タグ別アーカイブ: ロビン・ライト

★★【映画評】男にとって理想の女性像は30年間でここまで変わった ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ブレードランナー 2049』(2017)Blade Runner 2049 

MV5BYWJjZTM3M2UtY2UwZi00MWIwLTg4NzQtYjM0NDQyNzhkYWJmXkEyXkFqcGdeQXVyNzg2ODI2OTU@._V1_

タイトル通り、女性観という観点からオリジナル『ブレードランナー』との30年の差を考えたリビュー、ほかに「ぷっつん女優」ショーン・ヤングの奇行を振り返ったり、ディック映画を総括したり、けっこう中身が充実しているので★★にしたけど、私はこの映画嫌いです。

というわけで、『エイリアン: コヴェナント』と並ぶもう一本のなつかしのリドリー・スコット・フィルムの続編がこの『ブレードランナー 2049』。ただしリドリーはここでは制作にまわっていて、監督はしていない。
『ブレードランナー』は私にとってはある意味『エイリアン』以上に思い入れ深い作品。というのも、『エイリアン』はリドリー・スコットのオリジナルだが、『ブレードランナー』は「私を作った作家」のひとり、P・K・ディック原作というわけで、まさに私の映画だから。
もっとも当時はH・R・ギーガーにも狂っていたから、そのギーガーが参加した『エイリアン』も同じぐらい大事な映画だったし、そもそもどっちもSFだったし、その両方を監督したリドリー・スコットもまた、かつての私の神々のひとりだった。

関連記事
『ブレードランナー』(1982)Blade Runner

続きを読む

★【映画評】山岳遭難映画二本立て バルタザール・コルマウクル『エベレスト 3D』(2015)Everest

(2019年5月25日、商業登山について追記あり)

登山なんて大っ嫌いで、元々は単に人が悲惨な死に方するのを見るのが好き、という不謹慎な動機から見てるくせに、途中からなぜか観光登山に対する義憤に駆られ、最後はなんかディープな暗い話になる。自分で書いててもよくわけわからん。たぶん登山好きは怒るだろうけど、ある意味自分は登らないからこそ言える話だな。
同様に、映画は酷評の嵐だが、それなりにいろいろ考えさせられるという意味では収穫の多い映画だった。

なにしろ大量遭難事件と聞いていたから、この人たち全員死亡するものと思ってたのよ。そしたら、少なくとも映画で死亡確認できたのはたったの5名! 200人が死んだ八甲田山とくらべてあまりにしょぼくない、これ?

金と権力を持ったアメリカ人のためには人命も危険にさらすが、貧乏人や日本人は見殺しですか。

衛星電話で妻に最後の別れを告げるシーンもいらなかったなあ。これこそ現代ならではの技術だが、登山の良さは下界からは完全に切り離されているという孤独感だし、いつでも妻とおしゃべりできる状況ではやっぱり悲壮感がない。

富士山やエベレストみたいな聖地ぐらいは手つかずのまま残してほしい。観光客や一部のアドレナリン・ジャンキーのために美しい山が荒らされるのはまっぴらだ。

登山家が山を愛するのは自然を愛するからに違いないが、山に登るという行為自体が自然を汚す行為に他ならないし。

とりあえずこの2本の映画を見て学んだこと。

人は寒いところでは死ぬ(八甲田山)
人は高いところでは死ぬ(エベレスト)

でも同じように(足を折るとかして)身動きできず、助けも来ない状況を想定したら、私は灼熱の砂漠で死ぬよりやっぱり雪山で死にたい。

続きを読む

★【映画評】デヴィッド・フィンチャー『ドラゴン・タトゥーの女』(2011) The Girl with the Dragon Tattoo

ポスターはエロいしかっこいいんだが、あいにくこんなシーンは映画にはない

何かにつけてチョロチョロ話には出てきたが、このリビューをなかなか書けなかったのにはわけがある。それだけデヴィッド・フィンチャーという監督を愛していたから。
『エイリアン3』(1992)でデビューしてから、『セブン』(1995)、『ゲーム』(1997)『ファイト・クラブ』(1999)までのデヴィッド・フィンチャーは神だった。『ゲーム』はちょっとスケールが落ちるがそれでもおもしろかったし、デビューから4本連続で(正確には『ゲーム』を除く3本だが)、私のオールタイムベスト50級の映画を撮るっていうのは、もう本物の天才か、よっぽど波長が合うとしか思えない。

続きを読む