★★★【映画評】ジャスティン・カーゼル『アサシン クリード』(2016)Assassin’s Creed (Part1)

真なるものは存在せず
許されざるものも存在しない
“Nothing is true; everything is permitted”
――ハサン・サバーフ(ニザール派の開祖)

かんじんのゲームの方は一度もプレイしたことがないくせに、よくまあこれだけ熱中できると思うぐらいの、私としては珍しい溺愛リビュー

      • 「中東のどっかでアサシンがパルクールやる話」かと思ったらぜんぜん違った。
      • 同じオープンワールドの中世ゲームであるSkyrimにハマってるし、西洋史にも理解があるので、一般映画ファンより背景も理解しやすいはずだし、難なく物語に入れるはず、と思ったらぜんぜん違った。
      • アサシンの敵はテンプル騎士団だというから、イスラムの暗殺者集団がキリスト教徒と戦う話かと思ったらぜんぜん違った。
      • あとここまでヘボいSF仕立てだというのも知らなかった。

    これだけ失望要素が揃っていながら熱狂したのは、それほどアサシンとマイケル・ファスベンダーを愛してるからなんだけど。

    あとハイになって書いているので文体がちょっと変です

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【映画評】ジャスティン・カーゼル『マクベス』(2015)Macbeth

前に予告を見てちょっと期待していた、マイケル・ファスベンダー版『マクベス』を見た。
なにしろ、マクベスにマイケル・ファスベンダー、マクベス夫人にマリオン・コティヤール、ダンカンにデヴィッド・シューリス、マクダフにショーン・ハリスと、(わたし的には)かなりの豪華キャスト。
予告で見た感じじゃ絵もすごいきれいだったし、一目でわかるスコットランドの風景にうっとり。(原作もスコットランドの話)
話はマクベスだから、まあ新鮮味はないが、悪いはずないし。しかも今の時代にマクベスを撮るからには、何かしらおもしろい新趣向があるかと、かなり期待していた。ま、何はなくても私としては、とりあえずきれいな景色の中できれいな男が動いているのを見るだけでもOKです。

と、(わたし的には)失敗するはずのない映画だったんだが、見てがっかり。

参考 ★【映画評】蜘蛛巣城(1957)黒澤明監督特集5

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【映画評】ジョン・マクリーン『スロウ・ウェスト』 (2015) Slow West

♠ またマイケル・ファスベンダー主演の英国インディー映画だが、『センチュリオン』が思ったよりよくできていたので見てしまった。
♥ 今度はなんと西部劇ってところで、ちょっと眉にツバつけたけど、マイケルはウエスタンも似合いそうだったし、クリント・イーストウッドにちょっと似てるかななんて思って。
♠ いや、似てないけど。それに西部劇はそれこそクリントとかフランコ・ネロみたいな苦み走った渋い男が似合うんであって、マイケルは基本的に甘い顔だちだから似合わないと思うけど。
♥ いきなり全否定から入らないでよ。このレトロ風ポスターなんかすごいかっこいいじゃない。
♠ これはいいと思うけど、本当にできるのか?と半信半疑だった。マイケルのせいっていうより、イギリス映画ってところが。
♥ とりあえずストーリー!

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【映画評】クエンティン・タランティーノ『ジャンゴ 繋がれざる者』 (2012) Django Unchained

タランティーノのこの映画は、なんか知らないがアカデミー賞やBaftaでどっちも脚本賞と助演男優賞を取ってるんだよね。と言っても、タラ公大っ嫌いな私はもう見る気がしなかったんだが、タイトルが『ジャンゴ』じゃ見ないわけにはいかなかった
理由はいつも言ってるように私が西部劇で育ったってことと、『続・荒野の用心棒』【注】でジャンゴを演じたイタリアの俳優フランコ・ネロは、私の心の恋人の夫だからという、とても一口では説明できないのでこっちを読んで欲しい理由からだ。

【注】『続・荒野の用心棒』 原題はDjango(ジャンゴ)。このダサい邦題も死ぬほど嫌い。なんの関係もないのに、黒澤明の『用心棒』のそのまた翻案の『荒野の用心棒』にあやかろうという魂胆が見え見えだから。

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★★【映画評】ビル・コンドン『Mr. ホームズ 名探偵最後の事件』(2015)Mr. Holmes

これは主演イアン・マッケランだけで見たが、本当に心温まるいい話だった。
イアン・マッケランのような名優は話がどうあれ、(たとえあれほどの醜男であっても)見ているだけで目の保養だし、彼が出る映画ならそれほどくだらないものはないだろうし(アメコミ原作を除く)。ここに書いたようにホームズは私の初恋の人だし、とにかくもういつ死んでもおかしくない年だから(ひどい)、生きてる間に一本でも多く見ておきたいと思って。(ただしアメコミは死んでも見ない)

参考(にはならないが、私のホームズに寄せる熱い思いが書かれているので)
★★【テレビ評】『Sherlock』BBCTV(2010-2014)

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★【映画評】山岳遭難映画二本立て バルタザール・コルマウクル『エベレスト 3D』(2015)Everest

登山なんて大っ嫌いで、元々は単に人が悲惨な死に方するのを見るのが好き、という不謹慎な動機から見てるくせに、途中からなぜか観光登山に対する義憤に駆られ、最後はなんかディープな暗い話になる。自分で書いててもよくわけわからん。たぶん登山好きは怒るだろうけど、ある意味自分は登らないからこそ言える話だな。
同様に、映画は酷評の嵐だが、それなりにいろいろ考えさせられるという意味では収穫の多い映画だった。

なにしろ大量遭難事件と聞いていたから、この人たち全員死亡するものと思ってたのよ。そしたら、少なくとも映画で死亡確認できたのはたったの5名! 200人が死んだ八甲田山とくらべてあまりにしょぼくない、これ?

金と権力を持ったアメリカ人のためには人命も危険にさらすが、貧乏人や日本人は見殺しですか。

衛星電話で妻に最後の別れを告げるシーンもいらなかったなあ。これこそ現代ならではの技術だが、登山の良さは下界からは完全に切り離されているという孤独感だし、いつでも妻とおしゃべりできる状況ではやっぱり悲壮感がない。

富士山やエベレストみたいな聖地ぐらいは手つかずのまま残してほしい。観光客や一部のアドレナリン・ジャンキーのために美しい山が荒らされるのはまっぴらだ。

登山家が山を愛するのは自然を愛するからに違いないが、山に登るという行為自体が自然を汚す行為に他ならないし。

とりあえずこの2本の映画を見て学んだこと。

人は寒いところでは死ぬ(八甲田山)
人は高いところでは死ぬ(エベレスト)

でも同じように(足を折るとかして)身動きできず、助けも来ない状況を想定したら、私は灼熱の砂漠で死ぬよりやっぱり雪山で死にたい。

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【映画評】山岳遭難映画二本立て 森谷司郎『八甲田山』(1977)

本人は山なんか死んでもお断りのくせに、実は山岳小説や映画や漫画が大好きな私が改めて見た『八甲田山』評。

私個人は死んでもいやだし、どんな大金積まれたって行きたくないような場所に、自分から進んで行って悲惨な運命に見舞われる人々を、安全な暖かい部屋で見ているのは実に楽しい。

CGもない、撮影機材も現代にくらべるとお粗末な時代に、これをどうやって撮ったのかと思うほどの、過酷であったことが容易に想像できる現地ロケ撮影(実際に冬の八甲田山に乗り込んで撮った)は圧巻の一言。(中略) いつも空気が本物かどうかを気にしている私には、「映画には空気が映る」という制作の野村芳太郎の言葉は事実であるばかりか至言である。

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【映画評】どーでも映画劇場 ジョエル・シューマカー『フォーン・ブース』 (2002)Phone Booth

電話ボックスの中だけで話が進行するというので話題になった、というか、話題にするような要素がそれしかないという、コリン・ファレル主演、ジョエル・シューマカー監督の作品。
ジョエル・シューマカーというのも息の長い監督だなあ。もう77才だからね。ハリウッドの監督はこういう感じの、特におもしろいわけでもないが、ほどほどに見られる映画を地道に作ってる人の方が長生きする感じ。

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★★【映画評】イーライ・ロス『ノック・ノック』Knock Knock(2015)

これもキアヌ主演というだけで録画したのだが、そのあとでイーライ・ロス監督と知り、しまった!と思った。イーライ・ロスったらあのえげつない(だけでぜんぜんおもしろくない)『ホステル』のアホ監督じゃねーか。どうせこれもくだらないエログロ・ホラーかと思って。
そのあとうっかり(普通は絶対映画見る前には見ない)リビューを見てしまい、あまりの酷評にかえって興味がわいた。サイテー映画だの、胸くそ悪いだけだの、「なんでキアヌがこんな映画に出たの?!」というファンの悲鳴とか。そうなってみるとかえってなんかそそられるよね。もともとエログロは嫌いじゃないし、そういうバッドテイスト映画にキアヌというのもなかなかいいかもと思って。

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★【映画評】ガス・ヴァン・サント『追憶の森』(2015)The Sea of Trees

この映画を見るきっかけとなったのは、例のローガン・ポール事件。【注】

【注】アメリカの痴呆(YouTuberとも言う)が日本でビデオ撮影中、青木ヶ原で自殺死体を発見して動画をアップロードしたことが内外で非難された。もっとも海外の人は自殺死体を前にふざけたり、YouTubeに上げたことで怒ってたが、どっちかというと日本では街中での乱暴狼藉(ホテルの部屋の壁に柿を投げつけたり、そこらの人にモンスターボール投げつけたり、築地で買った生魚を振り回しながら歩いたあげく、通りすがりのタクシーの屋根に載せたり)に怒ってる感じだった。

いや、YouTuberなんぞ私はどうでもいいんだけどね。むしろあんな奴らは全員吊していいと思ってるし。ただ、そのビデオの英語コメントを読んでいたら、「映画で見た」という声が多くて、「樹海が出てくるハリウッド映画なんてあるのか?」と検索してみたら、ガス・ヴァン・サント監督、マシュー・マコノヒー、ナオミ・ワッツ、渡辺謙主演って、これはもう見るっきゃないじゃない。ちょうどAmazonプライムにあったからさっそく見てみた。

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