★【映画評】私がアメコミ映画が嫌いなわけ ブライアン・シンガー『X-MEN:アポカリプス』 (2016) X-Men: Apocalypse

「アメコミ映画はいやだ」とあれだけ言ってたのに、『アサシンズ・クリード』(邦題『アサシン クリード』)であらためてマイケル・ファスベンダーに惚れ直したあげくに、マイケル見たさで見るはめになってしまった。これはたまたまテレビでやってたので録画したけど、見てから三部作の完結編と知ったが、私はマイケルが見たいだけだから本当にどうでもいいや。

なんでそんなにアメコミを嫌うのかって? うーん、嫌いだから嫌いとしか言いようがないが、まずアメリカが嫌いだし、タイツはいた男が嫌いだし、筋肉男が嫌いだし、正義とアメリカン・ウェイが嫌いだし(笑)。あともちろんのこと、マンガに関しては日本の方がはるかにレベルが高いので、どうしても幼稚っぽく見えてしまうというのがある。そもそもアメコミは完全に子供向けだしね。

私のアニメ史についてはここに書いたので、アメコミとのいきさつについても書いておくか。MLPのところに書いたように、私の子供時代は国産のアニメも子供番組もほとんどない時代なので(『鉄腕アトム』が「日本初の国産アニメ!」という鳴り物入りで始まった時をよく覚えている)、テレビと言えば『スーパーマン』『バットマン』(いずれも実写版テレビドラマとアニメと両方)で育ったと言ってもいい。

だからアメコミにも思い入れがあるかというとまったくないんだな、これが(笑)。やっぱり私の心の琴線に触れるものが何もなかったとしか。アメリカのテレビドラマなら忘れがたいのはたくさんあるんですがね。アメコミは自分自身がガキだった頃からいかにも子供だましで幼稚すぎると思ってバカにしてた

アメコミ映画もことごとく外れって言うか、見ても最後まで見られたことがほとんどない。映画館に通っていた頃はそんな低レベルの映画はなかったし、レンタルビデオの時代はお金もったいないからまずそんなの借りないし、見放題の今は最初の10分見て「おえー!」と言ってやめることがほとんど。
それでもなんだかだで数だけはたくさん見てるんだが、かろうじておもしろいと思ったアメコミ映画は『Spawn』『コンスタンティン』ぐらいしかないや。ところがあれ、どっちも原作ファンには評判悪くて大コケしたんだよね(笑)。だいたい、『Spawn』はサントラにMansunが入っていたから、『コンスタンティン』はキアヌが出てたから気に入っただけのような気もするし。

なのになんでゲーム映画の『アサシンズ・クリード』には熱狂していたのか自分でも不思議だ。コミックもゲームも同じようなもんじゃないの?
かろうじて理由と思えるのは、アメコミはだいたいすごい古いやつの焼き直しなんで、内容も見た目も感覚が古すぎる。ゲームは比較的近年生まれたものだけに新しい。
コミックは紙とペン(今はパソコン)さえあれば描けるが、ゲームは制作にすごいお金がかかっているのでその分クオリティも高い。
コミックは子供向けだが、ゲームは大人向け。(少なくとも『アサクリ』やSkyrimは18禁)

うん、やっぱりどう考えてもゲームの方が上だが、かといっておもしろいゲーム映画なんて聞いたことがないし、だいたいこれだけゲーム好きな私が見ようと思うのもない。
もしかして『アサシンズ・クリード』があんなに良かったのって、マイケル・ファスベンダーが出てたから、というそれだけじゃないの?
それで実験のために、同じマイケルが出ている『X-Men』も見てみようとなったわけですが、結果は火を見るより明らかでしたね。べつに誰が出てようと関係ねーよ! くだらんものはくだらないわ。

見始めてすぐに気付いたのだが、私、このシリーズ前にも見たことあるわ。と、見たことすら忘れてた。すでにたくさん映画になっているので、どのタイトルかもわからないんだが、超能力者版『ハリー・ポッター』みたいなやつでしょ?
自分のジャンルでないからって、またいい加減なこと言ってると思われるだろうけど、案外似てない? どっちもエリートのための魔法(超能力)学校が舞台で、先生と生徒たちが力を合わせて悪と戦うみたいなの。まあ、『X-Men』は群像劇だから、そこは違うんだけどさ。個人的には、話はヘボいからどうでもいいけど、なぜか好きなイギリス人俳優がけっこう出てるからやむなく見に行く映画ってところも似ている。

最大の誤算は、群像劇なのは知ってたが、格から言ってマイケルが主演だろうと思ってたら、ジェームズ・マカヴォイが主役じゃん! ジェームズ・マカヴォイはスコットランド人だし、顔つきもいかにも好感が持てる感じなので、『ライオンと魔女』で初めて見たときから気にしてはいたんだが、そんなに出世したの?
だいたい、この三部作って要するにイアン・マッケランとパトリック・スチュワートがもう長くなさそうだから、死ぬ前に若手に代替わりさせようってことじゃないの。とにかく主役二人がイギリス人ってところにはちょっと驚いた。〈マイケルはアイルランド人だってば!〉 スコットランド人をイギリス人というならアイルランドも似たようなもんだわ。〈独立国だっちゅうの!〉

お話はえーと、古代エジプトから現代まで生き延びた、世界最古のミュータントが復活したのでみんなでやっつけてめでたしめでたしというやつ。〈いつもの長文にくらべて、このそっけなさ!〉

そんなのはどうでもいいから役者評行きます。

ヘボ映画の中でもかっこいいマイケル・ファスベンダー

まずは期待のマイケルだが、ポーランドの鉄工所労働者に扮したマイケルはすごいセクシーですてき。だけど変な甲冑着せられた姿は、かわいそうで見てられません。そりゃそうだよなあ。コスチュームが史上最高(私的には)だった『アサシンズ・クリード』のあとにこんなの着せられたら泣くよ。もうこれだけで悪の道に走って、世界を滅亡させようと思うよ、私なら。
ていうか、この人たちミュータントで肉弾戦で戦うわけでもないのに、なんで甲冑がいるのよ? アメコミヒーローは恥ずかしい格好しなくちゃならないのは知ってるけどさ。

それ以外に気になったのは年齢の問題。彼が演じるマグニートーって確かアウシュビッツの生き残りだよね。なのになんでこんなに若いのさ! いや、もちろんイアン・マッケランの若い頃なんだから現代じゃない。舞台設定は1983年なんだが、なんか計算おかしくないか? 1945年の解放時に5歳だったとして‥‥43歳か。おかしくないや(笑)。それからもう35年たつから今のイアンの年だったとしてもおかしくない。あれえ?
と思ってしまうのは、私にとっては80年代なんてついこの間のことのような気がしてならないので。私が青春真っ盛りのころだし、戦争なんて遠い昔のことに思えたんで。へええ、あの当時、まだまだ戦争体験者は若かったんだなあ。なんか信じられない。
でも思い起こせば、私が大学教員になりたての頃の教授連って「私は◯◯連隊なんですがあなたは?」みたいな会話ばっかりしてたっけ。マジかよ! 事実なんだが、自分で書いてても信じられないよ!
あと、他の奴らはみんな20代に見えるのに、マイケルだけが40のおっさんなのがすごく違和感あった。子供の中に大人がひとりだけ混じってる感じで。ジェームズ・マカヴォイとは2つしか違わないんだけどね。彼も若く見えるのよね。

にもかかわらず、マイケル・ファスベンダーは美しかった。出番は思ったよりぜんぜん少ないし、芝居は臭いし、コスチュームはひどいし、目も当てられないと言いたいが、彼がアップになるだけで息が止まるほど美しい。なんかライティングとかカメラとかが無意味にドラマチックなんだよね、彼のときだけ。
ふーむ、なんでか知らないが、この年になって急に魅力的になったなんてことあるのか? もちろんあるんですね。私が彼を知ったのは30過ぎてからなので、若い頃はさぞかしきれいだったろうと、若いマイケルの写真を探し回ったんだけど、ぜんぜんぱっとしないどころか、ニヤけたアホづらのガキなんだわ。年取った方がいい男っているんだよね。これは今後がますます楽しみ。

ジェームズ・マカヴォイはわりと好みのタイプなんで、なかなか良かったです。変な芝居させられてかわいそうなのと、ハゲなのと、背が低いのだけが残念だ。今度はもっとちゃんとした映画で見たい。

驚いたというか意外な収穫だったのは、ニコラス・ホルトとコディ・スミット=マクフィーが出てたこと。どっちも英国系の元子役ってことで。〈オーストラリアもイギリスにしちゃうのかよ!〉 元植民地なんだからいっしょでしょ。

ニコラス・ホルトと「ペンキ缶に落ちた犬」

ニコラス・ホルトは『タイタンの戦い』を見て、美形に育ったと思ったからちょっと気にしていたんだが、役柄が狼男と知ってええー? ニコラスっていかにも線が細い神経質そうなタイプで、狼男にはミスキャストだと思うんだけど。しかもその狼男が青い! なんでこんなペンキ缶に落ちた犬みたいな色なの?! 映画の狼男はひどいのしかいなくて、もう慣れたと思ってたけど、まだまだ下があったとは。

奇形児コディ・スミット=マクフィーと妙にかわいい悪魔っ子

逆に笑っちゃうほど似合ってたのがコディ。この人はニコラスと逆に、子供時代は本当にかわいかったが現在の姿はほとんど人間離れしたエイリアンなので、この悪魔っ子は似合いすぎ。鬼太郎みたいな髪型もかわいいし、とんがり耳もかわいいし、三角しっぽもかわいいし、猫みたいなオレンジ色の目もかわいい。ここまで人間離れした異形の者だと、かえってこの悪趣味なメイクが似合ってかわいくなるのか!というのは大発見だった。いやー、ほんとに人間なのか、この子?

しかしミュータントの設定はほんとに小学生が考えたみたいだな。まあ、元が小学生向けだからしょうがないけど、天使と三角しっぽの悪魔とか、目から光線とか。悪いけどまじめに見てられない。

あと女たちがみんなブスすぎる! 特にヒロインのソフィー・ターナー、顔の造作自体はかわいいんだが、なんだこのだだっ広い顔は! しかも目鼻が全部中央に集まったミサワ顔(漫画家の地獄のミサワが描くキャラがみんなこういう顔なので)。ミュータントだからそういう特殊メイクなのかと思ったぞ。
ジェニファー・ローレンスも奇形でこそないがずいぶんなあれだしねえ。
逆にマグニートーの息子(?)役のエヴァン・ピーターズは、アメリカ人だけど変な顔がおもしろいのでわりと好き。

しかしブライアン・シンガーも、『ユージュアル・サスペクツ』でデビューしたときはできるやつだと思ったのにねえ。続く『ゴールデンボーイ』もすばらしかったし。アメコミの合間に撮った『ジャックと天空の巨人』(ニコラス・ホルトが主演だったし、ユアン・マクレガーも出てたので)も見たけど、見終わった瞬間に忘れたほどどうでもいい出来だった。アメコミなんか撮ってるとバカになっちゃうんだな。
もう書くこともないので落ちもなくおしまい。

おまけ

プレミアではしゃぐお爺さんたちとおじさんたち

顔はまったく似てないが、いちおう身長は合ってるんだな。

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