★★★【映画評】リドリー・スコット『エイリアン: コヴェナント』(2017)Alien: Covenant 第一部

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そして台座にはこう記されている
「我が名はオジマンディアス、王の中の王なり
全能の神よ、我が偉業を見よ、そして絶望せよ!」
しかし他に残ったものは何もない
朽ち果てた巨大な遺跡の周囲には
不毛な人気もなく平坦な砂漠が果てしなく広がっているのみ
――パーシー・ビシュ・シェリー『オジマンディアス』より
(うちには翻訳がないので今適当に訳してみました)

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前口上

♣ まず最初になんでこんなに見るのが遅れたか言い訳しないと。
♥ 期待しすぎて見るのが怖いのと、おいしいものほど後に取っておく習性のせいで。
♠ というか、ここのリビューは必ずしも見てすぐ書いてるわけじゃないのよ。見た直後に興奮して書くけど、書いたことで興奮が冷めちゃって、そのまま何年もオクラになってる映画も多い。
♥ 書いてる間に興奮が冷めてそれっきりになることもある。

♦ 言い訳なんかいいから! というわけで、いつも書いてるようにグロいモンスターと強い女が三度のご飯より好きな私は、映画『エイリアン』シリーズは1から4まですべて死ぬほど好き。
♣ ちょっとずるいけど、4本セットなら確実に私の生涯オールタイムベスト映画の3位には入るぐらい好き。(1位は『地獄の黙示録』、2位は『2001年』で固定なので)
♠ と言ってもそれは「正編」の話で、前作『プロメテウス』はあくまで番外編ということで、それほど評価はしてないのだが、それでもその続編のこれには大いに期待がかかった。
♦ やっぱり『エイリアン』の創造主リドリー・スコット監督ということと、マイケル・ファスベンダーという玉を発見したという、それだけでも私には恩のある作品。
♥ それに前作じゃ解けなかった謎が多すぎたので、これを見れば解けるんじゃないかと期待した。

【ご注意】
なんと公開から3年もかけて書いてるのでめちゃくちゃ長くて四部作になってしまいました。映画自体はそれほどの出来ではないんですが、偏愛作なんで勘弁してください。星3つもそういう個人的思い入れのことです。
あと、今回はややグロ多めなので、そういう描写やスチルもありますので、嫌いな方は閲覧注意です。

『エイリアン: コヴェナント』リビューもくじ

第一部
これなら靴を舐めてもいいと思ったのに
ヒロインのキャサリン・ウォーターストンのこと
オープニング・シーンのこと
コヴェナント号のこと
ウォルターのこと
第四惑星へ

第二部
ネオモーフ登場
クルーについて
デヴィッド登場
デヴィッドxウォルター その1
デヴィッドxウォルター その2

第三部
パラダイスに何が起こったのか?
ショウに何が起こったのか?
デヴィッドxウォルター その3
デヴィッドの子供たち
父子の物語
再びヒロインについて

第四部

そしてラストは
オマージュとシンボルとメタファー
『コヴェナント』のあやまち
続編について
閉じる円環――エンディング予想

 

これなら靴を舐めてもいいと思ったのに

♥ だけど見始めてびっくり!
♦ なんでかというと、私は自分で見るまで絶対によけいな情報を入れない主義なので、この3年間『コヴェナント』関係にはすべてに耳と目を閉ざしてきたので、こういう話とは知らなかったの。
♥ 誰が出てるかも知らなかったもんね。
♠ いちおうマイケル・ファスベンダーは出るというのは前作の時点で聞いてたんだけど、首がもげたままだし(笑)、おそらく『エイリアン3』のビショップみたいに開始早々にポンコツとしてお払い箱になるんだろうと思ってた。

♦ なんで勝手に決めるのよ!
♠ だってビショップ大好きだったから、せっかく生き残ったのにあの展開にはがっくりきたので、そのトラウマが。
♣ やっとの思いで助けたヒックスとニュートはあっさり殺しちゃうしね。さすがデヴィッド・フィンチャー、容赦がない。
♠ あのオープニングはトラウマになるよなあ。

♥ それで『コヴェナント』は『プロメテウス』の完全な続編だと聞いたので、またノオミ・ラパスが主役かと思うとよけいがっくりきて。
♦ 役者としては悪くないんだけどねえ。私たちの好みじゃないわねえ。
♠ 「ブスなのはいいけど、なんかイラッとする顔」だとか言ってた。
♥ 大好きなシャーリーズは死んじゃうしさ、デヴィッドは首チョンパだしさあ。正直言って、誰が次の脇役に入るにしろ、ノオミ・ラパスじゃそそられなかったのも見るのが遅れた原因のひとつ。

♦ そしたらなんと! 今回はデヴィッド(Michael Fassbender)が主役だったなんて! それで「次の脇役」もマイケルだった!
♣ 彼は悪役だからいちおう「『エイリアン』の主役はヒロイン」というルールは守ったんじゃない?
♦ でも事実上の主役でしょ。
♥ しかも一人二役だからダブル主役よ!
♠ ファスベンダー・ファンとしては、それだけでもリドリーの足元にひざまずいて靴をなめてもいいんだけど‥‥
♣ ヒロインの顔を見て逆上した(笑)。

ヒロインのキャサリン・ウォーターストンのこと

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♥ ていうか、これがヒロインなの?!!!と、最初の1時間ぐらいは彼女がアップになるたび悲鳴を上げてたよ。
♦ ヒロインのダニエルズを演じたのはキャサリン・ウォーターストン(Katherine Waterston)。アメリカの俳優サム・ウォーターストンの娘。
♠ サム・ウォーターストンってなんか聞き覚えがあるな。
♣ ロバート・レッドフォードの『華麗なるギャツビー』でニックをやった人だよ。
♥ このゲジゲジ眉毛は確かに見覚えある。この眉毛は確かに娘も受け継いだんだけど‥‥

♦ なにこのおばさん!と出てくるなり思ってしまった。
♣ おばさん好きなくせに。
♦ だから私が好きなおばさんは貴族的な長身の英国美女でどうのこうの!!
♠ いやマジでありえんでしょ、これは! これならノオミ・ラパスのほうがはるかにマシ。ブタだしブスだし、まん丸のはち切れそうなほっぺに、先割れあごに、変ちくりんなおばさんヘアで。
♦ 別に太ってるわけじゃないし、背はすごい高いのにね。顔だけパンパンなのよね。
♥ いや、とにかくこれはあり得ない。
♦ でもちゃんと化粧して髪伸ばした写真を見るとそこまでブスではないんだよ。これはやっぱり髪型とメイクが悪いと思うね。
♣ こんなのスクリーンにさらしていいツラじゃないだろ、と思ったが、私の嫌いなポール・トーマス・アンダーソンの『インヒアレント・ヴァイス』のヒロインとか、マイケルが主演のダニー・ボイル『スティーブ・ジョブズ』の恋人役とか、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のヒロインとか、売れっ子らしいよ。
♥ 売れっ子だろうがなんだろうが私は許さないわ! あのジジイ気でも狂ったんじゃないの!
♦ ヒロインというガラじゃないよなー。
♣ 見る人が見ればかわいいと思うんじゃないの?
♥ ノオミ・ラパスも「なんでこんな魅力ないおばさん」と思ったけど、あれよりさらに下がいるとは‥‥
♠ 近所の弁当屋のおばさんという感じ。三角巾して「はい、焼き肉弁当お待ち!」とか言ってそう(笑)。

♠ いやー、これはやっぱりリドリーの趣味じゃね? シガニーもノオミもどっちかというと世間一般で言う美女とは違うじゃん。あと、ダサいおばさんヘアというのも共通している。
♦ 確かに。あと大女ね。ノオミだけそこから外れるんだけど、キャサリンはシガニーと同じぐらい背が高い(どっちも182cm)。
♥ だからすらっと見えるはずなのに顔だけアンパンマンみたいだからよけいアンバランスで気持ち悪いんだよ。
♠ アンパンマン! もうそうとしか見えなくなってきた!(笑)
♣ 特にジョエリーのあと(『イベント・ホライゾン』のことを言っている)で見たからダメージでかかったかも。よく似た映画でジョエリーもおばさんだし同じぐらいの身長だけど、とてもじゃないが同じ人種とは思えない
♦ ひどいことばっかり言ってるけど、これだけの身長だからもちろん顔はすごく小さいし、手足もすごい長いんだよ。だから本来なら完全に私の好みなんだけど、やっぱり身長より顔かも。
♠ ただただアンバランスにしか見えないんだよね。

オープニング・シーンのこと

♦ とにかくヒロインのことは忘れて、ちゃんと最初から見直そう。オープニングはマイケルの目玉のどアップから始まる。
♥ もう目玉だけでもマイケルとわかる。
♣ でもこれってどっかで見たような。『2001年』?
♠ リドリー自身の『ブレードランナー』のオープニングがまさにそうだよ。これは映画のクリシェでありとあらゆる映画が使ってる。
♦ 確かにデヴィッドも生体アンドロイドなわけで、『エイリアン』と並ぶ自身の代表作『ブレードランナー』への言及がないのはむしろおかしいと思っていたから、これはあり。

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♣ この場面は前作『プロメテウス』よりずっと前、デヴィッドの誕生直後の話で、『プロメテウス』ではヨボヨボだったピーター・ウェイランド(Guy Pearce)がまだ若い。
♠ ウェイランドはデヴィッドにいきなり “I am your father.” と呼びかけるので、やっぱり父子テーマはいっしょなんだなと。
♦ あ、その話は大事なことだからあとでするから。

♠ “If you created me, who created you?” というのも前作のメインテーマだった。それでウェイランドが「お前と二人でそれを探求していこう」と話すんだけど、これだけの短い場面で前作を要約してみせるあたり、うまいと思ったわ。今回はバカ脚本じゃないかもと。
♦ 脚本はジョン・ローガンとダンテ・ハーパー。(前作はデイモン・リンデロフとジョン・スペイツ) 少なくとも脚本変わったのはいい兆候。

♥ でも空気読めないデヴィッドが「あなたは死にますが、私は死にません」と言うんだよね。するとウェイランドの形相が変わる。
♣ 死ぬまで続く(っていうかそのせいで死んだ)ウェイランドの不死へのオブセッションはここから生まれたのかと。
♠ そのあと当てつけっぽく「お茶を入れろ」(お茶は彼の目の前のポットに入ってるのに)というあたり、「召使いの分際で生意気言うな」と言ってるみたい。
♥ 人間に対するデヴィッドの失望と反感はここから生まれたのかもね。

♦ それにさ、デヴィッドは音楽もわかる、絵画もわかる、詩もわかるんだよね。ここからしてすでにロボットっぽくない。
♠ それは単に暗記してるだけでしょ。
♣ 彼の絵はオリジナルだったよ。それにAIなら間違いようがないはずの、その記憶が間違ってた、というところが人間っぽいあたりもおもしろい。
♠ 「人間とロボットの違いとは?」ということで、やっぱりテーマ的には『ブレードランナー』ともつながってるな。
♦ ここまで脚本、すごいよく書けてない? これはすごい傑作になるかも!と思ったよ。
♥ 傑作ってどんな?
♦ だから『2001年』みたいに、ラストで「おおおおお!!!」と言わせてくれるような、アーサー・C・クラーク的な何か。

♦ それとデヴィッドという命名の由来もここでわかるんだよね。ウェイランドに「おまえの名前は?」と聞かれたデヴィッドは周囲を見回してミケランジェロのダビデ像(英語だとDavid)を見てデヴィッドと名乗る。
♥ それより私はなんでダビデ像が埋まってるのかのほうが気になって。像よりも天井の低い部屋なんで、天井と床に穴開けて、そこにダビデをはめ込んでるんだよね。おかげで頭と足は見えなくて、鑑賞者はいやでもあのちんちんをずっと見てないとならない(笑)。
♣ 映画ではその部分は品良く隠されてましたけどね(笑)。
♠ どうせ置くならあれが入るような天井の高い部屋に置けよ。
♦ 最初、ウェイランドは大金持ちだし未来の話だから本物かと思ったんだけど、確か本物のダビデ像って巨大だから違うよね。
♠ どうせレプリカなら部屋に入る大きさのを買えよ。

コヴェナント号のこと

♦ そこから一気に時代は飛んで、2104年。これは『プロメテウス』から11年後、初代『エイリアン』の時代(2122年)の18年前になる。
♥ タイトルの『コヴェナント』はこの宇宙船の船名。
♠ 意味は「契約」だが、ここはもちろんキリスト教の「神と人との聖約」の意味でしょう。
♣ 宇宙を航行するコヴェナント号は、Origae-6という星を目指す植民船で、15名の乗組員と2000人の植民者と1000人分の受精卵を乗せていた。

♠ とりあえず、リドリーの映画はメカデザインだけは絶対すばらしいのでこれは期待してた。
♥ なんか棒きれみたいな形の宇宙船だったね。宇宙船は前作のほうがかっこよかったかな。
♣ 『2001年宇宙の旅』の頃から、何も宇宙船が船の形をしている必要はないってことでこういう形の宇宙船が増えました。
♦ あれほど細長くはないけど、似てるからもしかしてオマージュかと思った。
♠ 似せるとしたらむしろエンジニアの船でしょ。『2001年』のディスカバリー号は精子に似ていると言われて、「高度に進化したした宇宙人が、古代に宇宙のあちこちに進化の種をばらまいた」という『2001』のメインテーマに合わせたと言われるんだけど、エンジニアがしたことがまさにそれなわけで。
♥ あっ! そう言えばそうだ!
♦ なのにエンジニアの宇宙船はクロワッサン型で。テーマが完全に同じなことを思えば、『2001年』にはもうちょっと敬意を払って欲しかったね。
♣ 『2001年』と似ているのは、宇宙SF映画のテーマなんて限られてるからじゃない? 宇宙SFホラーが全部『エイリアン』になっちゃうようなもので。

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太陽帆を広げたコヴェナント号。私のイメージでは帆は本船の何千倍もの大きさという印象だったんだが、実際はこんなものでいいらしい。

♦ でもディスカバリー号とは決定的に違うのは、これが太陽帆(光子の圧力を巨大な帆で受けて動力とする宇宙船)で飛んでいること! やっぱりクラークだわ!(『2001年』の原作者がアーサー・C・クラークで、太陽帆を最初にSFに導入したのがクラークの『太陽からの風』だったので)
♠ コードウェイナー・スミスの『星の海に魂の帆をかけた少女』もある。なのになんで映画の宇宙船にはソーラーセイルが少ないのか疑問に思ってたんだ。
♥ 少ないってか、映画で見たのは初めてのような気がする。絶対ビジュアル的にもドラマチックだからぜひ見たいと思っていたのに。
♣ そのわりに画面で見ると単なる凧みたいでいまいちでしたけどね。宇宙空間だとサイズ感がわからないから、あのとてつもない大きさがわからない。
♦ こういうの、むしろビジュアル抜きの小説の方が想像力を刺激されてすげえええ!ってなるのがおもしろいね。

♥ ちなみに絵空事のように見えるけど、すでに実用段階の研究が進んでいるのがすごいところ。
♣ ついでにソーラーセイルの技術は日本が先導しているみたいです。
♠ コヴェナント号は日系企業の船だから不思議はないね。
♦ そうそう。そういえば、『プロメテウス』ではロゴがウェイランドだけだったので湯谷と合併前なんだなと思ってたけど、ここではすべてのロゴがWeyland-Yutaniになっていて、この10年の間に合併したのかと。
♣ こういうところ芸が細かいね。確かに『エイリアン』の時代に近付いているわけだから当然どこかでそうなるはずなんだけど。

♠ しかしリドリーはSF映画で当てたからSFの専門家みたいな顔してるけど、SFのことはほとんど知らないな。
♥ 確かに。それはオーディオ・コメンタリー見てても思った。SFファンなら太陽帆見たらすぐにA・C・クラークを思い浮かべるし、まして映画作ってるやつならすぐに宇宙SFの古典中の古典『2001年』の話が出てきて当然なのに何も言わなかったし。
♣ どうもあれがただの巨大なソーラーパネルだと思ってるようだし。
♦ そういうのはブレーンに任せてあるんでしょ。いい映画さえ作ってくれればSFなんか知らなくてもいいよ。

♥ あとねー、最近の宇宙映画はわりとリアルにできてるからつい気になっちゃうんだけど、エイリアン世界の宇宙船内ってなんで無重力じゃないの? 移民を収めた倉庫部分なんて、むしろ無重力のほうが作業しやすいだろうし、だいたい今の映画では居住区以外は無重力にしてあるものなのに。
♠ そういや人工重力についての解説は一度もなかったな。『スタートレック』ですらちゃんと設定があるのに。
♣ これも最近始まったことじゃないよ。『2001年』でさえそこの説明はちゃんとあったのに。
♦ くどい! だからこれはSF映画じゃないだってば!

ウォルターのこと

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私がフードフェチとはいえ、宇宙船内でなぜフード?

♦ それでコヴェナント号では人間は全員クライオスリープ装置に入っていて、起きて船を管理しているのはアンドロイドのウォルターと船のAIの「マザー」だけ。
♥ なんでイニシャルがEじゃないんだー!!!
♣ 解説すると、これまで『エイリアン』シリーズのアンドロイドは、どこまで意図的なものかは知らないけど、アッシュビショップコールデヴィッドと、アルファベット順だったんだよね。
♥ だったらエドワードでもエルヴィスでも良かったのに!
♦ でもそれは最初にデヴィッドの名前は自分で付けたのがわかってるから。
♥ 誰が付けたんでもいいんだよ。シリーズとしての整合性が!
♠ ウォルターはデヴィッドよりはかなり後の改良型モデルだとあるから、途中のEからVも存在したんじゃないの?
♥ 飛びすぎだよー!
♠ いや他3人はすべてタイプが違うから、あれは型番じゃないでしょ。
♣ Windowsも8のあとは9がなくて10だったから。
♥ 意味のわからん説明をするなよー!
♦ だいたい制作年度はデヴィッドが最初なのに。
♠ ほんとは初代『エイリアン』からずっと制作をしているウォルター・ヒルに対するオマージュらしいけど。

♦ 演じるのはもちろんマイケル・ファスベンダー
♠ 外観はアップグレードしてもらえなかったのか。
♥ イアン・ホルムから較べれば大変なアップグレードでしょ。
♣ デヴィッドはすべてのプロトタイプだよ。イアン・ホルムのほうがあとなんだからむしろダウングレードでしょ。
♠ デヴィッドとの違いはというと、髪が短髪で黒っぽいことぐらいか。
♣ デヴィッドの金髪は染めてたからこれがデフォルトなんじゃない?
♥ でもデヴィッドはすぐに髪を切って、黒くしてしまう。これは間違いなく入れ替わる気だと、その時点でわかっちゃったけど。

第四惑星へ

♦ すると突然の事故でポッドが炎上し船長(James Franco)が死んでしまう。それで乗組員全員が起き出してきたところに、謎の怪電波が入ってきて、近くに居住可能な地球型惑星があることがわかる。それで乗組員は、オリガエなんちゃらじゃなくてもここでいいじゃん!と言って降りることにする。
♥ いくらなんでも展開早すぎでしょー!!
♣ まあ映画は時間が限られているからしょうがないとは思うが。前回はエイリアンらしいエイリアンがラストまで出なかったから、おそらく観客も不満だったんじゃない?
♠ それにしてもこれはないなあ。広い大宇宙で、たまたま事故が起こった近くに、たまたま地球そっくりの惑星(未発見の惑星なので名前がなくて単に第四惑星と呼ばれている)があって、たまたまそこにデヴィッドとエイリアンがいたなんて、ご都合主義もいい加減にしろと。
♦ それを言ったら『エイリアン』もご都合主義になっちゃう。それでも『プロメテウス』みたいにトンデモじゃないだけましじゃない?
♠ SFとしちゃ十分すぎるぐらいトンデモだよ。
♥ これをSF映画と思って見たらだめなんだってば。あくまでモンスター・ホラーなんだから。
♣ だいたいこれって『エイリアン』の導入部そのまんまじゃない?

♦ だからね、「主人公はなんで常に生き延びるのか?」の法則といっしょなんだよ。他にも大量に死んでるけど、たまたま生き残った者だけが主人公になれるってやつ。宇宙にはたくさんの宇宙船が飛んでて、たまたまコヴェナント号が通りかかったからエイリアンの餌食になったと。
♥ それだって宇宙の広さを考えたら通りかかること自体がありえない。
♦ くどい!

♣ これってさあ、二度目に見たとき気が付いたんだけど、あの信号はデヴィッドが送ってたんじゃない? 通りかかる船を呼び寄せて「子供たち」の餌にするために。
♥ あー! それはある!
♦ ただこのあとBlu-rayのリドリーのコメンタリーを見たら、その可能性はぜんぜん考えてなかったみたい。たまたま外に漏れたとか間抜けな説明をしていた。
♠ んなアホな。たまたま10年間漏れ続けてたって? おっさん、ボケてきたんじゃないのか?
♣ 科学に疎いだけだからそうっとしといてあげて。

♣ でもなんでその信号が『カントリー・ロード』(ジョン・デンバー)なわけ? カントリー好きのロボット?
♥ あれ歌ってるのはショウじゃなかった?
♣ 私もそれが引っかかってたんだけど、実は最初の案では聞こえてきたのは祈りの声だったんだって。それがプロデューサーのお気に召さずにジョン・デンバーになったんだって。
♥ それならわかるな。祈りじゃ抹香臭くなるからいやだったんでしょ。
♠ でもジョン・デンバーはないわ。

♠ まあそれぐらいいいことにする。それよりあり得ないのは何千人もの移民計画、それこそ膨大な予算をかけて膨大な年月かけて下準備をして決まった目的地のはずなのに。
♥ いちおうエイリアン世界では他星への植民は珍しくないようだけど。
♠ それをたかが運転手に過ぎない船長が「もう面倒だからこっちでいいや」で、何の調査もしてない未知の惑星に決めるなんてあり得ない! 無事に入植できたとしても、他の2000人にどう釈明するんだ?
♦ いちおうダニエルズは反対してたけどね。
♣ ていうか、アンドロイドが乗っているのって、そういう人間の暴走を止める役割もあるんじゃなかったっけ? つまりこの人たち、この場で全員ウォルターに殺されても文句は言えなかったということ。
♠ だからこいつらがひとりひとり殺されていく場面でもあんまり同情できないんだなあ。自業自得過ぎて。

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ありえない格好で未知の惑星に降りる人たち。マイケルの耳付き帽子はやっぱりかわいいけどね。

♠ しかもヘルメットも宇宙服もなしに、ハイキングでも行くような格好で未知の惑星に降りるし! 病原菌とか怖くないのか、この人々は! エイリアンより確実に身近にある恐怖だろうが!
♦ そこはまあ、病原菌やウイルスを自動検出できるスキャナーを持っているという設定でなんとかひとつ‥‥
♠ 怖いのは「未知の」ウイルスなんだよ!
♥ 大人の事情を言うと、ヘルメットというのは映画の作り手としてはうっとうしいんだろうな。役者の顔や演技が見えないし、声も聞こえづらいし。だから空気があるなら脱いでもいいじゃんという感じで。
♣ 『プロメテウス』の「発症しただけで何の病気かもわからないのに火炎放射器で焼き殺す」というのも過激すぎると思ったが、こっちのクルーはアホすぎ!
♦ やっぱり脚本は同じぐらいバカかも。最初がいかにも知的な会話で始まったからだまされたけど。

♥ ヘルメット付けないのは許すとして、あの耳付き帽子はなんなの?
♠ 宇宙船の中でフードかぶってるウォルターよりましだと思う。
♦ ダニエルズもかぶってたよ。寒いのかしら?
♣ アンドロイドに寒さ関係ない!
♥ いくら私がフード・マニアだとはいえ、あれも確かに変だった。メカの考証はよくできてるのに、衣装は何してるんだ!

♥ あとあの小麦はなんだったの? なんで異星に地球の小麦が生えてるのか(ちょっと巨大だったけど)、当然なんか説明があるものと思ってたけど、結局そのままだった。
♦ デヴィッドが植えたんだと思ったけど。
♥ だったらなんで? アンドロイドは人間の食物は食べないでしょ?
♣ 食べられるんじゃなかったっけ? どれかの映画で食べるシーンなかった?
♠ 忘れた。私はエンジニアが植えたのかと思ってた。小麦というのはもともとエンジニアの星にあったもので、それも地球に持ってきたのかと。
♦ どれも説得力ないなあ。おかげでネットじゃさっそくミームになってたけど。ゼノモーフに麦わら帽子かぶせて農夫にしたり(笑)。

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♦ でも風景はきれいだったでしょ。
♠ 確かにきれいだけど『プロメテウス』のアイスランドとスカイ島(スコットランド)ほどじゃなかった。
♣ 上の写真とかスカイ島にしか見えないけど、そうじゃないの?
♥ クレジットではオーストラリアと書いてあったけど、どう考えてもオーストラリアの風景じゃないから調べたら、ロケ地はニュージーランドだって。セット撮影をしたのがオーストラリアと英国パインウッド・スタジオ。
♦ 私は最初てっきりスコットランドだと思った。
♠ スコットランドとニュージーランドは似てるよ。ただ、空気の色が違う。色をいじってこういう寒々とした色合いにするとスコットランドやアイスランドそっくりになる。
♦ どっちにしろきれいだわー。こういうセンスすごい好きなのに。

第二部に続く

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