そこで、普通のラプターはフランクリンが弱っているふりをする(頭を抱えているだけ)と襲ってくるが、なんとブルーは弱ったふりをしているフランクリンに顔を寄せて心配してくれるのだ!
♣ やっぱり完全に犬か猫と勘違いしている!
♠ これを見て「おおー!」と感動する恐竜ファンが何人いるんだろう?

♣ という憤慨は別として、ブルーかわいいよね。
♠ うん、特にこの赤ちゃん時代は最高。こんなにちっちゃいのに、ちゃーんと恐竜の格好してて。
♣ 最近オオトカゲ動画とか見まくってるから、よけいうっとりするねえ。トカゲなんかに浮気してごめん! やっぱり恐竜以上にかわいくてかっこいい動物はないわ。
♠ モニター・リザードだって顔はかわいいんだけどさ、やっぱりトカゲ特有のおなか引きずってがにまた歩きしかできないしねえ。二本足で直立してトコトコ走るラプターのかわいさには及びもつかないわ。
♣ ほんと恐竜が絶滅しないで、このサイズだったらねえ。それでペットとして飼えたらねえ。
♠ それならいるじゃん。鳥が。ペットとして飼えるし。アヒルならこのサイズだよ。二足歩行でトコトコ走るよ。
♣ それはそうなんだけど(笑)、やっぱりウロコがいいの! アヒルはアヒルで好きだけど。
♠ とにかくラプターの赤ちゃん出してくれただけで、前作よりはこっちのほうが好き。

♣ とりあえず、話はめちゃくちゃだけど、恐竜はそれなりにいいんだ。
♠ そうか? 1作目とくらべて何も進歩してないなと思いながら見てたよ。
♣ それでもこっちのほうがたくさんの種類が出たし。
♠ たいして変わらないと思ったけど。
♣ だって、ジュラシックと言いながら、ジュラ紀最強のアロサウルスが出ないのはひどいと思ってたけど、それが初めて出たし、カルノタウルスも原作では出てるのに、映画は今回が初登場だったし。スティギモロクなんか思ったより大活躍だったし。
♠ あれなんで前から出ているパッキー(パキケファロサウルス)にしなかったんだろ? (パッキーより小型の)スティギーじゃ壁や鉄格子壊すのは無理でしょ。
♣ 知らん。なんでもシノケラトプスが出てるのは中国の観客に媚びを売ったらしいけど。

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サーファーを襲うモササウルス。この構図はマジで怖い。

♣ モササウルスの扱いだけなんか別格なのも変。
♠ ティラノサウルスはいちおう看板役者だから主役扱い。ヴェロキラプトルは前作から主人公側の「いい恐竜」だからこれも主役のひとり。悪役はインドラプターが一身に担ってくれるんだが、同じように人食いまくってるモササウルスはなぜか治外法権に置かれている。
♣ まあ、あれを倒そうったって、傭兵軍団ごときじゃ手も足も出ないから当然だけど、ゲスト出演のくせにやたら派手な見せ場ばっかり
♠ オープニングとエンディングでも決めてくれるしね。
♣ なのに恐竜ですらないし、ジュラ紀の動物ですらない(笑)。(このシリーズに登場する恐竜の多くと同様、モササウルスは白亜紀の生物)
♠ どうせ海竜出すならジュラ紀にもいたリオプレウロドンにしてくれても良かったのになあ。モササウルスは後躯が尻すぼみでいまいちかっこよくないので、全身ガッチリ型のリオプレウロドンのほうが強そうなのになあ。
♣ しかし他の恐竜は捕獲して船で連れてきたんだけど、モササウルスは自由の身になったのに、わざわざ付いてきたんだね。
♠ 前のどれだったかみたいに子供を追いかけてきたというんでもないし、ほんとでたらめだな。
♣ 海ならサーファーより食いでのあるもの(クジラとか)いっぱいいるのにね。

♠ 恐竜の競りでの異常な安さも驚かなかった? 生きた恐竜が1000万ドルで買えちゃうとか。シャチですら数億円するのに。いや、もう取引禁止なんだっけ?
♣ 恐竜なんてもはや珍しくもないという設定だからじゃない?
♠ いや、今生きてるのはあそこにいただけでしょ? みんな噴火で死んじゃったんだから。
♣ でもクローンでいくらでも再生できるから。
♠ そうか。とにかくハリウッドスターの1回のギャラが2000万ドル以上だからなあ。トム・ハンクス飼うより恐竜飼った方が千倍いいしなあ。
♣ だからスターのギャラみたいな出演料だと思えば? きっと恐竜レンタルしたらこれぐらい、っていうんで算出したんだよ。

♠ しかしこのシリーズって、モンスター・パニックなのにモンスターやっつけて終わりにできないのが悩ましいよな。
♣ 恐竜を殺しちゃったらキッズの夢を壊すしね。
♠ すでにバンバン殺してるけど。かといって主人公を保護派にしちゃうと、これまた観客が期待している恐竜が人間をバクバク食う映画が撮れない(笑)。
♣ だからこれまでも、人間の悪役を作って食わせることでごまかしてきたんじゃない?
♠ 東宝のゴジラが陥ったジレンマに似てる。本来は不吉な怪獣だったゴジラが人気が出ちゃったので、善玉にするしかなくなったみたいに。
♣ まして動物だしねえ。知能の高い動物殺すとあっちこっちから文句が来るし。
♠ その意味でこの結末には驚かされたんだが。
♣ あ、その話はあとでするから。

役者評

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♣ そういえば、これまではバカにして役者評もやらなかったけど、たまにはやってみない?
♠ 主役の二人、クレア(ブライス・ダラス・ハワード)と、オーウェン(クリス・プラット)は典型的なジュラシック・パーク役者というか、単に不快感は与えなくて安心できるというだけの、とりたててなんの特徴もない人たち。
♣ クリス・プラットはまあヒーロー顔だし、何も問題はないんじゃないですか?
♠ なんか目がギロッとしたところがアメリカ版ルーク・エヴァンスに見えちゃって、ルーク・エヴァンスが嫌いな私はちょっと‥‥。映画じゃ不死身なわりには、別にかっこいいアクションを見せるというわけでもないし。
♣ ブライス・ダラス・ハワードは映画監督のロン・ハワードのお嬢さん。と言ってももうアラフォーなんだけど。
♠ 彼女は年増なところがかえって気に入ったわ。目立った美人じゃないけど、それなりに知的に見えるし。
♣ 大きなグリーンの目で、若い頃は美人だったかもね。前作のスーツ着た、いかにも女エグゼクティブという感じより、濡れTシャツでがんばるこっちのほうが好感が持てたわ。

♣ 善玉側の脇役はジア(ダニエラ・ピネダ ヒスパニック)とフランクリン(ジャスティス・スミス 黒人)。
♠ 黒人でなんとかスミスと聞くと、ついウィル・スミスの息子かと思ってしまうんだけど。
♣ 関係ないみたいですよ。でもうっとうしくて騒がしいコメディ・キャラという点では、レイシズムじゃないかと思えるぐらいよくいる黒人脇役キャラ。コンピュータ担当だけど、あまり賢そうに見えないし。
♠ 一方のジアは、いまいちキャラがはっきりしないんだが、いちおう頼れる女性というイメージの獣医。
♣ さすが政治的に正しいっていうか、主人公は白人、脇を黒人・ヒスパニック・東洋人(遺伝子学者の中国人)で固めるという。
♠ それはどうでもいいけど、この二人は出番が多いわりにつまらないからいらなかったな。その時間に悪役をちゃんと描くべきだった。

♣ あと善玉では第1作のジョン・ハモンドの親友だったというロックウッド(ジェームズ・クロムウェル)。
♠ 役者自身も相当な高齢だけど、アメリカ人にしては品のいいハンサムなお爺さんで好き。身長2メートルもあるし。
♣ なんだ、その基準? 確かにジョン・ハモンドを演じたリチャード・アッテンボロー(BBCの自然シリーズのデヴィッド・アッテンボローのお兄さん)は見るからに山師っぽくて信用できなかったけど、この人は善人ぽい顔してるね。
♠ デヴィッド・アッテンボローの兄なのに動物で一儲けを企むとは許せん(笑)。

♣ そのロックウッドの孫娘のメイジーを演じた子役がイザベラ・サーモン
♠ ジュラシック・シリーズは必ず子供を出すのがお約束(たぶん観客のガキの歓心を買うため)なんだが、その子供がうざくてうざくて、ストーリーの邪魔だし足を引っ張るしかしないのが最大の欠点だった。それにくらべ、この子はしつけがいいし、存在意義もあるし、ストーリーにもちゃんと関与するので、初めて好感を持った
♣ 存在意義って、クローンってところと、あのボタンを押すところ?
♠ あそこでクレアにボタンを押させたら恐竜を野放しにした責任問題になっちゃうし、かといって見殺しにしたら非難ごうごうだし、子供がやりましたと言えば許されるっていう魂胆でしょ? 「クローンだって生きたい」と涙を誘う作りにもなってるし。
♣ とりあえずイギリス人の子役はいいねえ。演技はすごいうまいんだけど、アメリカ人子役みたいに鼻につく生意気さがなくて
♠ なんで親がアメリカ人なのに子供がイギリス人なのかは別として、イザベラちゃんいいね。ただ今は可憐な子供らしさでかわいいけど、大人になったらかなりのブス‥‥

♣ ひどいことを‥‥。そう言えば、イザベラのナニーの役で、ジェラルディン・チャップリンが出てたね。
♠ こんなおばあさんになっちゃったのか‥‥。
♣ むしろこの年で現役で芝居やってるところがすごいと思うわ。それにただのお婆さんじゃなく、これほどの役者になると出てくるとはっとするような後光がある。
♠ べつにチャップリンの娘だからというだけではない貫禄があるよね。

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♣ 今回の悪役コンビはレイフ・スポールトビー・ジョーンズのイギリス人コンビがつとめます。
♠ なんかイギリス人多いね。
♣ ロケ地のハワイを除けば撮影もすべてイギリスだし当然。ただ、普通は英国人俳優使うと重みが出るんだけど、この二人はなんか微妙というところがいかにもこのシリーズらしい。
♠ まあ、そう言うな。二人とも好きだけど、なんか迫力がない悪役だな。トビー・ジョーンズは小さすぎるし、レイフ・スポールは見るからに人が良さそうに見えて悪役らしくない。
♣ トビー・ジョーンズみたいな人はそれこそ使いようによってはすごい不気味に見えるはずだけど、こんなボンクラ映画じゃしょうがないか。
♠ むしろ、悪役なら傭兵隊長のウィートリーを演じたテッド・レヴィンがすごく良かった。細い釣り目が見るからに悪そうで。どっかで見た顔なんだけど思い出せないや。
♣ 『羊たちの沈黙』でバッファロー・ビルを演じた人ですよ。
♠ そうか! こういう性格俳優すごい好きなのに、あんまり見られなくて残念。

♣ あとはえーと、初代から引き続いて出演のマルコム博士役のジェフ・ゴールドブラム
♠ こいつなんでやたら出てくるの? もともと主役でもないし、まして恐竜学者でもない数学者でしょ? 初代『ジュラシック・パーク』でも「なんで出てきたの?」と疑問だったけど、それがずっと出てるのはもっと疑問。
♣ どうやらサム・ニールやローラ・ダーンにも出演交渉したみたいだけど、蹴られたみたいですよ。特にサム・ニールはこの映画嫌ってるらしく、前からもう出ないと言っている。
♠ まともな役者なら当然そうだろうな。でもマルコムって最初からこんなアンチ恐竜論者だったっけ?
♣ 元々、遺伝子をいじくりまわすことには反対の立場だったけど、まあティラノサウルスに食われかけてから恐竜嫌いになったのは間違いないね。

結論 エンディングについて

♣ そろそろ締めたいんだけど、結論としてはまあいつも通りのしょうもない映画ってことでいいんでしょうか。
♠ まあしょうもないことはしょうもないんだけど、それでもいつもより多少はましって感じがしたな。少なくとも1作目には匹敵するっていうか。
♣ どこが!!
♠ だから上に述べたみたいにアラだらけではあるんだけど、なんかこうググッとくるシーンがいくつかあるんだよ。
♣ たとえば?
♠ 主人公たちが閉鎖されたジュラシック・ワールドの廃墟に初めて足を踏み入れるシーンで、前景の泥の中に中味の綿が飛び出た恐竜のぬいぐるみが落ちているところとか。
♣ あの廃墟、3年しかたってないにしては朽ち果てすぎと評判悪かったんですが、なんでぬいぐるみ?
♠ なんかやっぱりさ、恐竜好きとしてはかわいそうでググッとくるじゃない。
♣ そういうもの?
♠ あとさ、島から逃げるときに桟橋に置き去りになったブラキオサウルスの最後とか。
♣ あそこは私、不快感しか覚えなかったけどな。もちろん涙を誘う演出なんだけど、助けてやれよとしか。

♠ それと次に述べるラストとかね。たぶんこの違いは監督の違いだと思う。
♣ 監督はスペインの新人でフアン・アントニオ・バヨナという人。
♠ ヨーロッパの映画祭で賞とか取った外国人監督を連れてくるというのは、ギャラは安くてすむ上に力はあるから良くある手なんだけど、やっぱりアメリカの大学の映画学科とか出たボンクラを使うよりはいいなと思った。
♣ そこまでの芸術性は感じなかったけどなあ。
♠ それでも少しは文化の香りがするじゃん、ヨーロッパだと。

♣ そこで問題のラストですが、インドラプター倒してブルーがガオー!と勝利の雄叫びを上げるところで当然終わると思ったのよね。
♠ ところがそのあとにさっきの恐竜を解放するかどうかっていうジレンマが来て、そのあとにマルコムの不吉な演説がかぶる。
♣ なんか恐竜が人類を滅ぼすみたいな話になってたよね。
♠ 単なる次回作への伏線ではあるけどね。それをちょっと不気味に演出してみせるあたりがいいなと思った。いやでも次が見たくなる。
♣ でも絶対無理でしょう? もう1頭ずつしか残ってないのにどうやって繁殖するんだよ。
♠ そこは“Life finds a way.”ってことで。
♣ 無理だって! それに逃げたってまた捕まえればいいだけじゃん。そうやって捕まえて持ってきたんだから。
♠ でもそうなったらいいなってちょっと思うでしょ。
♣ 思わないって! ただ、このあとブルーが超知能を持って、「猿の惑星」ならぬ「恐竜の惑星」になったらいいなとはちょっと思った。
♠ 実はそれ、昔からの私の白昼夢なんだよね。ここには書かないけどすでに長いストーリーもできている。
♣ 別に私に限ったことじゃなく、いろんなイラストやCGに描かれてるでしょ。現代に恐竜が生きていたらどうなってたかみたいなの。
♠ 私のは猿が進化しないで恐竜が進化した世界なんだけどまあいいや。このラストシーン、ブルーがどこかの町を見下ろすシーンなんて、いかにもワクワクするじゃない。こういうドラマを感じさせる絵が撮れるだけでもこの監督は有能だわ。
♣ 実際はまだポストクレジットにプテラノドンが来るんですけどね。それにどうせ次作はまたくだらないと罵ることになるんですけどね。

JurassicWorldFallenKingdom_04

おわり

終わったけどおまけ

もう2年ぐらい前のこと、夜中に運動のため自転車で家の近所を走っていたとき、ビルの1階に灯りのともった店のようなものを発見した。新しい店ができたのかと思ったが、こんな夜中(12時過ぎていた)に営業してるのってなんの店だろうと気になって近寄ったところ、なんとカウンターの向こうに、等身大の帽子をかぶったラプターが2頭、ひょこひょこと動き回っていた。
これだけでも腰をぬかさんばかりに驚いたのだが、もっと驚いたのは室内に誰も人の姿が見えないこと。ラプターだけが店番(?)している。客も店員もいないのに、ラプターは動いているところをみると営業中なんだろうか? いったいなんの店なんだ? 好奇心に駆られて入ってみようかと思ったのだが、あまりに異常な雰囲気にひるんで、そのまま逃げ帰った。なんか夢でも見ているみたいな感じだった。

HennnaHotel

これなら私でもホテルとわかるが、最初に見たときは周囲は暗いし、中も薄暗くて恐竜以外見えなかったのでマジでビビった。

帰ってからネットで調べて、これが店じゃなくて「変なホテル」という名前のホテルチェーンであることを知ったが、なんで恐竜なんだよ! 泊まってみたくなるじゃないか。うちから徒歩3分の距離だけど(笑)。これで部屋とかもすべて恐竜テーマホテルだったら絶対泊まるんだが。

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