【ゲーム評】『ゴースト・オブ・ツシマ』(Sucker Punch Productions, 2020)Ghost of Tsushima 風景と声優と馬の話

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まあゲーム評っていうか、プレイもしてないんですけどね(笑)。私、プレイステーション持ってないし、買うつもりもないし。ていうか、今はパソコンもないし(笑)。(とうとう壊れたのだが、仕事が忙しすぎて買う暇もなく大学から借りたノートで書いてる)
そんなわけでゲームがやりたくてやりたくて死にそうなのにできないので、やむなくYouTubeのゲーム動画など見ているうちに、いろいろ言いたくなった。

ただ、このゲームのことは企画段階から気にしていた。なにしろアメリカのソフトハウスが作る本格的な時代劇ゲームだと聞いたので。もちろん勘違いしたサムライやニンジャのゲームなんて欧米じゃ珍しくもないが、聞いた感じ、これは本気で日本の時代劇好きな人たちが本格的な時代考証で作ってるみたいなんで。

いつも言うように私は時代劇が好きなんで、外人の目からどういう風に描かれるのか興味があったし、テーマが元寇というのも気に入った。これが実にありそうでなかったというか、日本史(だけじゃなく世界史でも)における大事件であったにもかかわらず、日本のゲーム業界(や時代劇界)が無視してきたテーマですごい関心をそそられた。
それに洋ゲーも中世のほうが好きな私は、現代に近すぎる江戸時代や戦国時代より鎌倉時代のほうがワクワクする。

いま「日本に元寇をテーマにしたゲームや時代劇がない」と書いたが、私が知らないだけかもしれないと思って、いちおうWikiの「元寇を題材にした創作作品」というのを見てみた。そしたらさすがに小説はあるが、ゲームは皆無だし映画もうんと古いやつだけで元寇そのものがメインテーマというのはほとんどない。なんでだろうね? 内乱を扱ったものはこれだけあるのに、外国からの初の侵略、それも日本が二度も勝ったのにこんなに関心ないなんて。

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対馬の海岸に押し寄せるモンゴル軍

モンゴルが悪役というのもはまり役だと思う。これがたとえば日本と中国の対戦だったら西洋人はそんなに反応しなかっただろう。なにしろ昔の話とはいえ、モンゴル帝国にはヨーロッパはもちろん、ユーラシア大陸の周辺国はほぼすべて痛い目にあってるから、「モンゴルから故郷を守る」というテーマにはみんなが共感できるし、いやでも侍を応援したくなるはず。
(以下は日本史ろくに知らないやつが書いてるから間違ってたらごめん)
しかし考えてみたら、日本が戦争した国って、モンゴルにしろ中国(清)にしろロシアにしろ世界史的には悪役、それも無敵の超大国ばっかりじゃないか。しかもそれにすべて勝ったって(ラッキーな面もあったが)すごいよね。スーパーヒーローじゃない。
たったひとつの間違いは第二次大戦でナチスに味方したことだけで、それですべての「誉れ」が帳消しになっちゃったけど、それがなければヒーローのままでいられたのに、ほんとにバカなことをしたとしか。

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これが「黒澤モード」

それでいろいろな情報を読むにつけ、すごい良くできたゲームみたいでますます気になっていた。
まず今なら当然という感じでオープンワールド。それも舞台となる対馬の風景が幻想的で美しいとか、白黒モード(その名も黒澤モード)にできて、黒澤映画みたいな雰囲気を楽しめるとか。
うんうん、やっぱり外人のサムライ原体験って黒澤だから、下手すると日本で作るよりいいものができるんじゃないか?
で、いよいよゲームが発売されると予想以上の大人気みたいで、YouTubeに大量に投下されているプレイ動画とかを見て、やってないのにもうクリアしたような気分(笑)。

いや、本当に好みのゲームだったらプレステ買っちゃおうとまで思ってたんですよ。どうせPC版も出るだろうけど。
でもプレステ買うところまではいかないかなーというのが今のところの感想。PC版がSteamで2000円なら買うけど。

Skyrimをやっていてつくづく思ったのだが、私がオープンワールドゲームが好きなのは、要するにきれいな景色を見るのが好きだからじゃないかと。今はほとんどSkyrimも、ゲームとして遊ぶよりも、ただ馬で彷徨してるだけか、スクショを撮っている時間のほうが長いし。
これは映画でもそうで、私は「景色」が気に入った映画はスチルやコンセプト・アートをコレクションしている。

だから『ゴースト・オブ・ツシマ』には期待していた。というのも、風景に関しては私はアメリカの風景が都会も田舎もどうしても耐えられないのに、映画もゲームもアメリカを舞台にしたものがほとんどだからだ。ヨーロッパのゲームばかりプレイしているのはそのせい。
Game of ThronesやSkyrimは架空の世界が舞台で、少なくともアメリカじゃないからよしという理屈。実をいうと東アジア全般がアメリカ以上にだめなのだが、日本はまだ耐えられるし、現代日本じゃないからいちおうOK。(日本の映画とかも現代ものは絶対無理。黒澤明でも時代劇のみ)

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これもコピーライトマーク付きの黒澤って感じ

ちなみに私は九州は一通りまわったし好きなんだが、現実の対馬には行ったことがない。対馬出身の人はひとりしか知らないけど、頭おかしいとか思えない人だった。まあ大学教員の約3割は頭おかしいので、対馬のせいじゃないけど、その人がやたらと対馬出身ということを強調するので、対馬と聞くとそいつの顔が浮かんでしまうという弊害が。

それでArtStationに大量のコンセプト・アートがアップされていたので見てみたが、これが並みの映画、いや大作映画でもないぐらいのボリュームで、しかも質がものすごく高い。さすがデザインには並大抵じゃないお金をかけているのがわかる。
しかもこれが映画のコンセプト・アートだと、あくまでもコンセプトであって実際の画面はかなり違ったものになるが、ゲームはすべてCGなのでこれがそのまま動くのが見られるというのも強み。もちろんゲーム部分はハードの制約もあってこれほどきれいじゃないが、カットシーンなんかはほとんどそのままで、まるきり映画、役者が多少目の焦点が合わないだけの映画に見える。

いやー、Skyrimがこのレベルの映像でリメイクしてくれたら私は感動のあまり泣いちゃうんだけどなあ。Elder Scrolls Onlineのほうはすでにそのレベルになっているが、どうしてもオンラインゲームって抵抗があって。まあModでなんとでもなるのがSkyrimだから、近づけようと思えば近づけられるんだけどね。

というわけでグラフィック、特に風景は本当に美しい。だけどこれはあくまで「幻想の対馬」で日本じゃないなーというのが第一印象。
私はこれにいちばん敏感で、対馬は行ったことがないけど、とにかく空気が日本の空気じゃない。わざとらしく大量の桜とかススキとかモミジとかをあしらってるが、部分部分は北米っぽかったりするのが違和感。
植生も細かく書き込まれているんだが、微妙に日本と違うなあ。だいたいあれだけ南の島、それも中世だったらもっと緑が鬱蒼としていると思う。
あと島フェチとしては島っぽさがない。あんな遠くまで見渡せるような平らなところ、島にはないだろうと。まあ、よく私が北海道は日本じゃないと言っている(これはいい意味で言ってる)のと同じで、あそこまで端っこの離島だと実際に日本離れしてるのかもしれないけど。

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本当にきれいなんだけど、空気が日本の空気じゃない。日本の空気ってこんなにキンと張り詰めた感じじゃないし、もっと湿っぽい。

かといって、何から何まで日本そのものだったら気に入ったかと言うとそれも微妙。言うまでもなく私の理想はイギリス(とごく一部の国)なわけで、それにどれぐらい近いかが鍵だから。そもそも私が好んで洋ゲーをやるのも、日本の現実から逃れたいからなので。
Skyrimなんかはあの世界に一歩足を踏み入れた(ゲームを立ち上げた)だけで、文字通り頭をガーンと殴られたようで気が遠くなるほど好きなんだけど、これはう~ん‥‥。
これがヘブリディーズ諸島だとかシェトランド諸島だったら、それだけで胸がじーんとするのだが、対馬じゃねえ。晴れた日には韓国が見えるとか言われても、みじんもロマンを感じないし「だから何?」って感じだし。
まあ、それでもきれいだからいいんだけど。

でも逆に言うと、それ以外の日本っぽさはすごい。『47 Ronin』や『将軍 SHOGUN』みたいなのは別として、まともな映画でも日本が出てくると、着物が変だったり建物が変だったり名前が変だったり、刀の構え方が変だったりして、外人が作ったというのは一目でわかるものなんだけど、このゲームはそういうところがほとんどないというだけでもすごい。ちゃんと調べて作ってるんだろうなあと思った。
いや、ゲームに限らず、映画でもここまで日本が日本らしかった洋画ってないので、史上初と言ってもいいぐらいだ。
もちろん日本人の目から見れば、着物はともかく建物はけっこう違和感があるけどね。でも考えてみたら私は鎌倉時代の日本の家がどうだったかなんてまるで知らないわけで(少なくとも中世ならヨーロッパのほうが詳しい)、案外実際にこうだったのかも。

あと、私がすごく感心したのは登場人物の造形、っていうか特に顔。特に私が日本のゲームができないのは顔がキモすぎるからだしね。
しかし最初から最後まで日本人とモンゴル人しか出てこない話っていうのは、欧米人にはかなりつらいはずで、『47 Ronin』や『ラスト・エンペラー』や『ラスト・サムライ』みたいに無理やり西洋人をねじ込んでくるか、あるいは主人公だけは西洋人顔にするのかと思っていた。
特に向こうの人にとってサムライのイメージってやっぱり三船敏郎だろうから、少なくとも三船みたいな彫の深い濃い顔になるのは間違いないと思っていたんだが。

そしたら見てびっくり。特に主人公の境井仁(さかい・じん)は腫れぼったい一重まぶたに糸目の(あるYouTuberいわく)「村人顔」そのままで、私も農民とは言わないまでも雑兵顔だなと思っていたので、領主の甥と知って驚いたぐらい。
西洋人っぽいなんてとんでもなかった。『SEKIRO』みたいな日本のゲームよりよっぽど日本人らしい。(日本のゲームは白人のつもりのキャラもまったく白人には見えないけどね)

もうひとつ私の予想では「たとえ顔は日本人でも、背は高くて筋骨隆々なんだろうな」と思っていたが、これもはずれ。普通に背が低くしきゃしゃで、ごく一般的な日本人体形という感じ。これはなかなか思い切ったと思う。というのも私だって、ヒロインものでヒロインがブスだったりチビだったりしたら耐えられないと思うから。
でもその仁が見ているとかっこよく見えてくるっていうか、こういうのがもともとかっこいい日本人男子だったんだろうなと、逆に外国人に教えられる気分。
ついでに言うと仁の(英語版)声をやってる人がすごいいい声。誠実そうで優しそうで男らしくて。ちなみに日本語の吹き替えのほうはいまいち。あれ、どう考えても悪役の声でしょ。なんか品がないし、ガラが悪い感じで。

それで誰が声を当ててるんだろうと調べたら、仁の声は辻ダイスケという日本人(日系人?)だった。お父さんが建築家でクウェート生まれのアメリカ育ち。端役だけど『硫黄島からの手紙』とかにも出ていた人。
それより驚いたのはゲームの仁がこの声優さんにそっくりなこと。目もそっくり、口元もそっくり、耳も鼻もそっくりで、特にトレードマークのぼってりしたへの字眉毛はこの人をモデルにしたとしか思えない。

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瓜二つの仁さんとダイスケさん

(以下の写真はYouTube “Ghost of Tsushima Voice Actors and Characters” by Redneckより)

この人が実況プレイをした動画もYouTubeにあるんだけど、完全に境井仁が野球帽かぶってヘッドセット付けて自分自身を操作しているようにしか見えず、すごいと思う以前に異様すぎて不気味だった。

でもこの人の声マジで好き。
辻さんのライブチャットを聞いていたら、リスナーの「何か日本語しゃべってください」というリクエストに応じてけっこう長くしゃべってたけど、それを聞いて、彼は日系人じゃなく、在外日本人であることがわかった。
軽く英語訛りはあるけどね。何十年も向こうに住んでいればこれぐらいの訛りはあたりまえ。母国語なんて驚くほどのスピードで忘れるよ。私だって1か月ロンドンにいただけで、成田へ帰って来て売店で買い物しようとして、とっさに「日本語会話」が出なくてあせったもん。

ただおもしろいことに、英語でしゃべっているときは「日本語吹き替えよりずーっといい!」と思えたんだけど、日本語でしゃべっているのを聞くと普通の日本人という感じで特に何もときめかないんだな。もしかして私が日本の声優が嫌いで、邦画でも英語吹き替えで見ているのって、単に英語が好きだからか?
まあそれはあるかも。米語は嫌いなんだけどね。でもこういう非ネイティブの話す英語はネイティブよりきれいだったりするし。

そで気になってほかの声優さんもチェックしたら、みんなゲームキャラそっくりやん! 特にコトゥン・ハーンのパトリック・ギャラガーは瓜二つ。名前からするとアイルランド人だが、実はアイルランドと中国のハーフなので、キャラ的にも合っている。 ノリオ役のアール・T・キムとリュウゾウ役のリオナード・ウーもそっくり。

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これはもうどう見ても、先に声優の配役を決めて、それから声優に似せてキャラデザインをしたとしか思えない。普通に考えてありそうにないけど、本当にそうとしか思えないほど似ている。

それとは別に、ゲームの吹き替えなんか何人であろうとアメリカ人がやるものと思っていた私は声優全員が東洋系なのにもかなり驚いた。
もっとも最近のアメリカのポリコレはますますキチガイ度を増していて、文化盗用がどうとかで、日本人の役なのに白人を使うなんてもってのほか!ぐらい言いそうだから、そこらに配慮したのか?
もっとも日本人としては声優なんか何人でも関係ないが、日本人の役を中国人・韓国人がやっているところと、顔が声優に似てるというほうが気になる。

というのも、前にも書いたがアメリカには英語をしゃべれる日本人役者が少ないため、どうしても中国人・韓国人俳優が日本人役をやるケースが多いのだ。このキャストもざっと調べたところ、辻さんを除いては全員が中国・韓国系。それで外人には違いがわからないだろうが、日本人が見るとやっぱり微妙に日本人の顔ではないため、なんとなく違和感があるんだよね。まあ対馬あたりの人は相当大陸の血が混じってるだろうから、これもリアルなのかもしれないけど。

あと中国・韓国系がなんでだめかというと、人によってはかなり訛りもあるんだが、同じ訛り英語でも日本人訛りと中韓の訛りは違う(正確に言うと日韓の訛りはかなり似ている)ため、英語を聞いていても日本人じゃないという感じが強まる。(辻さんはまったく訛りのないきれいな米語を話す)
というわけで、ここは13世紀の日本なんだと思い込もうとしても、目と耳から入る情報が矛盾するため、軽くイラっとしてしまうのが難点。まあ、自分でゲームをやっていれば(つまり自分がその中に入ってしまえば)気にならなくなるレベルだとは思うが、私みたいにYouTubeであらすじだけ追っているとめちゃ気になるんだよね。
声優さんたちは私が聞き比べた感じでは英語版のほうがぜんぜんいいと思えるので正解なんだけど。

でも私がこのゲームあまり買う気が起きない最大の理由はゲームシステムそのもののせい。やったわけじゃないから間違ってるかもしれないが、これってジャンルとしては最近多いアクション・アドベンチャーってやつだよね。
日頃「ゲームは自由度がすべて!」と思っている私(だからElonaとSkyrimが最高だと思ってる)としてはこれがどうも引っかかる。アクションはまあいい。アドベンチャーは純アドベンチャーならパズルゲーム主体だけどよくやってるからいい。
でもせっかくのきれいなオープンワールド、せっかくかっこいいサムライなのに、こういうふうにあらかじめストーリーが決まってて勝手にお話が進んでいくやつはなあ。

なにしろ私はSkyrimでさえ、冒頭のカットシーンで縛られたまま勝手に進むお芝居を見ていなくちゃならないことにイライラしていたぐらいなんで。
それを言うなら、キャラメイクすらできない、あらかじめプレイヤー・キャラの名前や性格やバックグラウンドが決まっているだけでも嫌い

だって主人公は私(の分身)に決まってるじゃない! 映画もそうだけど、これが大型ゲームになると完全にその世界に没入してしまう私にとって、主人公は私自身でしかありえない。私でありさえすれば、何人だろうが男だろうが女だろうが関係ないんだけどね。それより「Rogue」からゲームを始めた私は、乗り物にでも乗るように「主人公を操作する」という感覚がそもそもわからないのだ。
世評が高いWitcherやAssassin’s Creedにあまりのめりこめない(結局どっちも買いました)のもそのせい。そもそも自キャラが勝手にしゃべるだけでもぞっとする
Skyrimの自キャラのセリフだって選択式だし、どれを選んでもストーリーにはほとんど変化はないと知ってがっかりしたけど、それでも少なくとも何を言うかは選べるし、そもそもストーリーなんか無視して遊んでもいいゲームだしね。

実をいうと、『ゴースト・オブ・ツシマ』はストーリーもきちんと構成されていてすばらしいと思う。黒澤を標榜するのもおかしくない、と思うぐらいすばらしい。これが雰囲気を壊さないまま映画化されたら、私はきっと好きになると思う。いや、それよりやっぱりテレビドラマでじっくり見たいかな。だけどゲームでそれを見たいかというとちょっと‥‥。
なんかゲームキャラが「お芝居」しているのを見ると白けてしまうんだよね、私は。

それで思ったのは、こういうのって結局ボタン押してページ送ってカットシーンを見るゲームなんだなと。ただ見てるだけじゃつまらないから、ときどきアクションシーンが入ってボタン押すだけかよ、みたいな。もちろん実際はそれよりは複雑だろうけど、煎じ詰めればそういうことだよね?
やっぱり私は自分でストーリーを作れるゲームか、少なくとも分岐があるゲームのほうが好きだ。

あとキャラがしゃべりすぎ! YouTubeはそういうところだけ集めたのかもしれないけど、それにしてものべつ幕なしのマシンガントークで、日本人、特に侍は絶対あんなふうにはしゃべらない!
おそらく(英語のほうが日本語より圧倒的に早口なので)英語のセリフを日本語に直したせいで、日本語版だとそう聞こえるんだろうけど、英語としてもしゃべりすぎ。
仁と誰だかが並んで馬をギャロップで走らせながら普通の口調でぺらぺらと会話しているのを見て、一気に白けた。(ギャロップは乗ってるだけでもめっちゃ体力使うから息もはずむし、風切り音がうるさくて大声で怒鳴らなきゃ聞こえない)

そうそう、私がゲームにケチをつけるとすれば馬しかないね(邪悪な笑い)。

仁の馬はなぜかここだけ三択で、どれを選んでも性能にもストーリーにも変わりはないんだが、連銭葦毛、白馬、黒馬の三種から選べて、名前も三つの選択肢から選べる。その際、「この馬は最後まであなたと冒険を共にする仲間だ」とかなんとかいう説明が出るのに、ラストへ行く前にこの馬を殺してしまうシナリオはやっぱり許せない!
自分はSkyrimで(主に高いところから飛び降りて)馬をガンガン殺してたくせによく言うわと思うが、Skyrimの馬は死んでもよみがえらせることができるし、死なないように不死化もできるのに、こういうゲームじゃ何もできないから。馬が死ぬゲームなんか絶対やらないぞ!

その場面をYouTubeで見ていたら、「RDRと同じだ!」と騒いでいる人が多くて、え?と思った。どうやら西部劇ゲームのRed Dead Redemption(2のほうかも)でも主人公の馬が死ぬストーリーらしい。
RDRは馬キチで西部劇も大好きな私には気になっていたゲームなのだが、1のほうはあまりにもヘボい馬のグラフィックのせいでプレイする気になれなかった。
これはSkyrimのリビューのほうに書くつもりだったんだが、RDRの馬は首が異常に長くて、しかも湾曲せずに突っ張っていて、まるきりキリンかハリボテ馬なんだもん。(いつも言うが、Skyrimの馬の作りは最高。古いゲームなのでスキンとアニメーションがクソなだけ) RDR2になってだいぶよくなったようだが、アメリカ人のくせにああいうふざけた馬を許容してしまう作り手というのはどうも信頼がおけなくて。

YouTubeにはHorse Comparison – Ghost of Tsushima v/s Red Dead Redemption 2なんていう動画もあったので見てしまった。
もちろんRDRは馬が売りなので、馬の動作の細かいアニメーションや人が馬を愛撫したりできるところは圧倒的にRDRが上。

ただ、RDR2になってもあの馬の形は気に入らない。細かいところはよくできてるくせに、なんか全体のバランスが悪くて、特に頭と胴体に較べて足が細すぎ短すぎ、蹄も小さすぎて、あれじゃたちまち骨折しそうだと思う。マスタングみたいなアメリカの土着馬ってもっとがっしりして頑丈そのものなのに。細いと言ってもサラブレッドみたいな細さならまだしも、サイズはやけに小さくてポニーサイズなんだよね。顔も細すぎてネズミみたいだし。
あとスピード感を追及したせいだろうが、RDRの馬は軽すぎてまるっきり体重が感じられないし、大地を蹴立てて走る快感がない。だったらもうバイクでいいよって感じ。Skyrimの馬はのろいし動きも鈍いが、あのズシンと来る重量感が最高なんだが。
乗らなくても馬に近づいて最初に感じるものって、圧倒的なサイズと重量感なんだがこういうの作ってる人たちって馬を見たことないんじゃないかと思う。

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それで『ゴースト・オブ・ツシマ』の馬はというと、私は形はむしろRDRより出来がいいと思う。こちらはバランスがよく、それ以外の動きや走り方も悪くない。ただ、ジャンプができなかったり、やっぱり馬がメインじゃないせいか、そういうところはSkyrimにも劣るけどね。あと、テクスチャーがなんか手抜きっぽくて、なんかのっぺりした感じで毛皮っぽくない。
あと、こちらもやっぱり日本の土着馬と違って、大きすぎるしがっしりしすぎている。むしろRDRの馬のほうがこちらにふさわしい。これ、逆でちょうどよかったのにね。どう考えても13世紀の武士がこんな馬に乗っていたとは思えない。
だいたい対馬と言えば名前だって馬だし、日本固有の在来馬である対州馬のふるさとじゃないか! ちなみにこれが対州馬。

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当時の馬がこれに似ていたかどうかは不明だが、たぶんこんな感じだったはず。せっかく対馬なんだから、馬にはもうちょっと気を使ってほしかったね。

やっぱり馬の造形がいちばんかっこよかったのはWitcherで、動きがいちばんいいのはSkyrimかな。
でもなんだかんだ言って、私はすっかりSkyrimの太くたくましい馬に慣れてしまったのでやっぱりあれがいちばんかわいい。なにしろ骨格と動き自体はパーフェクトなので、グラの粗さにしろアニメーションの少なさにしろMODでカバーできるという強みがあるしね。
ただし自分でプログラム書ければの話だけど。私の眼鏡にかなうほどの馬MODはSkyrimでもまだひとつもないのでね。いろいろ試してわかったのだが、MODが書ける人は馬を知らないし、馬を知っている人はそれほどプログラミング技術がないという悲劇。

でも『ゴースト・オブ・ツシマ』の馬を見ていていいなあと思ったのは、しっぽが長くフサフサで、走るときれいに波打つこと。RDRの馬のしっぽって、先っぽがショボショボで短くて見るからに情けないのもいや。まあ、Skyrim馬の硬直した板みたいなしっぽよりはどっちもましですけどね。
それにしてもなんでどれもこれもみんな三人称見下ろししかないんだ。私は一人称で馬に乗りたいのに。

とにかくいろんなゲームの馬を見てきて思ったのは、みんな馬のことなんかたいして気にしていないということ。
そもそもまともな乗馬ゲームすらない。Steamでhorseで検索しても競馬ゲーム以外は素人に毛の生えた程度のグラフィックのゲームしか出てこなくて、それこそWitcherやElder Scrollsが上位にランクされる始末。なんで??? 乗馬って女の子のいちばんのあこがれのスポーツじゃないの? まあゲーム界というのは完全に男の世界だから驚かないけど。
そんなだからこういうゲームをプレイする他ないんだよな。

アクションについては、これこそ自分でやらなきゃわからないが、見た目は非常にかっこいいし、殺陣が本格的だと言われている。ただ私はそれを言うなら(西洋剣術だけど)Skyrimの戦闘だってすごいかっこいいと思うんだが。キルムーブとかもね。
あとこの手のアクションゲームについては私は長いこと誤解していたみたいだ。とにかくターン制の2Dしかやったことのなかった私から見ると、滑らかな動きとかスピードとかすごいと思って、私にはこんな操作がむずかしそうなゲームとても無理だと思い込んでいたんだけど、よくよく考えたら家庭用ゲーム機なんて限られた数のボタンしかないわけで、どんなむずかしそうな技でもボタンさえ押せば出るんだよね。つまり実際に剣を振り回す技量は必要ないってこと。あたりまえだけど(笑)。

同じ理由で『Assassin’s Creed』にもけっこう失望した。あれこそパルクールのアクション主体のゲームだから、壁のぼりとか高いところで飛び移るとかすごいむずかしそうだけど、できたら気持ちいいんだろうなあと思って見ていたのに、実際にやってみたら、垂直の壁を上るのも降りるのもキーひとつだし、落下ダメージもないなんて、(アクションゲームじゃない)Skyrimより甘い作りじゃん!

あとどうでもいいことだけど、気になったのはゴア表現。時代劇は黒澤だってあれだし、ましてやモンゴル軍は残虐さで名を馳せているので、わりときつい残酷表現があるかと思っていたのだが、確かに血は出るけどあんなにぴゅーぴゅー出るわけじゃないし、斬首シーンも生首も出るわりには切り株を見せびらかせたりはしなくて、かんじんの部分はうまく隠してある。この辺はやっぱり家庭用ゲーム機だからかな。

しかしゲームの影響力はすごいな。私はYouTubeで侍とか刀とか歴史関係の動画を見るのも好きなのだが、そのコメント欄が一気に「Ghost of Tsushimaから来ました」という英語コメントであふれかえっている。ちなみに私が見るその手のチャンネルはすべて英語チャンネル。べつに気取ってるわけじゃなくて、私の日本や日本史に関する知識が外人並みなので、こっちのほうがわかりやすいから(笑)。
とにかくこれを機に日本の歴史や文化に興味を持つ人が増えてくれたのはありがたいことだし、日本がこれだけ美しくかっこよく描かれただけでもすばらしい。

などとブツブツ文句を言ってはみたが、最近のヒットゲームの中では唯一やってみたいと思わせたゲームで、結局買うことになると思う。

P.S. でも私ってやっぱり外人だな。と思ったのは、『Sekiro 隻狼』という忍者もののゲームも売れてるみたいなので見てみたら、純然たるファンタジーで白けたし、顔もなんか違和感があって無理だった。
中世ヨーロッパものなら純然たるファンタジーのほうに親しんでるし好きなのにね。どうしても日本のセンスには付いていけない。

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