★【映画評】ブライアン・シンガー『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)Bohemian Rhapsody

――知らんけど、私はそういう人たちとは別のものを見てたんだと思うわ。少なくともそういう人とQueenの思い出は共有できないから、私は自分の思い出だけ持って墓場に行くからいいわ。

確かに日本ではもう40年前をリアルタイムで知る人は少ない。その生き証人が語る大ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』批判。

♠ 『フランク』がすごい不発だったので、つい同じバンド映画ってことでこれを見てしまった。
♥ 「見てしまった」ということは見るつもりがなかったってことだよね。
♠ だってほら、自分の好きだった人の伝記映画とか見て楽しかったことないじゃない。『シド&ナンシー』は好きだったけど、それはあの二人やPistolsにはそこまで思い入れなかったからで。これがClashの話だったら平静ではいられない。
♥ でもまあ、Queenは私の中で完全に終わったバンドだからねえ。今さらそこまで心配することないんじゃない? あと、私はQueenはアイドル的に好きだったわけじゃないし、誰か個人のファンだったわけでもないから、べつにフレディが似てなくても気にしないし。《とかなんとか言ってたがー》

私とQueen、および音楽史的位置付け

♠ いちおう自己紹介しておくと、Queenはかつて私にとって押しも押されぬ不動のNo.1バンドだった。
♥ ただその期間は意外と短くて、本当に好きだったのはセカンドの”Queen II”(1974)から4枚目の”A Night at the Opera”(1975)までの3枚だけ。
♠ 5枚目の“A Day at the Races ”(1976)と、あの伝説の“We Will Rock You”を収めた“News of the World”(1977)はいちおう買ったけど正直がっかりしたし、“Jazz”(1978)でやっぱり完全にだめだと思って見放した。

♥ なんか世間の盛り上がりと逆行してたね。
♠ 盛り上がりっていうか、単に長くやってるぶん知名度が浸透していっただけ。特にアメリカで。日本の一部じゃデビューから盛り上がってたし。
♥ そういうのは映画でも多いな。本当にいいのは最初の3本ぐらいなのに、なぜかまるでだめになってから巨匠扱いされたりして
♠ それってこの映画の監督のブライアン・シンガーのこと?(笑)
♥ おお! 最初から毒吐きまくりですね。なんで嫌いになったんだっけ? ブライアン・シンガーじゃなくてQueenだけど。
♠ だって初期アルバムと較べると出来の差は一目瞭然じゃない。フレディもバンドも見違えるようにうまくなったし、録音技術も向上したけど、曲がぜんぜんだめ。甘ったるいバラードか、ただの古くさいロックンロールばかりになっちゃって。“We Will Rock You”だって、スポーツの試合で聞けば気持ちいいけど、あんなもん歌じゃねーし。

♥ まあ、♠がQueenを嫌うのは当然で、70年代半ばにはグラムもパンクもあったし、Queenは露骨にオールドタイマーって感じだったから。
♠ まずああいうグラムとかQueenみたいなきらびやかで大がかりで華麗なロックというのを全否定したのがパンクだったからね。でも(例によって何から何まで間違ってる)Wikipediaに「遅れてきたグラムロックバンドと見られ」てバカにされたとあるけど、グラムはあの頃まだ全盛だったし、Queenがバカにされたのは「遅れてきたプログレ」だったからだぞ。そもそもそのプログレ連中もバリバリの現役だったんだから。
♥ これは今でもよく覚えているけど、60年代から70年代って、英国ロックにはそういう大きなムーブメントが次々産まれて、最高に盛り上がっていた時代なんだけど、Queenってそういう波の合間にぽこっと出てきた毛色の変わった異分子で、完全にどの派閥にも属さないオリジナルなバンドだった。
♠ それは偉いといえば偉いんだけど、反面、「なんだ、こいつら?」という感じで、共感も得られにくかった。
♥ 時代との一体感というのがまったくなかったよね。完全に我が道を行く感じで。
♠ ところが私はロックというものは時代との共感を失ったら終わりだと信じていたので、ちょっと醒めた目で見ていたのも確か。
♥ 時代と寝てナンボなのにね。とにかく80年代になってからのQueenはだめね。

♥ でもね、もう当時を知る人は少ないだろうからこれは特記しておきたいけど、Queenを後の大スターに育てたのは日本の女性ファンだったんだよ。
♠ 私らそれの生き証人だからね。ただ、日本の女性ファンが偉かったと言うより、「ミュージック・ライフ」(音楽誌)が偉かったというべきでは?
♥ 確かに。よくこんなの見つけてくるなと思うようなバンドよくあったよね。Queenもそのひとつで、日本ではファーストの頃から一部で盛り上がっていた。
♠ そう言えば映画だけ見てるとまるですぐにスターダムに載ったような感じだけど、実際はQueenはなかなか売れずに苦しんでたんだよ。本国ではバカにされていたし、アメリカ人にもまったく受けなかったし。オカマっぽいとか言われてね。
♥ その不遇時代にそれを全面支持したのが日本の女性ファンで、バンドもそれがありがたかったと言ってる。
♠ 単に化粧した男だからというそれだけの理由だったけどね(笑)。
♥ 私もそれでファーストの頃はずいぶんバカにした。だって顔が売りだというのに、4人ともぜんぜん美少年に見えなかったんで。「だって出っ歯のゴリラじゃん」とか言ってバカにしてたの覚えてる(笑)。
♠ ブライアンは知的だけどおっさん臭いし、ロジャーはチビだし女っぽくて気持ち悪いし、ジョンは何もかも地味すぎるし(笑)。
♥ いやマジでこの頃の私はルックス抜きでこれだけ夢中になったバンドはいなかったよ。

Live AidとBand Aidの思い出

♠ しかしなんで無名時代をカットしちゃったのかなあ。バンドものではそこがいちばんおもしろいところなのに。有名になってからなんて誰でも知ってる話を今さら映画にされても。
♥ むしろ私はそっちのほうが知らないから新鮮かも。「今なお語り継がれるライヴ・エイドでの奇跡の復活」とか言われて、そのLive Aidの場面から始まるんだけど、「ほえ~?」って感じで。
♠ もちろんLive Aidもリアルタイムで見たけどな。ただ、Band Aidのときと較べると完全に冷めた目で見てたし。
♥ ちなみにBand AidというのはBoomtown Ratsのボブ・ゲルドフとUltravoxのミッジ・ユア(ユーロにあらず)が英愛のポップ・アーティストを集めて作ったチャリティ企画で、“Do They Know It’s Christmas?”というシングルを出してます。
♠ まだBand Aidのときは感動したんだよ。曲はちょっとあれだけだど、よくあれだけのメンバーを集めたなと思って。
♥ そもそもみんなライバル同士で、日頃いがみ合ってケンカばっかしてたやつらだし(笑)。こいつらがいっしょの部屋の空気を吸ってるだけで奇跡って感じ。

♠ それでそのBand Aidのライブ版がLive Aidというふれこみだったんだけど。
♥ ぜんぜん違うじゃん。結局、アメリカ資本を入れたところで、趣旨そのものが変わってしまった感じ。
♠ うん、Band Aidはメンツも当時の英国のトップスターが全員集合。それも日頃の悪ガキどもがアフリカの子供たちのためだからと言って一時的にいい子になっただけなんだけど、こっちは大資本が入って、その資金回収のためにジジイ受けするかつての大スター、つまりQueenみたいなとっくに終わってるロートルの大物アーティストばかり集めたメンバーで。
♥ Band Aidの成功を見て、儲け話にアメリカが飛びついてきた感じ。
♠ アメリカと同時開催というのもキモかったし、ボブ・ゲルドフも一発当てたおかげですっかり有名人気取りの商売人になっちゃったと思ってがっかりした。
♥ ミッジは賢いから手を引いたけどね。
♠ そもそもそのQueenのステージも、私は生中継で見てもなんとも思わなかったし
♥ それを言っちゃおしまいでしょ!

♠ というわけで、「伝説の」ステージなんだそうだが、映画はこのステージで始まって終わる。オープニングは思わせぶりにフレディの後ろ姿だけをカメラが追うんだけど。
♥ もうこの時点で「まるで違う」と思った。顔はまだ見えないんだけど、「これはフレディじゃない。知らない人だ」という感じがひしひしとして。

役者評とメンバーの現在

♠ こういう伝記物はやっぱり演じる役者がモデルにどこまで似てるかが決め手になると思うので、いきなりの役者評。
♥ でも最初にメンバーが出てきたときは心底驚いたよ。まだSmile(Queenの前身となったブライアンとロジャーのバンド)の時代だけど。
♠ この手のバンドもの(しかもフレディ以外存命)ではいつも「似てない!」と怒ってたけど、ほんとに似てる!
♥ 顔がっていうより、特徴や雰囲気が似てるんだよね。ちなみにキャストは下記の通り。

フレディ・マーキュリー ラミ・マレック(Rami Malek)アメリカ人、両親がエジプト人。
ブライアン・メイ グウィリム・リー(Gwilym Lee)イギリス人、ウェールズ系。シェークスピア役者。
ロジャー・テイラー ベン・ハーディ(Ben Hardy)イギリス人。『イーストエンダーズ』出身。
ジョン・ディーコン ジョゼフ・マゼロ(Joseph Mazzello)アメリカ人、『ジュラシック・パーク』のガキ。

上が本物、下が偽物。確かに私が見ても(フレディ以外)鳥肌が立つほど似ている。

♠ 何も言われなくても誰が誰かわかるだけでもすごいと思った。言われてもまったくわからなかった『24 Hour Party People』とはえらい違いだ。
♥ だから特徴をうまく捉えているのよ。
♠ グウィリム・リーは長身痩躯、奥目で頬がこけてカーリーヘアで、一目でブライアンとわかる。
♥ 彼が一番似てたね。本人よりブライアンらしいぐらい。
♠ なんだ、そりゃ?
♥ 本物よりハンサムだけどね。元がシェイクスピア役者だから、プレミアの素顔見たら、めちゃくちゃハンサムでかっこいいのよ。(写真はいちいち貼らないので気になる人はググってください。そのためにちゃんと英語名も添えているので)
♠ ふーん? じゃあブライアンも本当はかっこよかったんだ?
♥ さすがにそれはどうかな。そういえば、プレミアやスタジオに来ている現在のブライアンとロジャーの写真もたくさんあって、隔世の感をおぼえました。(その写真は下に)
♠ ちなみに、Queen関係の版権や映画化権はすべてこの二人が管理しているので、当然映画にもかなり口を出している。
♥ 今や総白髪のお爺さんなんだよね。
♠ そりゃまあ私がお婆さんなんだから当然ね。
♥ でもブライアンが未だにあの長髪のカーリーヘアなのに感激した。あんなに若い頃からパーマかけてても禿げない人は禿げないんだな。

♠ ロジャー役のベン・ハーディはあまり似てない。
♥ でもロジャーというキャラの特徴――小さくてふっくらして、金髪丸顔の童顔でぱっちりお目々――は押さえているので、ちゃんとロジャーに見えるんだよ。
♠ 遠目には似てるんだけど、顔つきが違うんだなあ。もっと目がでかくてたれ目で目つきが悪くないと。だいたいロジャーはお目々クリクリのキューピー人形みたいで気持ち悪いから嫌いだった。
♥ それでモデルのほうはと言うと、お目々クリクリののキューピーさんが白ヒゲ生やしたみたいなかわいいお爺さんになりましたよ。
♠ うそ! ほんとにかわいい! 今のほうが貫禄あってぜんぜんいいじゃん!
♥ この人役者になればいいのに。こういうお爺さんけっこう需要あると思うわ。
♠ それにくらべブライアンは髪の毛以外は年取ったなあ‥‥。

現在のブライアンとロジャー

♥ でもいちばんびっくりしたのはジョゼフ・マゼロ演じるジョンなのよ。確かにやたらキャラの立った他の3人とくらべ、どこにでもいそうな普通の人だったから、似た人探すのは簡単だと思うけど、それにしても気合いの入った似方。本当に昔のジョンがタイムスリップしてここにいるみたい
♠ とりあえず素顔は似てないんだけどね、カツラかぶっただけで本当にジョンに見えるのよね。特徴がなくて大人しそうで地味というところがそっくり!
♥ しかも演じるのが『ジュラシック・パーク』のガキという。
♠ ぜんぜんかわいくないガキだったのに、大人になったらなんとけっこうなハンサムガイに。
♥ これがあるから子役ってわからないのよね。イライジャ・ウッドや、ダニエル・ラドクリフや、コディ・スミット=マクフィーのような、小さかったころはめちゃくちゃに愛くるしかった子が、大人になると奇形児だし。

♠ そういえば、今コディ・スミット=マクフィーの名前が出たけど、コディが変にかわいい悪魔に扮した『X-MEN: アポカリプス』(ブライアン・シンガー監督)で、天使に扮したのがロジャー役のベン・ハーディだよ。
♥ ああ、そういう縁か。ていうか、それ聞いて思い出したけど、もうブライアン・シンガーってそういう監督になっちゃったんだね
♠ そういう監督になっちゃったんだよ。
♥ あれはマイケル・ファスベンダーが出てるからやむなく見たけどひどい映画だった。
♠ なんかこれも暗雲が見えてきたね。

♥ そう言えば本物のジョンは? ジョンがどこにもいない! まだ死んでないよね?
♠ 彼は完全に引退して、もうQueenには一切関係してないんだそうだ。もちろん印税は今でも入るし、暮らしには困っていないはずだけど、ブライアンとロジャーともまったく連絡とってないって。
♥ あー、でもわかる。彼はもともとショービジネスは向いてない感じだったし、静かな老後を送りたいんでしょ。
♠ それでもフレディがいれば違っていたかもしれないけど、フレディの死でQueenも完全に終わったね。
♥ ポール・ロジャースとツアーしてなかったっけ?
♠ あれはやめてほしかったな。

こんなのフレディじゃない

♥ というわけで、いちばん似てないのがフレディかも。
♠ そりゃそうだよ。なんでフレディがアメリカ人なんだよ!!!!
♥ これは絶対荒れる予感。アメリカ人って言うより血統は100%エジプト人なんですが。
♠ 血なんかどうでもいいんだよ。問題は育ち! アメリカ生まれという時点でアメリカ人。
♥ エジプト人と知る前から「オマー・シャリフのできそこないみたいだな」と思って見てたんだけど、ズバリだったな。(オマー・シャリフは往年のエジプト人俳優)
♠ ほんとだ、ちょっと似てる!

♠ あれだけ特徴ある人だから、背格好さえ似ていれば、タワシひげ生やして目張り入れて出っ歯付ければ誰だって似るのに、なんでわざわざ似ても似つかないラミ・マレックを連れてきたのかが理解できん。
♥ 実際、長髪時代はまだ髪でごまかしてるけど、髪切ったあとのほうは致命的に似てないよね。
♠ フレディはあんなに顔が長いのに、この人は見事なホームベース顔はいいとしても、真ん中に目鼻口が集まった顔だし。フレディは鋭い釣り目なのに、この人はかわいい感じの垂れ目だし目がでかすぎるし。

Live Aidでの新旧比較。似てないにもほどがある。

♥ それに他の3人は背格好までそっくりなのに、ラミ・マレックだけぜんぜん似てない。そもそもゴリラでもないし、背も低すぎるし。おかげで小人版フレディみたいに見える。
♠ フレディって大男という印象だったけど、177cmだからそれほど大きいわけじゃなかったのね。
♥ フレディは肩幅広くて胸板が厚くて顔がでかいから、実際より大きく見えたのってはあるかも。なのにこの人はすべて小作りで華奢なんだよね。
♠ ラミ・マレックが175 cmってほんとかよ。絶対サバよんでるだろ。
♥ 役者の公称身長なんて嘘ばっかりよ。この人は170ぐらいでしょ。少なくともロジャーより小さいっていう時点でありえないよ。

♠ 映画のオープニングはフレディがLive Aidのステージへ向かうところを、思わせぶりに顔を見せずに背後からずっと追うんだけどさ、体型がまったく違って、筋肉質でもないし、チビだから、「誰これ?」と思ったよ。
♥ もうあの時点でこれはフレディじゃないとは思ったね。ただのフレディのコスプレした人で。

♠ 結局似てるのは、白人じゃないってところと、エラが張ってるところだけじゃん。
♥ なんか見てるとカレー屋のオヤジがコスプレしてるようにしか見えないんだよね。
♠ (苦笑)フレディもオヤジだったけどさ、それでも彼にはカリスマがあったのに、この人は本当にただの小さいおっさん
♥ それでも長髪時代はまだ髪の毛でごまかせたけど、髪切ってVillage Peopleスタイルにしてからは、顔がモロに出るので違和感ばかりが目立つ。
♠ もう彼が画面に出てくるたびに、「誰だ、こいつ!」という違和感ばかりが先に立って、映画にまったく集中できなかった。
♥ いや、普通そこまで似てること求めないんだけど、他の3人がそっくりなだけに、あとフレディが特徴ありすぎる人だったからよけい気になって。

♠ だから歌えるから抜擢されたのかとも思ったけど歌えないし。最近のこの手の映画では歌も役者が歌いましたというのが売りになってることが多いけど、これは歌はすべて口パクだし、本当に彼を使った意味がわからない。
♥ まあ、フレディみたいに歌えたら役者やってないし(笑)。
♠ でも歌える人はいるんだね。サウンドトラックはQueenのを使ってるところと、マーク・マーテル(Marc Martel)というカナダのシンガーの歌っている部分があるんだけど、この人声から何から本当に完全コピーなんだよ。
♥ そっくり芸人か何か?
♠ この人をそのままフレディ役にすればよかったのに。メイクすればどうせ顔なんかどうとでもなるし。声が似てるほうが大事だよ。

♥ そう、声もひどいけど、何よりアメリカ訛りで話すフレディというのがひどすぎる
♠ 普通アメリカ人がイギリス人役やるときってアクセントの特訓するものじゃないの? 少なくとも逆の場合はやるよ。
♥ ジョンはちゃんと英国訛りをまねしてたのにね。
♠ それでも下手な人はいるけど、こいつはまるっきり似せようという努力すらしていない。
♥ おまけにマウスピース入れてるせいか知らないけど、モゴモゴしたひどいしゃべりになっちゃってる! アクセントよりそっちのほうが気になったわ。
♠ フレディはすごい美しいブリティッシュ・アクセントで、きわめてアーティキュレートなしゃべり方をする人だったので、あまりの違いに唖然としたよ。顔はああだけど、声とアクセントは本当に美しいなといつも思ってた。
♥ ザンジバル生まれなのに(笑)。
♠ とはいえ、彼、けっこういい家の子でしょ? ああいう話し方をするのは上流のしるしだと思うけど。
♥ それほどいい家とも思えないんだけど、インドでボーディングスクールに入ってたというね。そこらで身に付けたのかな?
♠ 英国に渡ったのは18の時だから、ずっと植民地暮らしだったんだけどね。それで訛りがないってことはちゃんとした教育受けたしるしだと思う。

♥ あとラミ・マレックはかなり色が黒いけど、フレディは肌はかなり白いから私は白人との混血なんだと思ってたんだけど‥‥
♠ いま調べたら両親ともインドのパールシー教徒みたいね。
♥ じゃあなんで白いんだ? 映画でもお父さんは白人みたいに見えたけど。
♠ 彼の本名、ファルーク・バルサラはグジャラート語だそうだから、やっぱりその辺(インド北西部)の人かと思う。

♥ とにかくさあ、イギリスにはインド系や中東系の濃い顔した人はいくらもいるんだから、そういう役者を使えばいいのに、なんでこんな変なアメリカ人ていうかエジプト人使わないとならないのかわからない。
♠ とにかくあのアクセントとモゴモゴしたしゃべりが気になり出したのが開始10分。その後はもうフレディがフレディに見えなくて、どうしても芝居に入り込めなかった。
♥ 顔も体も声もアクセントも、要するにすべてダメじゃん。なんでこの人が似てるといわれるのかさっぱりだわ。

主演と監督の交代劇

♥ これはIMDbを読んで知ったんだけど、ラミ・マレックは第一候補じゃなかったんだって。最初の企画ではスティーヴン・フリアーズ監督、主演サシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen イギリスのコメディアン)で撮るはずだったんだって。
♠ 何それ、そっちの方が絶対いいに決まってるじゃない。フリアーズ最近見てないけど好きだったし、サシャ・バロン・コーエンは顔長いし、ガタイいいし、中東系だし、Village People顔だし、ぴったりじゃない。
♥ 確かに今のイギリスでフレディっぽい人といえば、彼しか思いつかないね。ところが、ブライアンとロジャーが反対して両方ボツ。
♠ 理由は?
♥ それほどちゃんと読んでないけど、まあ藪の中って感じ。
♠ まあ確かにサシャは彼自身が個性的すぎるって感じはするけど、一方でいろんなキャラに化けるのが売りだしね。サシャのフレディなら見たかったかも。
♥ ベン・ウィショーになるという噂もあったんだってよ。
♠ それはない!
♥ あと、監督もブライアン・シンガーに決まった後もずーっとゴタゴタして、途中で首になって、ピンチヒッターとしてデクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)がメガホンを取ったこともあるんだって。そんなこんなで完成まで8年もかかったとか。

♠ ちょーっと待て! デクスター・フレッチャーって「あの」デクスター・フレッチャー?
♥ 間違いないす。今は映画監督になって、成功しているみたいよ。エルトン・ジョンの映画『ロケットマン』なんか撮ってる。
♠ うそー! いろいろやってるのは知ってたけど‥‥。
♥ なんで驚いてるかというと、私は子役の頃から彼の大ファンだったのです。アラン・パーカーの『ダウンタウン物語』(Bugsy Malone, 1976)でデビューしたんだけど、私が彼を意識したのはデレク・ジャーマンの『カラヴァッジオ』(1986)でカラヴァッジオの少年時代を演じたとき。変な顔なんだけど、妙にそそる色気があって。
♠ でもそれに続くボブ・ホスキンズの監督作『ジプシー/風たちの叫び』(The Raggedy Rawney, 1987)が死ぬほど良くて、永遠に忘れられない役者のひとり。
♥ 実はベン・ウィショーを好きになったのも、ちょっと雰囲気がデクスターに似てると思ったからというご縁もあって。

♠ げーっ! ベンのフレディはいやだけど、シンガーなんかじゃなくデクスターの監督で見たかった! こんなアメリカ人なんかに監督も主演もやらせて、ブライアンとロジャーは何考えてるんだ? 老人ボケになってるんじゃないのか?
♥ まあだいたい、8年もこねくりまわした映画が良かった試しはないよね。
♠ それがヒットしたのも信じられないが、ブライアンとロジャーは金儲けの才覚だけは失ってなかったってことか?

衣装とセットと振り付けの話

♥ 次にびっくりしたのは、(映画では)最初のステージになるTop of the Pops(BBCの人気音楽番組。かつてはあらゆるポップバンドの登竜門だった)のセットのリアルさ!
♠ 衣装もだよ。4人が4人とも、記憶にある通りの衣装そのままだったんで驚いた。
♥ なんで知ってるのよ! あの当時TOTPなんて見れたはずなのに!
♠ 当時はもちろん見れなかったけど、あとからテレビで何度も見たし、写真でも見ていた。特に雑誌の写真は当時は他に視覚メディアってなかったから、穴の開くほど眺めてたから、完全に暗記してた。それで驚いたことに、場面が変わるごとにメンバーが着ている衣装、すべて見覚えがあるのよ。
♥ 衣装担当とセット担当は確かにがんばった。
♠ Live Aidのステージセットなんかも、見て「そういえば確かにこうだった」と。
♥ ただ、そっくりだったらなんなんだ?ってことよね。
♠ そういうこと。Live Aidにしろなんにしろ本物の映像が残ってるんだから、見たきゃそっち見るよって感じで、映画でやる必然がまったく感じられない。
♥ それに道具立てがそっくりすぎると、よけいそこにいる人たちが偽物であることがバレバレで。

♥ ラミ・マレックのステージ・アクションも「本物そっくり」ということで話題になったけど。
♠ だから振り付け師もがんばったってことでしょ。もちろん振り付けもセットも衣装も大事だけど、それはあくまでプロップで、映画でがんばってほしいのはそれより監督や脚本や役者なんだよ。

脚本とストーリーについて

♥ というところで、次は脚本とストーリーについて。
♠ 私はQueenの映画かと思ったら「フレディ・マーキュリー物語」だったんだけど。
♥ でもいちおう基本は押さえてる。バンド結成から、セクシュアリティの問題とか、家族との関係とか、バンドメンバーとの関係とか、ソロ活動の話とか、AIDSの発症とか。
♠ それが全部細切れに、早送りみたいにチャカチャカと出てくるんだよね。
♥ 私が好きだった時代なんて一瞬で終わった。
♠ 私は「Queen物語」のほんの一部しか知らないけど、それでも展開が早すぎると思った。
♥ 早回しのフィルムを見ているみたいな。
♠ その早回しの合間にその時代時代のQueenのヒット曲や、有名なギグの再現フィルムがはさまるというなんの芸もない構成。
♥ 再現フィルムって言えてる(笑)。このパチモンぽさといい、安っぽさといい、まさにテレビの再現フィルムみたい。
♠ これで感動できるとか、泣いたとかいう人ってなんなの?って思うよ。
♥ Queenの現役時を知らない人なんじゃない?
♠ 最後フレディの死を告げるサブタイトルが流れても涙ひとつ流れなかった。かつてあれだけ愛した人なのに。
♥ ちなみに『シド&ナンシー』のラストでは、涙でスクリーンが見えなくなるぐらい泣きました。あの人たちこそ、死んでもべつに何も同情するようなところなかったのに。

♥ あと、やっぱりファンが見たいのは演奏シーンやバンド内の様子じゃない。なのに、マネージャーだかなんだかの話をえんえん見せる意味あったの?
♠ ポールという人がやたら出てくるんで、誰?と思っていたら、フレディーの個人マネージャーだった人だそうで、彼がこの映画のヴィラン役らしいんだよね。
♥ なんで伝記映画に悪役がいるんだよ!
♠ つまりフレディに信頼されていたのに、彼のプライバシー(主として奔放な男性遍歴)をマスコミに売ったユダだというわけで。
♥ しかもひどいのは、これって映画的な演出で、この人実はそれほど悪い人じゃなかったみたいなんだよ。だからブライアンがわざわざツイッターに長文を載せて、いっしょに仕事しているときのポールはいい人で、映画みたいな悪役じゃなかったと弁明してるぐらい。

フレディの恋人たち

♥ それでもフレディの性遍歴は気になるところですよね。
♠ なにしろあの時代だから、隠してはいなかったけどそれほど大っぴらにもしてなかったことだからね。
♥ でも見たら、そこはごくごく上品にぼかされてたし、実際はたくさんボーイフレンドがいたのに、出てきたのはジム・ハットン(Aaron McCusker)だけだった。
♠ まあ、ゲイの人ってもちろん個人差はあるだろうけど、男女と違って性関係に関してはすごい即物的だし、忠実に映画化したら誤解を招く部分もあるだろうから。
♥ 遺族に対する配慮もね。あくまで家族には自分のセクシャリティのことは一言も話さなかったそうだから。

♠ ただ、他の恋人たちと違って一番長く続いた「夫」で、最後の恋人でもあるジムの扱いがあんなに軽いのは彼がかわいそうだと思ったな。
♥ うん、事実上フレディが一番愛した恋人は彼だったのに、映画ではもちろんセックスシーンもなし(笑)。なのにメアリとのはありってのは差別じゃない? ジムはフレディがいちばん苦しい時に最後までいっしょにいて、看病したのもフレディの死を看取ったのも彼なのに。
♠ ちなみにフレディの周囲のボーイフレンドたちは全員AIDSで死んだんだけど、ジムだけは発症しなかった。

♠ しかし男関係も派手だった人なのに、それをほのめかしもしないってのは‥‥。結局それが命取りになったんだし。
♥ パーティー・ピープルみたいなのが出てきただけだったよね。映画だけ見たらまるでフレディはずっとメアリに忠誠を誓っていて、最後に男に走ったみたいに見えるよね。
♠ 実際の彼は筋金入りのゲイで、メアリとのことは若気の過ちみたいなものなのに(笑)。
♥ ちなみにフレディの男の好みは実にはっきりしていて、全員がゴリラみたいな口ヒゲのおっさん、つまり彼自身と瓜二つの人ばっかりだった。
♠ それを思うと、彼の恋人たちはべつに見たくなかったかも(笑)。

♥ それで代わりにフレディの「恋人」役としクローズアップされたのは、最初の、かどうかは知らないけど、間違いなく最後のガールフレンドだったメアリ・オースティン(Lucy Boynton)なんだけど。
♠ 普通に美人だけど、それだけだな。
♥ 実物もすごいきれいな人だよ。いかにもロック・スターの彼女らしい華やかさのある。映画のメアリはやや地味すぎかな。

♥ でもちょっとドキドキしなかった? 彼女の勤め先がケンジントンのBIBAだったりするあたりで。
♠ 説明しないと通じないよ。私は60年代ロンドン・ファッションの大ファンだったんだけど、そのひとつBIBAが新宿高野に店を出したときのことははっきり覚えている。服は売ってなかったような気がするんだけど、私はここの化粧品が好きでよく買っていた。
♥ 目が覚めるようにきれいでカラフルな色が大好きだったんだよね。パッケージはすべて黒一色に金のロゴなのもすてきだったし。

♠ メアリーとは6年間付き合った。もっともその終わり頃には男女の関係というより妹的な存在になっていたけど、フレディがカムアウトした後もずっと親友でい続けた。
♥ というかさあ、映画を見るとフレディが一方的にメアリを崇拝して、メアリはどっちかというと迷惑だけど、友達だから付き合っていたという感じがする。ゲイの人にありがちな、女神的な女性像をメアリに求めていたみたいな。
♠ それは大いにあり得るだろうね。殺伐とした男関係を続けていながら、それとは対極にある精神的なものをメアリに求めるというのは。

♥ ただ、やっぱり映画はフレディとメアリの関係を美化しすぎ。実際はメアリとまだ付き合っている頃からボーイフレンドと二股かけてたし。
♠ メアリもフレディと別れるとあっさり結婚して子供産んでるし、決して世間一般の恋人同士って感じじゃない。
♥ 映画だと、なんだかメアリはフレディの孤独を癒してくれる心のよりどころみたいな扱いだったけど、あれもなんか違うと思ったな。フレディには常にひとりまたは複数の恋人がいて、寂しいなんて感じる暇なかったはずだし。
♠ だから男友達じゃ埋められない心の隙間を埋めてくれたってことでしょ。
♥ でも子持ちの既婚者じゃできることに限りがあるじゃん。
♠ フレディとしては彼女が存在してくれるだけでよかったんじゃないかな。

♠ というわけで、特に見せ場もないまま話はちゃっちゃと進行して、イントロの続きのLive Aidの場面で終わる。
♥ AIDSについても、医者に告知を聞く場面と、メンバーに打ち明ける場面はあるが、それで苦悩する場面もないし、「当事者」である恋人たちの反応とか、闘病シーンはひとつもなく、晩年の病み衰えた姿も出さないので、なんかまるで実感がない。
♠ 下手だよねえ。いちばんの泣かせどころなのに。
♥ たとえ自分がAIDSじゃなくても、恋人や友達がまわり中でバタバタ死んでいく情況ってすごいことだと思う。それを描くだけでも壮絶な映画になったのに。
♠ 私もいちおうそれを経験したからね。ミュージシャンでも俳優でも、好きだった人が片端から死んでいった、あの終末感はなんとも言えなかったわ。

Live Aid

♥ それでそのLive Aidだけど。
♠ ここまでもどうにも薄っぺらで嘘くさかったんだけど、その集大成と言えるのがこのLive Aidのステージで、これを見て本当にダメな映画だと思いました。
♥ こういう野外フェス、自分でも見たし、それ以上に数え切れないほどの中継やドキュメンタリーを見てきたけど、ここまでぱっとしないのは初めて見た。
♠ まず、ああいうのにつきものの、頭が沸騰しそうなドキドキワクワク感がゼロだよね。
♥ それはオープニングでも感じた。
♠ まるで似てないボブ・ゲルドフなんかもちらっと映って、すぐにQueenの出番になるんだけど、テレビ出演や室内のギグはなんとかライティングや衣装でごまかしたけど、さすがに白昼の野外フェスティバルはごまかせなかったか。

これが映画のLive Aidのライブ風景なんだが、これが真昼の超満員のウェンブリー・スタジアムに見えますか?

♥ 何が白々しいって、客がいないってことが一目瞭然なんだよ。ステージを追うカメラはいかにもセットの中で動き回ってるのが見え見えで、後ろにはスタッフ以外誰もいないってのがあからさまにわかっちゃうの。
♠ カメラが後ろに回ると、客席が見えるんだけど、ウェンブリーを埋め尽くす大群衆は見るからにCGで作ったモブがひしめいているだけだし。それと実写のバンドとの違いが明白すぎて、いかにも合成って感じだし。
♥ ここまでほんとらしさを追求したなら、せめてクライマックスのここはがんばってほしかったのに。
♠ とにかく、ここまでも白けて見てたけど、ここに至って氷点下まで冷めたね。

♠ 映画のエンド・クレジットの間中、画面にはありし日のQueenのライブが流れてるんだけど、そっちのほうが映画よりもずっといいんだよ。ちっぽけなボケボケの画面で、画質も音質もひどいのに。
♥ もうこういうのだけ流してくれればよかったのに。
♠ だからそれじゃ劇映画撮る意味ないって(笑)。
♥ だから意味ない映画なんですって

監督について

♠ せめて監督のブライアン・シンガーについても何か一言いってあげなさいよ。
♥ シンガーについては『X-メン』のリビューで恨み言書いたからもう繰り返したくないわ。
♠ デビュー作の『パブリック・アクセス』、2作目の『ユージュアル・サスペクツ』、3作目『ゴールデンボーイ』の3本だけならA級監督だと思ってたんだけど、その後『X-メン』だの『スーパーマン』だの取り始めて、ドブに落ちた。
♥ だからそういうのを撮らなきゃ監督だって食べていけない世の中なんだって。たぶんこれもそういうヒーローものと同じノリで撮ってたんだろうな
♠ ほんとそういう感じ。別に生前のフレディも知らなければ、ロックにも興味ないんだなって。
♥ 音楽好きな監督かどうかは一目でわかるよね。私が一目見て「ロックっぽい」と思ったのはデヴィッド・フィンチャーなんだけど、彼も今はあのザマだし。

♠ ちなみに出だしの20世紀フォックスのロゴのところの音楽がエレキギターだと言うことにはすぐに気付いたが、それを演奏していたのがブライアンとロジャーだと知ってちょっと感動した。
♥ でもこんなアホ映画を許したからやっぱりあいつらもダメダメだ。
♠ 商才だけは衰えてないな。ていうか、音楽映画そのものが罠なのよ。
♥ えー、だって感動した映画もたくさんあるじゃない。“Woodstock”に始まって。
♠ とにかくここまでダメなのもめったないかも。『24 Hour Party People』でも同じようなこと言って怒ってたけど、あれはまだ身内がノリでやっているという感じがしたのに、これは完全によその人で。

なぜ『ボヘミアン・ラプソディ』は大衆にも批評家にも受けたのか?

♠ もともとQueenは私の中ではとっくの昔に終わったバンドなので、「細かいことはどうでもいいや、映画がおもしろければ」と思って見たのに、ここまでがっかりするとは、さすがに一度は神だっただけのことはある。
♥ でも映画もつまんなかった。Queenの曲以外に映画的感動を呼び起こす要素がひとつもない。これなら何度も言うけど、昔のプロモやライブを見ているほうがずっといい。
♠ でも受けたんでしょ? 興行的にも批評的にも? 海外でも日本でも?
♥ みたいだね。
♠ わからん! 誰にどういう風に受けたわけ?
♥ 私もそれが謎でちょっとググってみたいんだけど、この批評がわりと正鵠を得ているかと。一部引用させてもらう。(ウザい改行だけカットした)

山田宗太朗 『ボヘミアン・ラプソディ』はなぜこれほど人々を魅了するのか──人は文脈に感動する(Goo Popleta)

すでに各所で指摘されている通り、劇中の描写はいくつかの点で史実とは異なり、あえて触れなかったであろう点も多々ある。
あるいは、クイーンというバンドがどのような困難を乗り越えて音楽界の頂点に立ち、どのような背景のもとで名曲たちがうまれたのか、そういったことは触り程度しか触れられず、大部分はバッサリ省略されている。
バンドの歴史を正確に知りたければこの映画はまったく物足りない作品であるだろう。
しかし、史実との整合性といったことは瑣末な問題にすぎない。それは本作の中心ではないからだ。
誤解を恐れずに言えば、この作品において、クイーンというバンドは実はそれほど重要ではない。
というか、この映画に登場するクイーンというバンドは、実在するクイーンというバンドを参考につくりあげたフィクションだと考えた方がいい。
そもそも日本国内におけるヒットという点についてのみ考えるなら、40年前のイギリスのバンドについて詳しく知っている人はそれほど多くないだろう。
マニアックに入り込まず間口を広く取った方が、圧倒的大多数のライト層には受け入れられやすい。
それでいて鑑賞後にはやっぱりクイーンの音楽を聴きたくなるわけだから、映画『ボヘミアン・ラプソディ』はクイーンの本質をしっかり抜き出しているわけで、音楽映画としても評価に値する。

♠ ふ~ん? 日本人で40年前のイギリスのバンドのことなんか知ってる人は少ないというのは事実かも知れないけど。
♥ 確かに当時はまだまだ洋楽ファンはマイノリティーだった。今もだけど。だから私みたいに熱くなり方が普通じゃないとも言える。
♠ だからべつにQueenというバンドは重要じゃないしどうでもいい、ってそこまで言い切るか?!
♥ でも実際にそういう感じの作りだったじゃない。
♠ ライト層に受けなきゃどうにもならないっていうのは、確かに今じゃ映画だけじゃなく、漫画でも音楽でも小説でもすべてに言えるけどな。
♥ 私の生まれ育った環境と真逆だねえ。生きにくい世の中になったもんだ。もう濃いのは見れないのかしら。
♠ こういう世の中だから逆にそういうのが生き延びるニッチもあるだろうけど。
♥ でもみんなこれで感動したとか言ってるんでしょ?
♠ 知らんけど、私はそういう人たちとは別のものを見てたんだと思うわ。少なくともそういう人とQueenの思い出は共有できないから、私は自分の思い出だけ持って墓場に行くからいいわ。

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