【映画評】ダニエル・エスピノーサ『ライフ』(2017)Life

(やっと書けた『エイリアン: コヴェナント』の前座のつもりで、『エイリアン』もどきの映画を2本続けます。まずどうでもいい方から)

ジェイク・ジレンホールとレベッカ・ファーガソン

これはもう何匹目のドジョウかわからない、というか、どのドジョウかもわからないぐらい大量に作られているSFホラー映画。
狭い宇宙船の中に放たれた未知の生命体。そいつは驚くべき成長を遂げながら、乗組員をひとりずつ食い殺していくが、こいつを地球に持ち帰ったら人類は終わり、なんとしても生きたまま地球に来させてはならないという、例のアレ

まあもったいぶるまでもない『エイリアン』や『遊星からの物体X』の丸パクリなんだけど、その『エイリアン』自体もヴォクトの『宇宙船ビーグル号』のパクリだし、他にも亜流がいっぱいありすぎて、だからどこのドジョウの何匹目かもわからないというわけ。
ついでに『ライフ』というタイトルも、まあ内容から言って間違っちゃいないんだが、同名の映画がいくつあるか想像もできないというぐらい、ありふれたタイトル。ここまでオリジナリティ放棄しちゃっていいの?
とか言いつつ、最後まで見ちゃうぐらい、この手の映画に目のない私なんだが、どうなりますか。

舞台となるのはISS(International Space Station 国際宇宙ステーション)だけあって、乗組員も多国籍

ジェイク・ジレンホール(アメリカ)
レベッカ・ファーガソン(スウェーデン)
ライアン・レイノルズ(カナダ)
真田広之(日本)
オルガ・ディホヴィチナヤ(ロシア)
アリヨン・バカレ(イギリス)

の計6人が乗組員。(かっこの中は俳優の国籍で、映画の中の設定は違ってたかも。私はイギリス人が多いなと思ってた)

それで白けるのは、このキャストを見ただけで、ジェイク・ジレンホールは最後まで生き延びる、あるいは最後まで生き延びるけど、自己犠牲のため最後に死ぬのがバレバレなのだ。もちろん、生き残るのは主人公=いちばん有名な俳優で、しかもアメリカ映画でアメリカ人はひとりだけなんだから、彼が主人公に決まってる。
こういうホラーで死なないことがわかってるのってホントつまらない。いっそ全員無名俳優にして、いつ誰が死ぬかわからないほうがよっぽどハラハラしておもしろい。

ただ、見た時はレベッカ・ファーガソンがセカンド・ビルというのは知らなかったので、見ながら最後から二番目に生き残るのは誰だろう?と考えていた。
たぶん女がひとりは生き残るから、それは間違いなく艦長のレベッカ・ファーガソンだな。いや、黒人という手もあるからアリヨン・バカレか。でも最初のほうで真田広之の妻が地球で出産したのを見せたから、「生還すべき目的がある」ところで真田広之という手も。
結果はなんのひねりもなく女が生き残りましたけどね。いちいち予想を裏切らない映画だな。

アリヨン・バカレと真田広之

それで、ジェイク・ジレンホールとレベッカ・ファーガソンがそれぞれ一人乗りの救命艇に乗り込んで、ジレンホールがエイリアンを道連れに軌道を外れ、レベッカが地球へ戻る算段だったんだけど、手違いで逆になってしまって、エイリアンは地球へ到達する。To be continued.
と、あっさりネタバレしてもなんの驚きもないぐらい驚きのない結末だった。これが当たったら、次はジレンホールが地球でエイリアンと戦う話にしようというのは見え見え。

これ以上引っ張っても意味がないのであとは簡潔に。

というわけですべてどこかで見たシーンを寄せ集めたみたいな脚本だが、映画自体はそれなりにていねいに作られている。宇宙ステーションのセットも特撮も、少なくとも『ゼロ・グラビティ』(Gravity)並みだし、撮影も手堅い。
(顔が)大嫌いなジェイク・ジレンホール以外は役者もいい。レベッカ・ファーガソン『スノーマン』(2016)に出ていたスウェーデン人女優だが、あそこでも感じたように、すごいきれいな人だけど、どうも好みじゃないんだな。
真田広之が出ている宇宙SFというと『サンシャイン2057』(Sunshine)を思い出す。ポニーテールがかっこよかった。
英国黒人のアリヨン・バカレはすごい知的でハンサムな人で、学者役が似合っていた。なぜかイギリスの黒人俳優は、色は真っ黒なのに、背筋のすっと伸びた知的な美男美女が多いね。あ、白人もか(笑)。
とにかく全員ちゃんと演技のできる人で、演技そのものは悪くなかった。

だめなのはエイリアンぐらいか。カルヴィン(この名前もひどい)と名付けられた火星で見つかった生命体(今さらの火星人!)は、最初はタコの赤ちゃんみたいなサイズと外観なのだが、たちまち大ダコぐらいのサイズと外観に成長する。

ああああああ!!!!! 今どき火星にタコ宇宙人かよ?!!!!!

あのさあ、他がすべてパクリなんだから、せめて主役のエイリアンぐらい、何か考えて作ろうよ。火星だからタコで良かろうっていうんじゃなくてさ。

ほんと今さらのタコ宇宙人。ちなみに腹側から見るとフェイスハガーのそっくりさんです。

さらに、この手の映画では、いかに恐ろしくてグロいエイリアンを出し、そのエイリアンがいかに恐ろしくてグロい方法で人間を殺すかが見所になっている。
でもこの映画はそこもえらい手抜き。いかにもタコのような姿で、いかにもタコのような動きをし(つまり触手で人にからみつく)、タコと違うのはどうやら知性があるらしいのと、人肉を食らうだけ。ここまでなんのひねりもないエイリアン見たことないわ。
途中で人の口の中に入っていったから、『エイリアン』タイプの「体内の蛇」モンスターかと思ったら違ったし。
おかげでお楽しみのグロ・シーンもなし。『エイリアン』は別格すぎるとしても、せめて『スターシップ・トゥルーパーズ2』の爪の垢でも飲ませたいわ。(あのエイリアン、じゃなくてバグか。大好きだったので)

おまけに宇宙SF映画なら欠かしてはならないアレ! 「女性乗組員が下着1枚の姿で歩き回る」のもなかった!
というわけで、特に粗もないが、いいところはそれよりない、残念映画でした。

P.S. これまで映画評はトップにポスターを置いてたけど、最近の映画ポスターって本当にダサくて代わり映えのしないやつばかりだし、ポスターだけ見てもなんの映画かもわからないようなのが多くて、べつにポスターにこだわらないことにした。
でも主役のジェイク・ジレンホールはキモすぎて見ただけで吐くぐらい嫌いなので小さい写真で(笑)。

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